良平Side
2002年4月1日
東欧州社会主義同盟支配下 南沙諸島(朝鮮民主主義人民共和国臨時政府)
第3平壌市
南沙諸島は南シナ海南部に位置する諸島である。岩礁・砂州を含む無数の海洋地形からなり、これらの多くは環礁の一部を形成している。
日本帝国政府による正式な名称は第二次世界大戦前からの「新南群島」であるが、日本はサンフランシスコ平和条約に伴って領有を放棄しており、中国語の「南沙群島」から南沙諸島、または英語の"Spratly Islands"からスプラトリー諸島という名称が使用されている。
史実では中華人民共和国(中国)、中華民国(台湾)、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの6か国・地域が全域または一部について領有を主張しているが
「南沙諸島は我が東欧州社会主義同盟の領土よ。特にファイアリー・クロス礁とミスチーフ礁は岩礁を埋め立てて人工島を造成し、軍事関連の施設を整備するなど実効支配を強めている。石油などの資源を輸入に頼るにはこの島を我々の掌に乗せるしかないのよ」
この世界では東欧州社会主義同盟……ベアトリクスによって支配している。
1983年7月7日に人工島建設計画を開始し1998年1月上旬にBETA支配下に陥った平壌は復興など出来る筈なく断念。東欧州社会主義同盟は中国政府と交渉し海南島の一部を租借し第2平壌市と改称して遷都したが、2002年1月、東ドイツの国家評議会と北朝鮮の最高人民会議合同にて『第二平壌計画』が承認され、将来の首都として南沙諸島に第3平壌市を建設。2002年2月までに2252 km2を埋め立てた。
最終的にそこに遷都する予定だ。
朝鮮半島陥落を事前に備えてウルスラ革命終結直後に計画されていたのだ。
この計画に妨害する中国政府はベアトリクスを糾弾するが、彼女は無視し強硬手段した。
国連海洋法条約において「島」とみなせる領域は一つもない。台湾、フィリピン、マレーシア等の自国管轄権を主張する幾つかの国は、岩礁・砂州を埋め立て・浚渫して人工島を築いた。特にベアトリクス主導による埋め立て・浚渫は大規模なものであり、貴重なサンゴ礁およびそこに生息する海洋生物など自然環境の不可逆的な破壊が行われた
ベアトリクスの支配下になった南沙諸島は軍事要塞と化した島だ。
もともと美しい珊瑚礁に囲まれた地域であり、観光地化されている島も多い。
東側に位置する東ベルリンの街並みを再現したゲルマンタウン(別名:ノイエベルリン)と西側に位置する平壌の街並みを再現した第3平壌市―――
だが2024年までにクルーズ船の就航が予定されており観光地として開発される事で、東ドイツ、北朝鮮両臨時政府にとっては実効支配の正当性が強化されるという利点がある。尚、各国の政府にとっては海洋の権益を確保する存在であり、軍にとっては国防の最前線だ。
一体、何を考えて南沙諸島を観光地化しようと?
万寿台議事堂を再現した建築物。新万寿台議事堂の議長執務室で俺達はベアトリクスの命令で話を聴いていた。
「自分は何をすれば宜しいでしょうか?」
「そうね。666中隊を12機中8機をサイコアリゲートルMk-Ⅱに編成したいと検討しているけど……」
「それって…?」
「衛士8人が積極的に志願したのよ。本来今国土なき東ドイツは徴兵制を敷いてるが、モノ好きな人間はいるものね。それを乗る為に自ら手足切った者もいたわ」
狂ってる―――――とファムは絶望した表情で呟いたが、シルヴィアは平然と振る舞う。
「本末転倒よ。手段と目的が入れ替わってるじゃない―――まさか、貴女…叛乱分子の手足を切らせたの?」
「流石にそんな事はしないわよ。戦場での感覚が忘れ去られない手足を失った衛士達は世界中にいる。エーベルバッハを追い詰める為には手段選ばないわ」
アネットは戦術機母艦”ヴィリー・シュトフ”で待機。この話は聞くに堪えないだろう。
サイコアリゲートルMk-Ⅱ…サイコアリゲートルを再設計した戦術機。
RBDの最適化や関節構造の改良による可動域の拡充といった設計の見直しされ、不知火を上回る動きができるようになっている。
「………国連が黙ってはいないわ」
「BETA殲滅を優先したら連中は好き放題するオチよ。新聞読んでないの?日本の征夷大将軍が”BETA殲滅もままならない状況下で対人戦を考慮するなど言語道断”って言及したわよ」
あの征夷大将軍がテログループを加担している!?そんな事は絶対にない……とは言い切れない。
「それは日本国内で内戦するのは駄目って言いたいだけでしょ?解釈違いも程があるわ」
「テログループを加担する国家は人類の敵だと言いたいところだけど、日本は連中の肩を持つようなことはしないと思うわ。我々の目標はBETAとの戦争早期終結とテログループの壊滅。それを成し遂げた後は欧州大陸復興作業よ」
BETA殲滅は勿論だが、先にテログループを打倒する――――彼女にとっては正しい選択。
俺はそう確信した。
だが、ファムだけは納得してなかった。
「ファム大尉は納得してないようね」
「当たり前です!戦争だからと理由でこんなの…」
「相変わらず甘いわね。貴女を虐げた人達を許そうとでも?」
「!―――」
「幾ら貴女がその人達を許しても世間は許してくれない。現実を見なさい」
ベアトリクスの叱責でファムは現実を受け入れるしかなかった。
手足に食われた衛士だろうが叛乱分子だろうが関係ない。奴を、テオドールを倒すには戦力が必要だ。
「話は以上よ。下がっていいわ。今から朝鮮人民海軍の基地建設の視察しに行く」
「………了解しました」
ベアトリクスはそう言った後、議長執務室を退室。第3平壌市内にある朝鮮人民軍海軍の基地建設の現地確認視察で新元山港に行った。
昼食の時間となり俺達は”ヴィリー・シュトフ”に戻りPXに向かった。
この時のファムは何としても彼を―――テオドール・エーベルバッハを救おうと密かに目論んでいた。
その夜
《敬愛するベアトリクス同志が、海軍基地建設と関連した現地確認をなさりました。国の防衛力建設と軍施設の歴史的転換期の要求により、ユルゲン的海軍武力強化を急務の課題として提起している我が党の強軍建設路線と方針を徹底して貫徹するために、敬愛するベアトリクス同志は現代的な海軍基地建設と関連した現地確認を行われ、その実現方向と方途を闡明にされました。朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長であり党中央委員会秘書である元帥、パク・チョング同志、朝鮮民主主義人民共和国国防相、カン・ナム同志。朝鮮人民軍総参謀長兼偵察総局長、イ・チャング同志、朝鮮人民軍海軍司令官、キム・ミョンナム同志。東欧州社会主義同盟第101戦術機大隊”ヴェアヴォルフ”隊長、二コラ・ミヒャルケ同志と同大隊の隊員、カタリーナ・ディーゲルマン同志が同行しました》
”ヴィリー・シュトフ”に戻った俺達はアネットを呼び出してPXで食事を摂りつつその食堂内にあるテレビを視聴した
《ベアトリクス同志は、海岸沿線にそって港湾施設建設予定地区を視察されながら、指導幹部と共に建設方向と関連した実務的問題を協議されました。ベアトリクス同志は、領土の東西南北が海に面している海洋国である我が国は、国家建設でも国家防衛力建設でも造船業と海軍武力発展をいつも重視してきました。ウルスラ革命終結後に掲げた新時代の対BETAに特化する戦闘国家建設目標に従い、海軍武力を早期に地域の安保環境に適合した強力な軍種集団に進化させることにおいて現代化、多機能化された海軍基地創設は非常に鍵となる工程になると言われながら、戦略的要衛地としての海軍基地建設予定地の地政学的有利性について概括されました》
勢いの強い勇ましい口調で原稿を読み上げる
20時の報道だけでなく他の時間帯に放送されてる報道番組はどれもこれも政治的思想を植え付けるプロパガンダばかりだ。
「…」
俺は隣に座ってアドボを食してるファムの顔を覗く
その表情は優しい笑みを浮かんでるが目が笑っていない。
いつものファムじゃない。何をやらかす気なんだ?
……シルヴィアが俺を睨んでいる。
余計な事はするなって事か?
