日本帝国欺衛軍……別名:インペリアルロイヤルガード。又はインペリアルガード
俺は欺衛軍第16大隊の豊臣悠一少尉として転生し鬼姫と呼ばれる欺衛軍の女傑衛士、崇宰恭子と出会い何故かフルアーマーガンダムやサイコ・ザクの存在を知りつつ国の事実上のトップである征夷大将軍にはモビルスーツの存在を隠蔽していた。
そして義足野郎は東欧州社会主義同盟という組織におりそれだけではない、なんと第666戦術機中隊のファム・ティ・ランとアネット・ホーゼンフェルトまで親睦深め仲良くなってやがる!
少し羨ましいぜ……義足野郎の癖によぉ!
あれから何か月経っただろうか……?
そんなある日、信じられない出来事が起きた。
重慶ハイヴから東進した大規模BETA群が朝鮮半島に侵攻
国連軍と大東亜連合軍の朝鮮半島撤退支援を目的とした作戦を掲げた。
光州作戦
脱出を拒む現地住民の避難救助を優先する大東亜連合軍に彩峰中将が同調し協力したため、結果的に国連軍司令部が陥落。指揮系統の大混乱を誘発し国連軍は多くの損害を被った。国連は日本政府に猛抗議し、彩峰中将の国際軍事法廷への引き渡しを要求。国連の要求に従えば軍部の反発は必至、逆らえばオルタネイティヴ4が失速すると考えた内閣総理大臣榊是親は、最前線を預かる国家の政情安定を人質に、国内法による厳重な処罰という線で国連を納得させた。それに先立ち榊首相が彩峰中将を密かに訪ねた際、日本の未来を説き土下座する榊に対し彩峰は笑顔で人身御供を快諾。帰路の車中、榊は彩峰の高潔に心打たれ、静かに涙したという
韓国国民は済州島へ疎開し避難したが全員とは言えない
北朝鮮は南沙諸島に国民を疎開しつつ軍関係者が多く移住したが一般市民は少なかった。
そしてBETAは北九州に上陸
遅れて中国地方日本海沿岸部に散発上陸したBETA群に挟撃され、本土防衛軍西部方面部隊が壊滅。約1週間で九州、四国、中国地方が制圧される。事前の想定では四面を海に囲まれた四国の戦力が側面から戦線を支える想定であったが、あまりに速いBETAの侵攻に本州と四国を結ぶ巨大橋群の爆破が成らず、地続きと同様の浸透を許した。対馬、佐渡以外の沖縄を始めとする島嶼部はBETAの上陸を免れ、西日本占領後も前線基地として機能し続けた
西日本は失陥
舞台は帝都である京都に迫りつつあった……。
「BETAが北九州に上陸した?」
恭子は黒い軍服を着た兵士と話していた
俺は側近である佳織の隣にただ立っていた。
「ええ、中国、四国もBETAに」
「墜ちた……というのか」
BETAが帝都に……。
欺衛軍司令本部執務室の扉を開き慌ただしくなってる別の黒い軍服の兵士が恭子に現状報告する
「報告します!舞鶴と神戸を結ぶ帝都前面に3軍共同の防衛線を構築することをたった今上層部の方針で決定し訓練を繰り上げになった学徒兵も参戦させる模様です」
学徒兵!?
唯依達が戦線に出すというのか
「それは本当なの?」
「ええ、斑鳩少佐も黙ってはいないでしょう。何せ帝都が侵攻されるのが誰だって嫌ですからね」
マジかよ……。
俺は険しい表情しつつ恭子の顔をじっと見た。
当然のことだが義足野郎は今頃…自分だけ安全なところに逃げやがって……!
自分の意見をはっきり言うべきだ
このままでは……2人が。
「俺も参加させてくれ!」
「え?」
恭子は俺の一言で困惑してる
それもそうだ
俺は恭子の為に何かを成し遂げていない
このままだと振り向いてくれないだろう
「豊臣少尉…お気持ちは有難いがこれは私達の戦いだ。貴様の出番はない」
待ってくれ佳織、何故そんな風に俺を除け者扱いするんだ!?
俺だって、お前の役に立ちたいんだ!
「頼む!」
俺は恭子の前に腰を低くし頭を深く下げる
「……分かったわ、貴方も帝都防衛戦に参加を許可します!」
やったぜ!
