少しファンタシーな鎮守府で   作:朝宮 糸瓜

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 後編になります。ホラー展開というよりも忍・殺のメンポを付けた赤黒忍者のエントリーとかそっちの方向性になります。


99話 爆滅!きさらぎ駅

 同時刻 江風視点

 

 

 無事突入できて皆無事らしい。まもなく怪異の大軍勢と衝突の流れではあるが。

 

 「ああいうの百鬼夜行って言うんだっけ」

 「そうだね。まあ、睦月だけで殲滅できそうだけど」

 『彼らは霊力によってあの場と共鳴し、それによってあの場は彼らの存在を強くする関係にある。つまりーー』

 『福山より総員へ通達!敵性存在を全て撃破してください!天龍さん、坂田さん、力を!私達でこのきさらぎ駅を消滅させます!』

 「衝動的だが効果的だな。福山梓、塵一つ残さず消滅させろ」

 

 殲滅戦の開始である。

 

 『げひゃひゃーー』

 『ひゃーー』

 『消し飛べぇ!!』

 『ルに続けぇ!』

 『なんだあの飛行物体は!がっーー』

 『速すぎーー』

 『オラァ睦月!精度が雑だぞ残り喰っちまうからなぁ!』

 『うーちゃんにおいつけるかにゃあ?てぃひひっ!』

 『このままだとあの二人に全部持っていかれるわよ!キルスコア2桁は取るっぽい!』

 『冗談じゃないです!私だってー!』

 

 それはもう戦果を求めて敵雑兵を蹂躙する精兵のそれで。戦いと呼ぶには余りにも一方的だった。怪異の一個体一個体が八重に比べてもだいぶ弱いものが多いこともあるが、こちらの火力と勢いが強い証左だ。

 

 『はああああああっ!!『スターゲイザー・オーバーエンド』!!』

 

 てーとくはてーとくで天龍の姐さんと坂田の兄さんと超大出力でシンプルに敵を両断する橘イツキさんの『スターゲイザー』を無理矢理PA(フォトンアーツ)『オーバーエンド』として出力。左右に薙ぎ払ってから本命の大上段を叩き込む攻撃を駅に対して行っていた。元々小さいホームしかないような駅である。レールを含めて簡単に蒸発してしまった。

 

 『無茶苦茶すぎない!?』

 『これが今の127、です』

 「響だよ。如月、気分はどうかな?」

 『響ちゃん!?もうなにがなんだか……』

 「少なくとも、私達は力をつけた。もうやられない。それは安心してほしいな」

 『あの睦月ちゃんとうーちゃん見てたら信じないわけにもいかないじゃない……もう』

 「そしてこれは幸運なことに示威行為を兼ねている」

 『見せつけるってことかしら?』

 「これだけの規模だ。他所にも多少は知られているだろうね。それが一方的に殲滅されたとなれば他所も手を出したら二の舞いだ、と警戒するだろう?」

 『そうね。……待って、今貴方達は何と戦っているの?』

 「格好をつければ理不尽全て、といったところかな。少なくとも今討伐しているような妖怪、怪異と呼んでいるけれども。それも該当する。そしてそのどれにも今度こそ、屈するつもりはないんだ。その為に皆力をつけている」

 『今度こそ、かぁ。私もそこにいたかったわ』

 「幽霊として参加するかい?私達は拒まないよ」

 『ううん。それは何か違うと思うから』

 「……そうか」

 『見守ってるから、頑張って見せてね?』

 「あぁ」

 「話の途中で悪いが、強大な敵性反応だ。おそらく中核となっている個体が来る。皆構えてくれ」

 『『了解!』』

 『27年組とココ、矢矧は大型対処、他のメンバーは周囲を叩く!いいわね!』

 『任せてくださいなのです暁お姉ちゃん!』

 『ようやくまともな出番ね!』

 『情けなし……まっこと情けなし……!』

 『でかっ!』

 

 現れたのは10mもの人型の歪な大骸骨。頭部が全体の1/4を占めている。

 