《ベアトリクス同志は、我々が近い期間内に現存艦船係留施設能力では収容できない大型水上及び水中艦船を保有する事になるのに合わせてヴィリー・シュトフ等の大型艦船を運用する海軍基地建設は焦眉の課題となったと強調され艦船係留と搭載戦術機の運用、取り扱い、海兵の文明的な基地生活文化を確立できる軍港建設の必要性について言及されながら我が国の海軍力の象徴、海軍の作戦指揮と海軍文化の中心地としての現代化された港湾都市を建設する事は切迫した時代的課業になると言われました》
「……(今はベアトリクスに従うしかない。下手な行動したら粛正される)」
《ベアトリクス同志は、軍港防衛の為の対BETA海岸防衛兵器システムを配備する事における軍事的対策も明らかにされました。ベアトリクス同志は、以上のような多面措置を強力に実行し、我が党の海軍戦力強化路線貫徹で画期的な一歩を踏み出さなければならないと強調されました。ユルゲン革命偉業遂行の強力な前衛隊であり、主力である革命軍隊を不断に強化発展させ祖国と人民の繁栄と安寧、後生万代の幸福を固く守護する事は、我が党が打ち立てている最も重大な国事であり、革命の第一課業となります》
アイリスディーナSide
アイルランド共和国 ケリー州
東欧州社会主義同盟本部
私は総書記執務室でかつて666の政治将校だったSEDシュトラハヴィッツ派のグレーテル・イェッケルンと会話していた。
「”大尉”いつまで放置しておくつもりですか?」
表向きは冷静を装っているが、その言葉はどこか怒気を孕んでいる。
「テオドールの件か。我々に挑発し武力行使しない限り様子見だ」
「今は…動いてないだけでいつ牙向けられるか分からないのに。アフリカで疎開した住民の一部がデモ行動起こし暴動騒ぎで挙句の果てにかつての同胞だったツァプがエーベルバッハと手を組んだ!」
「ツァプがテログループに?」
「ええ、彼が何を仕掛けようとしてるのか……”大尉”も気づいてる筈です」
テオドールの件で私は世間から大バッシングを受け疲労困憊。さっさと納得して退室してほしいと、心底願っていた。
しかし、グレーテルは彼の件について追及する
「…国連軍はBETA殲滅を優先するでしょう。西側諸国も一部除いて国連軍と同調し彼を野放ししている……このまま放っておけば、第三次世界大戦が勃発してしまう可能性が高い」
分かりやすい敵としてテオドールを血眼で探してる我々東欧州社会主義同盟や朝鮮人民軍、一部の日本帝国軍衛士達は必死に頑張っている。
ソ連政府にテログループ壊滅を打診したが、軍の上層部が断固拒否。どうすればいい?
「(心を鬼にするか…だが彼に聞きたいことが山ほどある)ホーエンシュタインとカティアが喪ったせいでこうなってしまったかもしれん。私の責任だ」
「………”大尉”ご決断を」
グレーテルは真顔で私に決断を迫る。
無論、答えは決まっている。
「………彼を死なせる訳にはいかない」
「”大尉”!!」
「勿論、彼の捕縛命令を下す。居場所は突き止めたのか?」
私は冷徹な目線でグレーテルに問い出す
「……東ドイツ首都ベルリンに拠点で潜伏していると情報が」
と彼女は即答した。
ベアトリクスも彼の潜伏先を既に知っている。本気で潰すつもりだろう。いや確実に潰しにかかる。
そうなると彼は引き下がらず抵抗してくるだろう。
少し手回ししておくか。
「第9中隊を派遣しベルリンに潜入させる。期待できないが下っ端構成員の制圧なら容易い」
「では人民警察と交渉します」
「頼む」
「では」
グレーテルは凜々しい表情を浮かびつつ総書記執務室から退室した。
彼女が退室してから数分後、思わぬ来訪者が私の前に現れた
「どうも、お邪魔するで」
日本人!?テログループの刺客か
どうやって入ってきたんだ?建物の警備は厳重の筈だ。
「……貴様は何者だ(警報は鳴らなかった……どうやって入った?)」
「初めまして。俺は戸狩玄弥です。以後お見知りおきを」
「戸狩……だと?」
聞いた事ある名前だが、どんな奴か全く知らなかった
元衛士のようだが、普通ではない。
「目的は何だ?私の命を奪いに来たのか」
「そんなんやない。ベアトリクスに会いに来ただけや」
え?ベアトリクスに会いに来ただと。
どう言うことだ?これは
「会って何するつもりだ?」
私は戸狩に威圧をかけるが、彼は動じなかった
「リユース・ベアトリクス・デバイスっていう技術のデータを奪うためや」
「……」
この男は馬鹿なのか?本当にテログループの刺客か?
呆れてものが言えない
「貴様は馬鹿か?そんなの出来るわけがないだろ」
「なんでや?」
「私が知るわけがないだろ」
「ほな、帰らせて貰いますわ」
戸狩がこのまま退室しようとしたその時、私は呼び止める
「待て――貴様はテオドール・エーベルバッハの仲間か?」
「テオドール……それがマスターの本名やな。生憎、俺は彼に従ってるわけやない」
「え?」
「組を復活させる条件として渋々付き合ってるだけや。ほなさいなら」
……”彼は悪人ではない”と私は確信した。
「ベアトリクスは南沙諸島にいる。言っとくが彼女は手強いぞ」
私はベアトリクスの居場所を教えた後、戸狩は凄みある笑みを浮かんだ。
「アンタはいい指導者や。教えてくれてありがとさん」
と戸狩はそう言い残し去って行った。
後に判明したが、戸狩玄弥はエルペタスという殺し屋組織に属してた男であり日本帝国軍厚木基地司令官だった。
組織に属した頃は最強の一人まで成り上がったらしい。
だから容易に侵入出来たのか。
「…変な男だったな」
まあ、二度目の侵入は許さないがな。
警備を強化するか。
鈴乃Side
練馬駐屯地
私は今日の仕事を終え、自室に戻っていた。事務作業で疲れたのだ
自室に入りベッドで横になる。
「……(オリジナルハイヴが陥落したのは人類全体が協力し合ったからこそ成し遂げた……残りのハイヴを攻略するだけだがテログループの件を片付けなければ)」
少し考えつつゆっくりと目を閉じて深い眠りにつこうとしたが、何故か眠れなかった。
何か疼いていく………どうしても気になる事が。
「……」
私が眠れない原因は欲求不満だった
最近、悠一との営みをやってない―――バタバタしてたからそんな余裕がなかった
制服の上着を脱ぎシャツのボタンを一つずつ外していく
体は熱っており、頬を赤らめる。
このドキドキ感は何だ?胸がゾクゾクする。
ボタン全部外した後、薔薇模様を施してる水色のブラジャーが露わにしシャツを脱ぎ豊満な胸を晒し出す。
そしてタイトスカートを脱ぎ同じ色の下着を露わにしベッドで横たわる。
「(……誰も見られてないし、して…いいよ、ね)」
自分自身を解放した気分で自慰行為しようとしたその時、誰かが扉をノックした
「大倉大尉、少し宜しいでしょうか?相談したいことがありまして」
早乙女だ。もう深夜の1時だぞ。
相談とは何だ?
「はぁ……(全く、深夜から何の用だ)」
流石に下着姿のままでは出られないので脱衣した制服を着直し扉を開けた
「早乙女か。こんな時間になんだ?」
「他の人には言えない話で」
「言えない?」
「ええ」
「……とりあえず中に入れ。ゆっくり話そう」
いつまでも外で話すのは早乙女が気分を害すから自室に招き入れた
「大尉は自室で何をしてたんですか?」
「ああ、少し疲れてな。仮眠を取ろうと思ったところだ」
自室で自慰行為してただなんて言えないので嘘を言った。
「少し目を見せて宜しいですか?」
「ん?構わないが」
早乙女は私の目を覗き込む
そして、私の嘘を見抜いた
「あ、目が濁ってる。あなた…嘘吐いてますね?」
「何のことだ?」
私はしらを切る。
だが、早乙女は私の顔を凝視する。
「……坂崎中隊長の事、思い出して…その…自分を慰めようとしたんですか?」
私は早乙女の質問を答え正直に言った。
「ああ……そう、だ。時々、いや毎日坂崎大尉の思い出を振り返り…」
頬を赤らめ照れる私に対し、早乙女は真顔でこう言った。
「言わなくていいですよ。大体察していますから」
「早乙女……」
その時、私は咄嗟的に早乙女を抱きしめる。
「!―――大倉大尉?!」
「暫く、このままこうさせてくれ」
抱きしめられた早乙女は困惑。頬を赤らめ照れ始めた
「大尉…まさか」
私は妖艶な笑みを浮かべて早乙女の目をじっと見る。
目を閉じて互いの唇を重ねた。
「!」
胸に密かな恋心を秘めている女性の苦しさというような顔を浮かんだ早乙女は嫌がる様子を見せず私を受け入れた
互いの目を見つめ、唇から離す。
「大倉大尉…私はそんな趣味は」
「その割に嫌がってないようだが」
私の言葉を聞いた早乙女はモジモジとしつつ、優しい笑みを浮かべた。
「ふふ」
「ん?」
「いや、大倉大尉も可愛い一面あるんだなと思っただけですよ」
「それはお世辞で言ってるのか?」
と私は早乙女を揶揄う
「違います。――――――本心ですよ」
互いにベッドで寝転び慰み合いしようとした次の瞬間、駒木が扉をノックする
「大倉大尉、少しお時間宜しいですか?今後の任務についてを含めテログループ討伐の件でお話ししたい事があります」
