トータルイクリプスサンダーボルト   作:マブラマ

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第4部 テログループ編
第32話 Waltz For Debby


悠一Side

2001年12月29日

国連軍 横浜基地

 

俺と鈴乃は恭子から指令を受け、斯衛軍の衛士として横浜基地の警備任務を担う事になった

しかし…

「何で私まで斯衛軍に…(帝国軍衛士として全うしたいのに、まさか斯衛軍にヘッドハンティングされるとは…)」

どうもこうも納得がいかない早乙女は口では言わず心の中で愚痴っていた

「早乙女、暫くの辛抱だ。この任務を達成すれば帝国軍に戻すと恭子様から約束されたからな」

気楽にいこうぜ早乙女

俺が着用してる軍服は外様家仕様(白)だ

で、鈴乃と早乙女が着用してるのは一般仕様(黒)

一つ問題なのは月詠真耶中尉だ。

昨年、帝国軍欺衛軍の合同会議の時、征夷大将軍に暴言吐いちまった以降避けるように無視されたからな

あの時は本当に申し訳ないと思ってる。今更だが

俺は斯衛軍の衛士としては最低レベル――――つまり誰にも信用されてない

だが恭子は違った。嫌われ者の俺に対し恭子はそれを理解してまで俺を叱ってくれた

もうあの時の俺とは違う。少しずつ変わったような気がする

その時、月詠中尉が白の軍服を着てる部下らしき女性3人を引き連れて俺達に近づいてきた

「ん?貴様は豊臣少尉か。久しいな」

「…お久しぶりです。月詠中尉」

俺は月詠中尉に向け敬礼する

「あの時の無礼については謝罪します。申し訳ありませんでした」

「……少尉、過ぎてしまった事は気にするな。私も誤解をしていたようだ―――心から謝罪する」

と言って、頭を下げる

「おいおい、頭下げなくていいよ!」

月詠中尉は真剣な眼差しでこう言葉を放つ

「ところで少尉、斯衛軍に戻ってきたのか?」

「ああ、原隊復帰だ」

「そうか。後ろにいるのは帝国軍の…」

鈴乃と早乙女も月詠中尉に向け敬礼する

「大倉鈴乃大尉です」

「早乙女まどか少尉です」

月詠中尉は早乙女とは初対面だったな

「早乙女少尉か――――成る程、だが貴様は単にここへ戻ってきた訳ではないな?」

チッ、バレちまったか………。

「甲21号作戦の時、貴様達は東欧州社会主義同盟と結託してハイヴの反応炉を破壊したと聞いた。香月副司令の邪魔した天羽組とやらの極道組織が介入しなかったら佐渡島はもうとっくに消滅してただろう」

………………。

「月詠中尉」

鈴乃は月詠中尉に一言を放つ

「?」

「貴女が率いる第19警備小隊は我々スパルタン中隊の指揮下に編入します」

月詠中尉はこれを聞いて戸惑う…筈だった

なんと戸惑うことなく冷静な態度を取った

「貴女は私より階級が上だ。ご命令とあらば従わせて貰います。大倉大尉―――何なりとお申し付けください」

「ここに来てまだ浅いが、感謝する」

「崇宰大尉の命令で斯衛軍に戻ってきたんだろ少尉。これだけは言っておく―――無茶はするな」

月詠中尉の言葉を聞いた俺は小さな笑みを浮かべた

「了解です。必ずこの任務を終わらせて参ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恭子から指令を下された1時間後、練馬駐屯地に戻った俺と鈴乃はムーア中隊の面々を集いブリーフィングを行った

