悠一Side
《ムーア2、前へ出過ぎだ!周りをよく見ろ》
「分かってる!」
俺は鈴乃の注意に応答し、陸地を目指し速度を上げ飛行
カシュガルハイヴの攻略には、国連が主体となって行う。そのことから察するに、白銀が先頭に立ち凄乃皇で戦友と共に立ち向かうだろうな。
となれば俺達は白銀達のところへ援護しに行く必要性はない。彼奴なら必ずやってくれる。
《ムーア1より、全機戦闘態勢!これより中国大陸への上陸を行う!》
中隊それぞれの機体が兵装を準備し、いざ中国大陸へ上陸―――陸地へ脚部が接触した途端に、モニターを通して眼下に広がるBETA達が一斉にこちらを向く。
俺達人類のような編隊など組まず、ただ殺戮するように戦う。それが自分達の敵。
……光線級がうじゃうじゃとレーザーぶっ放してくるが生憎構ってる時間はない
《光線属種は全て殲滅しろ!我々の作戦の妨げとなる!》
俺含め中隊に属する衛士は『了解!!』と一言を添えた。
号令と同時に、耳を塞ぐ程の砲撃が鳴り響く。12機が所持している突撃砲から発射された120mm弾が、光線級、要撃級や戦車級の肉を削ぎ落としていく。
そして俺は機器にガムテープで固定しているカセットレコーダーの再生ボタンを押しジャズを垂らし流す
久々のジャズだぜ。
「おぉっ!次々と殲滅してやらあ」
興奮が止まらねえ!
《死に晒せえ!BETA共があぁああッ!!》
早乙女の雄叫びが聞こえ、共に戦っていることを実感し、不思議な安心感を覚える。
撃震でよく戦ってる。肚を括っているとしか言えない。
《前方11時の方角、突撃級梯団狙えるか!?》
《やってますよ!》
地球が揺れるような――とは少しオーバーな表現だが、そのように感じさせる地響きを起こしながらこちらへ向かって進軍してくる突撃級。
紅林の不知火が突撃級一体に突っ込む
《紅林!無茶だ!》
そして次の瞬間
ボガァアアア
突撃級の硬質な外殻がヒビが割れ倒した
マニピュレーターだけでBETA倒すなんて普通では絶対に出来ないぜ!
《紅林……》
《えぇぇ…マニピュレーターで》
《やはり普通ではないな》
鈴乃、早乙女、鬼頭は驚きの声があがる。
そりゃそうだろうがよ……。
この光景を見た兵士級や戦車級数体はドン引きした形で引き下がる
「ムーア1、今の攻撃で敵軍の体勢に穴が空いたぞ!」
《よおし!中隊各機、私へ続けぇぇぇぇッ!!》
鈴乃の号令でムーア中隊が進軍を開始
《紅林、マニピュレーターを乱暴に扱うな!壊れるぞ》
《了解!》
止まらない敵の行進。要撃級1体がその巨腕を紅林機に向け振り上げるが…紅林は咄嗟に反応しマニピュレーターで殴った
《!―――――そうはさせるか!侵略者が!!》
ボガァァッ
「――俺達に近寄んじゃねぇ!!!」
俺の94フルアーマーは二連装突撃砲で36mm弾を放つ!
――――暫く戦闘が続き、交代制で補給を行うムーア中隊
設置されたコンテナから弾薬や、予備の長刀を調達する。
《――ムーア1より 各機、作戦は予定通り進行中だ。進行ラインにはBETAを1匹残らず狩り尽くせ!特にカシュガルにいる衛士達の事も気掛かりだがタシュクルガンにいる部隊も今頃連中と戦闘している最中だろう》
今更元の世界に戻りたいなんて毛頭ない。
俺とダリルは既に”死んでいる”からだ。
仮にこの世界で戦い続ける人を置いて自分は去るなんて以ての外だ。
《――悠一、次の補給貴様の番だ》
俺は物事を深く考え過ぎだったと、はっと我に返る。
「了解したぜ」
94フルアーマー、94サブレッグ、94ブルG
この3機は佐渡島同胞団の象徴の一部と言って過言ではない。
それにしても疲れたな……少し休むか
カセットレコーダーの停止ボタンを押し音楽を止め管制ユニットの中で寝ようとしたその時、鈴乃は俺に声かける
《悠一、疲れたのね》
「……ああ、戦闘の連続だからな」
お前と出会って共に戦えた事は正直嬉しい気分だ。鈴乃
本当に愛してるよ―――――と言いたいが恭子がそれを聞いたら嫉妬するだろうな。
一夫多妻制で複数の女性と愛を添い遂げて暮らすのもあるが、残念ながらそれは出来ない。
やっぱり怖い。怖いんだ――でも、皆同じなんだ。鈴乃だって…優しい笑みでこう言っているが本当は怖いんだ。
深呼吸し心を落ち着かせる。目を閉じ、恭子との約束を思い出しながら考える。守りたいものを全て守る。
それが俺の望みだ。
通信に多少のノイズがかかる。恐らく、これから全部隊への無線の前触れだろう。
モニターに指を伸ばした瞬間、突如通信が入る。
《クローディアだ。――作戦執行中の全部隊へ告ぐ!これよりタシュクルガンへの上空からの襲撃を行う!繰り返す、上空からの攻撃を開始する!》
クローディアからの通信が終わると同時、何の音だか…空から何かが落ちてくる感覚。
強烈な耳鳴り。爆音によってそうなったのは確実である。
今までにない経験で、心の底からドキドキしてしまう。
舞い散る土埃に紛れ、BETAの体液や肉塊が飛び散り上を見ると、パラシュート降下する戦車が何台も降下していく。
「!―――――此奴は」
空から落下してきたその戦車は
「61式戦車!?去年、退役したばかりの代物が何故こんな戦場に」
61式戦車だった。
帝国陸軍の戦車連隊の攻撃により、二手に分かれてタシュクルガン基地とカシュガルハイヴに侵入したのち制圧を行う手筈だ。
物凄く心配だ――――あの戦車連隊は使い捨ての駒か。気の毒だぜ
今は自分の役割を果たす事が使命だ。他人に気にしてる暇はない。
《……ムーア1より各機、この場にいるBETAは中国大陸へ進入した戦車連隊に任せて、このままタシュクルガン基地へ向かい攻撃によって基地の無力化を行う!》
鈴乃の号令により早急に動き出した。
予想外の展開に驚愕する。より一層、心臓がバクバクと動き始めた。
リーア中隊も戦車連隊の援護を行う
《ここは我々が引き受けます!大倉大尉はタシュクルガンへ!》
《了解した。生き延びたら酒でも飲もう》
《ええ、是非一杯付き合ってください》
ムーア中隊はこの場にいるBETA群をリーア中隊に任せ、そのままタシュクルガン基地へ飛び向かう。
だが、そう簡単にはいかなかった
光線級や重光線級が94サブレッグに向けレーザーを照射する。
拙い、当てられる!