駒木の声を聞いた私は素早く扉を開ける
「駒木か?お前まで…何だ?恋路の相談か」
「話聞いてました?」
駒木は早乙女の姿をじっと見る
「早乙女、なんでここに…?」
「大倉大尉に相談したいことがあってそれで…」
駒木の顔は疑いの表情だ。それを見た早乙女は目線を逸らす
「……はあ、そうだったのか。真面目な話内容なので詳しくは第三会議室に」
その言葉を聞いた私は突如、真剣な表情を浮かべる
「緊急の要件か。中隊の皆は揃ってるのか?」
「ええ、全員集まってます」
テログループ絡みの話なら今すぐ行かなければならないな。
「わかった。今すぐ向かう。聞いての通りだ、早乙女。早く行くぞ」
「りょ、了解しました!」
私は第三会議室に向かい急いで走り、着いた頃には既に中隊のメンバー全員集っていた。
「遅くなってすまない!自室で仮眠しただけだ」
私は中隊メンバーの前に号令をかけ、ブリーフィングを開始した
「総員傾注!テログループ討伐の件で皆に話さねばならないことがある。駒木」
「はい、こちらの書類を」
駒木は私に書類を渡す。そして私は涼しい顔つきで書類を見ながらこう言った。
「遂行中の任務である"サンダーボルト作戦”の任務達成は2つ成し遂げた。しかし、肝心のテオドール・エーベルバッハの抹殺とテログループの壊滅は成し遂げていない。連中は戦力を増強し兵士たちを集ってる。このまま放置したら世界は破滅的な出来事を起こってしまう。書類の内容は”BETA殲滅を優先”と国連軍からのお達しだ。無論、それは無視する。先ほど言ったが放置すれば世界は破滅になる。一刻も早く倒さねばならない!」
国連軍含め各国の軍隊はBETA殲滅任務が優先―――全てのハイヴを陥落した後に対処する考えだろう
呑気に駆逐してる場合じゃない………。
「昨年の9月11日、同時多発テロが発生しアメリカのワールドトレードセンターでテログループの標的の一つとなり、最終的にツインタワーが崩壊し、それに巻き込まれる形で残る5つのビルも半壊または全壊したことで壊滅状態に陥った。そして9月21日、国連軍ユーコン基地でテロ事件発生し犠牲者は175名だ。我が中隊は―――――欧州戦線に参加する形で東欧州社会主義同盟と連携しテログループの壊滅だ!」
佐渡島同胞団は国連軍の駒ではない。
BETAと戦ってる衛士達には申し訳ないが避けさせて貰う……と言いたいところだが突発的に現れるかもしれないから油断出来ないな。
「6ヶ月後に派遣する予定だったが5ヶ月後になった。上層部からの決定事項だ」
第三会議室の中で重たい空気が流れ、中隊全員黙り込む
反論するものは一人もいなかった。
「……話は以上だ。各隊員は自室に戻って待機…」
話を切り上げようとしたが、悠一が挙手し反論する
「クローディア中佐はこの事を知ってるのか?OKサイン出さなきゃ俺たちは動けないぞ」
「中佐からはちゃんと許可を得ている。……豊臣少尉、ユーコンテロ以上の惨劇となるが行けるな?」
「俺はいつでも行ける。だから命令してくれ。恭子達が考えた作戦だろ?文句は言わないさ」
「悠一……」
………皆の期待を裏切られない。私はこう悟った。
私は快活な表情で皆にこう宣言した
「保有する機体は既に厚木基地へ移動済みだ。ムリーヤで沖縄基地経由でアイルランドのケースメント飛行場に向かう」
あそこは東欧州社会主義同盟の本部がある。正直、不安だが……アイリスディーナ・ベルンハルト総書記が東ドイツ政府を仕切ってるから協力してくれる筈だ。
それにケースメント飛行場はアイルランド空軍と東欧州社会主義同盟が共同で使用されている。
「イギリスのブライズ・ノートン空軍基地に向かう予定だったが、西ドイツは国連軍との連携作戦に積極的だ。我々佐渡島同胞団の居場所はないと等しい」
私は真顔でこう言ったが、駒木が反論する
「大倉大尉、何故国連軍を避けるのですか?西ドイツはテログループの壊滅を望んでるのでは?」
「駒木、残念ながら西ドイツはテログループ側だ」
「どう言う意味ですか?」
「機会主義者だらけの西ドイツ軍と共闘して何を得る?ただ後回しにされてBETAとの戦闘を強いられるだけだ」
国連軍絡みの作戦は今は参加する気ない。テログループの壊滅を優先だ。
この先何年何十年先送りにしたら……いつまで経ってもこの戦争は終わらない。
「東西ドイツはBETAの支配下です。遭遇される事は避けられません」
「それは対策済みだ。恭順派の連中はBETA戦闘はしない立ち位置だ――喰われても文句は言えないだろう」
「……」
「言いたい事はそれだけか?異論はないな。では解散!」
私は早々とブリーフィングを終わらせ、アイルランド行きの準備をしていった。
ベアトリクスSide
2002年4月2日
東欧州社会主義同盟支配下 南沙諸島(朝鮮民主主義人民共和国臨時政府)
第3平壌市
新万寿台議事堂 議長執務室
議長執務室で私はニコラと会話していた
遂に"あの兵器"を使う時が来た
「重慶ハイヴにツァーリボンバツヴァイを投下するのですか?」
「ええ、あくまでも予定だけど…早期終結迎えるにはこうするしかない」
抑止力として長らく保有したけど、全世界に恐怖を植え付けるにはちょうどいい機会ね。
だがニコラは猛反対。意見をぶつける
「正気で言ってるんですか?総帥閣下。これでは逆賊シュミットと変わりないですよ!」
「ツァーリボンバツヴァイはただの水爆ではないと、あなたは知ってる筈よ」
「!(そうだった。あの水爆はG元素を含まれていたんだった――――それを使う機会を狙って…)中国政府の反応を見ないと分かりませんね。無闇に使えば反発されて経済制裁を受けます」
「ニコラ……中国政府の反応を待つ時間はないのよ。無許可でも構わない。手段は選ばないわ」
そう言って私は悪魔の笑みを浮かべる
ニコラは私の顔を見て動揺していた
「わ、私は…ブレーメ総帥と長い付き合いで一緒に―――共に戦ってた同志じゃないですか。これを、シュミットのやり方がどう違うとでも」
ニコラの言葉を聞いた私は真顔でこう言った。
「確かにこのままだと逆賊シュミットやアクスマンと変わりはない。対策として別の兵器を開発した。10年かけてだ」
「その、兵器とは?」
その兵器を語る前に、旧朝鮮自治区が開発した準中距離弾道ミサイル”ノドン”を説明する必要がある。
ノドンは準中間距離ミサイルだ。BETAが地球に襲来する前、ソ連フロッグシリーズのリバースエンジニアリングと中国DF-61ミサイル開発への参加、エジプトからのスカッドBミサイル供与によって技術を獲得。
1983年12月からスカッド・ミサイルを元に開発を開始。1990年代前半には開発完了、1993年5月29日に試射が行われた。弾頭は日本海の能登半島北方350km付近に着弾したと考えられていたが、後に日本の陸地上空を飛び越えて太平洋へ落下した可能性が示唆された。
この直後からノドンの実戦配備を開始し、配備直後に素材を軽金属に変更して改良した
そして、ノドンに次ぐ新たなミサイルを開発。それが……。
「遠距離弾道ミサイル”白頭山1号”―――――別名:テポドン1号だ」
技術的特徴は全重量約21.7t、全長27mの3段式液体燃料ロケットである。第1段ロケットはノドンを用い、第2段ロケットは東欧州社会主義同盟の監修で開発した改良型スカッドCだ。
「白頭山1号………?」
「ああ、実験として重慶ハイヴ攻略で使用する。兵士を集い戦力を増強してから朝鮮人民軍の第1022戦術機甲師団『ピョンヤン』を実験の手伝いをして貰う」
誰もが理解しがたいでしょうね
だがニコラは困惑せず冷静に言葉を放った。
「成る程、流石ブレーメ総帥閣下。良いアイデアですね」
「無論、666も参加させる。重慶ハイヴを陥落した後、マンダレーハイヴを潰す」
一気に潰さないといけないからね……となればツァーリボンバツヴァイを正式に配備出来る…。
「……まずは重慶ハイヴよ。いいな?」
「了解しました。早速朝鮮人民軍上層部に掛け合ってみます」
「ああ、頼む」
さて、そろそろ始めるか。
ニコラが議長執務室から立ち去った後、第3平壌ミサイル基地に連絡した
「私だ。例のミサイルを発射しろ―――目標は重慶ハイヴ。確実に狙え」
基地司令官は困惑しつつ冷静にこう言った。
《ブレーメ総帥閣下、あれはまだ実験段階で…》
「構わん。やれ…!全責任は私が取る」
《りょ、了解しました》
エーベルバッハを始末する前に邪魔なハイヴを消さないとね。ふふふ
ツァーリボンバツヴァイを投下する前に、台湾に疎開した中国政府の官僚に連絡し通告する。
「東欧州社会主義同盟総帥、ベアトリクス・ブレーメだ。国家主席のチェン・ツェーミン氏と話したい」
《チェン主席は訪ソしているからご不在です。主席閣下に何用で?》
「面制圧砲撃という口実で重慶ハイヴを陥落させる。その通告だ」
《重慶ハイヴをですか?あそこは統一中華戦線の戦域です。まさか無通告で》
「無通告でG弾をハイヴに投下した鬼畜米帝とは違う。その為の通告だ」
我々がアメリカと同じ手口を使うとでも思っているのかしら?