「恭子様!何をお考えなられてるのですか!?」
「これは私の独断であり上層部の判断ではないわ。責任は私が取る」
恭子は断言し険しい表情になる
佳織は納得いかない様子だが、俺の顔をぎっと睨み付ける
「如月中尉と唯依達の他に多数の学徒兵の命は貴方に賭けたのよ?全員生き残る事は難しいけど少数の未来誇り高き衛士の命を救う事は出来る」
俺に預けた……のか。
「やはり瑞鶴で出撃を?」
と俺は言って、佳織はこう言い返す
「そうだ、私が率いる中隊はまだ実戦経験なく訓練をあまり積み重ねていない学徒兵ばかりだ。構成がそうなっている。貴様の瑞鶴は今調整中だ」
「そう、ですか…」
「フルアーマーガンダムで出撃するのだろ?なら貴様が乗った瑞鶴は自動操縦に設定し出撃させればいい。追加装甲2つとサブアームは外させて貰う」
その方が妥当な判断だ。
「良い案ね、如月中尉の案は採用するわ」
「有難き御言葉を感謝します」
……。
嵐山基地で保管している瑞鶴約12機を実戦に出す。
そして基地内にある戦術機が全て出撃したらフルアーマーガンダムを防衛戦に出しつつ佳織率いる中隊の後方支援射撃
俺は予備戦力扱いだ。
佳織が俺に近づき肩をポンと叩き歴戦の衛士みたいに凛々しい表情で話しかける
「恭子様に認められたい……その気持ちが私より強い想いがあるのであれば、足手纏いにならず攻めていけ」
ああ、分かってる…分かってるさ
「崇宰大尉、感謝します。如月中尉と数多の学徒兵の命……守り抜きます!」
俺は決意した
BETAのクソ野郎どもを一匹残らず殺すと!
「モビルスーツの存在は既に唯依達に知られているわ。殿下もそのうち知ることになる……隠蔽は不可能になった今これは好機かもしれないわ」
成る程、既に知られてしまったのか
隠しようがないな
「私は別件があるから本部に残る」
恭子は執務室から退室
そして俺は嵐山基地へと向かい出撃準備するため事前にフルアーマーガンダムの最終調整へと基地内にいる整備兵と一緒に実行した
1998年7月14日
日本帝国帝都 京都嵐山補給基地
嵐山基地に総動員した佳織率いる中隊は殺伐と含み気迫感があり数多の学徒兵の前にまじめな表情でこう言い放った
俺もここにいる
白い軍服姿でだ
因みに白い軍服を身に着けてる欺衛軍衛士は一般武家……又は外様武家の象徴と言える
「貴様らの任務はこの補給基地の死守にある!実戦経験のない、ましてや教練も満足に終えていない貴様達学生が前に出ても正規部隊の足手纏いになるだけだ!!」
そうだ、此奴らも訓練は終えていないヒヨッコばかりだ。
満足に戦えない
俺は真顔になり口を閉じ黙った
「今はここを守る事だけを考えろ!!」
「「「「「「「「はいッ!!」」」」」」」」
ハッキリと大きな声でここにいる学徒兵は返事をした。
学徒兵とはいえ、まだ子供だ
そこまで戦力不足してたのか……。
「解散する前に我が中隊の臨時次席指揮官の豊臣悠一少尉から御言葉がある!全員静聴!」
え?
おい、いつ俺がお前の中隊の次席指揮官になったんだよ。
勝手に決めるな!
お前が決める権限はないだろうが!
ん?待てよ。今中隊って言ったよな。
佳織の階級は中尉だから……臨時指揮官ってことかよ!
俺は佳織に右手を差し出し握手を求める
「何だ?」
「自分が次席指揮官に任命された今、やるべき事は山ほどある筈です」
胸を張らないとな
「貴様が今やるべき事は目の前にいる学徒兵に勇気づける言葉を贈る事だ。握手は後でいい」
堅苦しい……。
唯依達や他の学徒兵は困惑している
仕方ない、やるか
「……我々、欺衛軍ファング中隊は防衛線の先鋒として、2030に作戦行動を開始する。ここは補給基地である以前に最終防衛ラインであり死守しなければならない…BETAの侵攻を阻止し、BETA群へフルアーマーガンダム、もしくは如月中尉が乗る瑞鶴を無傷で導くとこがお前達の任務だ。お前達は俺や如月中尉の盾になれ。俺は途中の散発的な戦闘には加わらない。小型種の相手はお前達に任せる。それらの任務は温存した火力でBETA群を全て殲滅する事と…帝都にいる一般市民を避難させる事だ。ここは…BETAを一匹多く殺した奴が英雄と讃えられる異常な世界だ。平和な日常とのギャップに悩む奴が多いが…志願して、望んで戦争をやりに来るバカもいる…モビルスーツや戦術機って巨大兵器を自在に操る快感に魅せられ、戦場にいくしかない鈍い輝きが見たくて極限まで死の淵へ近づく…そんなろくでなしの集まりなのさ。どいつもこいつも…巨大な力を持つことを望み、巨大な破壊を見たいと望む。BETA大戦を終わらせる為の作戦を立てては戦い続ける…そんな無限ループは きっと永遠に終わりゃしない。プレイヤーは入れ替わっても、戦争って名のセッションは永遠に続くのさ。どんなに耳を塞いでも逃げられやしない……」
そうだ、逃げられやしないんだ。
ここにいる唯依達や他の学徒兵だって現実を突きつけられ思い知ることになる
「俺はモビルスーツが好きだ。そしてこの世界に生まれて戦術機という人型兵器が好きになった。戦場を駆けるのも。どうしようもなく好きで 全身が沸騰する程好きだ。こいつがどれ程業が深く罪深くても知ったことか。俺を縛るしがらみの全てにケリを入れて…地獄に落ちる最後の瞬間まで自分の命を懸けて戦い尽くしてやる」
俺はここにいる学徒兵の前に訓示を読んだ。
「……あばよ、同じ消耗品の学徒兵の皆、未成年だろうと関係ねぇ、生き残ったら、共に乾杯だ!」
俺の訓示を聞いた学徒兵は感涙し佳織は俺の顔をじっと見るが表情は小さな笑みを浮かんでいた。
上総だけは冷静に振舞い小さな笑みを浮かんだ。
そして、本格的にBETAとの戦闘は始まった。
何時間経っただろうか?