「――――総員傾注!これよりブリーフィングを開始する」

緊張感を漂う中、皆はザワザワし駒木だけは冷静な表情を浮かべる

そして鈴乃は皆に向けこう言い放つ

「今回の任務は横浜基地の警備任務だ――――恭子様から直々命令下された。この任務に参加したいものを挙手を願う」

佐竹は戸惑い鬼頭も少し困惑しつつも笑みを浮かべている

紅林は顔が強張っている。早乙女と駒木は真面目な顔だ

「誰もいないのか?」

早乙女が挙手する

「はい!」

「早乙女少尉、参加するか?」

「勿論です!」

鈴乃は他に参加した人はいるか?と問いだそうとした時、佐竹が困惑した顔で言い放つ

「大倉大尉!横浜基地ってあの香月副司令がいるところですよね?」

「そうだ」

「何考えてるんですか!あそこは一部の人しか優遇されないんですよ!」

「優遇とか冷遇とかそんな事はどうでもいい。佐竹、貴様は元々衛士だったんだろ。貴様がまだ現役の衛士だったらこの任務は参加する筈だ」

鈴乃は佐竹に向け軽蔑な目で言った。

「佐竹よ。これは大倉大尉からの志願だ――――ただ警備するだけではなさそうですね大尉」

「察したか鬼頭。そうだ、私と豊臣少尉、そして早乙女少尉は帝国斯衛軍の衛士として横浜基地を守るんだ」

それを聞いた早乙女は参加拒否しようとするが

「大倉大尉、そんなの聞いてませんよ!」

「参加拒否は不可能だ。早乙女少尉」

「グウウ…(だ、騙された……こうなったら意地でもやってやります!)」

その後ろにいた伊隅大尉、柏木少尉、そして多恵が鈴乃が言った任務内容を異変を気付く

「少しいいか?大倉大尉」

「いす…じゃない『大地』大尉、何だ?」

「横浜基地の事なら私がよく知ってます。一緒に行かせて貰えないでしょうか」

と伊隅大尉は嘆願した

しかし伊隅大尉達は世間一般的には戦死している

表に出られない。それを含めて二度と家族に会えない事からそれが余計に辛い。

当然の如く、鈴乃はそれを断固拒否した

「『大地』大尉、お気持ちは分かりますが、世間一般的に戦死した衛士は表には出られないんです」

「そうか…」

伊隅大尉は帝国軍簡易ジャケットの左ポケットから3.5インチのフロッピーディスクを取り出した

「横浜基地の内部構造です。地図として使ってください」

「え?いす、じゃなかった『大地』大尉…そのフロッピーディスクはどこで手に入れたんですか?」

と柏木少尉は問いかける

「甲21号作戦のブリーフィング前に副司令の個室から取ってきただけだ」

おいおいおい、これって窃盗にあたるんじゃないか!?

あ、死人は口なしだから何も言えないな……

「有難く受け取っておくわ」

鈴乃はフロッピーディスクを受け取る

「ムーア中隊はどうなされるのですか?」

伊隅大尉の問いを鈴乃はこう答える

「ああ、『大地』大尉に預ける」

「了解しました」

駒木が鈴乃に言葉を放つ

「大倉大尉、私は『大地』大尉と因縁があります。クーデターの時は対峙していましたから―――正直やっていけるかどうか不安です」

駒木の言葉を聞いた伊隅大尉はこう言い返した

「駒木咲代子中尉だったな――――どう言葉を言えばいいのか。まぁ高原少尉については気にするな」

「え?」

「高原はみんなと一緒に戦いたかった筈なんだ。きっと許してくれるさ」

確かに駒木はクーデターの時は伊隅大尉と対峙していたな

萌香を殺した事により…いやそれ以前にクーデター加担した時点で本来なら極刑下されて懲罰部隊入りだったんだろう。

だが恭子が崇宰家次期当主としての権力を使い、裁判なしにさせたんだ

貴重な戦力を失う訳にはいかない――――帝国軍上層部の連中は命の重さが全く理解できず自分の保身だけの事を考えていた

そういった連中は絶対に許されねぇ

「恭子様がいなかったら、私は今ここにおらず極刑下されて懲罰部隊送りにされてたでしょう――――衛士達を駒同然に切り捨てるなんて…これが世の中なんだと痛感しています」

「だが、貴様は今ここにいる。恭子様に感謝するんだな」

そして伊隅大尉は駒木に握手を求める

「一緒に戦おう。駒木咲代子中尉――――もう自分を責めるな」

伊隅大尉は和やかな笑みを浮かべた

駒木はそれを聞いて、涙を流しつつ小さな笑みを浮かべて伊隅大尉の手を掴み握手した

「はい――――命を懸けて戦います」

駒木は日本の未来の為なら本気で死んでもいいと思った

死ぬ覚悟は出来てる…だが恭子に救われ死んでいった衛士の為にその覚悟がある

俺はそう解釈した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、早乙女除いて鬼頭や紅林、駒木はこの任務は不参加となり俺と鈴乃、早乙女の3人になった

そして横浜基地のブリーフィングルームにて月詠少尉やその部下3人含めて約12人を集いブリーフィングを始まった

大半が黒服の衛士だ

「総員傾注!先程、高崎と秩父の観測基地でBETAの大深度地下進攻が確認された」

テロリストではなくBETAが迫って来る

これは恐らく既に殲滅した佐渡島ハイヴの地下深く…地下5階くらいで地中を潜り侵攻してきたのだろう

早乙女は強張った表情で言い放った

「確か暫定ラインに兵力を配備されてる筈では?防衛線の部隊は何をしているのですか?」

これを聞いた鈴乃はこう答える

「佐渡島占領に伴う影響で早期警戒網は緩んでいただろう。あそこは今ベアトリクスの支配下だからな―――だからと言って残存のBETA群が全て殲滅したとは必ずしも絶対に限らない」

そうか………あの作戦の影響で……?