 「アレは……」

 『餓者髑髏、だな』

 「あそーとのオッサン、確か巨大な人喰い骸骨、だったっけ」

 『如何にも』

 『おぉ、おぉお……!』

 『なんかコイツ周囲の空気吸収してません?』

 「そのとおりだ駆逐艦電、警戒しろ。周囲に散逸した怪異の残滓を吸収している」

 「道理で後からノコノコ出てきやがったワケだ。いやらしい精神しやがって」

 「各員に通達。他にも残滓を吸収してる個体が大型化しているよ。気をつけつつ戦闘続行、睦月にはこれらを優先的に叩いてもらうよ」

 『『了解!』』

 『睦月型の本当の力〜!』

 『お前のそれは睦月型の力なんてミリも関係ないだろ!!』

 『本当にユー達はマイペースだNE。しかし、ノーだ。本当に残念だ。この程度じゃホラーの参考にはまったくならないNE!せめて睦月ガールのアクションシーンのアクターになるがいいSA!さあ、クライマックスシーンだ、クラッパーボードを鳴らそうZE!』

 

 睦月さんやベトールさんのやりとりの後に各所が爆発。遮蔽物ができたり敵の群を離散させたりとベトールさんが同時にやってのけた。そうしている間に餓者髑髏の成長が止まった。高さにして20m。身体もそれに比例して巨大化している。頭部を狙うとしても高さ15mが必要になっている……とはいえ。

 

 『斉射!』

 『ぐおおっ!』

 

 編成部隊の大多数が遠距離型である。狙えないことはない。

 

 『ココ、脛を同時に砕くわよ!おそらくこの一回だけ有効よ!』

 『なら遅れるんじゃないわよ矢矧!』

 『『紫電一閃』!』

 『『メテオフィスト』!』

 『おごぁ……!』

 

 吸収したてでまだ身体の強度安定が追いついていないらしく、左右同時に脛を破壊されて両膝を着く形になる餓者髑髏。

 

 『今よ!膝を砕いて!』

 『向かって右に『ウィークバレット』なのです!こっちから壊すのです!』

 『『バニッシュメントアロウ』『チェイスアロウ』……そして『ラストネメシス』……!』

 『『バーランツィオン』!』

 『艦爆隊発進!』

 

 それぞれが必殺威力で膝に攻撃を叩き込んで破壊していく。その最中餓者髑髏が後衛組を薙ぎ払おうとするがーー

 

 『『ウォークライ(私を見なさいよこの案山子)!』』

 『足元を忘れちゃ……駄目よ?』

 『おおぉぉおお!?』

 

 前衛組に翻弄されて好き放題に攻撃されている。

 

 「その調子だよ。だけどその巨体だ。被弾や転倒に気を付けて」

 『当たってやる義理もないわ!』

 『こちらも距離は十分です!』

 『あそーとさんに比べたら!』

 『我と比べるか』

 「流石に酷だって矢矧」

 

 一方的に嬲るだけになっているデカいだけの怪異と創造神を比べるのはあんまりにもあんまりだろう。

 一方、餓者髑髏以外での戦闘は。

 

 『挨拶代わりにゃ!エーテルビームを取っておくにゃしい!かーらーのー全弾発射ぁ!』

 『ーー!?!?』

 『これで撃破2、どんどんいくにゃしい!』

 『デカくなってない雑魚も少しは歯ごたえ出てきたっぽい!さあ、素敵なパーティーの続きをしましょう!』

 『ああもう!こういうのはラスベガスで終わりだと思っていたのに!』

 『もう一回大きなのもあるみたいだからもう少し頑張りましょうね、荒潮ちゃん……!』

 『うぅ、はぁ〜い!!慣れてきたわよ、もう!』

 「荒潮……」

 

 荒潮には悪いが龍田の姐さんの言う通り東条での決戦にも駆り出すことになると思う。

 

 『オラオラオラオラ!どいつこいつも雑魚ばっかりだ!私を楽しませてくれる奴はいねぇのかァ!!』

 『アウトローさんに続いて、大和!全主砲撃ちます!』

 『そちらの方面は任せたぞ大和!左舷方面を武蔵が撃滅する!』

 『その穴は陽炎お姉ちゃんにお任せよっ!』

 『まったく、やること見つけていかないと暇になりそうやで!』

 