「外野は引っ込んでろ!」
俺は機体をバレルロール飛行して、容易く躱しつつ二連装突撃砲で36mm弾を放った。
《すまない、悠一》
「いいって事よ!まだ来るぞ」
何度もレーザーを撃ってくる敵に、多少イラつきながら操縦桿を握りトリガーに指を置く。
120mm弾を発射し、撃破しようとするが突如光線級は向きを変える。放たれた光線級のレーザーが俺を狙い定める。
「!(しまった!)」
回避が間に合わないのではないか、そう思ってしまったその時。
リーア中隊の撃震1機が現れ俺達を庇うように立ち塞がる。
突発的な戦闘はこれ以上したら補給と弾薬が切れてしまう
すまねえ、ここは任せたぞ。
BETA群から数キロ離れた直後、接近してくる戦術機が現れる
《中隊長!接近する機影あり!》
《早乙女、数は!?》
《中隊規模の数です…機種は、識別データ確認!チボラシュカ――――雄武同盟の戦術機と思われます!》
さあ、始まるぞ…。
鈴乃は雄武同盟の連中に警告メッセージを放った
《此方は、日本帝国佐渡島同胞団ムーア中隊の大倉鈴乃大尉だ。接近中の雄武同盟機に告ぐ!直ちに戦闘行為を停止せよ。従わない場合は理由を如何を問わず、人類への敵対行為を見做し撃墜する。繰り返す。直ちに戦闘行為を停止しろ》
それに対し連中が返した答えはブーメラン発言だった
《尊師様を侮辱しているのか?我々を敵回したら人類の敵と見做すぞ!それを理解して…》
《……貴様らの行為はテロリストと同類だ。直ちに戦闘行為を停止しろ》
鈴乃は怒りを爆発する寸前だ。何かヤバい
《尊師様の教えを世界に広める身……お前達に従うと思ってるのか仏敵が》
雄武同盟のリーダー格の衛士は投降を拒否
そりゃあそうだよな…
鈴乃は奴等に対しこう言い返す
《雄武同盟に告ぐ。尊師などクソくらえ。繰り返す尊師などクソくらえ》
《何だと?》
先にスタートを切ったのは鈴乃だ
《尻尾を巻いて逃げた貴様等が今更許される訳がないだろ!》
《は、はや!》
一気に距離を詰めレールガンで連中の機体1機を撃墜した
《ぐあぁぁっ》
その光景を見た連中は俺達を襲い掛かり120mm弾を放つ
《仏敵退散!》
鈴乃は砲撃の合図を送る
《総員砲撃開始!無駄に弾使うなよ》
ムーア中隊全機一斉砲撃!
一切外すことなく次々と撃破していく
《がぁあああ》
《そ、尊師様万歳ぃいいいいい!》
奴等の断末魔が響き渡る
残ったのはリーダー格の衛士だけだ。
《ひぃぃっ!全滅だと!?》
そぉら、奴さん表情が変わったぞ
次の瞬間、鈴乃は奴の機体を一気に詰めてレールガンを管制ユニットに突きつける
《テオドール・エーベルバッハは何処にいる!?》
鈴乃がそう問いかけると奴はビビったか正直に答える
《テオドール…?マスターの事を言ってるのか?》
《嘘を吐いたらこの場で殺す》
《マスターはタシュクルガン基地にはいない!プライベートジェット機で低飛行で去ったんだ!ほ、本当だ!》
奴はテロリストの一人だ。そして宗教の一信者だ。
雄武同盟は既に切り捨てられた……テオドールの事だ。彼奴ならやるだろう
《もう一つ質問する…チボラシュカツヴァイ製造工場の在り処を教えろ》
鈴乃は再度問いかける
奴はあっさりと答えた。
《タシュクルガン基地の地下格納庫だ。……マスターは基地を去る前に32機詰め込むのは無理だからアンテーイ6機で2機ずつ輸送しろと命令が下った。目的地は分からない。本当だ。信じてくれ!》
奴の問いを聞いた鈴乃はレールガンを下ろした
《……一応信じよう。但し、貴様も来て貰うぞ。人質としてだ》
鈴乃がそう決断した次の瞬間!
ガガガガガガガ
《うがあああ!》
奴の機体は爆発。あっけなく死んだ。
どこから撃って来たんだ!?
俺は辺りを見渡すと、そこには戦車連隊の援護していたリーア中隊の撃震12機が現れた
奴を葬ったのはリーア中隊の中隊長だ。当然、誰一人も生かしておく訳にはいかなかっただろう
《遅れて申し訳ありません大倉大尉》
《!――――何故撃った!?基地の内部を聞こうとしたんだぞ》
《雄武はテオドールの傀儡です。貴女もそれをお分かりでしょう》
《だからと言って……単に殺す必要はなかった!貴様は…》
2人が揉め事になりそうだったその時、早乙女が割り込む
《大尉、ここで揉め事起こしても何も意味ありません。それに基地はもうすぐ着きますしチボラシュカツヴァイ製造工場は地下格納庫の中にあると情報を入手しました》
鈴乃は早乙女の言葉を聞いて察した。
《………他の連中も基地の防衛で精一杯だろう。迷ってる場合じゃない。急いで基地に向かって襲撃を仕掛けるぞ!》
鈴乃はリーア中隊と共にタシュクルガン基地へと飛び向かう。
そして補給ポイントを一つ一つ通い推進剤を補給しつつ、数時間かけて雄武同盟の拠点であるタシュクルガン基地に辿り着いた時だった。
《私が先に入るから少し待機してくれ》
中隊一同はコールサインで「了解!」と一言を添えた。
すると鈴乃は堂々と正面から入る
基地防衛してる雄武同盟のチボラシュカ12機とバラライカ5機が次々と襲い掛かったその時、凄まじい速さでレールガンを2発放つ
《何だ貴様は…!ぐべぇ》
《た、隊長!…ぐわば!》
次の瞬間、鈴乃の号令で俺の94フルアーマーと早乙女の撃震、駒木の94ブルG、紅林、鬼頭、多恵の不知火が奴等に120mm弾の雨を降り注ぐ
「さっさと落ちやがれ!外道が」
ガガガガガガ
《がば!》
《ごべぇ!》
《だ、誰か!救援を!……たぎゃ!》
《へげえっ!》
《仏敵、ぶっ…てきゃああああ》
その全てが正確無比、その場にいたチボラシュカやバラライカを1機ずつ管制ユニットを撃ち抜いた。
残すところは残党を率いる教祖だけだ。
そして奥へ進むと…戦術機4機しか収納スペースしかない扉が開放している巨大エレベーターがあった
《エレベーター?地下に通じてるのか》
「随分と静かだな…俺が先に行く」
《リーア中隊はこの場で警戒。紅林、駒木は私についてこい。他の者はリーア中隊と同じく警戒せよ》
94フルアーマー、94サブレッグ、94ブルG、不知火は巨大エレベーターに乗り込む
地下に降りた俺と鈴乃、紅林、駒木は警戒しつつ格納庫へと入る
その中にあったのは
《3人共、止まれ!何かあるぞ》
鈴乃が見たのは―――20機収納されてるチボラシュカツヴァイだった。
《これは本来、ウルスラ革命の時に当時の整備兵が鹵獲したチボラシュカを改修した機体だ》
「戦地改修型か……流石に俺でも知ってる。…にしても、こんな数で製造して何やらかす気なんだ?」
《グウウ…あのクソ野郎…これを利用して人類全体を滅ぼそうと目論んでいるのか?》
《紅林君落ち着いて。貴方が言う気持ちは理解している》
《駒木中尉……分かっています。でも許されないんですよ》
紅林が怒る気持ちは分かる。だが、感情流して戦ったら死ぬだけだぜ。
テオドールが当時乗ってた戦術機だ。ベアトリクスが乗ってたアリゲートルを追い込んだのも納得できる。
《――――――中隊長!1機足りません!》
《何だと!?》
駒木は空白の収納スペースがある事を気付いた
鈴乃は煙そうな表情を浮かべる
《12機はアンテーイに詰め込んで何処かに輸送したから20機ある筈…まさか!》
次の瞬間、チボラシュカツヴァイ1機が鈴乃機に向け36mm弾を放つ!