俺は不安を募りつつある
無事生き残れるか?学徒兵を全員無事守れるか?
佳織を傷一つ付けさせず守り抜けるか?
大きな不安が俺に襲い掛かってくる
不安を募り悩んでいる時に、俺の部屋にある無線機で恭子から無線交信してきた
《事態が大変なことになったわ、BETAの先頭集団が突出し鷹ヶ峰付近まで迫ってる!》
マジかよ……まだ出撃前なんだぞ
「おい、それじゃ準備整えず出ろって事か!」
恭子は口を閉じ黙り込む
《……》
「黙ってないで何とか言えよ!」
《気になるなら外の様子見に行ったらどうかしら?》
俺は無線機のヘッドセットを放り投げ、部屋から出て行って基地の屋上に行き外の様子を確認した
そこから見えたのは、山奥に火が燃え上がっていて防衛線が次々と食い破られた光景だ
ボロボロになった撃震が基地に帰投しようとした次の瞬間、カカッと光って2機の撃震が管制ユニットに貫いた
もうここは最前線だっていうのかよ!
顔面蒼白となった俺は食事には手つかず自室に籠った
しかし長く籠るのはBETAは許してはくれなかった
基地中に警報音が鳴りアナウンスが流れる
《コンディションレッド発令!全衛士は格納庫に行き戦術機の搭乗を急げ。突出したBETA群、当基地の西10kmにまで接近中。コンディションレッド発令!全衛士は格納庫に行き戦術機の搭乗を急げ!》
「……チッ、急がねぇと」
ともかく俺は急いで更衣室に行ってパイロットスーツに着替え佳織や唯依達の戦術機が保管されてる格納庫ではなく別の格納庫に行きフルアーマーガンダムに乗り込む
俺が模擬戦の時に乗った瑞鶴壱型は自動操縦に設定しており佳織率いるファング中隊が嵐山基地から全機出撃した後、後からついていく
正規軍の戦術機は既に取り払われている
ここにいるのは多くの学徒兵と僅かに残る正規の衛士だ。
小型ラジオの電源を入れそれを機器の上に置き落ちないようにガムテープを貼る。
周波数を合わせ海賊放送の番組で『チュニジアの夜』が流れてきた
「ん~、これも盛り上がる曲だな、『チュニジアの夜』は。天下一品の美しさを持つ崇宰恭子大尉がこれを聴いたらすぐに惚れるぜ」
俺は自分を自惚れ根拠もない発言をする
しかし、オープン回線繋がったままか、駄々洩れだ
《豊臣少尉……余裕ある態度だな》
「こうでもしないと集中できないんですよ、如月中尉」
《はぁ、ジャズを聴くのは自由だが学徒兵の皆に変な事言い出すな。全部聞かれてるぞ》
《良い曲ですこと、私には性に合いませんわ》
山城上総……ジャズの魅力を感じないのか?
まぁいいさ、あの山城家のお嬢様だ
大人になれば分かるぞ
《恭子様に期待されてるから、貴様の事は一応信じる》
一応ってなんだよ!一応って!
《先に出撃する》
ファング中隊のオープン回線は切れた
自分の大義を果たすには、信頼を得なきゃな
俺は操縦桿を力いっぱい握り締め整備兵5名がフルアーマーガンダムの整備点検や補給を終えると格納庫から退避し誘導員が斜めに上げた両腕の肘から先を、内側に曲げ伸ばして振りフルアーマーガンダムをゆっくりと動かし歩き始めカタパルトに接続する
武装もシールドも問題ねぇ
あとは駆逐するのみだ!