《……本気で仰っているのですか?》
「本気だ。これは緊急要件だから早く主席に代われ」
数分間、黙り込んだが官僚は「衛星経由で連絡を試みる」と一言を添えてから通話を終わらせた
「この戦争を早期終結迎えるためには徹底的に一つ残らず潰していく――――ツェーミン主席も理解してくれる筈だ」
私は議長執務室を退室し、自家用車で使ってるトラバントP601Lに乗り自ら運転して新平壌基地に向かう
数分後に到着し、車を止め基地の中に入る
私が基地に来訪してきた光景を見た兵士達は驚愕しつつ敬礼した
「ブレーメ総帥だ」
「ここに何の用事で?」
敬礼してる兵士達の顔を見て優しい笑みを浮かびつつそのまま基地司令室に入り込んだ。
基地司令室にいる朝鮮人民軍海軍司令官のキム・ユンシクとオペレーター達は真顔で敬礼。
「ブレーメ総帥閣下!?」
「重慶ハイヴに向かわせろ。なるべく急げ。時間がない」
「了解しました!朝鮮人民軍陸軍と連携し直ちに戦術機部隊を向かわせます」
「我々は666とヴェアヴォルフを動かす」
「は――――!」
さあ……"東倉里作戦”を実行するわよ。BETA共め、貴様らの明日は最後となる。
中国政府の承諾により、我々が掲げる作戦はスムーズに進行していった
面制圧砲撃として試作ミサイル、テポドン1号を重慶ハイヴに向け発射し、第3平壌ミサイル基地に配備しているスカッドミサイルを放った。
ツァーリ・ボンバツヴァイを投下する為にオリジナルのツァーリボンバに搭載した改修されたTu-95戦略爆撃機を使用。熱線による被害を最小限に抑えるため特殊な白色塗料が塗られ、重量27トン、全長8メートル、直径2メートルと巨大なツァーリ・ボンバツヴァイを搭載するために爆弾倉の扉と翼燃料タンクが取り外され、それでも収まらなかったので半埋め込み式で搭載された。
全て準備が終えた後、ツァーリボンバツヴァイを載せたTu-95戦略爆撃機は重慶ハイヴに向けて飛び立つ。
「(事が全て思い通りにはならないと分かっていながらこう選択する。私はシュミットやアクスマンとは違う…!)」
《ブレーメ総帥、統一中華戦線から万州五橋空港に大東亜連合軍に戦術機師団が集結していると報告がありました》
「そう、ご苦労様。666とヴェアヴォルフはどうなってる?」
《はい、出撃準備は整っています。しかしイング・ブロの方は94パーフェクトとドッキング状態での出撃になりますので油断は禁物かと》
「能力は?予定通り出来るのか?」
《はい!それは間違いありません》
「朝鮮人民軍海軍の艦隊を集結させろ」
《は――直ちに実行します》
重慶ハイヴ攻略を目的とした作戦―――東倉里作戦を展開
朝鮮人民軍海軍の艦隊はソホ級フリゲート10隻、サリウォン級コルベット5隻、トラル級コルベット3隻、613型潜水艦4隻、戦術機揚陸艦5隻を出撃。
東欧州社会主義同盟は戦術機空母”ヴィリー・シュトフ”、戦術機揚陸艦”ペーネミュンデ"、第666戦術機中隊、ヴェアヴォルフ大隊を出撃した。
「(ここまでは思い通り。だが、その先はどう動くかだ)」
ツァーリボンバツヴァイの投下は爆撃機で操作する。タイミングが合うといいが……。
「統一中華戦線、目標地点に到達」
「大東亜連合軍も重慶ハイヴに向け前進!」
朝鮮人民軍のCPは働きがいいわね。絞り滓になるまで利用させて貰うわ。
「総帥閣下、第666戦術機中隊から通信です。繋ぎますか?」
「……」
ファム・ティ・ラン……まだ幻想を見ているのかしら?
少し叱っておくか。
「繋ぎなさい」
「は――!」
朝鮮人民軍CPの一人は666からの通信を繋いだ。
《ブレーメ総帥、まもなく中国大陸に上陸します》
「そう――いよいよね…で?まだ不満持ち抱えてるの?現実を見なさいとさっき言った筈よ」
《申し訳ありません。ですがどうすればいいか分からなくて困惑しています》
「……気負いし過ぎよ。彼は必ず貴様の前に現れるわ」
《―――――はい》
「任務に集中なさい。異変があったら必ず報告しなさい」
《了解しました!》
666との通信を終了した。
責務を全うするのは利口だけど自分を責めすぎてるようね。
……でもね、遊びでやってるんじゃないのよ?理解してると思うが……。
「ミサイルの着弾は?」
「スカッドミサイルは柳州郊外に落下。白頭山1号は桂林市街に落下しました」
「重慶ハイヴには届かなかったか。大陸間弾道ミサイルを発射させろ」
「了解しました」
アメリカ空軍が運用している大陸間弾道ミサイル”ミゼットマン”をデッドコピーした兵器である『鍾城』を発射準備を備えていた。
いつでも発射出来る―――――!
CPはカウントダウンを開始した。
「『鍾城』発射待機。カウントダウンを開始します。30…29…28…27…26…25…」
戦術機の軌道降下突入戦術なんて国連しか出来ない。そんな事したら衛士たちが犬死になるだけ―――――BETAの数を減らせば済む事だ。
「第1艦隊、華豊港付近で停止。第612戦車師団、上陸成功!重慶市街に向かって前進中!」
「『鍾城』発射20秒前!19…18…17…16…15…14…13…12…11…」
「第1022戦術機甲師団、広西チワン族自治区南寧市でBETA群に遭遇!交戦を開始しています!」
「ソホ級ソホ、ユンホの2隻は華豊港にいるBETA群に向け攻撃開始!他は待機!」
ヴェアヴォルフは何してるの?もう既に到着してる筈よ。
私はそう思ったその時、ニコラから通信が来た
《ブレーメ総帥、報告を遅れて申し訳ありません。現在、ヴェアヴォルフ大隊は懐化市街を通過。重慶ハイヴに向かって前進してます!》
「666は?先ほど、中国大陸に到着したと連絡来たのだが」
《第666戦術機中隊は北海市街で上陸。機動要塞イング・ブロを後方に配置しつつサイコアリゲートル4個小隊が前方で守備してます》
「急がせろ」
《は―――!》
「全体注意!発射10秒前!9…8…7…6…5…4…3…2…1…」
カウントダウンが終え、私は「撃て」と一言を添える。そして『鍾城』は重慶ハイヴに向かって発射し飛びたっていった。
テログループSide
テオドール率いるテログループはシュタージ旧本部内の会議室でメンバーを集い”テレビで朝鮮民主主義人民共和国国防省報道官発表”を視聴していた
《朝鮮民主主義人民共和国国防省報道官、朝鮮人民軍参謀部が、中国の重慶ハイヴで東欧州社会主義同盟が統一中華戦線と大東亜連合軍と結託し砲撃準備態勢を整えることを関する指示を下達したことについて発表しました。朝鮮民主主義人民共和国首都、第3平壌市に対する国連並びに南朝鮮の主権侵害挑発行為により、一触即発の厳重な軍事的緊張事態が醸成されています》
テオドールと彼に従ってるメンバーは涼しげな顔で視聴してるが、合流してきたズーズィやシモーネは険悪な顔で画面を見ていた。
「……」
《3月31日、東欧州社会主義同盟国家保安省と朝鮮人民軍参謀部は国連、アメリカ軍、南朝鮮の戦術機部隊が我々の戦線を介入する挑発の可能性が高まると予測し再挑発確認時、即時的にBETAを打撃しなければならない状況、それにより武力衝突が拡大される可能性を排除することが出来ない状況を仮定し各戦術機部隊が様々な事態発展に徹底して対処出来るように各方面の準備態勢を整えるようにする為の当該事業を行いました。朝鮮民主主義人民共和国国防省報道官が4月1日午後、このように発表しました。報道官はまた重慶ハイヴ攻略を担っている第666戦術機中隊とヴェアヴォルフ大隊に完全射撃態勢を整えることに関する4月1日付けの総参謀部作戦予備指示が下達されたことについて公開しました。報道官が発表したところによれば、総参謀部の作戦予備指示には、戦時定員編成隊として完全武装された8つの戦術機旅団を今日20時までに射撃待機態勢に転換させ、各種の作戦保障事業を完了することについて指摘されているとのことです。総参謀部は各戦術機部隊、軍部隊が監視・牽制勤務を強化することを指示しました。首都第3平壌市には、反航空監視哨所が増強されました》
報道官発表を終え、CMに切り替わった後、テオドールはテレビの電源を切った
「………彼女は徹底的にやってるな。我々を執拗的に追い込もうとしている」
「感心してる場合?貴様を殺そうとしてるのよ」
冷ややかな目線を送るズーズィに対しテオドールは冷静沈着で言葉を放った
「そう焦る事はない。ツァプ同志―――君には色々世話になった恩返ししないといけない。私の義妹だったリィズ・ホーエンシュタインを殺させた事をね」
「……暫く見ない間、変わったようね。―――私達を半グレに成り下がったのはベアトリクスのせいよ。貴様の義妹を強いて殺させた事は水に流すわ。でもね、一度失った命はもう二度と帰ってこないのよ」
「分かっている。だから作らせた―――――”義妹”を」
その言葉は意味深があった。ズーズィ本人はテオドールがリィズのクローンをソ連率いるオルタネイティヴ第三計画の連中を脅して作らせた事を。この時まで知らなかったのだ。