「BETAの移動深度は浅くなっている。現段階での出現予想地点は旧町田市一帯だ。恐らく佐渡島ハイヴの地下茎構造が、既に本州内陸部まで延びていたと考えられる」

佐渡島ハイヴの中にあった反応炉を破壊されなかったら俺達はどうなってたかは知りたくない

アホ臭くて嫌になるほど考えたくないぜ

香月女史が掲げた作戦は無意味じゃなかった………が、それをよしとしない佐渡島に住んでた人達やシマの所有権を持ってる天羽組がいたから佐渡島は無傷で奪還出来た

このまま香月女史の思惑通りで佐渡島消滅したら、新潟の一部付近で津波に覆われてただろう

そうか……そういう事だったんだな。

「これに対し、帝国軍は迎撃の準備を開始している。だが、敵の最終目標地点は、ここ横浜基地だ」

スパルタン中隊の編成は…

00サブレッグ(黒):スパルタン1:大倉鈴乃

00フルアーマー(白):スパルタン2:豊臣悠一

武御雷(赤):ブラッド1:月詠真那

武御雷(白):ブラッド2:神代巽

武御雷(白):ブラッド3:巴雪乃

武御雷(白):ブラッド4:戎美凪

武御雷(黒):スパルタン3:早乙女まどか

武御雷(黒):スパルタン4:

武御雷(黒):スパルタン5:

武御雷(黒):スパルタン6:

瑞鶴(黒):スパルタン7:

瑞鶴(黒):スパルタン8:

の一個中隊で12機編成だ

何故武御雷の数が多いのかって言うとこれは遠田技研工業の能代社長による計らいだ。

恭子はコネクションを使ってまで武御雷を調達したんだな!

流石崇宰家次期当主だぜ。

「我々は侵攻中の敵を迎撃する。これより各地の配備場所を告げる――――尚、存じてると思うがA-01部隊と共闘する可能性は高いからそこは理解してくれ」

まさか、本当にこんな時が来るなんて思わなかった

BETAが、横浜基地に………!

怖気ついてどうする?ここまで来たんだ。今更退くなんて出来ねえ!

「我々は共に戦う仲間だ!どんな状況であっても見殺しにするようなことは出来ない」

そうだよな…そんなの当たり前な事じゃないか

俺だって鈴乃、アンタを見殺しにするなんて出来ない。

全力でやるまでだ

「――――最後に貴様達に伝えておくことがある」

「か…」

………。

「か、勝ちたいかーーーーー!」

突如、鈴乃は月詠中尉達の前で大声叫んだ

「は?」

俺は戸惑った

「生き延びたいかーーーーー!!」

月詠中尉除いて部下達は「おおー!」と叫んだ

おい、これって……?!

まるで、ウルトラクイズじゃねえか!!

ってそんな事はどうでもいい!とにかくだ、この任務終えたら佐渡島同胞団に戻るんだ

斯衛軍には戻りたくないと言ったら嘘になるが…その後の事はゆっくり考えるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連軍Side

 

その頃、横浜基地の第2防衛線に配置していたヴィクター大隊の衛士達が乗る陽炎は接近してくるBETA軍が面制圧されていく光景を静観していた

「おおお……凄えよ!こんな大規模な面制圧……初めて見たぜ!」

「第1防衛線の連中……流れ弾に肝を冷やしているでしょうね」

「第1陣の突撃級と戦いながらだからな。気にしてる暇はねえだろ」

BETA群が面制圧されていく中、大地が震え動く

「しかし、この震動と地響き……たまらねえよな」

「何だお前、スウェイキャンセラーをオフってるのか?物好きな奴だな」

「ほっとけ!オレはこうやって戦場の空気を感じる事で、闘志を掻き立ててるんだよ!」

「振動センサーの波形なんかで盛り上がれるかっ――――――ん!?」

その時、ヴィクター大隊の衛士の一人が違和感を覚え悪い方向に傾いていくと確信する

「……どうした?」

「……何だこの揺れ……」

「――おかしい!?センサーが――振り切ってるよ!?」

次の瞬間

ドォォン

ドォォォン

「――――」

「――――!?」

「――ッ!!」

ヴィクター大隊の衛士達の前に現れたのは…

「―べッBETAだぁッ!!」

突撃級がヴィクター大隊に襲い掛かる

そして各隊員は迎撃態勢を取り突撃砲を構える

「――死ねぇぇぇ!」

ガガガガガガ!