《システム良好!フルアーマーガンダム、発進してください》
女性CPの声を聞いて俺は誇らしい顔で返答する
「豊臣悠一少尉、フルアーマーガンダム出るぞ!」
ブースターを展開し噴出しつつフルアーマーガンダムは嵐山基地から離れBETA迎撃に向かう
《第1小隊は補給コンテナから弾倉を装填する!第2小隊、前を任せるぞ!》
《ファング2、了解!》
《よし、基地の面制圧が効果を発揮している。新任どももこれまでのところは順調、何とかなりそうだな……》
あれがBETA……あれが敵……。
「おい、ガキ共!分かってると思うが、今は目の前にいる敵の殲滅に集中しろ!でないとやられるぜ」
隊列を乱さず、ファング中隊の中隊長、如月佳織中尉が乗る瑞鶴の速度を合わせフルアーマーガンダムは2連ビームライフルと大型ビーム砲を同時発射し小型種である戦車級を無視し突撃級や要撃級などのBETAを駆逐する
そして唯依が乗る黄色い塗装を施した瑞鶴は突撃級の突進を噴射跳躍で交わし、装甲殻のない背部を36mm砲弾を放つ、これまでの訓練で鍛え上げた結果なのか実戦に慣れようとしていた。
志摩子が乗る白い瑞鶴は大声で叫びながら36mm砲弾を突撃級に向け放つが弾き返される
「チッ…」
俺は舌打ちをした
《訓練を思い出して志摩子!!》
唯依、ナイスフォローだ
「突撃級が来るぞ!噴射跳躍しろ!」
俺は志摩子に指示を出す
志摩子は今までの訓練を思い出し突撃級の背後に回り装甲殻がない部分を36mm砲弾を放ち駆逐
《や、やった……やった!》
空中に舞い上がった志摩子機は立て続けにBETAに砲撃を加える
地面に降りてくるのを忘れてしまったかのように。
《駄目だよ志摩子!早く降りて!光線級が……!》
レーザー照射しようとするBETAがいる
光線級か……!
《やったよ唯依!私はお荷物なんかじゃない!私は…》
目の前の光景が目の当たりにする。
《何をしている、早く高度を下げろ!!》
佳織の怒号が響き志摩子に注意喚起するが肝心の志摩子はまだ舞い上がってる
「馬鹿野郎!何やってるんだ!早く高度下げろ!」
《唯依、私はお荷物なんかじゃないよね!?》
俺達が口々に叫ぶ警告が聞こえていないかのように、空中を舞い続ける志摩子。
通信機を通じて、光線級の初期照射を示す警報が聞こえている
対レーザー塗膜の効果を以てしても、あと数秒で志摩子の機体は……。
《駄目、志摩子ーーーーーーーッ!!!》
唯依の叫びは志摩子に届くはずだが彼女は気づいてなかった
《え?》
「チッ、馬鹿が…これでも喰らいやがれ!」
俺はランドセル左肩部に装備してる6連装ミサイル・ポッドに収納してる多弾頭ミサイルを射出
次の瞬間、空気をプラズマ化させる轟音と共に閃光が閃き、そして静寂に戻った
「光線級は殲滅した、甲斐少尉。早く降りろ!焼かれたいのか!?」
《りょ、了解!》
志摩子機は素早く高度を下げる
しかし、まだ終わりではなかった。
《うああああああああああああっ!?》
《安芸っ!?》
先程から小隊から突出して攻撃を繰り返していた安芸が、ついに逃げ場を失い要撃級の一撃を受けた
ダメージはそんなに大きくはないが駆動系がイカレちまった。
安芸の瑞鶴はその場から動かない。
ったく面倒事増やしやがる。
《安芸、早く立って!》
《…やったよ、唯依…》
《安芸…?》
この状況で不自然に穏やかな声を発する安芸、何かがおかしい。
《やったんだよ!死の8分を乗り越えたんだ!私達は》
目を見開いて歓喜の声を上げる安芸。
歓喜してる場合か!?
プシュッ
自分の首筋に、鎮静剤が流し込まれるのを感じる。
薬の効果で落ち着いて、唯依はもう一度声をかける
《安芸、落ち着いて。とにかくそこから動いて》
《はははっ……やった……これで彼奴の…》
要撃級が迫り振り上げられる前腕、間に合わない。
………させるか!
放っておいたらあのテオドールっていう男と同類になっちまう
恭子との約束を破るわけには……いかないんだ!!!
俺はトリガーを引き2連ビームライフルで要撃級に向け連射
「俺は約束したんだ!お前らを1人残さず生き延びて帰らすって!」
左腕部に装備したロケット・ランチャーを5連装連射
モニターをじっと見て他のBETA属種は何処にいるか確認する
レーダーに探知され重金属運の影響でよくわからないが数がうじゃうじゃといる
「あんな数じゃ学徒兵でも処理できないぞ」
シルエットが見えた…あれは、また突撃級か!?
