守語者~仮面ライダーアグニス~   作:moriseo

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2 PAST VISION

 書類をまとめ、古城に報告し終えた俺は授業準備シートを生徒のファイルにそれぞれ閉まっていた。時刻は午後10時半。他の講師は帰り、正社員の俺と古城のみが教室には残っていた。

 後片付けを終えるとすぐに帰ろうと思っていたが、棚の上の方にファイルをしまい、腕を上げた際に胸ポケットの違和感に気付いた。そういえば今日手に入れたブックマークがあった。

 ROK。これが示すものは何なのか。古城に聞いてみることにした。

「何かわかるか?」

先程の戦いでの戦利品であると伝えた。

 手に取って古城はROKを眺めた。自分のブックマークを手に取って、見比べ始めた。

 実は古城もベルトとブックマークを持っている。ブックマークを見比べると、自身の本を取り出した。

「使えるかなって思ったけど、俺のは数字でお前のはアルファベットだったな」

実験もせずに直ぐに諦めた。

 古城は既にブックマークを2つ所持しているが、いずれも数字が刻まれたブックマークであった。一方、俺のブックマークはアルファベットが刻まれている。反応しないかもしれないといえばそりゃそうだった。

 ここで一つの疑問が浮かんだ。初めて二つ目のブックマークを手に入れたなり、頭にぼんやりと湧いてきた。

「その二つ目の栞は戦いでの手に入れたのか?」

「いや、これはだな」

こうして古城は過去の話をし始めた。それは俺の過去でもあり、俺との初めての邂逅の際に起きた出来事だったらしい。

 

 

 俺は元々はアメリカ出身のトレジャーハンターだった。故に、今は英語を教えるのにあたって困らずにいる。

 さておき、侵入したのは現在勤めている塾の本社だった。結果的に手に入れることができたベルト=本はここで手に入れた。

 場所は東京。時刻は深夜。

 ビルに忍び込んだ俺は、獲物である本を探していた。場所はある程度特定できており、秘密の部屋があると言う話を聞いていた。深夜で終業後のビルに、人はいないだろうと鷹を括っていたのが運の尽きだった。

「誰だ?」

スマホのライトの明かりをこちらに向け、男性が向かってきたのだった。それが、今の古城である。

 見つかってしまったらもう逃げるしかなく、一目散に逆方向に走っていく。古城は勿論追いかけてくる。明かりがない中での鬼ごっこは相当厄介であった。

 広いビルの中を投げている内に、暗闇に目も慣れてきた所で曲がったところの部屋に入った。自動的に明かりがつく。その部屋のあたり一面はあらゆる文字が描かれている不思議な空間だった。

 部屋の中央には辞書のように分厚い本が置かれており、辺りにはあるボールペンくらいの長さの長方形がいくつか展示されていた。そして本が一冊。

 俺は目当ての部屋に入ることに成功したと確信した。

 何かを知っている古城は、部屋に入るなり不味そうな顔をした。と同時に戸惑っている様子でもあった。

 俺は後ろ向きに歩きながら、本に近づいていった。

「泥棒か。ただ泥棒にしては勘が良すぎるな」

「I was lucky. Luck is always on my side」

じりじりと近づき、ゆっくりと手を伸ばす。あと数センチというところまで迫った。

 ここで古城は驚きの行動に出る。奴が懐から取り出したのは、本だった。見た目は"獲物"にそっくりであり、目を見張った。違いがあるとすれば表紙に刻まれている名前が違う程度だ。