「――ヴィクター1よりHQ!コード991発生ッ!!繰り返す―――コード991発生ッ!!」

「――この野郎ォォッ!!」

ガガガガガガガガ

「――奴等支援攻撃の振動に隠れて地下を来やがったッ!!町田の光線属種は囮だッ!!」

「――バカなッ!BETAが陽動を仕掛けて来たのか!?そんなバカなッ!!」

第2防衛線に配置したヴィクター大隊の衛士達は奮闘虚しく全員戦死した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴乃Side

 

私は斯衛軍の衛士としてスパルタン中隊の長として月詠中尉率いる第19警備小隊を我が中隊の指揮下に編入した

武御雷専用の強化装備…00式衛士強化装備は斯衛軍しか扱ってないそうだ。

正直、慣れないものだな―――だが武御雷の性能を発揮するには00式衛士強化装備を着用する事が必須だからやむを得ない。

00サブレッグに00フルアーマー……普通の武御雷でも充分発揮出来るのだが能代社長には頭が上がらない

ウォーミングアップでストレッチしてる時、HQから通信が入った

《HQよりスパルタン1―第2防衛線突破されました!第3防衛線、演習場にて接敵!戦車部隊も砲撃開始したようです》

もうすぐここに来る―――。

「スパルタン1了解、直ちに迎撃態勢を取り砲撃を開始する」

町田は囮だったようだ

BETAはアホな知能を持ってる訳がない。一つ覚えれば少しずつ賢くなる化け物だ。

《スパルタン1応答せよ!此方、A-01部隊の長に任された速瀬水月中尉だ》

速瀬………伊隅大尉の部下の一人だ

無視するわけにはいかない

「スパルタン中隊の大倉鈴乃大尉だ。貴様は速瀬水月中尉だな?」

《貴女は、帝国軍の―――!?》

「訳ありで斯衛軍にいる。理由はこれが終わってから全部話す」

《…分かりました。敷地内にBETAが侵入したようですので大倉大尉もお気をつけてください》

やはりそうだったか…となるとA-01は第2滑走路に行く筈だ

「総員傾注!横浜基地の敷地内にBETAが侵入してきた。それらの殲滅を行う!」

《上申し上げます!》

「どうした?」

《第1滑走路は制圧。周辺にいた戦術機部隊も全滅――――大尉、ご命令を!》

第1滑走路はダメだったか――――そうなると…

「我が中隊はA-01部隊の援護に向かう。意義のある者は?」

私がそう問いだすと、「ありません」と部下達の答えが返ってきた

「では第2滑走路に向かうぞ。我に続けぇぇぇぇッ!」

武御雷(+瑞鶴(黒)2機)を編成したスパルタン中隊は第2滑走路に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2滑走路周辺に着いた私達スパルタン中隊はA-01部隊の不知火が地下から出現した要塞級を見て驚愕していた

「フォ…要塞級……!」

《――ちくしょう!此奴等地下からッ!!》

白銀少尉の声が響き渡る

そして…御剣少尉も

《――第1滑走路はもう制圧されたぞっ!!》

《――くっ!よくも……!!》

涼宮少尉が乗る不知火が突撃砲4門一斉発射し目の前にいるBETA群を撃ち抜く

《――出て行きなさいよ!――このッ――このッ!!》

撃ち漏らしてる……?

しかも突っ込んでいるじゃないか!

