D4DJ〜Uniquee Mix!!〜   作:熊0803

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しばらく執筆に時間がかかりました。

楽しんでいただけると嬉しいです。


【挿絵表示】


彩音くん描いてみたり



Fifth Unique

 

 

 

 

「でさ! そのライブがもうすっごい良くて! こう、お腹の底まで響く感じでさ!」

「おう、めっちゃ楽しんだんだな」

「うん! くぅ〜、あの臨場感はたまらないよ!」

 

 まさに溜まらないというように、両手を握って笑う明石。

 

 僕ら以外に誰もいない教室の中で、その声はやけに大きく響いていく。

 

 

 

 

 今日も普通の一日だった。

 

 普通に登校して、勉強して、飯を食って、また勉強して。

 

 そして放課後、陽が傾くまで明石とこうして話す。誰の目も気にする事なく。

 

 それは二ヶ月前から新たに僕の普通に加わって、もう最近ではさん付けしなくても自然に呼べるくらいだ。

 

「熱が上がりすぎて酔うって人もいるみたいだけど」

「あはは、雰囲気に呑まれちゃう人もいるね。でも小まめな水分補給と休憩をすれば、そこらへんは問題ないよ」

「スポーツと同じってことか」

「似てはいるかな〜」

 

 何事もほどほどに、ってことか。

 

「水瀬はライブに興味はあったりするの?」

「ん、あるけど……チケットとか高いだろ?」

「あー、人気のDJユニットとかだと特にね〜」

 

 ウン千円、高ければ一万のチケット代は中学生の懐にはかなり痛い。

 

 ましてや親からお小遣いをもらってやりくりしている僕には、割と遠い世界である。

 

「明石はそのあたり、どうしてるんだ?」

「色々かなぁ。一週間ずっと家事当番をやって親からちょっともらったり、週末だけ短期でバイト、とかね」

「なるほど」

 

 ていうか明石、家事できるんだな。女子力あるってのは知ってたけど新発見だ。

 

 あとはバイトか……前からちょっと興味はあるんだよな。

 

「そういえば」

「ん? 何?」

「明石はそういうの、やりたいと思わないのか?」

 

 そう聞くと、明石は少し言葉に詰まった。

 

 ちょっと驚いたような顔で、予想外って風に目を見開いて。

 

 しまった、変な質問をしたのかと危惧した時──彼女は今日一番の笑顔になった。

 

「やりたいよ! 昔から、ずっと!」

「…………」

「それを目標に色々やってきたっていうかさ、それがあってこそっていうか……あれ? 水瀬?」

「っ、あ、ああ、ごめん。聞いてるよ」

 

 なんだろ、今の。

 

 

 

 胸の真ん中が、すごい跳ねた。

 

 

 

 明石の笑い顔に見惚れてた、なんていうのは普通に恥ずかしくて、だから俺はそんな風に言葉を繋いだ。

 

「それで……って、やばっ。今日家事当番だったっ」

「もう帰るのか?」

「うん! それじゃ水瀬、また明日ね!」

「おう、また明日」

 

 鞄片手に教室から駆け出してく明石を見送る。

 

「さってと。僕も帰ろうかな」

 

 明石が行ってしまった以上、ここにいる意味もないのだし。

 

 

 

 

 あまり重くな通学鞄を肩に引っ掛け、椅子を戻して教室を後に。

 

 ずらりと並ぶ窓からは、オレンジの光がこれでもかと廊下に溢れ込んでいた。

 

 そのジリジリとした暑さにちょっと辟易しながら、下階への階段に向け歩き出す。

 

「あっちー……」

 

 こりゃ、帰ったらまずシャワー浴びなきゃかな。

 

 自然と丸まっていく背筋。

 

 それを強制的に正したのは、後ろからのタックルじみた衝撃だった。

 

「っとと」

「すまんっ、ぶつかっちまった!」

 

 ぶつかってきたやつが、律儀に立ち止まって振り返る。

 

 中学性らしからぬイケメンだった。僕より頭半分は背が高いし。

 

「おー、気にしないで」

「ありがとうっ!」

 

 早口に礼を言って、片手にクシャクシャのプリントを携えたそいつは走っていった。

 

 何か急いでいたのだろう。察するに提出物でも出し忘れたのだろうか? 

