少しファンタシーな鎮守府で   作:朝宮 糸瓜

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 加賀編中編です。


16話 決闘までの日々

 大鳳・赤城滞在1日目 20:00 第127鎮守府執務室

 

 

 「佐世保の長門、入るぞ!」

 「どうぞ、待っていました」

 「宣戦布告させるとか、とんでもないことしてくれましたネ、このゴリラ」

 「ハハハ!褒めても何も出ないぞ、金剛!」

 「はぁ……。よりにもよって、5日後って一般公開日じゃないデスカ。狙いましたネ?」

 「当然だとも!この事態、小さく収めるべきではないと思っていたからな!やるならば徹底的に、だ!それに、加賀達の家族も来るだろう」

 「そこまで把握していたのデスネ」

 「まとめてケリをつけさせる。それに、これは演習だからな。例え勝とうが負けようが得るモノはあるし、加賀も赤城も前に進めればいい。その上で、各所に示せばいいだろう」

 「当鎮守府に下手な干渉をすれば、痛い目に合う。と示せればよかったのですが、それ以上を狙っている、ということですか」

 「その通りだ。今、この鎮守府は多くの鎮守府から好奇の目で見られている。そして、81のように下手な干渉をしてくる者も増えるだろう。それを込めての牽制であり、一般公開に使うことで一般にも広く見せていく。これなら、何と戦っているかは知らないが、そちらの牽制にもなるのではないか?」

 「悔しいほどに的確なのがまた。では、色々と任せていいのデスネ?」

 「それなりに盛り上げることは約束しよう!赤城の方は任せたぞ!」

 「では、長門さんのプランで進めます。加賀さん達の家族は機密上の関係で出禁にすべきですが、嵌めるとしましょう。その方向で皆さん、よろしくお願いします」

 

 

 20:00 羽黒・瑞鳳の部屋

 

 「作戦会議~!」

 「おー」

 「ってか、ホント、加賀ちゃんいきなり何やってんの!?『赤城さん。貴方に正式に決闘を申し込みます』だなんて!大丈夫かなぁーどうかなぁーって思いながら案内してたらアレでもうわけわかんないよ!?」

 「瑞鳳ちゃん落ち着いて……」

 「ぶっちゃけ私らもわかんねェぞ。気落ちしながら訓練所に向かったと思ったらなんか佐世保の長門さんと合流するわあの宣戦布告だわ、その後はなんか楽しそうに訓練場でバシバシ撃ってるわエーテルに目覚めてるわで」

 「横須賀の赤城さんのことを喋ってるときぐらいのテンションでしたよね、アレ」

 「しかも、この情報、伝えていいんだとよ、アイツの姉さんに。その上で撃ち破るとか言ってたぞ」

 「そっからは私達も訓練とかありましたからよくは分かっていないんですが、ずっと長門さんと訓練してたみたいなのです」

 「こ、こっちでは赤城ちゃん、ずっと放心してました……」

 「無理もないでしょ、アレは。誰だってそーなるもん。で、ポツポツと赤城ちゃんが加賀ちゃんのことを話してくれたんだけどね?」

 「うん?」

 「なんか、知らない人の話を聞いてるみたいだった……」

 「は?」

 「いやだって、私達の知ってる加賀ちゃんって、ゴーイングマイウェイな横須賀赤城キチでしょ!?」

 「言い方酷いですけどそうですね」

 「赤城ちゃんの言う加賀ちゃん、ずっと自身なさげで俯いてて。壊れそうな子だった、だそうなの」

 「誰?じゃなくて、加賀が……?」

 「しがらみにむかつきながら割とゴーイングマイウェイしてたのかと」

 「でしょ!?」

 「だからこそ、あの宣戦布告にびっくりしてたわけなんです」

 「そりゃあ、そうだよなァ」

 「もう長門さんが色々吹き込んだ悪い人じゃないですか」

 「あながち間違って無くない?」

 「それもそうですけど」

 「……ところで、加賀ちゃんって今部屋?まだ訓練してる?隣の部屋でこんだけ騒ぎ散らかしててアレなんだけど」

 「風呂行ったぞ」

 「え”」

 「おい、まさか」

 「赤城ちゃんと大鳳さんもさっき風呂に行きました……」

 「あ°」

 「ヒュッ」

 