《――突っ込み過ぎよ茜ッ!!》

《――カバーします!》

珠瀬少尉のファインプレー―――――なかなか筋通ってるな。

要撃級を次々と倒していくじゃないか

私も負けず嫌いだ―――一匹も殺さずには帰れない

「戦車級が来たぞ!総員砲撃用意!!」

私が乗る00サブレッグはレールガンを構え戦車級数体に目掛ける

悠一が乗る00フルアーマーは2連装突撃砲を構える

その他諸々は各員突撃砲を構える

そして…

「砲撃開始!」

私はトリガーを引きレールガンを発射し戦車級に当てる

他の皆は突撃砲の120mm弾や36mm弾を放って戦車級に当てる

見事命中!だが…

《中隊長!戦車級が次々と増えてきます!》

早乙女が弱気な発言をした

「馬鹿者!それを最後までやり遂げるのは我々衛士の役目だ!」

私は早乙女に威圧を掛け叱咤する

《大丈夫なのかよ!これは》

「悠一!気を抜くな!全く―――ここに光線属種いなくてよかったな」

小さな笑みを浮かべるのも束の間、動きがおかしい不知火1機が戦車級に立ち向かいその場で動かず突撃砲で弾を放っていた

《不知火1機が単機で戦車級に…》

「カバーしろ!早乙女、間に合うか!」

《やってみせます!》

早乙女が乗る黒い武御雷はA-01部隊と思われる不知火1機を援護射撃した

《援護します!》

《あ、ありがとう…》

この凛とした声、確か駒木が救助した臼杵咲良か。

正直、『一人でなら大丈夫だろう』と思うところだが生憎そうはいかない

「スパルタン1よりA09b-02へ。援護する――――臼杵咲良少尉」

臼杵は少し戸惑いながらこう答える

《何故私の名前を…?》

「駒木から少し聞かせて貰った。それより今は目の前にいる敵を撃つ事を集中しろ!」

《りょ、了解!》

先頭の要塞級が此方に迫って来る

「月詠中尉はA-01の援護を!私達は他の部隊をカバーする!」

《了解!》

「行くぞ!我に続けぇえええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連軍の横浜基地でのBETA襲撃から約4時間を経過していた

どれくらい被害を被られたのだろうか―――それを考える暇はない。

私達の目の前にいるのは要撃級と突撃級

「突撃級は前からでは無理だ!後ろから回って刀削麺をプレゼントしろぉ!」

《了解!!》

部下達はそういうと長刀を握り構え要撃級を次々と真っ二つに切り裂いた

早乙女もよく動いてるな?

突撃級に突っ込んではいないみたいだ

やってる事は人生ゲームと変わらない――――このまま終わらせることなど出来ない

《死に晒せ!BETA共ぉ!》

早乙女は決死な覚悟で突っ込んでくる突撃級1体を長刀でバッサリと切り裂いた

BETAの血液を早乙女が乗る黒い武御雷の装甲にべったりとついた

120mm弾の流れ弾が要撃級に命中!

「月詠中尉はA-01の支援砲撃に向かった!我々だけで横浜基地にいるお客さんをぶち込め!」

《了解!!》

《A-01、反応炉に向かってる模様!》

部下の一人がこう報告した

「我々の任務はあくまでも基地の警備だ!反応炉はA-01に任せればいい」

《しかし…》

「これは命令だ!斯衛の衛士としての役目を全うすべきだ!!」

《了解…!》

横浜基地は元々BETAの巣窟―――横浜ハイヴだった場所だ

私はレールガンを捨てサブレッグの中にある突撃砲2つを構え電光石火のような速さで次々とBETAを葬っていく

「これ以上やらせはしない!」

ガガガガガガガガガ!

悠一も負けず2連装突撃砲で36mm弾を放つ

《一列に並べよ!クソBETA共ぉ!》

さらに左腕に装備してるロケットランチャーを撃ち込んだ!

この場にいる要撃級は全て殲滅

突撃級はA-01部隊のところに向かったがそこは月詠中尉達が阻止した

これで終わり……だった筈。次の瞬間

《スパルタン中隊応答せよ!当基地の制御室で涼宮中尉が反応炉を止めようとしてる最中であるが》

「何?どういう事だ!?」

反応炉を止める事を失敗したのか!?

A-01は何をやっている!?

《スパルタン中隊は早急に現場へ向かえ》

「CP!どういう事だ!?CP!」

嫌な予感がする……私は部下を率いりA-01部隊のところに向かうが、そこにいたのは白銀と速瀬中尉、臼杵が乗る不知火の3機だ

「スパルタン1よりA09b-01、聞こえるか!?」

《ッ!?》

《大倉大尉!?何故ここへ》

「手伝ってやる」

《いや、俺達だけで十分ですので大丈夫です》

と白銀は断りの言葉を放ったが、残念ながらそれは受け入れられない

「馬鹿者!ここは階級が上である私の命令に従うのが筋だ!」

指揮は恐らく香月副司令が執っているだろう―――――白銀は香月副司令と深く関わりがある

放ってはおけないな

「速瀬中尉、反応炉は誰が破壊するんだ?」

《え?はい。私が行こうと試みていますが…大尉?》

「いや、それだけ聞いたら十分だよ。香月副司令の命令だろ。ならば覚悟を決めて突っ込めよ――――裏社会は――――衛士界隈は食うか食われるかの世界だ。護衛たるものの兵士…それが衛士だ。私はそう解釈している」

私の言葉を聞いた白銀は少し戸惑ったが作り笑顔を浮かべる

速瀬中尉は誇らしげな笑みを見せた

《言われなくても分かっていますよ。白銀、行くわよ!》

《はい!》

白銀が自信がつき反応炉に向かおうとしたその時

《おい、制御室のモニターがおかしいぞ!》

白銀が狼狽の声が上がった

白銀の機体のモニター画面で映ってる制御室は画質が荒くノイズが酷い…一体何が起きているんだ?