鈴乃は目線で放たれた36mm弾を躱した。
《!》
チボラシュカツヴァイに乗ってる衛士の声が俺達に話しかける
《ここから先は通さないよ》
その声は、既に死んだ筈のリィズ・ホーエンシュタインとそっくりだった。
「何がどうなってやがる!?」
俺は困惑した。
まさか”リィズ・ホーエンシュタイン”と戦えるとは、光栄だね。
鈴乃は表情を凍り付き何も言えない。
駒木は奴に問いだす
《雄武同盟の教祖は何処にいる!?》
それに対し悪魔の笑みを浮かべた彼女が返した答えはこうだった
《もう既に始末したわ。一足遅かったわね》
《!?》
《信じられないなら確かめたらどうかしら?》
そう言われ、画面を拡大するとそこには両手を縄で縛られ口に猿轡を咥えた全裸になった教祖の遺体が格納庫の床に転がり込んでいた。
《中隊長!雄武の教祖の遺体を確認しました!》
《こんなにあっさりと……これは貴様がやったのか?》
鈴乃は彼女を追求するが、答えは同じだった
《ええ、私がやったわ》
鈴乃は何も言えなかった。
他の信者たちは捨て駒だろう。
駒木は怒りを表す
《貴様は何者だ?》
《……私は、リィズツヴァイ――――リィズ・ホーエンシュタインの遺伝子から生み出したクローンよ》
やはりクローンだったか!
道理で顔立ちがそっくりな訳だ。
もう意味分かんねえよ!!
《ふふ、元はと言えばあの男が元凶だったのよ。ハインツ・アクスマンはリィズ・ホーエンシュタインの人生を滅茶苦茶にした!父母含めてお兄ちゃんも!あの男がいなければ…あの男がリィズと関わってなかったら私は生まれなかったのよ!》
リィズツヴァイは俺達に涙ぐんで訴えた
「……ハインツ・アクスマンか。確かに彼がやった事は絶対に許されない。生きる価値がない外道だ――――でもお前はお前自身だ!命は一つしかねえんだよ!!」
《…何なら私のこの体も好きにしていい。誰でも満足させられる自信もあるわ》
色目を使って俺に言い放った。
戦闘中にハニートラップ仕掛けるつもりか?とんでもねえ奴だな。
「………馬鹿にするのも程々にしろ。本気でブチ切れるぞ」
久々にブチ切れそうだ……馬鹿にするのも程があるだろ!
今更だが、目の前にいる奴は”リィズ・ホーエンシュタイン”ではない。顔や容姿だけ似てる別人だ。
俺はカセットレコーダーの再生ボタンを押しジャズを流す
そして奴に思いついた言葉を放った
「……ジャズが聞こえるか偽物野郎!今からお前を殺す」
その言葉を聞いたリィズツヴァイは嘲り笑う
《ふふ、出来るものなら―――――やってみなさいよ》
次の瞬間、リィズツヴァイが乗るチボラシュカツヴァイは一気に距離を詰め94フルアーマーに120mm弾を乱射
俺はサブアームに保持してる追加装甲2枚で放たれた弾を防ぐ!
「(一気に距離を詰められたか……)」
俺はバックステップでチボラシュカツヴァイに向け2連装突撃砲で36mm弾を放つ
「落ちろ!」
リィズツヴァイはそれを回避。続けて36mm弾を放った
《単純過ぎる射撃……それに耳障りな音楽何なの!》
ジャズ音楽を雑音と感じたか。癪に障るぜ
追い込んでやる!
次の刹那、俺はロケットランチャーでチボラシュカツヴァイに目掛けて放出!
タイミングを狙って管制ユニットに当たる直前に点火
奴も回避しようとするが間に合わなかった。
《!!》
その衝撃でチボラシュカツヴァイは後ろに倒れ、起動停止する
奴はこれ以上の戦闘は無理だと判断し、機体から脱出
硝煙の影響で俺は奴を見失った
「く…!仕留め損ねた。鈴乃!」
《今は放っておけ。我々の目的は既に果たした――――SW115地点に向かうぞ》
雄武同盟の教祖が死亡した事で目的は果たした。そして、SW115に向かおうとしたが…突如、警報が鳴る。
CODE:991だ。
こんな時にBETA共が来たのかよ。だがこれは想定の範囲内だ。
リーア中隊と共に待機してる一人である早乙女から無線を繋がれた
《コード991発生!中隊長!BETAが…BETAが基地の中に…!》
ともかく今はここから早く脱出しなければ!
《エレベーターは使えないな。他の出口を探してみる》
《了解しました。大尉》
《何だ?》
《生きて帰ってきてください。その時はみんなで祝杯を!》
早乙女の言う通りだな…俺達はこんなクソッタレな戦場で死ぬわけにはいかない!
鈴乃率いるムーア中隊は地上に繋がる裏口に入り何とか脱出した。
良平Side
東欧州社会主義同盟占領下佐渡島
新佐渡基地(佐渡島ハイヴ跡地)
俺はベアトリクスに呼び出され、1人で格納庫に来ていた。
「不知火の再生……ですか?」
「作戦計画21終了後、旧佐渡基地跡地で日本帝国軍と思われる不知火を手に入れた。私は数々のコネクションを利用してまで”不知火”の再生を極秘裏で進めていた」
!?
「貴方のサイコアリゲートルは戦場で充分発揮出来るほど文句は一つもない。――――けど、戦術機は世代を超えて進化し続けている。サイコアリゲートルの基になったアリゲートルは第二世代機よ。第三世代と相手するのがやっとだわ」
つまりその機体を不知火の皮を被せるという事か。
何の為に?
「エーベルバッハが率いるテログループを殲滅する為に地道に近代化改修する必要性がある。そうでなければBETAは消滅しないわ」
ベアトリクスは不敵な笑みを浮かべこう言った。
「我々は桜花作戦に不参加の筈では……何をお考えで」
俺は疑問を投げかけた
それに対しベアトリクスは即答する
「敵中突破よ」
「え?」
「既に解体した凄乃皇弐型を改修する形で組み立て機体をドッキングしカシュガルまで赴き戦線介入する―――――素晴らしいと思わない?」
なんとカシュガルハイヴまで赴き戦線介入しようと目論んでいた
彼奴も桜花作戦に参加してる筈だ………そう簡単には死なないだろう。
挑戦的な表情を浮かんだベアトリクスは鹵獲した不知火を目線で見る
機体の損傷は跳躍ユニット以外殆ど見受けられない
「自分もカシュガルハイヴで満足できるような戦闘したいです。それも可能な限り、最高のスペックで」
手伝い程度ならサイコアリゲートルも役に立てる。
不知火の皮を被せるのはリスクあるが、彼女の前では出来ませんとは言えない。やるしかないんだ。
俺は了承の言葉を放とうとしたその時、ファムとシルヴィアが俺に異論を唱えた
「ダリル君、考え直して!貴方と不知火の深い因縁は私達も十分知ってる。何もわざわざ…」
「敵中突破の為に不知火の皮をサイコアリゲートルに被せるなんて何を考えてるのよ?」
言い分は分かるが、使命の為には強力な武器がいる
俺は清々しい表情で2人に反論する
「使命の為には強力な武器がいる。サイコアリゲートルに不知火の装甲が加われば最強の戦術機になるよ。だけどそれだけじゃまだ足りないんだ。BETAをこの世から抹消するにはもっと圧倒的な戦力が今の僕には必要になる」
そうだ……やるしかないんだ。早く、早くBETAを倒さないと
そして憎きテオドール・エーベルバッハも、纏めて潰してやる!