 アウトローも好調のようだ。戦闘経験豊富なアウトローが牽引し、陽炎・黒潮の姐さんがフォローしているなら実戦経験の少ない大和達も大丈夫だろう。艦種として分かりやすいこともあり、自分達の役割をきっちり理解して立ち回れていることも大きい。

 

 『っち、駅が再生始めたぞ!』

 『駅も一つの怪異ってことだな!梓!』

 『ええ!何度でも……破砕する!』

 

 きさらぎ駅そのものも怪異の残滓から再生を図ろうとするが、てーとく達が張り付いているため問題ないだろう。その他細かな指示が必要なところは響の姐さんが的確に指示を出している。ずっとそうしてきただけあって、僅かな綻びも見逃さないという強い意志を感じる。

 

 「皆凄いな……」

 「駆逐艦江風。君のこれまでの頑張りを今戦えないことで否定してはいけない」

 「うん、マザー」

 

 相変わらずマザーは欲しい言葉を言ってくれる。

 

 「復帰できたら、もっと頑張る、頑張りたい……!」

 「その都度サポートしていこう」

 

 そう言ってる間に、餓者髑髏の身体があちこち砕けて頭を殴り放題になっていた。あの崩れた体勢なら前衛組も余裕で頭部に届くだろう。

 

 『貴様ら……貴様ら”ぁ”っ”!!』

 『何?ようやく現実が見えたの?遅いわね』

 『そのツケ死んで払いなさいよぉ!』

 『前衛が目茶苦茶煽ってくれるおかげでやりやすいのです』

 『ダメージレースでは私のほうが上だと思っているけれど』

 『加賀、敵の攻撃がこちらにきたらやりにくいでしょう!』

 『阿賀野もこんな感じだったら歯応えが……その想いもぶつけます!』

 『最近羽黒ちゃんが怖い!』

 『……あれ、なんか力が収束しているような……?』

 「深海棲艦ココ、軽巡洋艦矢矧、距離を取れ!奴のコアに強大な反応が出ている!」

 『!』

 「矢矧!脳髄!」

 『そうね、江風!』

 「対ショック忘れるなよ!」

 

 餓者髑髏の頭の奥。コア部分に異常な反応、危険だ。だが、ここで砕いてしまえばいいと勘が訴える。そしてそれを同じ目線で感じられ、やり遂げられるのは矢矧だ。

 

 『……『紫電一閃』!!』

 『あ”あ”あ”あ”あ”ーー!?!?』

 『強引なものだな。立花蒼、そして近藤由香里』

 「だが、適切だったようだ」

 

 近藤由香里は矢矧の本名だ。名乗っていなかったが平然と本名を識っている辺り、本当に神様だなと思う。

 そう思う中で餓者髑髏は霊力を盛大に撒き散らし消滅した。他の反応もおおよそ討伐されて消え、餓者髑髏の消滅で巨大化した怪異もさして時間を置かずに睦月さんに撃破された。元の異空間・きさらぎ駅として残ったのは如月さんの魂ぐらいである。

 

 「響だよ。敵性反応消失を確認。周囲に異常はあるかな?」

 『こちら天龍、駅の再生も止まったぜ』

 『暁よ。反応無しね』

 『睦月のレーダーにも反応無しにゃしい』

 「了解したよ、状況完了だ。皆お疲れ様」

 『……響ちゃん』

 「如月、君を縛るものはもうなくなったと言えるだろう。どうするかい?死神にもツテはあるから迎えに来させてもいい」

 『本当になんでもありね……私、ここに残ろうと思うの』

 「その心は?」

 『私はもう死んでいるから皆の横で見守るのは違うと思っているわ。けど、此岸と彼岸の境目のここからなら見守ってもいいかなって』

 「ここの特性を知っていたのかい?」

 『悪いオバケが占拠しているけど本来そういうところだって駅員さんに教えてもらったの。……その駅員さん無事かしら?』

 「駅員らしき人物を討った覚えのある人はいるかい?」

 『『……』』

 『あのトンネル側に逃げていった奴か。多分無事じゃねぇかっぴょん』

 「だ、そうだ」

 『良かった。あのヒトは悪いオバケじゃなかったから、巻き込まれたら可哀想だなって思っていたの』

 「その駅員とここで見守る、ということでいいかな」

 『えぇ。だから、如月に期待させてね?』

 

