悠一Side
山百合女子学園
それは斯衛軍衛士養成学校として未来の衛士の育成をし、何れ巣立っていく衛士候補生が集うところだ
俺は恭子と共にその学校の視察に来た
勿論、佳織もだ。
俺は欠伸を三回ほどしてから、訓練場へ入りそこで女学生6人と遭遇する
「唯依、訓練は励んでるかしら?」
と恭子はニッコリと笑みを浮かべ甘対応する
「は、はい、恭子様!」
俺や他の衛士の時は厳格に接してる癖に、このどこの馬の骨もわからん女の時は甘い態度とるのか
差別だぞ!差別
「あの…恭子様、その御方は?」
「紹介するわ、欺衛軍第16大隊の豊臣悠一少尉よ」
「豊臣悠一少尉だ、宜しくな!」
俺は欺衛軍候補生の女学生の前に気障な顔しつつ敬礼する
「豊臣少尉、我が欺衛軍が誇る未来の衛士達よ」
と恭子は女学生6人に自己紹介を仕向ける
「能登和泉です、宜しくお願いします!」
1人目は眼鏡をかけ、ウェーブのかかった髪をツインテールの少女だ
能登和泉……名前覚えたぜ
「わ、私は甲斐志摩子と申します。宜しくお願いします!」
2人目は黒いストレートロングヘアの一部をリボンで束ねている少女だ
ほぅ、緊張してるな?
「石見安芸です。宜しくお願いします!」
3人目はボーイッシュなショートヘアが特徴ある少女だ
如何にも陽気な少女ってか?
「山城上総と申します。宜しくお願いしますわ」
4人目は黒いストレートロングヘアが特徴ある少女か
おいおい、外見や中身を見ると資産家のお嬢様じゃねぇか!
こんな嬢ちゃんが戦場に行くってのか……冗談じゃねぇぜ
「蓮川です、宜しくお願いします!」
5人目は…ポニーテールの少女か
特徴は……ない!
「篁唯依訓練生です!」
6人目は生真面目できりっとした表情で俺の前で敬礼するショートヘアの少女だ
此奴は将来、大物になりそうだな。
能登和泉
甲斐志摩子
石見安芸
山城上総
蓮川
篁唯依
……よおし、少し挨拶してやるか
「よお!欺衛軍候補生のクソガキ共が!」
俺は高らかに大声でハッキリと目の前にいる衛士候補生6人に挨拶した。
「武家の跡継ぎのお嬢様だが音楽の趣味は平凡だな」
俺は煽る
とにかく煽った
「そこの眼鏡の嬢ちゃん」
「はい!」
「ちゃんと教官の指示通りに動いているか?」
「はい!動いております!豊臣少尉」
直立不動
ちゃんと躾をされてるな
「そうか!能登と言ったな。ちゃんと授業受けていたらお前は生き残れるさ!」
「は、はい!精進して参ります!」
「んじゃ…そこの赤いリボンの嬢ちゃん!」
「私…でしょうか?」
「お前以外に誰がいるんだ…まぁ聞け。俺の言う事聞いたら崇宰大尉がとっておきのモノを献上してくれるらしいぞ」
俺はでっち上げで志摩子に嘘吐いた
が……。
「嘘はいけません、豊臣少尉」
チッ、勘付かれてしまった。
「はは、まぁ頑張るんだな」
俺は見栄を張る
「そこのラフランスガール!」
「げぇっ!」
ん?何かやらかしたのか
「何でコンビニでジャリジャリ君ラ・フランス味を買って食べた事知ってるんだよ」
「え?それは初耳だな…」
おいおい、まさかと思うが規則破ってコンビニでアイス買って食べてたのか
教官に見つかるとヤバいぜ
「俺は口が堅いから誰にも言わないよ」
安芸は安堵な表情を浮かんだ。
上総が手を挙げ何か言いたそうにしている
「発言の許可を」
「いいぜ」
「豊臣少尉、貴方は私達を馬鹿にしていますの?」
!