そして香月副司令からの通信が入る。がこれもノイズが酷くて聞き取れない

《――α2……制御室が……繋が………大至…確……して……だい……》

次の刹那、モニター画面に映ってた制御室の様子の画像が突如消えデータリンクが途絶した

何だ今のは……!?

「(これは拙いな……)」

速瀬中尉は制御室に異変を感じた

《―――白銀ッ!制御室だッ!》

《――了解ッ!》

白銀機は制御室にいる涼宮中尉の様子を確認する

しかし、白銀が制御室の窓が血がべったりと付着した時点で…

《――ッ!》

《ッ!》

「……間に合わなかったか(クソ!またあの時の光景を見る事になるのか!)」

《だからと言って制御室を破壊するのは愚策だぜ?》

悠一は難しい表情でこう言った

《――す…涼宮中尉……!!》

涼宮中尉の死を悟った速瀬中尉は嘆いた

《は…る……か……ッ!!》

―――ッ!!

絶望、恐怖、狂気、喪失

白銀はそれに襲われていた

冷静を欠け制御室を破壊しようとするが、私は制止する

「やめろ!制御室は破壊出来ない」

《…止めないでください!大倉大尉、中尉が…涼宮中尉が彼奴等にやられたんですよ!》

感情を爆発し悲しみに浸ってるが、私は突撃砲2つをサブレッグに収納しマニピュレーターで白銀機を殴る

「ふざけるなぁぁぁぁぁ!」

ボガァ

《ぐ…!》

「想いを託されたなら涼宮中尉が貴様を助けて良かったと思えるように、任侠に生きるのが貴様にできる唯一の事だろうが!!」

私は白銀に喝を入れた

《…う…はい……すみませんでした…命を懸けて人類を救って見せます》

「よく言った」

そして、サブレッグに収納した突撃砲2つを握り構え直す

《―――90…格納庫に……A……侵…ッ!!α1交戦……!!》

90番格納庫………月詠中尉がいるところだ

彼女達は無事に帰って来るだろう

ここでデータリンク障害、外部からの通信は出来ない

臼杵はポツリと呟く

《BETAがここに襲撃してきた理由…分かった気がします》

今更ながら、臼杵は理解していた

《反応炉はBETAの司令塔…佐渡島ハイヴにあった頭脳級と呼ばれるBETAもそれに該当してると思います》

彼女の口からは嘘偽りはないようだ

制御室に繋げようと試みた速瀬中尉はこう言った

《大倉大尉、制御室に繋ごうと試みましたがダメでした》

まさか――司令部も棟内に侵入したBETAだって言うのか?

これは流石に幾ら何でも早過ぎる―――モニターを見る限り横浜基地のメインシャフト上層の中継器がやられている

ここから第五隔壁までは未だに交信有効圏…それ以外はアウトか。

では有線なら繋げられるのか?と言えば…

白銀と速瀬中尉の会話を盗聴した私達だが、やってみる価値がありそうだ

速瀬中尉は早速有線で情報端末塔を接続した

すると…通信が回復し、香月副司令から回線を繋いだ

《――あんた達何やってたのよ!?遅いじゃない!》

《――すみません!どうやら中継器が破壊されたようです――現在有線で繋いでいます!》

《――先生ッ!α1はッ!?》

《――格納庫は無線も有線もそっち以上のダメージよ。通信からネットワークまで全てダウンしているの》

90番格納庫はやられたのか!?