「何を言っている?作らせた?」
「そうだ。愛する義妹を喪った人間の気持ちは君には分からないだろうが寂しさを紛らわせるために作ったんだ」
「それは嫌味?私を馬鹿にしてるのか?」
ズーズィは怒りを表す
リィズを処刑させた本人が彼に逆らう権利はないが、テオドールの言葉が意味不明だと悟った。
「そんな事言うなら君達はここには呼んでいない。罪滅ぼしの一つだと思ってる」
ズーズィの隣にいるシモーネはテオドールに向けこう言い放つ
「エーベルバッハ、貴様は何を考えてるんだ?リィズ・ホーエンシュタインのクローンがいるとでも?」
「察しが早いな。その通りだ」
「!」
「ツァプ、レージンガー。私はね、リィズだけでなくカティアまで喪った後もう既に壊れていたんだ」
これには2人は理解が全く追いつかなかった。
しかし、リィズとカティアを喪った彼の気持ちは分からないまでもない。
どう言ったらいいのか分からないだけなのだ。
「……何があったのかは察しておくわ。ウルスラ・シュトラハヴィッツを喪ったぐらいで落ち込む出来事が頻繁に起きてそうね。いや寧ろ起きていた」
「君達に紹介したい自慢の"義妹”がいる」
テオドールはそう言うと、指パッチンして”義妹”達を呼び寄せた。
それはリィズと瓜二つそっくりの容姿だ。
「紹介しよう。私の"義妹”であるリィズシリーズだ」
「リィズシリーズ………?」
シモーネは彼女たちの姿を見て唖然しつつ絶句した
「ドライ、2人に挨拶を」
「はい」
リィズシリーズの三番目であるリィズドライはズーズィに近づき挨拶を交わす
「リィズドライです。宜しくお願いします」
「………協力はするが貴様と馴れ合うつもりは毛頭ない」
ズーズィは不貞腐った態度で凝視する。
口では言えないが、正直狂ってるとしか言えない。
「彼女達は元々ソ連の研究施設で生まれたESP発現体だ。見た目はオリジナルとそっくりだがあれは整形手術で再現出来たまでだ――――歳は重ねず若い肉体を維持してるんだ」
「……不老不死になったとでも言いたいのか?」
「そんな事出来る訳ないだろ。クローンは消耗品だ。維持するには淡泊を摂取しなければならない。が、従来のESP発現体と違って普通の食事を摂取する事が可能だ」
「……で?それがどうしたの。私達に役割を与えて貴様の"義妹”達を守れと?」
「ご名答だ」
「ふざけるな!」
「………少し反抗的だな。納得いかないのか」
「そうよ!」
テオドールは携帯電話を取りだし戸狩に電話をかける
「……戸狩、彼女と接触出来たか?」
《マスター、ベアトリクスは南沙諸島にいますわ》
「南沙諸島……人工島として面積を広げた要塞島だな」
《……南沙諸島に向かいますわ》
「……飛んでいくつもりか」
《他に行く方法あったら教えてや》
電話越しでの戸狩は威圧感があった。
何としてもベアトリクスのところに行きたいのだろう。
本来なら現実的ではないが、戸狩の場合は別だ
これに対しテオドールは鼻で笑う。
「ふん……アイルランドの飛行場にあるセスナを奪取すれば行ける筈だ。飛行場の中に私達の同胞がいる。すぐ調達してくれるはずだ」
《同胞ねえ……分かったわ》
「いい報告を待ってる」
テオドールは無表情で電話を切った。
「時は来た―――――さあ始めよう。ペンテコステ作戦を……」
そしてテオドールの決起がきっかけで全人類滅亡を謀る"ペンテコステ作戦”を勃発させ地獄を作ろうとしていた。
良平Side
《此方、ピョンヤン12。現在光線級約100体を殲滅中!重慶ハイヴまで辿り着けません!》
《ピョンヤン1からピョンヤン12。深追いはするな!視野を広げろ!!》
《統一中華戦線の羅一秀師団と楊開慧師団は脱落する機体あるものの現在BETA群と対峙し応戦しているようです!》
《師団各機に通達!666が俺達を助けに来るはずだ。死ぬ気で行け!!》
この通信のやりとりから見ると朝鮮人民軍は本機でハイヴを潰す気だ。
一個師団だけでは正直突発的な戦闘を続くのは流石にキツい……だがこっちはイング・ブロがある!今の俺は最強になった気分だ。
斜線上は何も異常ない。いつでも撃てる――――それにサイコアリゲートルMk-Ⅱ、閃光のようなスピードで飛んでいく。
現在地は貴州省花山村上空。遠距離砲撃でいけるか?
……いや、もう少し。もう少し近づこう。
《此方ヴェアヴォルフ01、我が大隊は地道に戦車級や要撃級の殲滅している。666はS74地点に向かえ―――聞こえるな?ダリル少尉》
「了解です!」
ニコラの進言でS74地点まで向かい、全速前進で飛んでたその時、光線級と重光線級がイング・ブロに向けレーザーを放った。
「!(ラザフォードフィールドを展開し防御だ)」
ラザフォードフィールドを展開しつつ光線属種のレーザー攻撃を防ぐ。そして荷電粒子砲で光線属種を殲滅
「俺達の邪魔をするな。BETA共」
他のBETA群は見かけない。このまま重慶ハイヴまで向かわせて貰う!
行動を移そうとした次の瞬間、大陸間弾道ミサイル『鍾城』が俺達を遮り閃光のスピードで重慶ハイヴに向かって突っ込んでいく!
そして……ミサイルは重慶ハイヴに命中しモニュメントを崩壊する
だが完全に陥落した訳ではない。上空にTu-95戦略爆撃機が最大全速で飛行。
次の瞬間、ベアトリクスから通信が来た
《今すぐ重慶ハイヴから退きなさい。我々は”例の兵器”を投下する》
例の兵器?まさかと思うが………?
ニコラは既に知ってるようだ。ここで"G弾15発分"の水爆をハイヴに投下し消滅させる事を
《総帥、統一中華戦線と大東亜連合軍は?》
《統一中華戦線と大東亜連合軍の戦術機部隊に既に通告した。今すぐ1000㎞から離れてこの場から退却よ》
《了解しました。――――総員退却せよ!》
異論はあると言えないな……命令に従うしかない
「……中隊長、ここは危険です。戦線から退却しましょう!」
俺は進言するが、ファムは了承を得た
《……分かったわ。―――ブレーメ総帥、例の兵器って何でしょうか?》
《ツァーリボンバツヴァイ……人類史上最強の核兵器。その改良型だ》
ベアトリクスは真顔で言ったが、ファムは納得いかないと思いつつ冷静に考え大人しく指示に従った
《了解、しました……》
反論は言えない。言ったら即粛正。ここは従うしかなかった。
《宜しい―――生き残ることを常に願ってるわ》
ベアトリクスからの通信は終え、俺達は戦線から退却し始める。
退却してから数時間後、1000㎞に到達したその時、Tu-95戦略爆撃機が上空1万500メートル付近からツァーリボンバツヴァイを投下。
落下したツァーリ・ボンバツヴァイは上空4千メートル地点で空中爆発を起こし、その威力は100メガトン。爆風による殺傷範囲は23キロ、致命的な火傷を引き起こす範囲は58キロにも及びその衝撃破は地球を3周した
その光景は巨大なキノコ雲―――第二次大戦で第三帝国に投下した原子爆弾の一つ「リトル・ボーイ」の3,300倍。
爆破後は爆心地にクレーターが出来てしまい、重慶ハイヴは完全に陥落。23万以上いたBETA群は重慶市街の一部跡形もなく消滅した。
「………!(これが人類史上最強の……あんなの真面に食らったら被爆されて即死だ)」
もしこれが帝都である東京を爆心地として爆発したらどれほどの威力があるのか?考えただけでも恐ろしい。
全員無事生還………とまではいかなかった。
退却に遅れた一部の戦術機部隊や第612戦車師団などの戦車部隊が全滅した。
一人が生き残っても、被爆の影響で暫く経てば死ぬだけだ。助かる見込みはない。
ベアトリクスSide
東欧州社会主義同盟支配下 南沙諸島(朝鮮民主主義人民共和国臨時政府)
新平壌基地 基地司令室
「重慶ハイヴ消滅を確認。BETA群は全滅です」
「そう、ご苦労様」
重慶ハイヴは完全に陥落した。がその代償に重慶市街丸ごと消滅したという結果で"東倉里作戦”は終結した
これでいい……邪魔な異星起源種はさっさと殲滅しないといけない。
次はマンダレーハイヴ――――BETAの反応はないみたいだしゆっくりと作戦を練るとするか。
私は士気を高めるため、各戦術機部隊を撤退命令を出す。
「各戦術機部隊に告ぐ。早急に帰還せよ――――次の作戦の指示が出るまで待機だ」
基地司令室で将校達やオペレーター達は歓喜の声を上げ『万歳!』と30回叫んだ。
「……(次はマンダレーハイヴね。焦らずゆっくりと、じわじわと痛めつけてあげるわ。ふふふ)」
不敵な笑みを浮かべ、次の作戦を練ろうと考えるが疲労感が溜まりつつ私の別荘に帰り自室のベッドで寝込んだ。
悠一Side
2002年4月3日
日本帝国軍 練馬駐屯地
第三会議室
その頃、俺達は第三会議室で報道番組を視聴し”東欧州社会主義同盟と北朝鮮は重慶ハイヴを陥落した”と知ってしまった
「あ…おいおい、嘘だろ……」
正直信じられなかった。23万以上いたBETA群だぞ!易々と殲滅出来るはずがない
だが、ベアトリクスは……それを成し遂げた。一体どうやったんだ!?