此奴、ただのお嬢様じゃねぇ……。
「何も言ってないのに私達は音楽の趣味が平凡だとか馬鹿にしてるようにしか見えませんわ」
!!
「ズバズバと言ってくれるな……」
まるで義足野郎みたいだ
いや、違う。
違うな…こんなお嬢様が義足野郎みたいに戦術機やモビルスーツに乗って戦えるわけがない
「それに私達は武家の娘……この山城上総がそう易々と倒れませんわ」
笑わせてくれる……なら教えてやる。俺の実力をよ!
「山城候補生の言う通りね、豊臣少尉!」
ヤバい、怒らせちまった
拙いな……どうしよう。
俺は蓮川の前に立とうとするが地面に落ちてる石に足をぶつけ転び恭子を押し倒した
「ひゃぁっ!」
「うおぉっ」
そして俺の手は恭子の胸を掴みつつその感触を感じつつ揉み触った
「え?」
「恭子様……」
「私しーらない」
皆がざわつき始める
「豊臣……貴様…」
「え?あぁ!これは事故だ事故なんです!崇宰大尉」
恭子は俺の頬に向け平手打ちした
「ぶぅ!」
顔が赤面になりながら俺に睨み付けた恭子は頭突きをした
「いだ!おいお前やりすぎにも程があるだろうが!」
「お前呼ばわりするなんて随分と余裕ね、豊臣少尉」
あぁ…怒らせちまった。
「如月中尉!帰るわよ」
「はい」
恭子は立ち去ろうとするが唯依に止められる
「待ってください恭子様!これは事故だったんです。豊臣少尉が自分の意思で恭子様に対する破廉恥な行為は一切していません」
俺を庇うのか!?
クソ……情けねぇ
「……唯依が嘘言ってるようには見えないし、ここは唯依に免じて赦してあげます」
はぁ、良かった……。
「但し!次同じような事したら相応な罰を下すからそのつもりでいなさい、分かったか豊臣少尉!」
今度ヘマしたら次はないか……。
確か義足野郎の情報によれば恭子は『鬼姫』と呼ばれる女傑だったよな。
はぁ、なかなか難しいな。武家の次期当主候補のお嬢様を口説くのがよ。
「……」
恭子は俺の顔を見ている
「何だ?」
「そういえば今日、東欧州社会主義同盟の交流を基づく模擬戦やる日だったわね。模擬戦を仕切る殿は貴方がやりなさい」
「は?俺が子守りするってのか!?冗談じゃねぇぜ」
「胸触られたことを上層部に報告します」
「分かった!分かったからそれは言わないでくれ!」
上層部に知られたら謹慎処分が妥当だろうな。
恭子は衛士候補生6人の前で俺の頭を撫でる
「貴方なら出来るわ」
「え?俺を」
「ええ」
「何で俺が殿を?」
「私を口説き落としたいのでしょ?言わなくてもわかってるわ」
衛士候補生の前でそんなこと言うなよ……
「他の男に奪われる前に貴方が一人前の衛士として成長し巧く口説き落としたら私と付き合う権利をあげるわ」
どういう条件だよ
まぁ、悪くねぇな……。
「分かったぜ、崇宰大尉。俺は殿を務める!そして一人前になってアンタを口説き落とす!必ずやって見せるぜ」
言ってやったぜ
「良い返答で宜しい。皆聞いたわね」
「はい」と言う者いればただ頷くだけの者がいる
上総だけ冷静沈着だ
こうして俺は恭子を口説き落とすために模擬戦の殿を務め長い道のりの戦いを始めた
本当に長い道のりだ
無事結ばれることはできるのか?