 

「ん?」

 

 ふと視線を床に落とすと、そこにはさっきまでなかったものがあった。

 

 

 

 

 拾い上げると、それはこの中学の生徒が持ち歩く学生手帳。

 

 失礼だがちょっと中身を拝見すると、顔写真入りの学生証が。

 

 それはさっきのイケメン君のものだった。

 

「んー、どうしよ」

 

 拾ってしまった以上、ほっとくのも後味が悪い。

 

 とりあえず職員室に持って行こう。走っていった方向的にも鉢合わせするかも。

 

 そんな風に考えた僕は、学生手帳をポケットにねじ込んでまた歩き出した。

 

 

 

 

 

 この学校の職員室は、一階の端っこに位置している。

 

 玄関を挟んで左側の教室の列にあるのだが、階段は右側ときた。

 

 そのまま帰りたい衝動を抑えながら下駄箱を通過して、僕は廊下の最奥まで辿り着く。

 

「失礼しました」

 

 いざ職員室の扉をノックしようとした時、向こう側から開かれた。

 

 当然出てきた人物と鉢合わせして、僕に気がついて見下ろしてきたそいつはきょとんとする。

 

 タイミングがいいと言うべきか、件のイケメンだった。

 

「お前さっきの……あ、すまん。職員室に用があるんだよな」 

「あーいや、いい。どっちかっていうと君に用があった」

「俺に?」

「はいこれ。落としてたよ」

 

 学生手帳を胸のあたりに掲げて示すと、そいつは驚いた表情で尻のポケットに手を当てた。

 

「あー、さっきので落ちたのか……わざわざ届けてくれてありがとな」

「いいって。ぶつかった仲だろ」

 

 そう言うと、イケメンはまたきょとんとする。

 

 一拍の後、小さく吹き出した。

 

「ぶつかった仲って、ふはっ。そんなの初めて聞いたぞ」

「普通に他の言い方が思いつかなかったんだよ。ほら」

「おう。お前、いいやつだな」

「こんなの普通でしょ」

 

 胸に押し付けるように手帳を渡せば、イケメンは笑いながら受け取った。

 

 

 

 

 じゃ、と踵を返そうとすると、そいつは空いた手で僕の肩を掴む。

 

 はて何かまだ用かと整った顔を見上げれば、イケメンは親しげに笑う。

 

「なんかお礼させてくれ」

「いいって、拾っただけだし」

「これさ、帰りの分の切符も入れてたんだ。それがなかったらまた買い直す羽目になってたから。な?」

「……まあ、そういうことなら」

 

 たかが手帳で、という認識に切符という要素が付け加えられて、僕の遠慮も緩む。

 

 これ幸いと、職員室から完全に出てきたイケメンは爽やかな笑顔で手を差し出してきた。

 

「俺、新星輝(にいぼしあきら)。よろしく」

水瀬彩音(みなせあやね)。んじゃ、近くのコンビニでアイス一本で」

「お安い御用さ」

 

 握手を交わした僕達は、そうして歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 ●◯●

 

 

 

 

 

 

 

 結局、あれから明石は転校生にDJ活動のレクチャーをすることにしたらしい。

 

 

 

 連日の押せ押せ姿勢に根負けしたと聞いた時は、らしいなとまた思ったものだ。

 

 で、今はパフォーマンスをやるために、リミコン? とかいうものに応募したとか。

 

 かなり乗り気のようだし、ぜひとも成功してほしい。

 

「おーい、そっちボールいったぞ!」

「ん」

 

 と、余所事を考えるのはこの辺りにしといて。

 

 響く声に視線を巡らせ、すぐそばに来たバスケットボールを捉える。

 

 こちらに必死な顔で突進してくる相手チームの男子どもから、掠め取るようにキャッチ。

 