 声にならない悲鳴をみんなしてあげてしまっていた。

 

 

 20:00 大浴場

 

 

 「……」

 「……」

 「……あの、私達、時間変えましょうか」

 「構いませんよ、大鳳さん。赤城さんも遠慮なく……あ、そこの台は使わないでください。瑞鳳の専用ボトルが設置してあるので、左隣の共用台で」

 「え、ああ、名前書いてありますね……?」

 「拘りがある人は専用ボトルに自分で選んだシャンプー等を入れますので。私は特に気にしてませんけど」

 「だいぶ、自由なんですね」

 「あら、他は違うんですか?」

 「色々見せてもらったけど、だいぶ自由よ、ここ」

 「そうなんですか。まあ、すぐに慣れますよ」

 「……」

 「……」

 「赤城さん、何か」

 「えっ、あのっ、加賀、さん」

 「はい」

 「昼のは、本気なんですか……?」

 「本気ですよ。いい機会です。その目にしっかりと焼き付けて帰って頂きます」

 「……」

 「だいぶ、貴方のことは聞かせてもらっていたのだけれど。印象が違うわね」

 「赤城さんが何を言ったかは大体予想がつきますが。まあ、これが今の私です。後は瑞鳳辺りに聞いてもらえれば分かるかと」

 「……」

 「どうしました?そんなに見つめて」

 「加賀さん。貴方は、私のことが……」

 「嫌いではありませんよ。呼び方が嫌でしたか?姉さん」

 「いえ、それは大丈夫、ですけど。私の存在が負担になっていたんじゃないかって」

 「……正直言えば負担でした」

 「ッ!」

 「ですが、別に姉さんの責任ではないし、気にしなくていいわ。むしろ、色々気遣ってくれてありがとうというべきね」

 「加賀さん……」

 「さて、私はそろそろ上がります。『優秀な新人』である貴女の力。見せてもらいますからね」

 

 そう言い放って私は風呂を出た。その先で大丈夫だったかと同期組に絡まれたが、私がもう手を出すとでも思ったのだろうか。

 

 

 滞在2日目10:00 訓練場

 

 

 私と電は、加賀に呼び出されて訓練場に来ていた。

 

 「さて、私はこの1週間は自由に訓練していていいと福山提督に許可を得たわけですが」

 「んで私達が呼び出されたわけで?」

 「なにをするのです?」

 「狙撃の的になって欲しいの」

 「「は?」」

 

 何言い出すんだコイツは。

 

 「動かない的ばかり狙っていても仕方がないの。まずは、動く的にも当てられるようにならないといけない。というわけで、当てるから避けてみて頂戴」

 「反撃で魚雷、撃ちますからね?」

 「射程的に完全に避ける専門なんだが必死に避けろって?舐めんな?」

 「ハハハ、私だといまいち速度が出なくて回避する的としては心もとなくてな!よろしく頼むぞ!」

 「長門さん……なんで当然のようにいるんだこの人……」

 「暇なんです?暇なのです?」

 「私もこの1週間は時間を確保した!何も心配はいらないぞ!」

 

 その後数日、しばらく的として付き合うことになった。駆逐艦の全力疾走相手に狙撃してくるあたり、本当に狙撃の才能があるんだなぁと思わざるを得なかった。長門さん相手には、反撃を受けつつの狙撃の練習をしているようだった。……威力は、一撃で意識が持っていかれるぐらいにヤバかった。艤装の弓だからか、大破してしまっていた。

 

 

 滞在3日目 15:00 127鎮守府基地航空隊基地

 

 「お前は、ニュービーの空母の嬢ちゃんじゃないか。何の用だ、基地航空隊なんぞに」

 「岩本隊、貴方達に依頼をしに来ました」

 「……俺達の隊は、もう空母には乗らない、と決めてるんだ」

 「知っています。旧127鎮守府所属だった空母加賀。その艦載機隊だった貴方達が、他の艦への引継ぎを断って基地航空隊の対空部隊として所属していることは」

 

 旧127鎮守府陥落の際、『北の姫』との決戦があった。その際、主力であった空母加賀は戦死。その艦載機隊は僚艦であった空母瑞鶴が引き受けたが、その後艦載機隊としては戻ろうとしなかった。空母瑞鶴は129鎮守府に転属している。

 