俺にはまだ分かんねぇ
ただ、良き衛士として成長していく方が一番の近道だ
恭子Side
「宜しいのですか?恭子様」
「ええ、絶対に無理だとは言い切れなくてよ」
私は豊臣少尉に一人前の衛士として成長し巧く口説き落としたら私と付き合う権利をあげる。と唯依達の前に発言してしまった
一般武家である豊臣家と五摂家の一つである崇宰家
一般武家の衛士と五摂家に属する私が結ばれる……なんてあり得ないわ
外様武家の衛士の交流はあるけど、私個人としては深く関係を求めてはいけない
それが崇宰家の次期当主よ
「恭子様」
「何かしら?」
「あの……少し気になった点がありますが」
?
何かしら?
「ふふ、遠慮なく言って」
佳織は咳き込む
「コホン、では言わせて貰いますが恭子様の殿方は斑鳩家当主の斑鳩崇継少佐がいるのでは?」
「如月中尉、斑鳩少佐とはそんな関係じゃないのよ?あくまでも五摂家同士であり上官と部下の関係よ」
そう、崇継とはそんな関係じゃない
「ですが斑鳩少佐は恭子様を積極的に求婚してるじゃないですか」
「……はぁ、だからそんな関係じゃないのよ」
「豊臣少尉がこれを知ったら嫉妬するかと。俺のライバルだな、お前を必ず蹴り落としてやる!ジャズの音色が聴こえたら俺が来た合図だぜ。と斑鳩少佐にこう言うに違いありません」
あの豊臣悠一ならあり得そうね……。
今日は欺衛軍と東欧州社会主義同盟との模擬戦、これを機会に西と東の交流を築き上げ平和的解決……なんて上層部が口実にしている。
唯依達はまだ衛士訓練生
真田教官が首を頷くのは、ないと思うわ。
「真田教官が唯依達を模擬戦に参加させるのはあり得ない話よ」
「え?」
「普通はね、普通は」
そう、普通は参加させられない
上層部が圧力をかけない限りは
「では今回の模擬戦は普通での模擬戦と違うと?」
「そうね、東欧州社会主義同盟の戦術機母艦の飛行甲板にあった機体、見たでしょ?プロペラントタンクに、複数の光学兵器に実弾兵器。戦術機ではありえない」
「あれは別次元の機体ですね。我々では考え難い」
私は身の回りを気にしてキョロキョロと見渡す
「誰もいないわね」
「恭子様?」
「今回の模擬戦だけど私は参加しないわ、貴女もよ。如月中尉」
私は佳織を抱き締める
「あ…何をなされて」
「ここなら誰にも見られないわ、ふふふ、佳織」
私は佳織に向け優しい笑みを浮かべる
そっと頬を触り目線をじっと見る
誰もいないかキョロキョロと見渡し確認する
「……ふふふ」
私は目を瞑り佳織の唇を重ねようとしたその時、足音が聞こえた
気配を感じる
まさか、侵入者!?
そう察知した私は佳織から離れ身構えるが
「ん?あれ、こんな人気がないところで何してるんですか?」
チッ…こんな破廉恥な場を見せたら豊臣少尉は私を軽蔑するに違いない
……タイミングが悪すぎる
「もう唯依達と話すの終わったの?」
「まぁ、そんなところですよ。特にアンタが推してる篁唯依って訓練生。将来大物になりそうですよ」
当然、私と唯依は血が繋がっているのだから
「貴方も唯依の事をもっと観察すべきよ」
「そうだぞ、篁候補生は貴様より優秀な衛士になる!恭子様が断言しているから間違いない」
「はいはい、見習えばいいんでしょ?見習えば」
不貞腐れてるのね。
欺衛軍に相応しい態度ではないわね
まぁ、少しは大目に見てやりましょう
「模擬戦は貴方が乗ってる機体の増加装甲は全て外させて貰うわ」
「え?冗談はよしてくださいよ崇宰大尉」
「冗談ではないわ。想像してみなさい。そのまま出たら唯依達より目立つわよ」
使わせるだけ有難いと思いなさい
「成る程、試されてる訳か」
「そう好きに捉えて構わない。あと武装は光学兵器の使用は禁止、戦術機用の武装を取り換えるわ。ビームサーベルは廃止。ビームライフルは87式突撃砲に換装」
実弾は実弾で挑むべき
それが欺衛たる衛士の基本中の基本
「……分かりましたよ、実弾は実弾で挑めばいいってことですね?」
「そうそう、よくわかってるじゃない」
豊臣少尉は理解できたか私は優しい笑みを浮かべる
「じゃあ、恭子!今度ジャズの名盤を教えてやるぜ」
「馴れ馴れしく下の名前で呼ばないで、不愉快です」
調子に乗るんだから……馬鹿。
そうとなれば早急に準備しないと
「恭子様、考えたのですが戦術機同士でやった方が良いかと」
そうね…やっぱり戦術機は戦術機で勝負すべきよね
「気が変わったわ、モビルスーツそのものの使用を禁止する」
「最初からそう言えよ」
豊臣少尉の言動や態度を見て私はギっと睨み付ける
「何か言ったの?」
文句あるならはっきり言いなさい
あ、そうだ!