鈴乃は冷静になり俺に話しかける
「恐らく、水爆を使用したのだろう」
「水爆って……」
前世にいた頃、高校時代で歴史の授業で習ったことがある。
重水素および三重水素(トリチウム)の熱核反応を利用した核兵器だ。
最も有名なのが歴史上最大の威力の水爆、ツァーリボンバ――――この爆弾は米ソ間の軍拡競争の産物であり、実際には量産されなかった。
「普通の水爆ではない。その水爆はG弾15発分だ」
「!!?」
駒木がいきなり話を介入し、怒りを表す
「水爆って……しかもG弾入りのですか!?」
「ああ、やった事は第五計画の連中と同じだ」
明星作戦でアメリカ政府は国連、日本帝国に通告せず無通告でG弾を横浜ハイヴに投下したのだ。
これは断じて許されるべきではない。
しかし、報道番組に出演してる女性アナウンサー、佐伯・ゼッターランド・博子の一言で私は疑心暗鬼を持ちつつ驚愕した。
《昨日、東欧州社会主義同盟は朝鮮人民軍との共同作戦によって重慶ハイヴを攻略。街の一部を消滅したと朝鮮中央テレビでの報道番組内でこう語りました》
《朝鮮民主主義人民共和国の徹底した対抗意志と戦略攻撃力の絶対的優勢を誇示した重大な攻略作戦。敬愛なるベアトリクス同志の指導の下、朝鮮民主主義人民共和国の最新型大陸間弾道ミサイル『白頭山1号』を重慶ハイヴに向け発射。東欧州社会主義同盟が開発した水素爆弾、ツァーリボンバツヴァイを投下と同時にハイヴは完全に消滅。完全成功しました》
「な…!?」
《重慶ハイヴ攻略作戦に統一中華戦線や大東亜連合軍も参加しましたが、戦死者は0。ベアトリクス・ブレーメ総帥は”該当の2つには事前に通告した形で水爆を投下した”と傀儡政党の朝鮮労働党の党大会で発言したとの事です》
逆手を取ってまで遂行したのか……”アメリカとは違うんだ”と表現しているようだ。
核武力強化路線……いやG武力強化路線と言ったところか。
重慶ハイヴが消滅した映像を見た伊隅大尉は歯軋りをしつつ静かな怒りを表した
「無通告でG弾投下したアメリカとは違う。近くにいれば生きて帰れないだろう……重慶は佐渡島の消滅の代わりに何もかも消えてしまった。香月副司令がやろうとしていた事は…一体何だったんだ!?」
香月女史は佐渡島諸共ハイヴを消滅しようと目論んだ。国連側の甲21号作戦の内容は最初から佐渡島を奪還するつもりはなかった。
彼女は今どうしてるのかは察しがつく
横浜基地の研究室に籠り、俺達には知られないような実験をやってるだろう。
ベアトリクスが介入しなかったら、天羽組が佐渡島の利権を手に入れなかったら、佐渡島同胞団が存在しなかったら………俺達がいる世界で”東ドイツ反体制派が革命に勝利した世界線”だったら佐渡島は確実に消滅していた。
「やった事は強硬路線だがBETA大戦を早く終わらせたい気持ちと想いは私と”麻里”少尉、”豊洲”に他のヴァルキリーズの隊員より強い」
「”大地”大尉、それってつまり……」
晴子が伊隅大尉に話しかける
「……国連と完全に決別した」
「え?どう言う意味ですか」
「分からないのか。ベアトリクスは国連との作戦は参加しないという事だ。あのクーデターも甲21号作戦は副司令が仕組んだ事でありその目論みだったんだ。―――――彼女ならこう言うだろう」
「……」
鈴乃は怪訝な顔色を浮かべ伊隅大尉に向けこう言い放つ
「あくまでもテログループの殲滅を優先だ。東欧州社会主義同盟は今後、欧州連合と決別し孤立していくだろう。無論、ベルンハルト総書記は怒髪衝天だ。あんなモノ落としたと知ったら今度こそ親友関係は崩れていく」
「大倉大尉……」
「あくまでも予想だ。真に受けなくて良い」
「…そうか」
鈴乃は先に第三会議室を出て、ある男に連絡する
情報屋の伍代だ。
そして鈴乃の予想は一部当たってしまった。
《重慶ハイヴの水爆投下――――その話題なら世界中に知れ渡ってるよ》
「詳しく聞かせてくれ」
《"東倉里作戦”という重慶ハイヴ攻略作戦での水爆投下は当初アイリスディーナは知らなかった。だが作戦終了後にそのことを知った彼女は怒髪天を衝いてベアトリクスと電話越しで大喧嘩だ。それがきっかけで今後アイリスディーナの許可なく水爆の投下を禁止に至った》
「成る程、国連と決別するのか?欧州連合は」
《国連との距離を置くそうだ。欧州連合に関してはまだ動きはないみたいだ。孤立されたらBETAどころかテログループとの戦いは出来ないよ》
鈴乃は眉間にくっきりと皺を寄せてこう言った
「…様子見か。情報戦を強いられるだろうな」
《俺が知ってる情報はこれだけだ》
「分かった。報酬は振り込みで払っておく」
伍代との連絡を終えた後、鈴乃は第三会議室に戻り俺達に向けこう言った
「皆、聞いてくれ!今後の方針だが、我々佐渡島同胞団は国連軍との作戦参加は消極的になる。帝国斯衛軍は恐らく国連軍の作戦を積極的に参加するだろうが一部は参加拒否した。恭子様もその一人だ」
悠一は私の発言に対しこう言い返す
「斑鳩中佐はどうなるんだ?斯衛の衛士だぞ!」
「斑鳩中佐は高みの見物する形で参加するそうだ。ただ正直なんとも言えない」
………。
「それともう一つ。5ヶ月後にケースメント飛行場に向かう予定だったが急遽2ヶ月後に変更した」
!
……どうなってるんだ?と言いたいところだが、何かトラブル起きたのだろう。
予定通りとは程遠く二回も変更した。思い通りにはいかないよな。
「ケースメント飛行場でテログループの構成員らしき男がセスナを強奪。南沙諸島に飛んでいったそうだ。状況がコロコロと変わる……油断出来ないな」
俺達の機体はムリーヤに積んでいる。東欧州社会主義同盟の連中と接触出来れば共闘だな。
「……以上だ。総員解散!」
話を終え俺達は第三会議室から出ようとしたその時。
「大倉大尉!大変です!!」
佐竹が慌てて鈴乃に駆け寄る。
「どうした?佐竹」
「厚木基地でムリーヤのパイロットの一人が体調を崩して医療室に運ばれました!」
パイロットが体調崩したんだと?どういう事だこれは
鈴乃は半分怒った表情で佐竹に問い詰める
「こんな時にか。昨日までは元気そうにしてたぞ」
「昨日、PXで夕食を摂取した時、彼が飲んでた水が誰かが毒を混入されたんですよ!」
「………根岸曹長も一緒だったか?」
「ええ、千恵も俺と一緒に夕食食べてましたから――――まさか千恵がやったと思い込んでるのですか?!冗談じゃありませんよ!千恵はそんな事する女性じゃない!」
佐竹は言われてもないのに鈴乃に向け言い放った
気持ちは分かるが少し落ち着いたらどうなんだ?
「少し落ち着け。―――くっ、こうなれば……彼奴に連絡してみるか」
鈴乃は嫌そうな顔して携帯電話で誰かに連絡
そして電話の相手は―――――。
「鬼頭か?お忙しいところですまない。少し助けてくれないか」
《お久しぶりです。大倉大尉。何かトラブルあったんですか?》
「ああ、緊急事態だ。ムリーヤの操縦士が毒で倒れた。助っ人が必要だ」
《……大倉大尉の頼み事ですから断れません。輸送機の操縦経験あるパイロットを手配します》
「頼む……」
《任せてください!お礼にブラックプディングを送りますよ》
「……遠慮しておく」
さあ、この作戦の行く先はどうなるか……予想は見えない。
恭子Side
帝国斯衛軍本部
大隊長執務室
「では最初から知っていたのですか?」
「最初から計画が正式に決まった時点で察したよ。重慶ハイヴに水爆投下を指示したのは」
「分かっています」
崇継は背中に冷静な表情で今は別の意味で居心地の良くない状況にいた。
私は少し堅苦しい顔と、風格のある佇まいでそこにいた。
「――――つまり、東欧州社会主義同盟は国連を拒絶したとでも言いたいのですか?」
「いや、正確に言えばベアトリクスの支配国の朝鮮民主主義人民共和国。北朝鮮が拒絶した。私も後で知った時驚いたものだ。まさかG弾入りの水爆を使うとは…崇宰大尉はどう思うかな?」
私がその問いを答えようとしたその時、ドアをノックする音が聞こえ、私と崇継も咄嗟にドアを見る。
「――中佐、月詠中尉がお見えです」
「通してくれ」
女性兵士の声に崇継はそう返すと、困惑気味の私の目の前に女性が現れる。
「――月詠、中尉? なぜ貴女が……」
「……」
そう言うと赤の斯衛服を纏う月詠真那は譜代武家の白服を纏う3人の女性と共に部屋の中央へ。
その立ち振舞いを疑心暗鬼の私を崇継は少し面白いと思う気持ちを表に出さぬようにしながら眺める。
私は何が目の前で起きているのか、そして何故彼女らがここに来たのか?分からなかった。
斯衛軍は国連軍に深い縁がある。説明を追求しなきゃならない。
「――失礼ですが、月詠中尉はどこまでご存知で……?」
どこまで、というのは、重慶ハイヴの水爆投下の件だろう
しかし月詠中尉は真顔でこう言った。
「重慶ハイヴの件か?それに関しては承知している。これはどういった意図でやったというのです。斑鳩中佐」
「明星作戦でのアメリカ政府の無通告で横浜ハイヴにG弾投下された事は皆は知ってる筈だ。が、今回のは事前に通告してから投下したそうだ」
「アメリカとは違うと示したいと?」
「どうやらそうらしい。月詠中尉も国連軍との作戦を参加するだろう。何処へ赴くんだ?」
「ブラゴエスチェンスクハイヴの攻略作戦に参加します」
「ふむ……では月詠中尉、なるべく早く支度をしてくれ」
「は――」