……やるしかない!
「火力がある大型ビーム砲なら!」
大型ビーム砲を突っ込んでくるBETA群に向け砲撃
《……あれがモビルスーツの威力か……》
佳織は驚愕する
そりゃそうだろうさ。
唯依機が突っ込んで長刀で近接戦闘に挑み突撃級の背後に回り切り刻む
「よし、周辺のBETA駆逐は完了した。救助部隊は学徒兵の救助にかかれ」
《凄まじいですな、この新型の性能は》
「ああ、単機でここまで戦えるとは(豊臣少尉……ちゃんと私の約束守ってくれたのね)」
《もう少し早く量産できていれば、我らが国土をここまで侵される事もなかったでしょうに》
「言っても詮無き事だ。それより今は1人でも多くの学徒兵を救助する。それが未来へ希望を繋ぐことになるのだから」
《ハッ、失礼しました崇宰大尉!》
試製98式戦術機……これが後に武御雷という名の戦術機の基礎だ。
蒼い塗装を施されている
他に白、赤、黄色等の機体がいる。
秘匿回線が繋がる
《崇宰大尉、少しいいかい?》
「これは斑鳩少佐……はい、今は小休止中です」
《其の様子だと貸与した機体は、活躍出来ているようだね》
「はっ、試製98式、聞きしに勝る壮絶なものです!本当に……心から感謝します。この機体で多くの命が救えます」
恭子は凛とした表情で斑鳩少佐とやり取りする
まさに鬼姫って感じだ。
《それはよかった。まだ私案だが、試製98式は「武御雷」の名を与えたいと考えてるよ》
「成る程、まさしく武神の名に相応しき戦術機かと」
《ところで、学徒兵の救助と並行して、君に託したい任務がある》
「はっ、如何なる任務でありましょうか?」
《亀岡戦域で孤立しているファング中隊……これも学徒兵部隊なのだが、帝国海軍による面制圧とBETAの侵攻とに挟まれ窮地にあるようだ。そう言えば……ファング中隊には篁家の息女が配属されていたね》
「…直ちに救援へ向かいましょう」
《このファング中隊と行動を共にしている正体不明の戦術機がいるみたいでね。君にはこの正体不明機の情報収集を頼みたい》
恭子は「承りました」と返答し亀岡戦域で孤立している佳織率いるファング中隊の救援を向かう
《……まさか、全員無事に敵中突破を成功させるとはな……正直驚かされたぞ》
「とんでもない、アンタの指揮能力が発揮したから皆全員生き残ったんだ。俺はそれを手伝ったまでさ」
ホント、あれはきつかったぞ。
次々と突出してくるBETAがいたからな。
そのおかげでエネルギーは激しく消耗しちまった。
《そう言って貰えるならば、私も気が楽になる》
火力の差だよ、火力
まぁ、全員生き残ったのは奇跡としか言いようがない
1人でも見捨てちまったらテオドールと同類になるところだった。
《くくっ……妙な機体をよく扱えたな、豊臣少尉》
「まぁ、お褒め頂き感謝します」
そうは言ったが、まだ油断出来ねぇよな
《詮索するつもりはない、貴様が乗ってる機体は特殊なモノだと察している》
そんな感じ……かな?
俺が乗るフルアーマーガンダムは重装甲であり火力が半端ない代物だ。
この世界でも似たようなものが作られるのか?
いや、ないと言って等しい。
作られるわけがない…普通は。
ん?何だ、この戦術機は…色が青、白、赤、黄色の4色
「友軍機だ、救援に来たぞ」
俺は少し安堵な表情になる
《此方は帝国欺衛軍の崇宰大尉だ!》
恭子、来てくれたんだな……。
《ファング中隊指揮官、如月中尉です!》
あれ?おいおい2人共、何かよそよそしい態度になってないか?
そういえば義足野郎があの戦術機について語ってたな
回想を振り返る
それは欺衛軍訓練生と東欧州社会主義同盟の交流模擬戦が終わり別れ際に会話した時のことだ
(お前、武御雷は知ってるか?)
(タケミカヅチ?何だそれは)
(はぁ、聞いて呆れるよ。何でこの世界に来たんだって俺は心底呆れるよ)
何だと、義足野郎の癖に!
しかし、俺はこの世界の事は当初何も分からなかったのは確かだ。
(武御雷という戦術機は欺衛軍の運用を想定した特注の機体、所謂スペシャリティな高性能を誇った戦術機だ。頭部から見れば武将様の兜を訪越している。今までの戦術機とは比べ物にはならない)
普通の戦術機とは比べ物にならない程のハイスペックな機体なのか
少し気になるぜ
(で、以前はベアトリクスと崇宰大尉が戦ったらベアトリクスが勝つと俺は答えた。が、もしベアトリクスの機体より強い戦術機で挑んだら?)