私は天啓を閃いた。
「瑞鶴にサブアーム追加して追加装甲を2つ装備させるのはどうかしら?」
豊臣少尉が納得する答えなのかは私にはわからないがとりあえず提案をしてみた。
「恭子様、それは瑞鶴の機動力が下がるだけです」
「この男が普通の装備で戦術機に乗れと言ったら納得すると思って?」
「……本気なのですか?」
私は本気よ
「如月中尉」
「はい!」
「その機体の存在を殿下に知られたら、それこそ欺衛軍の恥よ。だから戦術機同士で模擬戦するのよ」
そうよ、分かって頂戴……佳織
「分かりました、では早急に手配します」
「お願いね」
「はい!」
これでいい
これでいいのよ
あとは豊臣少尉の操縦技術次第ね。
良平Side
日本帝国の帝都である京都にある欺衛軍山百合女子衛士養成学校の生徒の交流を口実にした東西交流模擬戦の場所である演習場へ向かう前、サイコ・ザクの大型ランドセルについてるプロペラントタンクを取り外す作業が行われていた。
弾倉も全て訓練弾に交換
ファムとアネットも参加する。気を引き締めないと
「プロペラントタンクは全て外しますね、模擬戦の場所が森林地帯を模した演習場で行われますからね~」
ニッコリと笑みを浮かびつつ整備兵は俺に向け言った。
「ああ、助かるよ。身軽になった」
その時だ、戦術機12機と輸送ヘリ1機が『ヴィリー・シュトフ』の飛行甲板に着陸した
「あれは…」
機体は……チボラシュカ8機とアリゲートル4機だ!
先頭の機体は紅い塗装を施されている
まさかとは思うが……シュタージのヴェアヴォルフ大隊!?
整備兵達はざわつき静寂な空気になりつつ口を閉じた
紅い塗装施されているアリゲートルの管制ユニットから1人の女性が降りてきた
同時に輸送ヘリから護衛2人と指導者らしき女性が下りる
ベアトリクス・ブレーメ………。
「あらあら?見慣れない男がいるわね」
話しかけられた、どう答える
挨拶だけしておくか、それが礼儀だからな
「自分はダリル・ローレンツであります。本日付けで第666戦術機中隊に配属されたばかりです」
蒼い髪型の女性衛士が俺に近づき話しかける
「ダリル・ローレンツ少尉か……」
「はい」
「貴様がここに配属したと報告は受けてないが……どういう事だ?」
ファムとアネットが飛行甲板に来てベアトリクスに敬礼する
「ブレーメ総帥閣下、今回はどのような件でここに訪問しに来たのでしょうか?」
「訪問?決まってるじゃない。そこにいるダリル・ローレンツという男の尋問を許諾したい」
尋問!?
俺が何したっていうんだ!
確かにこの義手と義足では目立ちやすい
まさかサイコ・ザクを……奪おうというのか?