 如月さんはここに残るつもりのようだ。敵性存在は全て掃討したとはいえ、まだ不安があるのだけれど。

 

 『如月ちゃん』

 『睦月ちゃん……ごめんね、あの時真っ先にやられちゃって。ありがとう、悪用されないように頑張ってくれて』

 『如月ちゃん……!』

 『睦月ちゃん、ここ、良くするから。また遊びに来て?お話、たくさん聞かせて?』

 『うん、うん……!』

 『如月姉、安全は保証できない。けど、いいんだな』

 『うーちゃん。忘れたの?130の如月は度胸と実行の女なのよ?』

 『……そうだったな』

 『今度こそ。……頑張って』

 『あぁ』

 『如月姉さんーー』

 

 そうして旧130の面々と如月さんは想いを交わしてから、私達はきさらぎ駅を後にした。

 

 

 6月上旬 『組合』医療棟

 

 

 「ーーってとこですかね、顛末は」

 

 案の定『江風』が記録していた映像を見せながら当時を振り返って濁流さんに伝えた。

 

 「へぇ、如月ちゃんは残ったんだ。それにしても、ふふふ。日本中のヤンチャなお馬鹿共の1割は消し炭になったのねぇ。あぁ、面白いわ」

 「笑い事じゃなかったンですけど?」

 「ごめんごめん。けど、東条の怪異相手するのにいい実戦積めたと思うよ。ま、東条の戦いを君達だけにはやらせないさ。私達『組合』も、今は八坂炎雅君が音頭を取ってるアースガイドも動員して手伝うよ」

 「ありがとうございます」

 「むしろこちらが詫びるところだよ。世界の命運だのなんだのをずっと君達に任せている。情けない話だ」

 「私達が望んだことですから」

 「……うん、ありがとう。きさらぎ駅の後始末はすぐにでも行おう。如月ちゃんの心配もしなくていい。……よくやったね」

 「私は見守ってただけですよ」

 「それでも賞賛の言葉は素直に受け取っておきな、さい!」

 「わわっ!?」

 

 頭をわしゃわしゃ、と乱暴に撫でられる。その後ハードな訓練に戻っていいとお墨付きを貰って私は『組合』を退去した。

 

 

 翌日 きさらぎ駅跡地 濁流視点

 

 

 「さーて、残滓の残滓でぎりっぎり駅が戻ろうとしている以外は枯れ尾花1本もない更地にされてるねぇ。いやあ大したもんだ」

 

 枯れ尾花は幽霊の具象化でもあり、こういう此岸と彼岸の間にはたくさん生えているのが常だ。それすらも根こそぎやってくれたようだ。

 

 「あぁ、いたいた。駅員さんやっほー、生きてたんだ?それに如月ちゃんもおひさし!」

 「だ、だだだ濁流様ぁ!あぁ、もう大丈夫なんですね!?私助かるんですよね!?」

 「貴方は……先日の」

 

 私と如月ちゃんはこのきさらぎ駅で面識がある。籠に囚われているのを見て、ここの管理者が何もアクションを起こさない以上放置する形にしていたのだ。

 

 「前は放置して悪かったね。それについての精算も兼ねてここに来たんだ。江風ちゃん……127で先日の戦闘には参加しなかった子なんだけど。彼女に君の様子を見てくるように依頼もされた」

 「そう……精算?」

 「如月ちゃんは気付いていたかな?先日卯月ちゃん達がボコボコにした怪異じゃない、この異空間・きさらぎ駅を管理する神様みたいなのがいるってことに」

 「え……」

 「そういえば、ずっとお姿を見ていないような……」

 「故に。此岸の使者として濁流、ここに馳せ参じた。彼岸の管理者よ、姿を現せ。汝とは話さなければならぬことぞある」

 

 声に霊力(ちから)を込めて喚びかける。すると目の前に霧が発生し、集束し獣の形を作る。コレが彼岸の管理者こと規模は小さいが神格の一つである。

 