私に一度敬礼し部屋から月詠中尉達が出て行くのを見届け、崇継は私に書類の入った封筒を渡す。
封筒の中身は――――
それをまだ肩に力が入っている様子の私が恐る恐る受け取る。
「あらかた用意は整っている。あとは君次第だ――任せるぞ」
「お任せください。中佐――」
大隊長執務室から早々に出ていこうとする私を崇継は呼び止める。
「あ、そうだ恭子」
いきなり気が抜けた呼び方をされた私は頬を染め肩を震わせていた。少し緊張をほぐしてやろうという気遣いはいらなかったのだ。
「その呼び方はやめてください中佐……」
「ははは、そう呆れるな」
「それで、まだ何か?」
「あぁ、一応伝えておこうと思ってな」
「……と申しますと?」
「予想されていたが帝国内部で佐渡島同胞団をあまり良く思わない者が見られる。注意しておいてくれ」
呼びかけとは違い真面目に言うと私も表情を引き締め返事をし部屋から足早に出て行った。
「さて、何事もないと思いたいが……」
窓の外、軍用車に乗り込んでいく私を眺め見送り、崇継はパソコンを立ち上げる。
ファイルを開き、テログループのリーダーであるテオドール・エーベルバッハの履歴や戦闘データをモニターへ広げる。
「彼に立ち向かう事に抵抗が無いわけではない。だが、それもまた運命なら俺は見守ることにするさ―――恭子」
崇継は私の名を呟き受け取ったファイルを一瞥し、別に渡されたデータディスクをケースから取り出し、パソコンへ。そのディスクからダウンロードしたものがモニターへ映し出される――その映しだされた彼の戦闘データに崇継は目を通し始めた。
斯衛軍本部を後にした私は帝国国防省の地下にある佐渡島同胞団の本部へ赴き、クローディア中佐や咲野少佐と会議室で話し合いをし、今後の行動について語り合った。
「我々は予定通り7ヶ月後に欧州戦線に赴きます。恭子様も我々と共に行動を」
「ええ、国連軍に頼ってたら時間が過ぎるだけ一刻も早くテログループを壊滅すべきです中佐」
クローディア中佐は少し黙り込み考え始める。
咲野少佐は私に問いかける
「恭子様は何故テログループの殲滅を執着なされてるのですか?我々の敵は…」
「異星起源種……言わなくても分かっています。ですが、奴等を完全消滅するにはテログループを完全瓦解しなければなりません!」
私は咲野少佐に圧をかけ答えた
咲野少佐は私の威圧を怖じけついたのか黙り込む
クローディア中佐は考えた結果、こう口にする
「日本帝国海軍は我々佐渡島同胞団とは手を携えるとは言い切れません。国連に恩がありますから」
「帝国海軍の手を借りなくとも、東欧州社会主義同盟の力を利用するのみ。今回の水爆投下は正直驚いています――――ただ、二度目は恐らくないかと」
「二度目はない。ですか……」
「水爆の開発は時間がかかるモノ。一つ作るだけで約288億ドル――日本円では約3兆円。税金を使ってまでよ」
「まあ…わからなくはないですが」
クローディア中佐は困惑した顔を浮かべる。
此方は度重なる変更で困っている……今の帝国斯衛軍は国連に依存し過ぎて、対人戦は消極的だ。
こうなったのも香月女史の影響力だろう。”先にBETAを殲滅してからよ。テロリストの連中は後回し”と。
BETA殲滅を積極的に動いてるのは理解してるが、テロ対策は後回し。
……でもね。そうは言ってられる状況ではない。
「………斯衛第3大隊”ハイドラ”をムーア中隊のサポートに回る形で再編成します」
山城少尉、能登少尉、甲斐少尉、石見少尉……唯依の4人はBETA殲滅を選ぶだろう。
唯依と一緒に戦えないのは心苦しい……再編成しなければならない理由はそれだ。
「と言うことは恭子様自ら殿を……?」
「そうよ」
「………東欧州社会主義同盟の動きが気になります。ソ連もかつての繁栄は全く面影がなくベアトリクスの傀儡に成り下がっています。警戒を強化し監視します」
「お願いね。人類存亡の危機よ」
「は――崇宰家当主には逆らえませんので」
何事もなければいいが。と私は不穏な表情を浮かべた。
正直不安だけど………。
佐竹Side
俺の名前は佐竹博文。
「うぅ…何か予定変更ばかりで頭が混乱してるな…」
日本帝国軍佐渡島同胞団にいる普通の整備班長だ。
大倉大尉より先に厚木基地へ赴き、中隊メンバーが乗る機体の最終チェックしている。
「佐竹班長、この機体はこっちのムリーヤに搬入すればいいんですね」
「ああ、そうだな。そっちに搬入してくれ」
「了解です」
最終チェックを終え、練馬駐屯地に戻ろうとしたその時、一本の電話がかかってきた
その相手は……大倉大尉だ。
無論、無視する訳にはいかないのでモトローラ・C100Mを片手に持ち電話に出た。
《佐竹、機体は異常ないか?》
「大倉大尉、はい!異常ないですよ」
本当に異常なしだ。異論はない!
だが、現実は非情だ。大倉大尉は電話越しで俺に威圧をかける
《嘘だったら鉄拳制裁だぞ?》
「嘘吐いてません!滅茶苦茶確認しました!」
《この様子だといつでも出られるな……佐竹、予定通り2ヶ月後で行くぞ。東欧州社会主義同盟のベルンハルト総書記に会えるんだ――――正装はしておけよ》
「は、はい!」
あのアイリスディーナ・ベルンハルトに会えるんだって!?これを逃したら今後会う機会はないだろう。
「では最終チェックも終わりましたから私はこのまま練馬駐屯地に」
《いや、お前は厚木基地に残れ》
「え!?」
《――――――機体搬送は第671航空輸送隊に任せてある。輸送隊と共に同行しろ》
え?何か遠回しで言われたが……千恵は練馬にいるし彼女が心配だ。
ここで反論しても意味ない。素直に従おう。
「……分かりました。厚木に残って他の部隊の機体の整備の手伝いします」
《すまないな。2ヶ月後に厚木に行くから私達が来るまで待機してくれ》
「了解しました」
大倉大尉は待機命令を出しそのまま通話を終わらせた。
クソォ……2ヶ月待てと言いたいのか。退屈だなあ。
悩んでても仕方ない。ムーア中隊の戦術機は全部調整終わったし他の部隊のも調整しておくか
「ま、何事もなければいいが、千恵が心配だな……」
千恵が気がかりだが、今は自分がやるべき事を専念しよう。
ベアトリクスSide
2002年4月4日
東欧州社会主義同盟支配下 南沙諸島(朝鮮民主主義人民共和国臨時政府)
第3平壌市
新万寿台議事堂 議長執務室
私は議長執務室で本部にいる議員達とビデオ会議を執り行っていた
勿論、アイリスディーナも参加している
この会議に参加してるのは統一党含めてドイツキリスト教民主同盟やドイツ自由民主党、ドイツ民主農民党、ドイツ国家民主党、朝鮮労働党、シュトラハヴィッツ派だ。
《ブレーメ総帥、重慶ハイヴの水爆投下の件について説明して貰おうか?》
「致し方ないわ。グレーテル・イエッケルン議員……この戦争を早期終結する為には徹底的に実行しなければならない。中国政府の許可は既に取得している―――》
私は無言で目線で凝視しているイェッケルン議員を、冷徹な目線で見つめる。
…納得いかない様子だった。
私のことを快く思わないシュトラハヴィッツ派の議員連中は糾弾し始めた
《ブレーメ総帥、ハイヴ攻略するには数ではなく質が必須です。何も水爆を使用しなくとも…》
《君のやり方は強硬し過ぎる。ウルスラ革命に勝利し自分を心酔してるからこうなった》
《ベルンハルト総書記なら地道にハイヴ攻略を執行しますよ?テログループを完全瓦解したい気持ちは分からなくもない。だが物事は順に辿っていくのが大事なんだ》
《国連のやり方にはついていけないのも君自身が招いた結果だ》
《!―――議員方々静粛にしてください》
《もうこの際だからハッキリ言わせて貰うが、ブレーメ総帥を同盟から追放すべきでは?》
シュトラハヴィッツ派議員の一人がこう言ったが、朝鮮労働党の議員の一人は反論する
《追放はすべきではないかと。彼女が同盟からいなくなったらこの政治体制や軍事バランスは崩壊を招きますよ》
《……彼女のやり方は行き過ぎている。追放した後は、ベルンハルト総書記が盟主になればいい》
《お言葉ですが、ベルンハルト総書記はブレーメ総帥のやり方と異なります。まさかとは思いますが民主化を》
《民主化はこの戦争が終わってからの話だ。国連と交渉しBETA殲滅を優先だ》
……此奴ら、好き勝手言ってくれるわね。
特に私を追放しようとした議員――――この会議を終えたらシュタージ臨時本部に通じて粛正させよう。
統一党と教民主同盟の議員達は黙り込んでる。自由民主党と民主農民党、国家民主党の議員達は会議について行けない。
喋ってるのはシュトラハヴィッツ派と朝鮮労働党の議員達のみ。その醜い討論を繰り広げていた
《崇高な女傑指導者を同盟を追放しようなど言語道断。追放すべきなのは君じゃないか?》
《な…何を言っている!?》
《重慶ハイヴの水爆投下はブレーメ総帥閣下の言う通り、致し方ないんだ!》
《水爆投下を正当化するのか!?》
《致し方ない。国連に頼って頭下げてまでハイヴ攻略しろと言いたいのか!?》
《貴様……!》
もう滅茶苦茶だ………!即刻中止すべき。とモニターに映ってる議員連中を睨み付け、会議を一旦中止しようとしたその時、会議を聞き流しつつ黙っていたアイリスディーナが怒りの色を表し一喝し威圧を掛けた
《……貴様等、いい加減にしろ!さっきから黙ってたら好き放題言ってくれるな。ベアトリクスを追放……何を考えてるんだ!!》