「本当にいいのか?ダリル少尉」
「ああ…」
二コラは察し整備兵総動員でサイコアリゲートルの装甲を不知火の装甲に換装する作業を開始した
「整備兵!換装作業開始!アリゲートルの装甲を外せ!手の空いてる者は全員でかかれ!」
胴体以外に装甲は勿論だが既存の部品をほぼ全て不知火の部品に換装した
《回路接続!不知火の装甲パーツと跳躍ユニット同調!》
「ありがとうサイコアリゲートル――――また会おうな」
《リユース・ベアトリクス・デバイスのシステムチェック!ジョイントパーツ確認よし!関節駆動域干渉チェックよし!各装甲パーツ接続開始!》
――――――――――。
《装甲強度200%増加!背部兵装担架接続!跳躍ユニット反応速度30%アップ!94パーフェクト、ロールアウト!》
グポン!
94パーフェクトと凄乃皇弐型を改修した機動要塞イング・ブロが誕生した事がきっかけで桜花作戦介入により急展開を迎える事になる
まどかSide
タシュクルガン基地の巨大エレベーターの前に待機してる私含めリーア中隊などの他の衛士達は大倉大尉の命令が下るまで待機していたが、突如戦車級約300体が基地の中へと入り込み私達に襲い掛かった
弾薬や補給はあと僅か……とてもじゃないがカシュガルハイヴまで辿り着きそうもない
突発的な戦闘で私達は混乱したが、弱音は吐いていられない
「…(ここで戦闘しながら待機しても犬死になるだけ…やらなきゃやられる!)」
私は独断で鬼頭少尉、”豊洲”少尉にこう告げた
「鬼頭少尉!”豊洲”少尉、脱出しましょう!ここは危険です!」
《早乙女――――分かった。生きて帰らねば家族や友人に会えないからな》
鬼頭少尉と”豊洲”少尉は察してまだ戦闘続行しているリーア中隊を放置し脱出しようとしたが、リーア中隊の中隊長に制止される
《何処へ行くつもりだ!まだBETA共がいるんだぞ》
「ここで続行したらやられるだけです」
《ふざけるな!俺達を放って置くつもりか》
「…」
独断専行で脱出を諦めかけたその時
《聞こえるか!基地から脱出し撤退しろ!これ以上の戦闘は無理だ》
「大倉大尉!」
大倉大尉からの通信で撤退命令が下った。
《リーア中隊も撤退しろ!BETAの餌になりたいのか?》
《りょ、了解!》
ここで漸くリーア中隊も撤退し始める。そして同時に私達も基地から脱出した。
しかし、現実は映画やドラマ、アニメのような展開はなかった。
次の瞬間、兵士級じみた地肌にケバケバしい色の生体装甲を纏った怪物が、逆関節の脚で地を蹴って跳躍しながら突進してくる。
これは…戦術機級だ!
それに続き、兵士級、戦車級、要撃級、光線級、重光線級……最悪な事に要塞級10体が私達の前に現れた
《ひぃ!要塞級だ!》
《こんなに……弾薬が持たねえぞ!》
ここで大倉大尉達が援護に来た
《早乙女、鬼頭、”豊洲”!無事か!》
「はい、此方は問題ありません!」
《まだ余裕があります》
《い、異常ありません!》
この状況下になっても、大倉大尉は驚かなかった。
作戦開始直前にクローディア中佐からカシュガルハイヴは勿論、タシュクルガンに戦術機級や要塞級が出現する可能性が高い、と聞かされていた為である。
豊臣少尉の94フルアーマー、大倉大尉の94サブレッグを援護していた紅林少尉の不知火や駒木中尉の94ブルGが36mm弾で迎撃したが、戦術機級は突撃級の外殻じみた盾でその全てを防いでしまう。
それを見ていた大倉大尉は、自機を前に押し出しレールガンを構え射撃した。
《プレゼント攻撃だ!》
戦術機級を一瞬で撃破
駒木中尉は斬りかかって来た戦術機級の刃を半身になって躱すと、右腕部に持ってる長刀で生体装甲に覆われた胸部を刺し貫いた。それを引き抜きながら右主腕を振り回し、生体長剣を振りかぶった戦術機級の頭部を切断する。
そして駒木中尉は網膜に投影される戦況図を眺めていた。乱戦の中で、彼女の機体――94ブルGは左腕部に装備してる二連装突撃砲で36mm弾を要塞級一体に向け撃ち放つ
SW115地点に辿り着くことは無理に等しい。
他の部隊は?カシュガルで戦ってる衛士達が気にかかるが、そうも言ってられない
《ムーア1から各機、ムーア中隊及びリーア中隊はカシュガルハイヴに向かうのは無理だ。よってここで消耗戦を行う!覚悟は出来てるな?》
大倉大尉の言葉を聞いて、皆は察した。
私達は兵士級や戦車級を駆逐するのがやっとだ。いつか弾薬と推進剤が切れてしまうのも時間の問題だ。
リーア中隊は消耗戦開始から30分で統制を崩れ、混乱状態に
《おい、数が多過ぎるぞ!対処しきれるのかよ!》
《う、撃て!とにかく撃て!》
リーア中隊の撃震12機は120mm弾を突っ込んでくる戦車級に向け放った
《戦車級は何体いるんだ!?》
《撃ち止めるな!死にたいのか!?》
《ひぃ!》
《隊長!弾切れです!》
《近接戦闘に切り替えろ!長刀を使え!》
《りょ、了解です!》
戦車級が次々と駆逐していたが、数が減るどころか増えるばかりだ
《クソ!BETA共が!》
《弾が残ってる者は撃て!そうでない者は近接戦闘で長刀やナイフを握って戦うんだ!》
リーア中隊の長は部下に指示し弾薬がなくなるまで撃ち尽くす
隊員全員の機体は弾薬が切れつつ近接戦闘の連続で中隊長機除いて全てが撃破された
《ぐああああ!》
機体の残骸は戦車級数体に食われる
《っ!――――ムーア1!聞こえるか!?中隊は俺除いて全滅だ!機体が持たないぞ!》
《!?》
大倉大尉達も善戦してるが、長期戦闘はあと10分しかない。
タシュクルガン基地の地下にあったチボラシュカツヴァイ製造工場の破壊はBETAに蹂躙される形で任務は完了したが、その後の作戦は崩壊したと言っていい。
モニターに映ってる衛士達の顔をよく見ると疲労困憊と言っても過言ではないだろう。
ムーア中隊は数で優るBETAの圧力に抗しきれず、タシュクルガン基地周辺に押し寄せるBETAの撃退に作戦を切り替えた。
大倉大尉が駆ける94サブレッグはレールガンで要塞級を5体撃破
レールガンも無限に撃ち続ける訳はなくいずれエネルギー切れになる。
このままでは全滅だ―――私は死を覚悟して怒り狂いながら目の前にいるBETAと立ち向かった
「死に晒せえ!BETA共があああああ!」
死闘の中で私はただひたすらに駆逐して行く事だけ考えた
……次の刹那、私が乗る撃震は120mm弾を放ち戦車級、兵士級を撃破
「!(数が多過ぎる。もう弾がなくなるのも時間の問題。どうすれば)」
私が前へ出て残りの要塞級を36mm弾で砲撃仕掛けたが、大倉大尉は94サブレッグを駆けレールガンで支援砲撃
《撃震で単機で要塞級に立ち向かうのは無茶だ。貴様も分かってる筈だ》
反論する余裕はなく、私はひたすらに返事するしかなかった
「は、はい……!(今は反論してる場合じゃない。大倉大尉の指示に従って最後まで戦う事だけ考えろ!)」
豊臣少尉も頑張って戦車級を駆逐し続けている
鬼頭少尉は既に機体がボロボロだ。光線級に攻撃されつつ左腕部が損失。残った右腕部で長刀を握り要撃級に目掛けて辻斬りしつつ悪足掻きしていた
「鬼頭少尉!」
《早乙女、俺はもうダメかもしれん!》
「何を言ってるんですか!みんな生き残って帰りましょう!!」
鬼頭少尉は何とか要撃級を撃破したが、別の要撃級が迫って来た!