しかし、月詠中尉の事だ。そう易々とやられる訳がない

《――ッ!?》

《―――ッ!じゃあ、今どんな状態か全く分からないって事ですか!?》

どんな状態になってるか何も分からないという事か

………。

《ええ、B29フロア以下のネットワークは死んでいるのよ。辛うじてモニター出来ているのは、メインシャフト坑内だけ》

香月副司令は冷静な判断で表情を失う事なくこう言った

ここまで侵入されるとはな………。

《では、90番格納庫は―――》

《――ムアコック・レヒテ機関におびき寄せられて敵がどんどん流入している筈だから、とんでもない事になっているのは確かね》

白銀は悔やんでいた

止めようにも遠隔操作は出来ない。と

香月副司令は語り続ける

《このままでは全てを失ってしまう――どんな手を使っても良いから、とにかく反応炉を止めるのよ!》

《――制御室は敵に制圧されています。制御系を戦術機に直結する事は出来ませんか!?》

《設計上無理ね。―――手っ取り早く反応炉の一部を破壊しなさい》

《――!》

《――ッ!》

《今から反応炉の構造データを転送するから、最小限の破壊で――》

香月副司令が次に語ろうとした途端、突如有線が切れた

《――HQッ!?応答せよHQッ!?―――くッ!!棟内の配線までやられたのかッ!》

これで完全に通信もデータリンクは途絶した

――――BETA共が!

そして速瀬中尉はとんでもない事を言い放った

《―――こうなればS-11使うしかありません。大倉大尉》

彼女の問いを聞いた私はこう答える

「反応炉破壊を名目として戦術核に匹敵する破壊力を持つ高性能爆弾か……窮地に陥っている状況だ。やむを得ないな」

《構造データが手元にない以上、ダメージを最小限まで食い止めるなんてやってられません》

それはいいとして、下手に反応炉を止めたら90番格納庫に全てのBETAが殺到してしまう

「そんな事したら貴様は――」

《分かっています。今から手順を説明します》

速瀬中尉はS-11に反応炉を突っ込む手順を丁寧に教えた

《まずS-11を反応炉にセット―――メインシャフトの隔壁を直接制御で開放して、BETAを反応炉に誘導します。たんまり入った頃合いに隔壁を閉鎖して、S-11を爆破。奴等が餓死するまでの時間を稼ぐ―――これが反応炉を破壊する方法の一つです》

成る程、要するに自己犠牲してまで反応炉を……

いや、S-11は元から反応炉を破壊するために作られた高性能爆弾だ。

これに賭けるしかないか

しかし白銀はこれを聞いて反論する

《――ちょっと待ってください!反応炉ブロックの隔壁破られているじゃないですか?!》

《最終リフトの第1、4隔壁が、トラブルのおかげで無傷なのよ。それを手動で閉鎖するのよ》

《なるほど――じゃあ90番格納庫は…ムアコック・レヒテ機関の停止はどうするんですか!?通信が使えないのに――》

すると速瀬中尉は真剣な表情でこう言った

《―――白銀、あんたが格納庫に戻るのよ》

《―――えッ!?》

「速瀬中尉…貴様…(自らの命を投げ出してまでA-01の衛士達を――横浜基地にいる人間を守ろうとしてるんだな)」

《ムアコック・レヒテ機関の停止は、あんたが直接α1に伝令するのよ》

速瀬中尉がたった一人でBETAを―――――!