(ベアトリクスのアリゲートルより強い戦術機?そんな機体あるのか)
(ある。アリゲートル、いやラーストチカよりもっと強い戦術機が)
それが武御雷か
(そうだ、崇宰大尉が瑞鶴から武御雷に乗り換えたらどうなる?)
(そりゃ、恭子が勝つだろうさ)
(悪運が強いお前がこう答えると思わなかったよ)
(で、これからどうするつもりだ?)
(日本海経由でカムチャッカに移動し、ユーコン基地へ行く予定だ)
暫くはセッション出来ないのか
少し寂しいぜ
(そうか、これだけは言っておくぞ)
(何だ?)
(俺とお前は殺し合う運命だ。俺に黙って勝手に死ぬんじゃねぇぞ)
(ああ、分かってるさ、いつでも俺は狙ってるぞ)
回想終わり
俺はオープン回線で恭子や佳織、唯依等の学徒兵の前に義足野郎から教えられた戦術機の名を口にする
「武御雷だ!そうだ、思い出したぜ……一度戦ってみたいが、またの機会だな」
《なっ……!?》
《豊臣少尉……?》
思い出させたらスッキリしたが、何故か疑いの目が俺に?
俺、何かヤバそうなこと言ったのか?
恭子、その怖い顔やめろよ!
《何故その名前を知っている?豊臣少尉!》
え?
嫌な予感が……。
《答えなさい!何故武御雷の名を知っている?》
おいおいおいおいおいおいおいおい、滅茶苦茶怒ってるじゃないか!
ヤバいぞ、これは!
「結構有名じゃないですか!ほら日本神話に出てくる神様の名前ですよ。その最新鋭機、実に素晴らしい!見事です!脱帽しましたよ!ははははは…」
笑って誤魔化す俺は恭子の顔を見る
《我らを愚弄しているのか?その名を口にできるのは限られた者のみ。何処からその情報を得たのか?》
地雷踏んじまったか……勘弁してくれよホントに。
《答えよ!答えないとあらば……!》
「すまねぇ、俺資料室でアンタがいつも持ってる資料の中身見ちまった!」
これなら疑いの目は晴れる
《嘘を吐くな!正直に答えろ!》
くっ……俺を北の工作員扱いにするのか!
これでは売国奴扱いじゃないか!
《答えなさい!何故この機体の事を知っている!?何処で知った!?》
「だからアンタが常に持ち歩いてる資料の中身を見たとさっき言ったばかりだろうが!」
《どの資料だ!?》
「そ、それは……」
口籠っちまった……どう言えばいいんだよ!
《何故口籠る!?貴様……》
「……俺はアンタの約束を果たした!学徒兵も全員無事だ!生き残ったんだ!!何故俺を疑うんだ!?お前こそこの機体を征夷大将軍殿下に報告せず存在自体を隠蔽した奴が言う事か!」
《……》
「……一度アンタと戦ってみたかったそれを敬意に表して相手になってやる!崇宰恭子!!」
俺は恭子が乗る試製98式に目掛け2連ビームライフルを向け砲撃しようとした次の瞬間、唯依機が恭子機に近づき仲裁を試みる
《お待ちください!恭子様っ!いえ、崇宰大尉!》
《唯依!?》
《大尉、豊臣少尉は何かしらの理由がある筈です!お引きください!》
《……唯依、貴女こそ引きなさい!これは大尉として、貴女の上官としての命令よ!》
《上申します!今は日本人同士で戦ってる場合ではありません!豊臣少尉は私達を命がけで助けてくれました!今前線から下げる事は帝国の益になりません!》
《彼は工作員の疑いがあるのよ!前線に置くわけにはいかないのよ!》
喧嘩し始めたぞ
これが鬼姫と篁家の跡継ぎ娘か
《それが間違いだと申し上げているのです!彼は工作員ではありません!我らと同じBETAを敵とする日本人です!》
一歩引き下がらない姿勢でいる
篁唯依……最初はただのヒヨッコの娘だと思ったが大和魂誇る娘だ。
《最早、問答は無用です!己が正しさ、刃で証明なさい!豊臣少尉もよ!!》
話し合いは成立ならずか……。
「ならこのフルアーマーガンダムとアンタが言う試製98式、どっちが強いか……」
もう自棄だ!
徹底的にやってやる!