 「……私が、空母赤城に決闘を挑んだ件は知っているでしょうか」

 「知らない奴を逆に出せってんだ。で、お前は参加してくれってのか?言うことを聞くつもりはないぞ。言うことを聞かない多少腕の立つ艦載機隊よりも言うことを聞く艦載機隊の方が活用しやすいのはいい加減知っているだろう」

 「ええ。ですから、言うことを聞いていただくつもりはないです。ただ、貴方達の好きなように『私という基地を10秒守ってくれればいい』。そういう依頼です」

 「お前、正気か?たったの10秒だと!?」

 「えぇ。それ以外は私の艦載機隊で行います。ただ、最前線での10秒、意識を艦載機に割けずに無防備になる私を貴方達の自由に護衛してほしい。それか、ある程度その腕を私の艦載機隊に仕込んで欲しいのです」

 「……たったの10秒で決めるのか?」

 「10秒あれば決められます。それまでの立ち回りは、計画していますし余計な手間をかけさせるつもりもありません」

 「……舐められたもんだな。たったの10秒、やってやる。その大見栄、見せてもらおうじゃないか」

 「感謝します。これは秘密の作戦ですので、また当日に」

 「ハッ、やってみせろよ、ニュービー」

 

 作戦の要である艦載機隊の協力を得ることができた。

 

 

 滞在4日目11:00 関東近海

 

 

 今回は、てーとくが旗艦、私と電、瑞鳳、羽黒、赤城と大鳳さんの編成での討伐任務だった。

 

 「作戦を確認します。この海域に確認された敵艦隊の掃討。数は1部隊、でしたがジャミングの影響も感知したのでそれ以上の勢力がいると考えて対処します。今回は訓練がてら大鳳さんと赤城さんにも同行頂いています」

 「「了解」」

 「あの、私達本当に参加していいのでしょうか?」

 「構いませんよ、赤城さん。おそらく、今回のジャミング持ちはいずれ貴方達もぶつかる可能性のある相手です。慣れている我々と共に経験を積むのは悪くない手だと思います」

 「いい機会ですからしっかり活用しましょう……南西に1部隊の反応有。ジャミングの相手ですね……さらにレ級!?早い!?」

 「さて、私が来た甲斐がありましたか」

 「そういえば、なんで福山提督がこちらにいらっしゃるのですか……?」

 「最低限のエスコートと、ある程度動かねば腕がなまりますから。丁度いい相手も来たようですし」

 「ハッハーァ!って化け物いるじゃねェか!?聞いてねぇぞ!?」

 「は、早い……!観測した場所からはだいぶ距離が……!」

 「アウトロー!テメェ今度は何積んで来やがった!」

 「タチバナアオイ!お前こそなんで化け物引き連れてやがんだ!」

 「てーとくの腕慣らしだしいい加減長いから名前の蒼か艦名の江風で呼べよテメェ!」

 「おう、アオイだな!こっちは適当にこれつけて試しに暴れて来いって言われただけだってのになんてことだ畜生!」

 「あの、なんで江風さんは普通にネームドと会話してるんですか……?」

 「因縁があるというか、気にしたら負けだと思います」

 「扱い雑じゃねぇか反応なしがよォ!」

 「瑞鳳よ!エーテルの反応だけで覚えてるんじゃないわよ!」

 「普通に話に混ざるお前もお前だと思うんだよなァ……」

 

 接敵する予定だった部隊、さらにジャミング持ってる部隊をも差し置いてやってきたアウトローと口でやり合う。おそらく、敵の用意したエーテル系の何かを装備しているのだろう。やたら接敵が早かった。

 

 「エーテル製のジャミングに加速装置ですか。さて、どうしましょうか」

 「私はアオイで遊びに来たんだ!邪魔すんな化け物!」

 「成程、では江風さん、新装備のテストを兼ねてどうぞ。大鳳さん、赤城さん。アウトロー……あのネームドレ級に接敵しすぎないように注意しつつ、他の敵の掃討を。瑞鳳さんはアウトローが艦載機を出したらそれの相手を。……そこまでしないとやれないほど情けなくはないとは思いますが、ね?」

 「言われなくてもやってやるよォ!」

 「お前さあ……まあいいや。『具現武装』。……ポン付けの装備だけで勝てると思うなよなァ!」

 