《ムウウウ!これは回避出来ん!》
次の瞬間、紅林少尉が要撃級に向かって突っ込みマニピュレーターで殴りかかる
《鬼頭さん!援護します!》
《紅林いいいいいいい!!》
しかし紅林少尉の打撃攻撃は当たらず機体はズタボロになった
《う!》
「紅林少尉!」
《こんなの、効くかあああああ!!》
頭から血が流れ最後まで抵抗した。
紅林少尉が要撃級にやられかけた次の瞬間、大隊規模の戦術機部隊が私達の前に現れ急加速でBETA群に向け砲撃
紅林少尉に襲い掛かった要撃級も撃破された
《!》
「これは…?」
《青い武御雷……まさか》
以前、横浜基地防衛戦で見た事があり、実際に乗って戦闘に挑んだことがある。
帝国斯衛軍の武御雷……殿を務めてるのは
《そこの戦術機、動けるか?》
この状況下で大倉大尉と豊臣少尉は驚く
《え?恭子様。何故ここに》
《おいおい、嘘だろ。何で武御雷がここにいるんだ!?斯衛の戦術機部隊はカシュガルにいるんじゃなかったのかよ!?》
私も驚きを隠せなかった。
まさかあの鬼姫と呼ばれた崇宰恭子がここに来て助けに来てくれた。
青い武御雷に乗ってだ。
「…(恭子様が私達を助けに―――?数が増えるだけでありがたい)」
《ムーア中隊、聞こえるか?ここは我ら斯衛の衛士に任せろ》
恭子様は私達を撤退させて殿を務める。
《紅林少尉、鬼頭少尉と共に離脱しろ!私はまだ動ける》
大倉大尉は紅林少尉と鬼頭少尉をこの戦線から退くよう命令を下した
鬼頭少尉の不知火はもう戦えない状態――――紅林少尉は命令を従い鬼頭少尉と共に戦線から離脱した
《申し訳ありません!あとは任せます!》
残存はリーア中隊の中隊長含めて11人。
戦車級と兵士級はほぼ全て撃破したが、安堵は出来なかった
リーア中隊の中隊長が乗る撃震が要塞級の胴体下部から伸びる触手を躱すことができず、吹き飛ばされる。
断末魔が叫ぶことなく強酸で溶かされた
《動ける者は目の前にいるBETA共を殲滅せよ!》
大倉大尉の94サブレッグはBETA群に立ち向かい距離を詰める
そしてレールガンを構え砲撃!
恭子様の武御雷は77式近接戦用長刀を片手で握り、部下達が乗る白い武御雷3機に要撃級だけ定めて一斉砲撃させた
《怯むな!我ら斯衛は戦退かん!》
部下達は「はい、恭子様!」と一言を添えた。
この調子だと要撃級は全て撃破しそうだ。
要撃級が全て撃破した後、残存の要塞級が迫ってくる!
「4体!(カシュガルに向かうのは無理だって分かってる。でも……)」
もう退く気なんか………ない!
次の刹那、私が乗る撃震は要塞級1体の背後に回り36mm弾を放つ
1体はバランスを崩れそのまま倒れる。
残り3体…豊臣少尉の94フルアーマーに装備してる92式多目的自律誘導弾システムでAL弾を要塞級1体に向け放ち、それと同時に二連装突撃砲で36mm弾で1体倒した。
死闘の続くオリジナルハイヴから目と鼻の先のタシュクルガンは魑魅魍魎で渦巻く戦線だ。
第三の桜花作戦と言っても過言ではない―――――機体の残存数は恭子様の斯衛軍の武御雷4機含めて14機
大倉大尉は焦りつつ要塞級が放つ触手を回避しながらレールガンを放った。しかし別の要塞級の触手に当たり損壊される
《っ!レールガンが…》
レールガンを捨て、サブレッグに収納してる突撃砲を取り出し構え36mm弾を放った。
残り2体、36mm弾をひたすら撃ちまくる大倉大尉の表情は鬼を宿った
《!》
恭子様の武御雷も加勢し大倉大尉の援護に挑んだ。
要塞級の触手の動きを読み、攻撃を回避
長刀でその触手を袈裟斬りし、最後の1体の背後に回る。
執拗的な攻撃をサイドステップで躱しながら距離を詰め、辻斬りした。
しかし、急所が外れバックステップで距離を置くが触手が恭子様に襲い掛かる!