 「申開きか。此岸の使者よ」

 「申開き?此度、度の過ぎる行いをしたのは貴殿の管理下にある怪異共であろう?此岸はこの空間を彼岸に身を置く怪異の餌場として認識してはおらず、また迷い込む人間を供物として認識しておらぬ。意識を支配して強制的にこの空間へ呼び寄せるなど言語道断。故に先の抵抗は正当であると見解している」

 「家畜共がよく言う」

 「その昔、ヒトと怪異の緩衝地点として我々此岸の者はこの空間を認め、汝に管理者として委託したが……見解に相違あるようだな?」

 「所詮ヒトなど我らが供物に過ぎぬ。供物の抵抗などあってはならぬこと。それを裏付けるように彼の地にて此岸の常識がまもなく塗り替えられよう。なれば貴殿等の認識も変わるであろう」

 「彼の地……東条の地」

 「如何にも。よってまずは貴殿を償いとして供物とーー」

 「であれば最早問答は意味を成さぬ。ここで果てよ、怪異の神よ」

 「がっ、はっ……!?」

 

 術の発動器を兼ねた槍で怪異の神を貫く。いつの間にか思想汚染でもされたのか、随分とヒトを舐めた存在になったものだ。

 

 「が……貴様程度の力が、何故及ぶ……!」

 「一つ。想定済みにより怪異殺しと神殺しの属性を付与して来ていること。二つ。貴様の眷属たる怪異は先の戦いで根こそぎ討伐された。この地にも力はほとんど残っていない。故に貴様の信仰は大きく揺らぎ、私でも殺せるほどに弱体化している。三つ。私は単騎で奇跡を起こす英雄様には程遠いが無力ではない。舐めるな、木端神が」

 「おのーー」

 「『水槍衾』」

 「ぐあっ!?」

 「今の貴様程度の神殺しぐらいならいくらでも経験はあるんだ。私達『組合』を『物語』の一から十まで江風ちゃん達みたいな『主人公』に任せるような情けない組織だと思わないでもらいたいねぇ。ほんっと、腹ただしいよ」

 

 そういいながら神を八つ裂きにしていく。

 

 「変わりし世で、後悔するーー」

 「変わらせないよ。その為に全力を尽くすから。人間舐めるなクソ馬鹿怪異がよ」

 

 そうして神を塵にして如月ちゃんと駅員さんに振り返る。

 

 「これで管理者というか悪いオバケの親玉はいなくなった。如月ちゃん、この空間をこの世とあの世の折衝空間として任せていいかな?駅員さんもそういう理由であの世から来てもらった、って認識のままでいいんだよね?」

 「睦月ちゃん達だけに頑張ってもらうつもりはないの。でも指針と手伝いは欲しいわ」

 「わ、わわわ私も如月さんをお手伝いします!しましましますとも!!」

 「なら良かった。後で物資と人員を追って送るから、そのつもりでいて?今回はあの馬鹿神をブチ殺す為だけに来たんだ。いやーあそこまで駄目になってるとは思わなかった。もっと早くに気がつけば如月ちゃんに負担もかけなかったんだけどね。ごめんね?」

 

 一応契約という立場があるので今まで下手に干渉しきれなかった。だからこそ単純に狩りの対象とされてブチ切れて返り討ちにした127の大暴れは渡りに船だったのだ。

 ヒトと長く付き合いのある怪異集団や神とは色々と契約を結んでヒトに下手に危害が出ない、そして表沙汰にならないように立ち回ってきたのが私達『組合』という組織だが、相手が知らないうちに変化していた場合に弱いのだ。全てを管理できるほど規模も大きくないし。主に安倍晴明一派ーー今はアースガイドに組み込まれているーーのせいで勢力拡大できなかったから。

 

 「それにしても、この規模の怪異神ですら世界がひっくり返ると認識しているのね、東条の件。ますます完璧に近い勝利を導かないと深海棲艦がこの世に現れた時かそれ以上の混沌の時代になってしまうわね」

 

 ふぅ、と溜め息をつく。

 

 「全力でサポートするから、お願いね、127の皆……!」

 

 心底願うのと同時に何をすべきか頭をフル回転させるのだった。




 きさらぎ駅の駅員さんはかたす駅の方に住んでいる一般冥界人(?)です。権限も異能もないので力のある存在相手にビビり散らかしながら頑張って勤務する小市民です。
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