「確かめてやる!」
俺はフットペダルを思い切り踏み速度を上げ恭子機に近づきサブアームで捕縛する
《くっ…!どういうつもりなの!?》
「幾ら鬼姫である御方がこの様子じゃ真面に動けないようだな」
《貴様……!》
ビームサーベルを出し恭子機の背後に向ける
「終わりだ………」
このまま穴を開けようとした時、CPから通信が来た
《欺衛本部CPよりハイドラ1、京都駅方面にてBETAの大規模増援を確認、応援要請あり。急行されたし。繰り返す、京都駅方面にてBETAの大規模増援を確認、応援要請あり。急行されたし…》
チッ、運がいい女だ
《ハイドラ1、了解。至急応援に向かう!》
俺はビームサーベルを収納する
《とりあえず放してもらえるかしら?本部から応援要請が入ったわ》
「すまねぇ、今放す」
サブアームで掴んでる恭子機を外し解放する。
《個人的な喧嘩は一旦やめましょう、如月中尉!》
《ハッ!》
《ファング中隊に豊臣少尉の監視を命じます……後の事、宜しくお願いします》
《ハッ!》
《唯依……成長したのね。誇らしく思います》
《あ、ありがとうございます》
唯依を褒める恭子
俺は何か違和感を感じた
何だ、この扱いの差は?
恭子機は応援要請に従い、京都駅に向かい飛び去って行った
「一段落した……か(あとで色々言われそうだな)」
《向こうに補給コンテナがある、補給を受けたらここを立ち去り、貴様の任務を果たせ》
「果たせって……俺の監視を命じられたのだろ!?」
《さっきまでみんなを戦ってた私達に監視しろなんて……。逃がせって言ってるも同然だよ》
唯依は表情崩さず即答した
そういう事かよ!
《”宜しく”という意味がそれだ……と私は判断した》
成る程
「んじゃ、有難く補給受けさせて貰おうか?連戦の上に消耗しきったからエネルギーも随分と危なかったし」
ピピッ!
レーダーに反応
戦域データリンク?
この付近は……京都駅
嫌な予感がするな
「……総員傾注!各隊員は京都駅に向かうぞ。嫌な予感がする」
《嫌な予感だと!?》
《えっ!?どういう事!?こっちの戦域データリンクにはそんな情報は言ってないよ》
「俺が間違えてるというのか!?とにかくだ、このままだと被害が甚大になる!先に行くぞ」
俺はフルブーストで京都駅に向かう
《ファング中隊、全機京都駅に集結する!遅れを取るな!》
《了解!》
思ってたよりBETAの数が多い
それに京都駅に残っていた残存部隊も集結している
「(幾ら試製98式とはいえ、この数のBETAではキリがないぜ)」
レーダーに頼るしかない……反応がある筈だ
何処だ?何処にいるんだ?
「(見つけたぞ!)BETA共がぁぁぁっ!」
俺は戦車級BETA数十体に2連ビームライフルを向け砲撃
続いて唯依機が長刀で戦車級を切り刻む
《恭子様、大丈夫ですか!?》
《ええ…おかげで助かったわ……まさか貴女に助けられるとはね……。それと豊臣少尉にも……どうやら唯依の言う事が正しかったみたい》
「俺はお前を見捨てる訳ないだろ?それに誰かを見捨てるような事したらテオドールって男と同類になっちまうからな」
《ふふ…良い心構えね》
恭子はクスっと笑みを浮かべ俺を褒める
《私も、その気持ち、忘れずに居たいものね》
もう少し妥協しようぜ、恭子
褒められたのは非常に有難い
《まだ全てのBETAが片付いたとは限らないけど………。新兵中心のファング中隊は限界ね……そして私も》
全部片付くのは無理だろうよ
京都府全域にいる数の規模は…100万は超えている
俺が乗るフルアーマーガンダムは火力が高くてもエネルギーが無限にある訳じゃねぇ
限界が来る。
《ファング中隊は私と共に一旦帰投します》
まだ大丈夫とはいえるが、喧嘩腰で恭子と揉め合いしてる場合じゃないな。
「了解した、崇宰大尉」
《総員各衛士に告ぐ!これよりファング中隊は崇宰大尉と共に欺衛軍本部に帰投する!我に続け!》
俺達は恭子と共に欺衛軍本部へ帰投する
一方その頃、欺衛軍本部に帰投したファング中隊と崇宰恭子
彼女らの戦術機に残されたログが彼…斑鳩少佐の元へと届けられた
「…驚愕……と、言わざるを得ないね……」
届けられたログを全て見る時間的余裕は勿論なかった。
しかし、その極々一部だけを見ただけでも、その戦術機……ではなくモビルスーツ、フルアーマーガンダムが尋常ならざる物である事は十分に理解出来た。