《……っ!!》
《恭子様!!》
最早、回避不可能。恭子様の武御雷は触手に当たったと思われたが、その時だ
目の前に凄乃皇弐型らしき機動要塞にドッキングしてる戦術機1体が荷電粒子砲で要塞級を消失
「不知火!?それにあれは…凄乃皇弐型?!」
私は思わず戸惑った。
大倉大尉は冷静な判断でこう言った
《いや違う。胴体をよく見ろ!》
見た目は不知火そのものだが胴体だけアリゲートルだ。
所謂、不知火の皮を被せたアリゲートル――ダリル・ローレンツが乗ってるのも納得できる
右肩部をよく見ると東欧州社会主義同盟のエンブレムがあった。
《666の紋章だ!これに乗ってるのは…》
《ダリル・ローレンツ……彼奴、桜花作戦に参加していない筈。まさか、戦線介入か!?》
豊臣少尉は荒げた声でこう言った。
恭子様も流石にこれは困惑し呆然としていた。
ダリルから無線を繋がれた
《此方、東欧州社会主義同盟第666戦術機中隊――――――ダリル・ローレンツ少尉だ。ブレーメ総帥の命令で戦線介入する形でここに来た》
《ふざけんな!お前がどうしようが勝手だがいきなり戦線介入するとはどういう神経してるんだ!それにその機体は何だ?》
豊臣少尉は猛抗議。突然の戦線介入は納得するはずがなかった
《ここで抗議してもBETAは消滅出来ない。今はこの戦線から脱出する事だけ考えろ―――俺が乗ってる機体の名は94パーフェクトだ》
ダリルの言葉を聞いた恭子様は冷静沈着でこう言った
《94パーフェクト、完成していたのね?それに凄乃皇弐型まで……?ベアトリクス・ブレーメが考えてる事は全く読めないわね……カシュガルの戦況はどうなってるのか此方側として詳しく知りたい》
それに対しダリルはこう言い返した
《……BETA群がエキバストゥズハイヴとボパールハイヴの方向へ移動を開始し撤退し始めたようです》
《何!?それはどういう事だ》
《カシュガルハイヴの反応炉が喪失したんです》
それは私達にとって信じられない事だった
私は彼に反論する
「カシュガルハイヴの反応炉が喪失……?そんな情報聞いてませんよ!」
《重金属雲の影響で状況が掴めなかったのだろう。知らないのも当然だ》
オリジナルハイヴの反応炉が喪失した?どう言う事か全く分からない
となると私達がタシュクルガンで戦ってた間、既にカシュガルは陥落したと。
《……それは本当か?》
《はい》
恭子様の思考はクローディア中佐の無線によって打ち切られた
《クローディアだ。桜花作戦は我々人類の勝利となった。皆ご苦労だった―――だが、我が佐渡島同胞団の目的はまだ達成していない。テログループの連中は未だに健在している。奴等を完全瓦解するまで我々の戦いはまだ終わらない》
私達は安堵の息を吐き出した。
勝利。待ち望んだ勝利。しかしその喜びは想像よりも遥かにちっぽけで、瞬く間に不安と恐怖に押し潰されていく。
2002年1月2日、桜花作戦は終結。
後に大倉大尉から聞いた話だが、白銀武という少年はこの世界から消えていった
彼がいなくなった今、国連軍の香月副司令は今後、どうしていくのか?それは私達には関係ない事だ。
日本帝国、佐渡島同胞団、東欧州社会主義同盟、第666戦術機中隊―――――人類の戦いはまだ続いていく。
2002年2月2日
桜花作戦終結から1ヶ月後、私は練馬駐屯地でデスクワークでの作業を励んでいた。
豊臣少尉以外皆、それぞれの持ち場で作業を励みいつも通りだったが、少し変化あった
鬼頭少尉は衛士を引退し、"オーガヘッドフーズ”という食品会社を設立し、色んな寄食を巡る為旅へ行く日々が増えたが、最近戦術機産業に参入し部品生産している。
元々、斯衛の家系であったからか私達と比べ膨大な資産を持っている。生活は暫く安泰だろう。
『俺には寄食が待っている!』と去り際に私含め大倉大尉や豊臣少尉に向けて言い残し去って行った
佐竹さんは軍に残り引き続き戦術機の整備班長として整備兵を率いり機体の整備を行ってる。あの人の不幸体質はとんでもないですね。衛士を辞めさせたのは色んな病気が発症するからと。
紅林少尉も佐竹さんの手伝いして今に至る。
――――桜花作戦でカシュガルハイヴを陥落したからと言ってBETAはまだ世界中にいる
ここからがキツい戦いになる。が少しの間これでちょっとは平和な日々が戻るかな
なんて思っていたのだが…
「早乙女!」
「大倉大尉、血相な顔してどうなされたのですか?」
「説明はブリーフィングで話す」
「了解しました」
大倉大尉は皆に集合を掛けブリーフィングを行う
「上層部から情報が入った。テログループのリーダー、テオドール・エーベルバッハの場所が分かったぞ。場所は東ドイツ首都ベルリン―――――旧シュタージ本部だ」
私達に安息なんて一切ない。
それを聞いた私達は驚愕するしかなかった。
「旧シュタージ本部…」
「ああ、連中の根城だ」
漸く掴めたこの情報……BETAを殲滅するより先に葬らなければならないのは、キリスト教恭順派、テログループ――――テオドール・エーベルバッハだ。
もう逃がしはしない!何年かけても奴を追い詰める。
「桜花作戦終結後の後始末作業終えたら部隊を再編成し7ヶ月後、欧州……東ドイツに派遣する形で赴く。悠一、紅林、駒木、早乙女も覚悟を決めろ」
「ああ、奴等を必ず始末して見せます」
「同感です」
「承服しました」
「はい、人類に敵回したことを後悔させます」
テオドール・エーベルバッハ、好き勝手動くのはここまでだ!
良平Side
桜花作戦は無事成功した。しかしその犠牲は大きく未来の衛士達が犠牲になった衛士達の為に戦い続ける事を決意した。
当初、俺達東欧州社会主義同盟は桜花作戦には不参加だったが、ベアトリクスの命令で不知火の皮を被せたアリゲートル―――94パーフェクトと鹵獲した凄乃皇弐型を改修した機動要塞、イング・ブロと共にタシュクルガンに赴き戦線介入した。
タシュクルガンでの戦闘を終えた後、俺は単機でカシュガルまで向かい現地で戦ってる衛士達を多くはないが少なくとも5個中隊分を救助した。カシュガルハイヴに向かい残存のBETA群を一気に殲滅。
これで一つの脅威はなくなったが、まだ終わっていない。
ナタリーを捨て駒にした憎きテオドール・エーベルバッハがまだ健在。このまま生かしては置けない。
彼女は現在、復興中の佐渡島で”Neo Polestar”と言うバーを経営して静かに過ごしている。
今後、ナタリーが危険な所に突っ込む事は二度とないだろう。
そして長年ベアトリクスの旗艦として役割を果たした戦艦『カールマルクス』は桜花作戦終了後、佐渡島両津港でスクラップ処分され、退役になった。その後、残骸は新佐渡基地の防壁として活用される。
後継の旗艦は戦術機空母『ヴィリー・シュトフ』に。
そもそもあの戦艦が何故20数年まで維持出来た理由は、日本の軍需専門商社、山本洋行が資金援助していたが、吹雪改の生産に専念する事により援助打ち切られ退役せざるを得なかった。その結果、東欧州社会主義同盟の国防予算の徹底的な削減が行われる事となり、戦艦を運用する高額なコストは効果のない浪費と考えられた
俺はファムやアネット、シルヴィアと共にベアトリクスに呼び出され新佐渡基地の司令室に集った。
「オリジナルハイヴが喪失した今、BETA共の脅威は一時的になくなった。しかしテログループの連中は健在だ。私が言ってる事は理解してるよね?ダリル少尉」
「はい――――奴を殺せと。自分は理解してるつもりです」
ベアトリクスが言いたい事はかつてファム達と共に戦った元戦友―――テオドールの事を指してるだろう。その殺害命令だ。