都も自分の命を捨てる覚悟でたった一人でBETAに立ち向かった。

彼女は―――速瀬水月という国連軍の衛士は坂崎都という名の英雄を尊敬し始めていた

《大倉大尉、聞いての通りです―――爆破作業は私一人で行きます!白銀、あんたはムアコック・レヒテ機関を止めさせたら、そのまま格納庫で凄乃皇に守りなさい》

凄乃皇・弐型の予備機があったんだな――――当然だが

そして速瀬中尉はにやけた笑みで白銀にこう言い放った

《ああそうそう、あんたのS-11は置いていくのよ?》

妙な胸騒ぎがする―――気のせいか

《爆弾を下ろした分機体が軽くなれば、お得意の変則機動も更に冴えるでしょ!?》

《まさか……中尉……》

白銀の変則機動とやらの戦術は見たことはない

速瀬中尉が評価してるという事はそれなりの戦闘力があるという訳か。

成る程、これは使える………と思う。

あの時の……伊隅大尉のように世間一般的に死んだら帰る場所はない

《―――?》

《いや、何でもありません》

《……白銀》

《はい》

《考え過ぎよ……。私がそんな事する訳ない》

《えっ……?》

《あんたはすぐ顔に出るから、分かりやすいのよ》

《す、すみません》

どうやら白銀は速瀬中尉がこの後どうなるか考え過ぎていた

《私は大尉にヴァルキリーズを任されたのよ?》

《はい………》

そう、速瀬中尉は実質上、伊隅大尉の後任となった女性だ

伊隅大尉の意思を引き継いで……本人は実は生きてると知らないまま――――。

だが、彼女は最後まで戦おうと決意した

止める術は―――――ない。

「速瀬中尉、反応炉の爆破作業は貴様に一任する。それ以上でもそれ以下でもない」

《ふっ、話を理解して助かるわ…白銀、さっさとS-11に下ろしに行く。いいわね?》

《了解》

反応炉は速瀬中尉に任せて、私達と白銀は90番格納庫に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

90番格納庫に到着した我々、スパルタン中隊はその光景を見たとき、とんでもない事になっていた

「BETAの数が多過ぎる…(武御雷の性能を活かしていくには近接戦しかないか)」

00サブレッグのサブレッグを取り外し、短刀を取り出そうとするが部下の一人が長刀を私に渡した

《大尉、お受け取りを!》

「感謝する(難のある機体だ―――それを扱えるか正直不安と言いたいが、慣れるまでやるしかないな)」

そう思いつつ受け取り長刀を握り構える

サブレッグを取り外したらただの武御雷だ。

機体は軽くなった。速く動ける

「月詠中尉達がここにいるんだ。全機援護射撃に入れぇぇぇッ!!」

次の瞬間、この場にいるA-01部隊の不知火を遮り月詠中尉が乗ってる武御雷に近づき援護する形で目の前にいる戦車級を切り裂いた

「邪魔だ」

もう一体

ザンッ

「日本の土地を荒らすな。馬鹿者」

要撃級が此方に近づいてくるが私の部下達や月詠中尉の働きにより次々と殲滅していく

白銀機がA-01部隊に援護

撃ちまくる

更に撃ちまくる!

躱す

躱す

躱す

更に躱す

白銀機の動きはまさに曲芸師

常軌を逸脱した動きと言っても過言ではない

突撃級、要撃級も撃破

白銀武………やはりただの訓練兵。いや普通の衛士ではない。

「白銀に負けるな!我々も行くぞ!」

《中隊長!補給と弾薬が…》

「馬鹿!補給は後で済むことだ!」

私は部下の言葉を遮り、突撃級に突っ込みつつ長刀で袈裟斬りした

「溝の臭いがするのよ―――――この外道が!」

ザンッ!

要撃級を一体切り捨てた次の瞬間

機動要塞の一つが戦車級に取り付かれた!

あれは凄乃皇……いや形は少し違うが、その隣は弐型か。

やはり予備機があったんだな……。

だが鑑賞してる暇はない

一刻も早く全部倒さないと――――私は単機で凄乃皇に取り付いてる戦車級を払いのけようと試みる……筈だった

「くっ!推進剤が切れた!」

推進剤の燃料がなくなってしまった。

クソ!ここでやられるのか……!?

次の瞬間、私の部下達が乗る黒い武御雷が守りを固め援護射撃

そして悠一が乗る00フルアーマーはロケットランチャーを目の前にいる戦車級数体に向け射出した

白銀少尉達の活躍で横浜基地に侵入したBETAを全て殲滅した後、私達スパルタン中隊は戦線離脱していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後に分かった事だが、反応炉を破壊した速瀬中尉は戦死、風間少尉、宗像中尉、涼宮少尉は重傷を負い戦線離脱

恭子様から与えた任務を全うし私と悠一、早乙女少尉は帝国軍に復帰

それと同時にスパルタン中隊は月詠中尉が後を引き継ぐ形で存続

私は練馬駐屯地に待機してる伊隅大尉に速瀬中尉の死を伝えた

「そうか……速瀬も逝ったんだな」

「……」

かける言葉がなかった

大事な戦友を喪ったんだ―――――無理もない。

このBETA大戦…世界各国に蔓延るBETAがこの世から全て殲滅するまで終わらない

それと同時にテログループ討伐を目的とした作戦『サンダーボルト作戦』は始まったばかりであり、序章と過ぎなかった

そして、オリジナルハイヴ攻略作戦である桜花作戦が始まろうとしていた




いつも作品見て頂きありがとうございます
そして本編の執筆を疎かにして申し訳ありません。
今回は第4部テログループ編の序章として横浜基地防衛戦です。
当然ながらマブラヴSFのシナリオの一部を参考にして書きました。
7ヶ月半…本編より外伝の方を専念し過ぎて書いたからすっかり忘れてました(-_-;)
マブラヴ:ディメンションズプレイして熱中してたらベアトリクスを完凸!
リリースから1ヶ月迎える前に達成しました(笑)
次回は桜花作戦開始前の話になります。
この作品を…トータルイクリプスサンダーボルトや他の作品、Pixivで投稿した作品を読んで頂けた全ての方々に感謝しつつ、今回はここで筆を置かせて頂きます
ではまた
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