「発言の許可を」
「許可する、何だ?」
「このサイコ・ザクは自分しか操る事出来ない機体です。自分の手足を犠牲にしてまで動き戦闘へ出られる……それがサイコ・ザクという機体なのです」
蒼い髪型の女性衛士は驚愕しつつ目を細める
「貴様のその手足……四肢切断しないと動けない機体か……すまないがそんな機体は乗りたくないよ」
ドン引きされた。
「成る程ね、貴方しか動かせない機体となれば、その技術を入手し動かせる衛士を増やせばいい」
「申し訳ありませんが…」
サイコ・ザクは俺しか動かせない。
これは事実だ
だからと言ってこの世界で似たような機体を作るのか?
不可能だ
「そのサイコ・ザクは量産に向いてない機体です。四肢切断を積極的に希望するものはいないと思います」
「そう、残念だわ。南朝鮮に貴方が乗ってる機体と似たようなの飛んでBETA駆逐していたと情報があった。これについてどう説明するのかしら?」
不敵な笑みを浮かべ俺の顔を見ている
何をしようとしているんだ?
「そういえばインペリアルガードとの交流模擬戦だったわね。私の優秀な部下の1人、カタリーナを貸してあげる」
お断りだ
いや、戦力の要の一つとして力を借りる価値がありそうだ
どうでる?ファム
「その話は誠に有難いのですが、お断りさせて頂きます」
「3機で挑むつもり?相手は衛士候補生とはいえ、甘く見たら痛い目に遭うわよ」
とベアトリクスは注意喚起をする。
真顔だ
「総帥、私も模擬戦に参加させて頂きます。相手は衛士候補生であれ技術次第で我らの敗北は」
「敗北は許されない、西と東の交流とはいえ……これは良い機会だわ」
良い機会?
どういう意味だ。
俺は疑念を抱きつつ丁寧な口調でベアトリクスに嘆願する
「俺も戦術機に乗らせて頂けないでしょうか?ブレーメ総帥」
「ダリル君、貴方は……」
ファムは俺の腕を見て心配そうな表情を浮かべる
「負けられないんだ、理不尽な戦いを挑むこそ自分の戦いだ」
問題は操縦できるかだ。
「管制ユニットに入って動かすのは無理よ、普通ならね」
普通なら?
何を企んでいる?しかし……。
「バラライカのパーツを利用し、サイコ・ザクにバラライカの皮を被せる」
サイコ・ザクのコクピットを戦術機の管制ユニットとして取り換える
そう来たか
アネットだけはピンと来ず、ただ正直何が何だかわからないと思った。
「え?何言ってるか分からないけど……」
試してみる価値はある
「……それが可能ならば、乗らせてください!」
俺は承諾した。
「では早速皮を被せる作業始めるわよ。今日中に間に合わせろ……ニコラ」
「ハッ!」
「叩き潰してやるわ……相手が訓練生だろうと関係ない。絶対に勝ち取りなさい!」
勝たなければ粛清か
何とも言えないな
「はい、勿論です!」
そして俺は、準備に取り掛かった。
悠一Side
斯衛軍某演習場
《ではこれより、対人類戦略演習を開始する。状況を開始せよ!》
《篁候補生、了解!》
《能登候補生、了解!》
《甲斐候補生、了解!》
《石見候補生、了解》
「此方、豊臣だ。了解したぜ」
返答を最後に、真田教官との通信が途切れる、今回の演習の付加要素の一つに、両陣営の壊滅が選択されている関係上、これ以降演習終了までの間真田教官との通信は無い。と、索敵作業を継続しながら、余裕がある表情してる俺の声が通信に割り込んできた。
「相手は東側の連中だ、訓練生だからと言う理由で負けたら真田教官が黙っちゃいないぞ」