「お前がそれを取るのはもう阻止できる距離じゃないからな。決めたよ」

戦略的に開き直ると、本を開いた。ページがベルトとなって飛び出す。伸びたベルトは古城の体を一周するように周る。本を腰の中央に当てるとベルトが完全に巻きついた。

 それを見て俺は操作方法を覚えた。まるでチュートリアルを受けた気持ちのまま、展示棚に置かれている本を手に取り、真似をしてベルトを腰に巻きつけた。

 同時に目の前に栞が出現した。刻まれた文字はACE。一方古城が掴み取った栞には数字が書かれていて、64+と書かれていた。

「変身」

『6 4 +』

ベルトの音声が流れる。古城が64+の栞を挿し込むと栞に刻まれた文字がエネルギー体となって出現し、彼の体を包み込んだ。そして仮面ライダーマグナムへと変身を遂げた。

 +の文字は胸に、6と4は両方に鎧となって搭載された。

「へ、変身!」

見様見真似に栞を差し込んだ。

『A C E』

アルファベットのエネルギー体が俺の体を包み込み、アグニスへと変身させた。

 戸惑う中、何もわからないまま戦闘が始まる。それまで様々な経験をしてきたが一番意味不明の出来事だった。自分の体がどうなったかもよくわからない。

 そんな俺にマグナムは容赦なく殴りかかってくる。

 避けても次の一撃が脇腹を襲った。

 何か武器はないのか。その間にもマグナムは攻撃を続ける。システムを理解する暇もないまま、俺は強烈な右足の一撃を腹部に受けた。

 勢いよく吹っ飛び、当たりの展示物が散らかる。

 マグナムは右肩の6に触れた。すると、変身時のようなエネルギー体が浮かび上がる。そのエネルギー体は俺に向かって飛んできた。あれを食らったらやばい。本能が脳に指示をした。

 咄嗟に真似をした。触ったのは同じく右肩のC。Cは右手に宿り、巨大なパンチングユニットとなる。立ち上がると6を殴り返した。

 上手く攻撃が決まらず、舌打ちをするマグナム。

 相手は栞を抜いて再びベルトに挿し込んだ。

『エピソードピリオド』

何かとんでもないことが起きる。さっきの攻撃なんか比にならないくらいの一撃が飛んでくる。予想はできても、俺には真似をして抵抗するくらいしかできなかった。

『エピソードピリオド』

同じように栞を抜き差しして必殺技を放つ体制に入った。背中のEのブースターが起動して、勢いよくマグナムに近づく。放たれたAの形のエネルギー体が、マグナムが出現させた4のエネルギー体と衝突する。

 俺がAのエネルギー体もろとも飛び蹴りを放つ。マグナムはローリングソバットを4に向かって放った。

 戦闘経験からすると相手の方が勿論、一枚上手ではあった。ただ、俺が上から蹴り付けているという単純な物理法則が見方をした。

 更に背中のブースターの加速が威力を増大させる。こうしてほぼ同士討ち、6:4くらいの割合で俺が先頭に勝利した。

 お互いの体が吹っ飛ぶ。

 マグナムドライバーはこの一撃で機能を停止した。一方、俺は変身解除まで追い込まれ、そのまま気絶したようだった。

 そこから後の詳しい記憶はなく、古城にこうして拾われた訳であった。

 

 話を聞いてる内に俺は椅子に反対側から座り、背もたれに表向きに寄りかかって話を聞いていた。いわゆる生徒たちがだらける際の座り方だ。

「え、その時どさくさに紛れて拾ってたの?」

「そうでもしないと持ってないだろ。もうなんだかんだお前の方が戦ってるんだから」

マグナムドライバーはまだ機能停止中だ。

 俺は気絶した後、古城の塾に連れ込まれた。BQの話を聞き、日本がどうなっているかという現状を聞いた。戦えるのは俺しかいない。そう言われた時、なんだか不思議な使命感を覚えたのは確かだ。

 獲物は手に入れたし、もう日本を渡ってもいいはずだった。

 自分の性格はよくわかっていた。面倒なことは嫌い、自分のやりたいことをやる。だから俺はトレジャーハンターを続けることができていた。しかしそれ以上に今の日本を見放した時の背徳感に襲われたのだ。

 こうして、俺は塾で戦うこととなった。

 このダブルワーク、悪くないと思い始めたのはごく最近のことである。

 だが実際に狙っているのは、この本の謎を解き明かした時に待っている真実だった。

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