「テオドール・エーベルバッハは人類の敵だ。ICPOに指名手配されてる身だが、各国の警察や軍隊は頼りにならん。BETA殲滅に精一杯だろう……アイリスディーナがそれを知ったら止めるでしょうね。でも悠長してられないわ」
テオドールはベアトリクスの宿敵だ。叩き潰す気満々だ
しかし、それをよしとしないファムはベアトリクスに反論する
「テオドール君を……テオドール・エーベルバッハを殺すんですか?!彼を説得すると言う選択肢はないんですか?」
それに対しベアトリクスは冷徹な目でファムをこう答える
「ないわ。まさかとは思うけど生け捕りにして彼に罪を償わせるの?」
「それ以外に何あるんです?」
ベアトリクスはテレビの電源を点け画面を映した
《傀儡南朝鮮で戦争狂、ファッショ独裁狂、殺人悪魔のテログループ率いるテオドール・エーベルバッハとその一味に対する世界各国の憤怒と不満が日々増幅されている中、1月23日――南朝鮮亡命政府の拠点、済州島でテログループを糾弾する決起集会が行われました。昨年9月21日に起こったユーコンテロ事件で…》
その映像に映ったのは紛れもなく北朝鮮のアナウンサーだ。テオドールを過剰に糾弾している。
「もう一度言うけど、彼は人類の敵――――世間から叩かれてるわ」
《『罪なき民を大切にしろ』『テオドールを死刑にしろ』このように開催された集会で参加者は――――『テオドール・エーベルバッハに油断をしては駄目だ』『油断すると彼が調子に乗る』『休むことなく追い詰めよう』などの大型プラカードと宣伝文を掲げ、スローガンを叫びながらテオドール・エーベルバッハとその一味の悪行を暴露しました。親愛なるアイリスディーナ・ベルンハルト同志は”ユーコンテロで彼の悪行は世間から非難囂々している。長年積もり積もった憤怒が『国民の力』として火炙りしなければいけない。これはテログループ全体だけじゃなくテオドール・エーベルバッハ個人に対する東西ドイツの裏切りだ。東欧州社会主義同盟総書記のアイリスディーナ・ベルンハルトとして彼を糾弾する”と述べました。集会終了後、参加者はテオドール弾壁スローガンを叫びながら、済州島全域で示威を断行しました。これに先立ち、統一党議員ウルスラ派のグレーテル・イェッケルン同志は国家評議会臨時庁舎で緊急記者会見を行い―――”南朝鮮、日本、我々東欧州社会主義同盟の国会が民心の意思通りにテオドール・エーベルバッハ弾劾をする事を強く要求した”報道を終わります》
と報道番組が終わり、ベアトリクスはテレビの電源を切り、映像を消した
「これで分かったでしょ?テログループの連中はテオドール・エーベルバッハを指導者――マスターと慕われている。なら消すしかないわ」
冷めた表情を浮かべるベアトリクスはファムにこう言った。
「ファム・ティ・ラン大尉、貴女の言い分は理解出来るけど、無関係な人間を殺めた時点で生きる資格がない外道と成り下がった」
ファムにとってはテオドールは戦友であり”弟”みたいな存在だ。受け入れられる訳がない。
「それでも私は彼を更生させるべきです。テロリストに成り下がっても彼は」
「”私達の大切な仲間”と?」
「はい」
ベアトリクス側視点だと彼は叛逆者。国連や西側諸国、東側諸国は頼りにならないから早く粛正したいのだろう。だがファム達側視点では”戦友であり大切な仲間の一人”だ。躊躇するのも分かる
だが、そうは言ってられないんだ。
ファムの”大切な仲間”発言を聞いたベアトリクスは冷めた表情で笑った
「ふ―――ふふふふふ…じゃあ、仮に彼を生け捕りにしてその先どうするの?刑務所で模範囚として罪を償わせる?生温い……出所しても彼はテロリストのリーダーだから、同じ事の繰り返しとなるわよ。アメリカやソ連に身柄拘束されても即死刑でしょうね。他は死刑制度廃止してる国があるから終身刑、よくても無期懲役―――――よって、同志大尉の懇願は却下よ」
「……!」
「ファム・ティ・ラン大尉、貴女は殺したいほど憎い人はいるの?」
ベアトリクスの質問にファムは戸惑う。
「え……?」
「そんなふうに考えてはいけないと一時期思っていた。でも、今は憎しみに支配されている。今すぐエーベルバッハを殺したいくらいに―――ね。引き返すつもりは毛頭ないわ(テオドール・エーベルバッハ…革命が終わった後、私は貴様を始末しようとしたがアイリスディーナに止められて目を瞑った。けど最後の最後まで国の意向を背いた。いいわ…向かってくるなら私は容赦しない。歓迎してやるわ。私達は宿敵だから…)」
話を区切ろうとしたその時、一人の兵士が指令室に飛び入り血相な顔で報告する
「そ、総帥閣下。急ぎご報告したい件がございます…!」
「話せ。私は佐渡島から出る」
「ハッ、では…!アイルランド・ケリー州に拠点とする臨時政府からの発表でアフリカに疎開した一部の住民がデモ活動起こし暴動。現地のアフリカ軍はまともに対処しきれておりません!加えて反体制派…いえ半グレ組織グローサ・ベアのズーズィ・ツァプ含め構成員全員テログループに合流!ベルンハルト総書記所有のクルーザーを強奪しBETA支配下の東ドイツ本国に移動していると確認されました!」
兵士が言った事はベアトリクスにとって驚愕な事だったが、彼女はそれを予想していたかのように口元をニヤリと笑う
「ズーズィ・ツァプ……そういえばいたわね」
「こ、これは非常事態です!!紛れもない反乱であり第二のウルスラ革命であります!!」
兵士の一言でシルヴィアは真顔でこう言った。
「…予想はしていたけど、また革命が起きるとはね。ズーズィが率いる組織がテオドールのところに合流したって事は彼は本気で潰しにかかってくるわ」
「……」
「対策はあるの?」
ベアトリクスは悪魔的と言えるかも知れない挑んだ表情を眼に浮かべる
「私は東欧州社会主義同盟の総帥。北朝鮮を支配してるのよ?奴等を完全瓦解するまで攻撃仕掛ける。後は退けないわ」
「一応あるのね?」
「ええ」
シルヴィアは半信半疑だ。
そう簡単に信用する女性じゃない。
「サイコアリゲートルを再設計した戦術機。サイコアリゲートルMk-Ⅱを量産し正式に戦力を加えて実戦配備する」
ベアトリクスが言った言葉は常識を逸脱する程の内容だ
当然ながらファム達は猛反発
「量産化って……衛士達を四肢切断してそれを乗せて戦場に赴かせるのですか!?正気じゃない…」
「そうだよ!こんなの狂ってる…おかし過ぎるよ!」
「で?徴兵された衛士達を強制的に―――もしくは自ら志願して手足を全て切り、両手両足とも義手義足となった衛士達を戦線導入するの?ぶっ飛んだ考えを浮かんだようだけど実現出来るかしら」
そう言われたのに対し、「ふふふ」と笑ったが目が笑っていない
「出来るわ。今更人権なんて気にしてる状況じゃないって事を理解してる筈よ―――まさかとは思うけど、”衛士達は人権だってあります。非道な扱いをしないでください”と言おうとでも?」
ファムは図星を指された
ベアトリクスは相手の考えを読み、全てお見通しだ。
「………国連と西側諸国の連中が彼を野放しにしてる理由はBETAとの戦いが優先。テロリストと構ってる暇はない。それ一点張りよ」
ベアトリクスはファム達に対し、凄まじい怒りが眉の辺りに這いつつ鬼に宿った
「テオドール・エーベルバッハを必ず見つけ出すんだ。佐渡島同胞団も彼を追う為に動いている。――――見つけたらすぐに拘束してアイルランドに移送。裁判もなし。彼を死刑台へ送ってやる。いいな?」
俺は一部始終聞いて何も言えなかったがファム達は納得がいかない態度を取り困惑していた
そして”了解”と一言を添え後悔をしつつ司令室から退室した。
退室してから数分後、ファムは突如俺に問いかけた
「ダリル君、答えたくないなら答えなくていいわ。貴方はテオドール君を粛正したいの?」