「(これまで見てきた戦術機とは全く異なる機体……何処で製造しこの機体を施した?)」
問題なのは………。
「(試製98式の欠点、調達コスト、運用コスト、そしてメンテナンス性……もしその謎の機体と大差がなければ武御雷はその存在意義を失いかねない……捨て置けないな……この機体、BETA大戦の行く末に大きな影響を与えかねない…)誰か!試製98式……いや武御雷の着座調整を用意せよ!私が出る。それと正体不明の機体の現在位置の確認を!」
「ハッ!」
「上申し上げます!崇宰大尉が謎の機体と共に帰投しました」
突如現れた黒い軍服の兵士が斑鳩少佐の耳に近づき報告する
「ほぅ、それは真か?」
「ハッ、朝鮮半島に現れた謎の機体……斑鳩少佐は何処まで存じているでしょうか?」
「ふむ、深くは知っていない程度だ」
「崇宰恭子大尉の報告ですが、この機体の事をガンダムと呼びました故に」
斑鳩少佐は右親指に顎を上げつつ人差し指で鼻を触れる
「崇宰大尉が?私は聞いていないが」
「征夷大将軍殿下も知らずの情報でしたから……崇宰大尉は何かしらの御事情があって報告を怠ったと思います」
「そうか……でも崇宰大尉らしくないね」
「斑鳩少佐?」
「私の独り言だよ、気にすることはない」
長い長い……気が遠くなるような長い夜がようやく明けた
公式には斑鳩少佐の率いる部隊の活躍によりBETAの脅威は帝都から排除された……という事になったが、遂にフルアーマーガンダム、サイコ・ザクの存在が征夷大将軍に知られ公に知られてしまった
排除されたと言っても一時的な事だ
まだ油断はならない。
腑に落ちない話だが、何か事情があるだろう。
幸い、ファング中隊からは人的な被害が出る事はなかったが、一般人、衛士、軍関係者問わず多くの人々が野戦病院に担ぎ込まれていた。
帰投した基地の傍にある野戦病院
新たなる夜明け……か。
「あら、こんなところにいてましたの?」
山城の声が聞こえる
無視…は出来ねぇよな。
「おう、生還おめでとう…と言いたいところだがBETAからの脅威を排除したとはいえ、時期にここは陥落されるのは避けられねぇ」
「ですわね」
山城……いや上総は俺に向け優しい笑みを浮かべる
唯依の姿が現れ上総に話しかける
「山城さん…」
「長い夜、でしたわね。篁さん…いいえ唯依」
「うん…」
「やっと夜が明けましたわね、唯依」
「えっ?あ…うん、そうだね上総」
その後の事だが、帝都は京都から東京へと還都し10日後、京都は陥落
唯依は欺衛軍の正規の衛士になり恭子率いる部隊に配属された
安芸は欺衛軍の正規の衛士になったものの、戦闘任務から外されデスクワークとして任務を励んでいる
志摩子は安芸と同じデスクワークになるが、後に恭子率いる部隊に配属される
和泉はそのまま恭子率いる部隊に配属
上総は和泉同様そのまま恭子率いる部隊に配属
俺は……帝国軍衛士として佐渡島に左遷され佐渡基地第三戦術予備部隊B中隊の衛士として防衛任務に励むが、帝都陥落から一か月後にBETA侵攻により佐渡島は陥落、そして新たなハイヴ…佐渡島ハイヴが建造された
A中隊の坂崎都大尉と交流はあったが、恋人関係までは発展せず音楽仲間として接したが佐渡島防衛戦で民間人や基地にいてた兵士や歩兵、正規の衛士を避難させ膨大な数のBETAの猛攻撃で戦死した。
残存の衛士は大陸に帰り戦力の温存を試みる。
B中隊中隊長の大倉鈴乃大尉は佐渡島奪還を悲願を掲げ佐渡島同胞団を設立
俺も、欺衛軍衛士として帝国軍衛士としてではなくこのクソッタレなBETAをこの世から殲滅することを決意した。
俺は坂崎大尉の事は本気で好きだった。
人の死や人の優しさ、命の尊さ……俺が知らない事まで教えてくれた
大事な人を失う人の気持ちがわかったよ………恭子、お前だけは絶対に守り切って見せる!
そう決めたのだからな………。
中盤は漫画版帝都燃ゆを参照しましたが、途中からマブラヴSFのイベントシナリオ『鬼神の如く 前編-紅蓮荒ぶ帝都-』『鬼神の如く 後編-晩夏散らす吹雪-』を参照して書きました。
終盤はマブラヴアニメ第1話に出てきた坂崎都大尉や大倉鈴乃大尉が出てきましたが、上手く掘り下げることができませんでした、申し訳ない(-_-;)
2人に関しては外伝を書いて出します!
大倉大尉がクーデターに参加するのかまだ未確定の為、ここからは独自設定で書いていきます。
次は明星作戦ですが、その前に茶番みたいな話を出します
次回のお楽しみに