「おい、水瀬にボール渡ったぞ!」

「ブロックしろブロック!」

「ふっ」

 

 複数人で囲ってくる彼らが陣形を完成させる前に、間を潜るように突破。

 

 そのまま沈み込むような姿勢で前へと進み、すると前方に新たな男子が現れる。

 

「今日こそっ」

「よ、っと」

「ウェっ!?」

 

 前へと押し出すようにボールをドリブル。

 

 親切に大股を開けてくれてた、そいつの足の間を通り抜けたボールを捕捉。

 

 再びゴム質の感触が手に戻った時、そこには僕以上にブロックされてる輝が待ち構えていた。

 

「彩音っ!」

「はい、よっ!」

 

 一球入魂、ってわけでもなく普通にボールをパス。

 

 

 

 ボールの放物線は少々高め。

 

 

 

 しかし、一瞬屈んだ輝は長く強靭な両足のバネを使って跳躍し、見事に受け取った。

 

 そのまま着地と同時に、ジャンプの際に崩れた包囲網を抜け出す。

 

 そして一瞬で相手チームの少ないポイントに移動すると──

 

「よっ!」

 

 スリーポイントシュート。

 

 まるでカマキリのように曲げた両手から放たれたボールは、美しい軌跡を描いて飛んでいき。

 

 そのまま、何にも邪魔されることなくすっぽりとゴールの輪っかをくぐり抜けた。

 

 

 

 

 わっと歓声が上がる。

 

 広大な体育館のもう半分、そこでバスケをしている女子のうち休憩中の半分の声だった。

 

 コートの中にも、半分は歓声、半分は諦めと残念さの入り混じったため息が充満した。

 

 その中心で、いつものように一躍スターになった輝は汗をぬぐい、爽やかに笑っている。

 

 勿論、パスしただけの僕は普通に突っ立ってるだけだ。

 

「やっぱ新星反則だわ……」

「人間性能やべえって」

「今日は新星が同じチームでよかったー」

 

 そんなクラスメイトのぼやきを聞きつつ、息を整えて輝に歩み寄る。

 

 あいつはすぐに気がついて、ちょっと小走りにやってくると肩を組んできた。

 

「今日もナイスパスだよ、相棒」

「まあ、輝に渡せば勝ち確だからね」

「いやいや、ここまで完璧なタイミングでくれるのは彩音だけだって」

「そりゃどうも」

 

 ピピッ、と交代のホイッスルを聞きながら、輝とコートから出る。

 

 入れ替わりに、光とミナがコートに出た。

 

「二人ともお疲れ様」

「ふっ、では私達も活躍してこよう」

「おー、頑張れ」

「コケるなよミッチ」

 

 二人して壁に背中を預けて腰を下ろし、また額の汗を拭った。

 

 特に僕は、若干息が上がり気味だ。

 

「あー……」

「ははっ、変な声」

「僕の体力は普通だからね。急に激しく動くとこの程度だよ」

「そうか?」

 

 自他共に認める平凡スペックだ、バスケでも他のスポーツでも並の活躍しかできない。

 

 なので、輝と同じチームに入った時は徹底的にこいつをサポートするようにしてる。

 

「むしろ、輝はなんでそんなに動けるのさ」

「ピアニストつっても、ずっと座りっぱなしで練習してたら体が悪くなるからな。自主的に健康維持してるんだよ」

「イケメンかよ」

 

 見てくれがいいだけじゃないのがモテる秘訣ってことか。

 

 なんてことを考えていると、輝が不意に悪戯げに笑う。

 

「さっき別のこと考えてたろ。ぼーっとしてたぞ?」

「ん、まあね」

「さてはまた明石さんのことか?」

「輝、ひょっとしてエスパー能力も持ってるのか?」

 

 まさか、と輝は否定する。

 

「だってお前、最近誰かとのトーク履歴見て笑ってたり、いきなり新しい曲聴いてたりするだろ? んで、中学の時に似たような顔を誰かさんと話してる時にしてたなってさ」

「将来はピアニストになれなかったら、刑事をお勧めするよ」

 