《はい!》
良い返事だ、唯依
俺はウォークマンにカセットテープを入れ、曲を流す
「良いねぇ、盛り上がる曲だな『ジャイアントステップス』は」
リズム感で跳躍ユニットを噴出し俺が乗るサブアームに追加装甲2つ装備してる瑞鶴壱型はゆっくりと飛行し始めた
「行くぜ!ついて来い」
唯依達も俺について行くように飛行し始めた
恭子Side
「始まりましたね」
「ええ」
私は唯依達の模擬戦を望遠鏡で眺めつつ見守っている
「さて、如月中尉。この模擬戦の結果はどうなると思って?」
「まだ分からないですね……」
ヘッドセットから聞こえる唯依達の声が響く
《和泉、来るよ!》
《うん……!》
《相手も本気で来る……緊張するな~》
呑気にジャズを聴いてる豊臣少尉は……。
《近づいてくる……よぉし、俺が殿を務める!》
ちゃんと務めてるじゃない
やれば出来る衛士ね……。
「そろそろ来ます」
「ええ、私達は傍観しましょう」
良平Side
《跳躍ユニット良好、マニピュレーター異常なし、メインカメラ作動良好、網膜モニターは異常なし……バイタルも問題ないな》
「お疲れ様です、ミヒャルケ少佐」
俺は欺衛軍と東欧州社会主義同盟の交流模擬戦に参加しサイコ・ザクにバラライカの皮を被せた機体に乗っていた。
ファム、アネットはラーストチカ
ニコラはベアトリクスがかつて専用機として使用した紅いアリゲートルに乗っている。
《ダリル少尉は幽霊の存在を信じているのか?》
?
「幽霊……ですか?」
《ああ、私がまだ副官だった時、イングヒルトにもし私が死んで幽霊として現れたらどうするんだって聞いてみたんだ。それでイングヒルトが泣きながら怒ったんだ…『そんな不吉な事言わないでください!私、大尉がいなくなったら悲しいです…』と言われたんだ》
《アンタさ、イングヒルトに何話したのよ?》
アネットは会話に割り込む
《で、その…何だ?かつて東ドイツの激戦区でBETAにやられた衛士達の顔を浮かんでその幽霊達が見えないのかなって》
「自分は見えませんよ、少佐」
《良かった……それにしても酷いよな》
ニコラは思っていないことを俺に言い向ける
《旧式のバラライカの皮を被った機体に乗せられるなんて…ブレーメ総帥の考えは理解してるつもりだ。高性能、高出力の機体に乗りたかったんだろう?》
「スナイパーに機動性や性能、出力は関係ないですよ。例えバラライカだろうとチボラシュカであろうとアリゲートルであろうとどんな機体に乗っても自分は敵機を撃墜していく。それだけですよ」
と俺はニコラに向け優しい笑みを浮かべつつウォークマンにカセットテープを入れ、曲を流す
《呑気に音楽聴くとは随分余裕な表情してるな、私はそろそろ行くよ。ではご武運を》
ニコラ機はここから立ち去ろうとするがアネット機に止められる
《アンタも行くのよ、何自分だけ逃げようとしてるの?》
《え?だって機体傷付けたくないから…》
《何の為にここにいるのよ!馬鹿指揮官》
《貴様!態度を改めろ》
楽しい痴話喧嘩だ。
俺はスコープで欺衛軍の機体の位置を確かめる
ん?機影が見えた
数は5
あれは……撃震と先頭にいるのは白い瑞鶴
追加装甲2つサブアームで取り付けてる……まさか
「ファム、アネット。近づいてくるぞ!」
俺は突撃砲を構え砲撃準備を整える
《私についてこい!》
ニコラが勝手に前へ出て突撃砲を握り構えペイント弾で射撃
しかし唯依機はそれを躱す
「和泉、撃ってきたわ!」