「!(躊躇うのも分かる。分かるけど…奴は、許せないんだ。ファム姉に納得してくれるかどうかは本人次第だ)」
「あ、ごめんなさい。でも、テオドール君はテオドール君なりの事情がある筈よ。そう簡単に粛正出来ないわ―――――聞きたい事が沢山あるから……」
俺は正直に答えた
「俺は……ファム姉の言う事は分かるよ。でも彼を野放しにしたらダメなんだ!」
「!」
「彼を見つけ出す―――――そしてファム姉やシルヴィア、アネット。他のみんなの前で謝罪させてやる」
俺の決意は揺るぎはなく偽りもない。
必ず見つけ出してファム姉達の前で謝罪させてから死刑台に送ってやる!――――そう決意したのだから。
テログループSide
一方その頃、テオドール率いるテログループのメンバー達はBETA支配下の東ドイツに向かってるAn-124 ルスラーンの貨物室内で会議を開いていた。
「オリジナルハイヴであるカシュガルが陥落したとは想定外だ」
「ああ、何やら奇妙な兵器が出てきたようだが、あれは一体なんだ?」
「香月女史の切り札か……いずれにせよ。彼女は退場せねばならない。ベアトリクスも含めてだ」
皆、混乱しざわついたがある男の発言でその空気を一変した
「……何で彼女を始末せんとあかんのですか?理由を説明してくれんと分からんわ」
ロマンスグレーの髪色をしたミディアムヘアに右目付近に大きな傷跡を残した精悍な顔立ちが特徴のイケオジがメンバー達に説明を求めるが、元アメリカ軍将校の老年男性とその元衛士の中年女性は聞く耳を持たず冷やかな視線で一蹴した
「ふむ、敗残兵の言葉は聞く必要ないな」
「元日本帝国軍厚木基地司令――――いや、天王寺組戸狩派トップ、戸狩玄弥」
「君はとある抗争に参加して敗北した身だ。立場を弁えたまえ」
「そうよ。天王寺組は実質的に解散状態。活動は皆無よ」
老年男性は人を見下したような表情で話を続ける
「天王寺組は我々を敵として認識していた。若頭だった大嶽は台湾に雲隠れ。三國は塀の中。いずれにせよ君らが吹っ掛けた争いの種は憎しみの連鎖で我々だけでなく他の同志たちまで巻き添えになる。この抗争の目的は君達が掲げる大義名分を利用し日本中を恐怖植え付ける事。君は残党率いて組を復活しようと目論んでいる」
その言葉を聞いた戸狩は冷徹な目で奴に言い返す
「何が言いたいんや?」
「ふっ、君達の役割はもう既に終わっているのだよ。理解出来たかね」
「分からんな」
奴は指パッチンして合図を送ると、その場にいた兵士達数名がアサルトライフルを構え戸狩に銃口向ける
「何の真似や」
「君を生かすと厄介だ。ここで死ね」
「ほぉ、やれるもんならやってみい」
互いに睨み合い衝突しそうになるが、中年女性が制止する
「待ちなさい。貴方、無関係な話を私達に持ち込まないでくれる。彼は彼なりの事情があると思うわ」
中年女性の言葉を聞いた老年男性は苦い顔を浮かべる
「むぅ…それもそうだな。私が不躾過ぎたようだ」
「戸狩玄弥、何故ベアトリクス暗殺を試みてるのかは我々のやり方を見れば分かる」
中年女性の問いに対し戸狩はこう答えた
「……ほぅ、で?アンタ等のやり方って何や」
「それはまだ言えないわ。貴方の目的、聞かせて貰えないかしら?」
中年女性は次の問いを投げかける
戸狩はその問いを真面目な顔で答えた。
「―――――ベアトリクス・ブレーメに会う事や」
「会って何を話すつもり?我々が…マスターがやろうとしてる事を全部彼女に話すの?」
「そんなんやない」
「なら何なの?」
中年女性の言葉を聞き、戸狩は即答する
「アンタ等を裏切ったフリして彼女の懐を飛び込んで内部から破壊していく――――東ドイツの連中は差別意識抱いてる奴等もおる。他人を見下してる人間は地獄に堕ちればええ」
戸狩の答えを聞いた中年女性は少し混乱する。
「………それが貴方の目的ね?ベアトリクスの暗殺という口実ならやってもいいわ。その前にマスターの許可を得ないと」
「そのマスターと言う男は別の飛行機に乗っとるんか?携帯電話繋がるんか」
「重金属雲の影響下じゃなければ問題ないわ」
その時、中年女性の携帯電話が鳴り響く
電話主は―――――マスター。テオドール・エーベルバッハだ。
彼女は真顔で電話に出る
「はい」
《計画は順調のようだね》
「はい、マスター。我々の同胞の一人がマスターに話したいことがあると」
《……誰だ?》
「天王寺組の戸狩玄弥です」
《日本の極道組織か――――彼と話したい》
中年女性は戸狩に携帯電話を渡した。
「初めまして、戸狩玄弥と申します。以後お見知りおきを」
《君はとある抗争に参加したようだけど、負けたそうだね》
「……名前は明かさない理由は察しておきますわ。それとウチが起こした戦争はアンタ等とは全く関係ないから口出しせんといてください」
《おっとこれは失礼した。それで話したい事とは何だ?内容によっては答える》
「俺をベアトリクス・ブレーメがいるところに潜入したいんですが、許可を得て貰えまへんか?」
《――――彼女のところに潜入するのか。計画や作戦は何度でも練り直すことができる。されど、失われる命はただ一回だけ》
場の緊張は嘘のように霧散した。
彼の声は染み入るような優しさと、人を安心させる響きがあった。
《戸狩、状況こそ変わったが、ある程度の修正で対応可能だ。そして当初より、より大きな果実を手にすることが出来る》
「それは?」
《私がかつて乗っていたチボラシュカツヴァイ…あれは私の仲間だった者の希望となった機体だ。その試作量産―――タシュクルガンにいた雄武の連中が預かってたが少数は輸送出来た。しかし残りのは全滅になった。そしてもう一つはリユース・ベアトリクス・デバイス》
チボラシュカツヴァイの試作量産は、計画の内にはいっている。
しかし、ベアトリクスが開発したリユース・ベアトリクス・デバイスの技術を入手する事には、やはり大きな波紋を呼んだ。
「確かサイコアリゲートルっていう機体ですか?あれの操縦法はかなり特殊ですよ。四肢切断しなきゃ動かない機体でっせ!」
《パイロットも共に奪取すればいい》
「どうやって?まさか戦闘中でBETAに手足食われた衛士を探せと?」
《そうだな……探すのは別動隊に任せるとしよう》
「……了解です」
戸狩はテオドールに了承の言葉を放った
その言葉を聞く者達全員が、熱のこもった眼差しでマスターに感じ入る。
「我ら主の子等がどれほど努力を重ねようとも、零れ落ちる悲しみは尽きることはない。だが恐れてはならない。我らは世をあるべき姿に戻し、主の計画を実現するために自らを捧げると誓ったのだ」
彼の言葉は信者らの信仰心に響き、高揚と多幸感の奔流となって迸る。
「行動しよう―――救われるべき子等のために」
しかし戸狩だけはテオドールに対して不快な思いを募るばかりだった
今後どうなるかを行く末は――――誰も分からない。
Even if the BETA are gone,the conflict between humans will continue forever,
4ヶ月待たせてしまい申し訳ありません
今回の話は桜花作戦ですが、悠一達はタケルちゃんやユウヤ等の衛士達と共に戦うのではなく別行動でタシュクルガンでの戦闘です。同時進行ですね。
グッダグダです(・・;)
マブDももうすぐ1周年迎えようとしています。末永く続けばいいのですが……(-_-;)
ベアトリクスの裸エプロン姿見れて感服です!
次回は本格的にテログループとの戦いに進出します。という事でBETA戦闘の描写は少なくなるかも?
この作品を…トータルイクリプスサンダーボルトや他の作品、Pixivで投稿した作品を読んで頂けた全ての方々に感謝しつつ、今回はここで筆を置かせて頂きます
ではまた