 さながらミステリー映画の探偵のような観察眼だ。月高の王子は伊達じゃない。

 

 ここまでズバリ言い当てられると……いや、僕と明石の関係性を知ってるからこそ、すぐにわかったって考える方が普通かな。

 

「順調に関係は修復されてるみたいだな」

「……んー、そうだといいけど」

「なんだ、何か心配事でもあるのか? 話聞くぞ?」

「ありがと。でも平気だよ」

 

 特に明石と何かあったわけじゃないし。

 

 

 

 

 むしろ、一番関係が良好だった頃に近いくらい、頻繁に連絡を取り合ってる。

 

 確かにあの時のことは互いに意識して話さないけれど、それは必要がないからで。

 

 変に気にかけるよりは、また改めて関係を構築した方がよっぽどいい。

 

「ただ、さ」

「ん?」

 

 そう、その方がいいのはわかってるけど。

 

「どーしても気にしちゃうんだよね。本当はどう思ってるのか、さ」

「あー……まあ、相手の心が読めるわけじゃないしなぁ」

「明石は陽葉だからさ、余計にわかんなくて……ちょっと気になるっていうか」

 

 同じ学校に通っているならば、少なからずそういう情報は手に入る。

 

 誰が誰をどう言っていたとか、どう思ってるとか、割と学校の一学年ってのは狭い世界だ。

 

 

 

 実際……それで拗れたわけだしね。

 

 

 

 でも別の学校となると、そういう情報は極端に手に入らなくなる。

 

 本人との接触だけが、唯一その方法になるわけだ。

 

「彩音の方はどうなんだ? 明石さんに悪い意味で思うこととか、ないのか?」

「まさか、何にも。むしろこうして話してくれてることに感謝感激してるくらいだよ」

「だよな。じゃなきゃ髪を()()()()()()()()()()()()なんてことしないし」

「うっせ」

 

 わしゃわしゃと前髪をかき乱してくる輝の手を軽く払った。

 

 汗で濡れた前髪は、いつもよりゆっくりと落ちてくる。

 

 視界に写り込むのは、入学前に散髪も兼ねてメッシュにした金色の髪。

 

 当時、明石の顔が思い浮かんだのは……否定しきれないけども。

 

「ま、しばらくは彩音のしたいようにやってみなよ。今度こそ明石さんと、しっかり仲良くなりたいんだろ?」 

「そうだな。考えても仕方ないか」

「そういうことだ」

 

 笑いながら、軽く背中を叩く輝の手。

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくは、気長にやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 ●◯●

 

 

 

 

 

 

 

 ──なんてことを、考えていたような気がするのだけど。

 

「………………どうしよ、これ」

 

 机の上で鳴り響く、軽快なコール音。

 

 僕はその発生源に目を向けて、なんとも戸惑った表情を形作る。

 

 

 

 

 いつも通りの日だった。

 

 帰ってきて晩飯を食べて、授業の予習と復習を済ませ、風呂に入った。

 

 そんで、動画配信サイトのお気に入りリストを消化しようとした時だ。

 

 明石から、電話がかかってきたのは。

 

「え、マジでどうしようこれ。出ていいの?」

 

 いずれ通話もしてみようと思ってはいた。

 

 普通に会話の流れでっていうのをイメージしてて、まさかこんなに突然タイミングが来るとは。

 

 流石にちょっとテンパる。

 

 けどこのままシカトするのも悪いし、僕は恐る恐るスマホを手に取った。

 

「……よし」

 

 決意を固め、いざコールボタンをオン。そして端末を耳へと当てる。

 

「もしもし、明石──」

 

 

 

『やったよ水瀬、大成功だったよっ!!』

 

 

 

 鼓膜が吹っ飛んだ。

 

 そう錯覚するような大声で耳を貫かれ、キーンと頭蓋骨の中に高い音が響く。 

 