《砲撃許可を》
《許可する、全機兵器使用自由!》
ニコラ機は唯依機を狙い突撃砲で発砲しつつ最大全速で接近
《我々を見縊るな!》
だが、和泉機の砲撃に当たり脱落した。
《当てられただと!?》
《あーあ、一人で勝手に前へ出過ぎるからだよ》
アネットは呆れ顔になる
アネット機の前に和泉機と安芸機が接近してくる
「アネット、前だ!」
《え?》
和泉機と安芸機は突撃砲を握り構えアネット機の右肩部分と左肩部分がペイント弾で当てられる
《嘘!?当てられた!?》
「管制ユニットは当てられてないから大丈夫だ!反撃するぞ!」
俺はアネット機のフォローしつつウォークマンに入ってるカセットテープを入れ替え別の曲を流す
「遠ざかる雲を見つめて♪まるで僕たちのようだねと君がつぶやく♪見えない未来を夢見て♪…」
《……!》
メロディを載せて歌いながら突撃砲で志摩子機をペイント弾に当てる
管制ユニットに直撃した
志摩子機は脱落した
残りは4
「ポケットのコインを集めて♪行けるところまで行こうかと君がつぶやく♪見えない地図を広げて♪」
余裕持ちつつ次の標的を……安芸機を狙いペイント弾で当てる。
安芸機も脱落だ
《うあッ!》
《こんのぉぉぉぉっ!》
アネット機は突撃砲を握り構えながら和泉機にペイント弾で管制ユニットに向け当てる
《きゃぁっ!》
和泉機も脱落
残り2!
「悔しくて 零れ落ちたあの涙も♪瞳の奥へ沈んでいった夕日も♪目を閉じると輝く宝物だよ♪」
《風に吹かれて消えてゆくのさ♪僕らの足跡♪風に吹かれて歩いてゆくのさ♪白い雲のように…♪》
アネットも便乗して歌い始めた
唯依機は俺の機体に目掛けて突撃砲でペイント弾を放つがそれを躱し返り討ちする
《!》
唯依機は脱落
残り1だ!
「風に吹かれて消えてゆくのさ♪僕らの足跡♪風に吹かれて歩いてゆくのさ♪白い雲のように♪白い雲のように♪白い雲のように♪…遠ざかる雲を見つめて♪まるで僕たちのようだねと君がつぶやく♪見えない未来を夢みて♪見えない未来を夢みて♪白い雲のように……♪」
これではシンフォギアみたいだな……。
歌いながら戦うのは
しかし残り1機となって高揚感掲げたが、悠長してる暇はなくなった。
あの瑞鶴……速い!
アネット機に接近し突撃砲を握り構えペイント弾を放ったがそれを躱し返り討ちにしようとするが追加装甲2つサブアームで保持している白い瑞鶴は躱した
《速い!あれが日本の戦術機……》
白い瑞鶴は追加装甲1つ放り投げアネット機に当てる
更にもう1つも放り投げファム機に当てる
《おい、脳筋女。ジャズが聴こえるか?お前を……脱落させに来たぞ!》
ジャズを流しつつアネット機に向け突撃砲で猛攻撃
模擬戦だぞ
アネットは恐怖を襲われる
顔面蒼白だ
《ひぃっ!ファム姉、何処にいるの?早く助けてよ!》
「アネット!下がれ!」
アネット機は模造長刀を握り構え白い瑞鶴に向け振り回しつつ当てようとするが躱され背後に……。
《え?》
「後ろだ!」
俺は突撃砲でアネット機を援護する
しかし、当てられない
《サイコ・ザクに別の機体の皮を被せても俺は誤魔化せないぜ、義足野郎!》
クソ!動力パイプが剥き出しだからバレたのか!?
ファム機は白い瑞鶴に向け突撃砲を握り構えペイント弾で当てようとするが躱される
《ほぉ、的確な距離を射撃するのは指揮官クラスの戦法だな…という事は間違いなくお前だろ?ファム・ティ・ラン!》
拙い、このままでは……!