《ベルンハルト総書記!ブレーメ総帥をこのまま放っておいたら彼女はまた同じ事を…!》
《そうさせない為に私は”許可なく使うことは許さない”と叱っておいた》
《………》
議員達は黙り込んだ。
アイリスディーナがここまで怒ることは稀だ。
アイリスディーナは更にこう言った。
《本部は欧州奪還作戦の準備を取りかかる。テログループの壊滅作戦を並行する形で実行する》
議員達は『異議なし』と一言を添えそのまま会議を終えようとしたが私は待ったをかける
「……第二次大戦後に放置しているナチスドイツ時代に製造された超弩級戦艦”ティルピッツ”を蘇らせる」
それに対し議員達は驚愕し呆れ果てたが、シュトラハヴィッツ派の議員連中だけ異論を唱える
《流用してそのスクラップを再生し戦力に加えるとでも言うのか!?》
「ええ、旗艦だった”カールマルクス”も東ドイツが流用してスクラップから再生したモノよ。他の戦艦でも流用出来る筈よ」
《維持費は?まさかとは思うがアメリカ政府に”協力させる”のか?58年放置した戦艦を再就役しようと》
「政府ではなく企業のクラウドファンディングで修繕費やサルベージ費を集める。これなら文句ないでしょ?」
本来なら、”ティルピッツ”は第二次大戦後、ドイツ政府とノルウェー政府によりトロムソ西方のハーコイ島の南岸で転覆したままの状態で現地で解体されるはずだったが、当時のドイツは原爆投下の影響で復興がなかなか進まずそれを専念した結果、ドイツが東西分断されてから長らく放置され続けていた
《……我々は文句の一つは言えない。総書記閣下はどう思われます?》
《そうだな……現実的に考えれば5年後に再就役するのが自然だな》
「(5年?普通に考えればそうね。しつこいようだけど悠長に言ってられないのよ)いや、長くても2年…5年は遅過ぎるわ」
私は高らかに発言したのを対しアイリスディーナは怒りを抑え涼しい顔でこう言った
《むぅ……突貫作業だな。では2年以内に近代化改修作業だ――――話を変えるが皆が知ってる通り南アフリカで暴動が起き、政府はまともに対処しきれてないそうだ。非常事態宣言をした方がいいんじゃないか?第二のウルスラ革命だ》
分かりきったことを……拠点の一つであるグリーンランドの主都、ヌークにいる支部連中とイギリスにいる国連指揮下で戦ってる連中は好きにさせればいい。
「国家人民軍の指揮は貴女に任せている筈よ――ベルンハルト総書記。何故動かさない?」
《下手に動けばテログループの思うツボだ》
「あくまで様子見―――まぁいいわ。今日の会議は終了する。通信終了」
そしてビデオ会議は終了し、マンダレーハイヴの攻略作戦を裏で実行する準備を取りかかった。
悠一Side
2002年4月4日
崇宰家武家屋敷
暫くは慌しくアイルランド行きの準備の日々が続いた。
そして今日。出発の日を迎えることができた。
今日、出発の日を迎えたのは上層部の意向だ。2ヶ月後の予定だったが再度変更になったそうだ。
その前に俺は久々に恭子が住む武家屋敷に訪れた。鈴乃も一緒にいるが何故か早乙女も付いてきた。
どうやら鈴乃の護衛として来たらしい
鈴乃は小さな笑みを浮かべてるが俺はぎこちない笑みを浮かべる。
「ここに来たのは2年ぶりだな。悠一」
「ああ、そうだな」
俺はインターホンを押し、家の前に立つ
そして出てきたのは――――恭子の召使いである神崎葵だった。
「これはこれは豊臣少尉に大倉大尉。お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだな。恭子はいるか?」
「恭子様なら中におられますよ。どうぞ中へ」
俺と鈴乃は葵に言われるがまま武家屋敷の中へと入る。
「(暫くプライベートで話す機会がなかったな……)」
もう俺のことなんて忘れて他の男と付き合ってるんじゃないか?俺は思っていた。
そんな筈はない………とは言い切れない。
俺が本当に好きなのは恭子――――――お前だけだ。
そして、葵に案内されつつ和室の前に立っていた。
「此方で恭子様がお待ちです。どうぞ中へ」
葵は恭子に確認を取り和室の扉を開ける前に一言を放つ。
「恭子様、豊臣少尉と大倉大尉をお連れしました」
「中に入れなさい」
「畏まりました」
葵は扉を開け、俺達3人を中に入れた。
恭子は優しい笑みで俺と鈴乃が来たと察した。
「……状況は把握してると思うけど一応言っておくわね。東欧州社会主義同盟が重慶ハイヴを攻略した件は知ってるわね?」
「ああ、報道で見たが……G弾搭載の水爆を投下したんだろ?」
「皮肉な事言うが、ベアトリクスは重慶ハイヴを陥落したきっかけでアメリカを覗いて西側諸国寄りの連中はテログループの殲滅に積極的に対応する事になった。これは紛れもない事実よ……次はマンダレーハイヴを攻略するそうよ」
マンダレーか……大東亜連合軍が攻略しようとしているハイヴだな。
となるとインド軍と共闘するのか?
「大東亜連合軍は東欧州社会主義同盟の協力を承諾したわ」
「……」
とにかくベアトリクスに協力するのか
……テログループ殲滅の協力する条件だろう。もう展開が読めないぜ。
どうなってやがる?
「……全くベアトリクスが考えてる事は予想出来ないわね」
恭子は呆れた表情でこう言った。
「そうだな……」
鈴乃は恭子に向け真剣な表情で言い放つ。
「恭子様も我々と共にアイルランドに行かれるのですか?」
鈴乃の問いに対し恭子はこう言い返した
「ええ、行くわ。この作戦を立案したのは私だから殿を務めないと行けない」
恭子は真剣な表情を浮かびつつ闘志を燃やした。
「悠一、2年前みたいにトラウマを植え付けたくない。だから、貴方が私を守って―――」
「……恭子」
「テログループの件を片付いたら、私と結婚して下さらないかしら?」
まさかの告白だった。勿論、俺は受け入れる。
「わかった。実は俺も恭子と同じ事思ってたよ」
恭子は頬を赤らめ、小さな笑みを浮かべる
「そう、よかった。もし断られたら崇継と付き合おうかしら?と思ったわ」
「おいおい、冗談だろ?」
「……斯衛軍に戻る気はないのね」
戻る気はないのかって……今更感があるよな。
本音で言えば、戻る気はない―――とは言い切れない。
理由は今まで犯した軍規違反もそうだが、何故か篁家から嫌われている。
特に唯依にだ。……完全に嫌われてると言ったら嘘になるが、唯依の母親が俺の親父を一方的に嫌った為か娘である唯依を豊臣家全体嫌うように仕向けたのだ。
正直納得いかなかった。何で嫌われてるのかは親父は最後まで言わなかったみたいだし今となっては真相は闇の中だ。
「………正式に復隊したいと思っているが、俺は篁家から嫌われてる衛士の一人だ。親父がしくじった事は許されねえ事だって分かっている。もう和解する気は未来永劫ない」
「貴方のお父様が一方的に唯依の家を侵入し、唯依のお母様を襲いかかろうとした事件ね」
「……」
「悠一、自分を責めないで。終わったことを引き摺っても何も出てこないわよ。過去に囚われてる情けない衛士と思われたいの?」
「それでもだ。親父の罪は俺の罪だ……一生背負わなければならない」
俺は恭子に自分自身は悪くないが親父の罪は自分の罪だと自分を責めていったその時、鈴乃は優しい笑みを浮かべこう言った。
「私達がいるじゃない。斯衛軍には居場所がないから復隊出来ないと貴方はそう思ってるのね?正式に帝国軍衛士として副官になればいい。中尉待遇だぞ?」
「斯衛軍に戻るか帝国軍にいるのかは貴方自身の選択よ。仮に斯衛軍に戻れば唯依と響鬼が戦場に配置するのは避けさせる事は無理よ。でも唯依はあらゆる方面で関係を築き続けている――――会話は挨拶程度でいい。それ以上の関係にならなくていい」
恭子は俺の考えを見え透いていた
何か空気が重たくなってきたな……早乙女は恭子の顔をじっと見つめていた
「(余計なことは言わない方がいいですね)」
そして鈴乃は俺にこう言い向ける
「悠一、過去で犯した事はどうしようもなく一生消えることはない。前向きに行動すればいい」
「………そう、だよな。すまねえ、俺らしくない」
「気にするな」
恭子の一言で一気に周囲の雰囲気が変わった。
「さ、暗い話はこのくらいにして、食事にしましょう」
「お、丁度腹減ってきたんだ」
その後、俺達は食卓で楽しく朝食をしていった
「昼から出発ね。もう準備は出来たの?」
「ああ、あと、少し不安要素はあるが生き残ってみせるさ」
朝食を終えた後、俺達は恭子の武家屋敷を後にし厚木基地へと赴いた。
今回の話は重慶ハイヴ攻略戦です。
序盤に出てきた第2平壌市と第3平壌市ですが、エヴァの第2東京市と第3東京市が元ネタになっています。
マブラヴ世界での南沙諸島はどうなってんだろうな?と思いながらこう考察して書いた訳で…色々と複雑なんですよ。
余談ですが竹島は史実では李承晩政権で勝手にラインを設けて占領し、現在に至りますがマブラヴ世界では李承晩は南朝鮮単独選挙に落選し金九が韓国の大統領になった事により竹島は日本の領土なんです。
次回はアイルランドに派遣されたムーア中隊と国家人民軍との共同作戦会議です。
この作品を…トータルイクリプスサンダーボルトや他の作品、Pixivで投稿した作品を読んで頂けた全ての方々に感謝しつつ、今回はここで筆を置かせて頂きます
ではまた