 ぐらぐらと揺れる平衡感覚に、思わずその場でうずくまってしまった。

 

「うぐぉお……」

『あれ? 水瀬? 聞こえてる?』

「ちょ、ちょっと待って……マジで、あと10秒タンマ」

『あ、うん』

 

 5、4、3…………ふう、よし。

 

「あーびっくりした。いきなり大音声だな、明石」

『わわっ、ごめんっ! 耳痛かったよね!?』

「いや、別にいいよ。それで何が大成功だって?」

 

 そうだった、と明石は呟く。

 

 そして堪えきれないという雰囲気を、電話の向こうで醸し出しながら、次の言葉を告げてきた。

 

『パフォーマンス、成功したんだ! それもお客さんがいっぱい入って、大盛況でね!』

「おおっ、それはよかったな」

 

 普段は平坦だと自覚してる声音が、かなり弾むことがわかった。

 

 それは、旧友がずっと追いかけてきた夢の第一歩を踏み出すことに成功したことへの喜び。

 

 そしてあの日の、溌剌な笑顔を思い出したが故のものだ。

 

『うんっ! これもりんくと水瀬のおかげだよ!』

「りんく? ああ、例の転入生ね。でも僕のおかげって?」

『何とぼけてるのさ。水瀬が背中を押してくれたのも、私がりんくと一緒にパフォーマンスをやろうって思ったきっかけの一つだったんだよ?』

「……え、あ、そう」

 

 あ、えっと、なんだこれ。

 

 胸がポカポカするっていうか、顔が自分じゃどうしようもないほどニヤけるっていうか。

 

 

 

 

 何故だろう。

 

 明石のしたいことに関われたことが、他のどんなことより嬉しい。

 

 そんな風に、心の底から思えた。

 

『改めてありがとね、水瀬。おかげでこんなに楽しい気持ちになれた』

「……大したことじゃないって。それより、りんくさん? とは、今後もパフォーマンスやるのか?」

『そのつもり。今度打ち上げやる時に、2回目のパフォーマンスの相談もするつもりなんだ』

「そりゃ順調だ」

『あはは…………あ』

「? どうかしたの?」

『いやー、えっとさ……今更ながら、連絡先交換し直してから初めて電話したなって』

 

 …………本当に今更だよ。

 

「本当はそのうち、僕からかけようと思ってたんだけどね」

『いやいや、最初に連絡取ってくれたのは水瀬だったし。いい機会、だったんじゃないかな』

「そう? んじゃ、そう思っとく」

『うん……その、迷惑じゃなかった?』

「何が?」

『ほら、時間とか……気持ち的にとか』

 

 ……明石は何を言ってるんだろうか? 

 

 もごもごと聞こえてくる呟きのようなセリフに、僕は首をかしげる。

 

 

 

「僕が明石と話して迷惑だなんて、嬉しいと思いこそすれ、絶対ありえないよ」

 

 

 

 まったく何を気にしてるんだか。

 

 なんなら輝に突っ込まれるくらい、明石との連絡を楽しみにしてるのに。

 

 あ、これちょっとキモいだろうか。たった一ヶ月少し連絡取り合ったくらいで馴れ馴れしい? 

 

『………………』

「あれ? 明石?」

 

 急に黙り込んで、どうしt

 

 

 

 

 

『ば、馬鹿っ! 水瀬のばかぁ──っ!』

 

 

 

 

 

 おうふっ!? さっきよりデカいっ!? 

 

「おぐぅう…………」

『おやすみっ!!』

 

 またしてもうずくまってるうちに、通話は切られていた。

 

 さっきよりも酷い頭痛にゴロゴロと悶えてると、部屋のドアが開いて兄貴が顔を出す。

 

「おい、なんかすごい大声がしたけど平気か?」

「だ、だいじょぶ……」

「……お前、なんでうずくまってるんだ?」

「気にしないで……」

 

 

 

 なんで僕、怒られたのだろうか……全然わかんない。

 

 

 





読んでいただき、ありがとうございます。
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