俺は白い瑞鶴に向け突撃砲でもう攻撃仕掛けるが躱され接近しつつファム機に目掛け蹴りを入れる
《きゃっ!》
《ファム姉!》
白い瑞鶴は突撃砲を棄てナイフを握り構えファム機に目掛け管制ユニットに直撃し脱落される
ファム機は脱落した
《あとは頼むわね……》
「はい!(此奴……模擬戦なのに執拗的に攻撃仕掛けてくる)」
《瑞鶴壱型……それが俺が今乗ってる戦術機だ》
瑞鶴壱型!?そんな戦術機の名前聞いたことないぞ
《この瑞鶴壱型はただの戦術機じゃねぇ……性能、出力、速度を従来の瑞鶴に比べ3倍だ!》
「(こっちは戦術機の皮を被せたサイコ・ザクだ!勝負あったな……)敗北は許されない……悪いがここで終わらせる!」
俺は突撃砲を棄て白い瑞鶴……瑞鶴壱型にナイフを向け切りかかる
しかし躱され逆に瑞鶴壱型が接近しナイフで猛攻撃し受け止める
《やるじゃないか……義足野郎》
「くっ……いい加減に!」
俺はナイフを握り構え白い瑞鶴に切り込み管制ユニットに向け猛攻撃する
奴は脱落した
《何故だ!?何故勝てないんだ!?》
何故勝てない……か。
相手はまだ訓練兵で実戦経験はない、それ以前に悠一、お前は重武装に拘り過ぎだ
それがお前の敗因だ
この模擬戦の結果は東欧州社会主義同盟の勝利と結果になり、終了後両陣営との衛士と握手した。
登場人物紹介3
篁唯依
山百合女子衛士訓練学校に通う衛士候補生
譜代武家に生を受けた使命として、1日でも早く斯衛軍の正規衛士になれる様に志している。 代々武器拵の家系として将軍家に仕えてきた父を誇りに思い、父の開発した戦術機を鎧い戦場を駆ける日を待ち焦がれている。
好きな音楽ジャンルは和楽、ポップス
山城上総
山百合女子衛士訓練学校に通う衛士候補生。冷静で近寄りがたい雰囲気を常に纏っており、小隊メンバーとはおらず、一人でいることが多い。 外様武家でありながら数多くの衛士を算出しており、武に長じた家柄を背負って自身も衛士の任官を目指す譜代武家である唯依に何かと対抗しようとする。
好きな音楽ジャンルは和楽
甲斐志摩子
唯依の小隊メンバーである衛士候補生。
唯依とは一番付き合いが長い親友であり、登下校や学校生活において常に一緒に行動しているが、親友というよりは部下の様に立ち振舞っている。
尚、レズビアン気質がある
好きな音楽ジャンルは和楽、ポップス
石見安芸
明るく活発な性格で、ついつい皮肉を言ってしまうお調子者な衛士候補生。 唯依の小隊内の盛り上げ役で、話題の中心に立つ事が多い。講義に対して不真面目な面が目立つが、人知れず努力している努力家。
「死の8分」に強いこだわりを持ち、負けたくない相手がいる。
好きな音楽ジャンルはポップス
能登和泉
唯依の小隊メンバーの一人。 難関と言われる山百合女子衛士訓練学校に入れたが無事に衛士になれるのか不安に思っている。 斯衛軍に幼馴染の彼氏がおり、手紙や電話のやり取りを頻繁に行っている事を安芸によくからかわれている。彼氏との写真を入れたロケットペンダントを大切にしている。
好きな音楽ジャンルはポップス
蓮川
唯依が通う山百合女子衛士訓練学校の衛士候補生。訓練課程では山城
上総と同じ小隊に所属している。初めは唯依たちと反目しあっているが、
志摩子とは次第に仲良くなるが、訓練中に事故起こし退校する
好きな音楽ジャンルはポップス、ロック
次回はいよいよBETAが日本列島に侵攻しますよ!
そして窮地に立った悠一は僅かな期間でしか訓練受けてない学徒兵を香織と共に率いることになりフルアーマーガンダムを掛飛、帝都を死守できるか!?
次回のお楽しみに
因みに良平は暫く出てきません