 持てる全てを活かさないで挑発に乗ったアウトロー。結果は圧勝というか、アウトローは付けてきた装備に振り回され、こちらはしっかりと練習してイメージを載せた具現武装という差が如実に出ていた。いっそ余計な装備をしないほうが強かっただろうに。

 

 「くそ、私の足が速すぎて狙いが、つけられ、ぐあッ!?」

 「反応が遅ェ!もっぺん『シンフォニックドライブ』!魚雷ももってけェ!」

 「くそ、がッ!!って、ぬおおおあああ!?」

 「おい、どうし……おーい?」

 

 私の攻撃で加速装置が故障したのか、あらぬ方向に加速してそのまま去っていくボロボロなアウトロー。……何をしに来たんだろう。

 

 「奇をてらうだけでは勝てないのですが。おそらくは『創造者』でしょうが、浅薄なものです」

 

 冷静に冷淡に『南西』のネームドの仕業だと推定しつつディスるてーとく。その考えで行くと。

 

 「つまり、私が特異な力に目覚めたから特殊な力つけておけば強いんじゃねェのかとかそういう発想なんスかね」

 「そんなところでしょうね。はあ。他の部隊も無事掃討できましたし、こちらの主だった負傷者もいませんし。まあよしとしましょう」

 「了解」

 

 そんな感じで撤退の流れになる中、赤城が聞いてくる。

 

 「あの、江風さん。今の戦い方なのですが……」

 「タメでいいよ、同期なんだし。加賀の姉であれ、同期は同期。そこ割り切らないと調整重ねてきた金剛さんの機嫌がヤバい」

 「……ええ。先程の戦い方、江風……いえ、江風達は皆習得しているのですか?」

 「や、近接特化なのは私だけ。加賀はまた別の……狙撃?狙撃だなアレ。電はまだ。なんかの拍子に目覚めるンじゃねぇかなァって話は出てるけど。羽黒と瑞鳳は特になし」

 「私はこうしたいんだー!エーテルよ、応えろー!って機会がないとちょっと難しそうなのです」

 「加賀ちゃんもそう言ってましたね」

 「もうさ、電ちゃんさ、可愛い艦載機よ出ろー!で目覚められない?」

 「まだ諦めてないのですか!?」

 「だって可愛いのいいじゃない」

 「……本当、奔放なんですね、皆さん。私にはできなかった……」

 「赤城?」

 「いえ、なんでも……」

 「実家で何があったかは雑にしか知らねェけどさ。今は艦娘「赤城」なんだぜ?素体の実家に帰属する『お前』じゃない」

 「!」

 「加賀見りゃわかんだろ、第二の人生歩むつもりで、出来なかったことやってみりゃいいのさ。わかんなきゃまあ、付き合うよ。大鳳さんも付き合ってくれるんでしょ?」

 「ええ、勿論よ」

 「……私は、家族に誇れる優等生であり続けようとしてきましたし、それ以外のやり方を知らないんです。だからこそ、加賀さんの変わりように驚いていて」

 「昔の、素体の加賀ちゃんしか知らなかったからこそ不安だった、でしたよね」

 「はい。艦娘加賀になったとはいえ、そのままのイメージでしたから、強く反発されて驚いてしまって。姉妹喧嘩すら、したこともなかったんです」

 「加賀の奴が格の違いみたいなの感じてコンプレックスになってたから衝突する気にもならなかったらしいし、その対象も優等生じゃそうもなる……か?」

 「ということは、初めての姉妹喧嘩、なのですね!」

 「今の加賀ちゃんは強めにぶつかっても壊れないマイペースな感じだし、まあなんかあったら卵焼きでも食べさせるし!安心してぶつかるといいよ!」

 「皆楽しんじゃってもう……。でも、全力でぶつかった方が、あなたにとってもいいと思います。応援、してますから!」

 「私と羽黒ちゃんは赤城ちゃんの応援!加賀ちゃんの応援は江風ちゃんと電ちゃん!丁度いいね?」

 「赤城さんの先輩なんですから、当然私も応援していますからね!」

 「大鳳さんも……ありがとうございます。私、やってみます」

 「感情が先走るとトチるけど、想いを載せると結構付き合ってくれるぜ、艤装って奴は」

 「……そうですね、あの子の想いを受け止めて、私の想いを、ぶつけてみます!」

 「「おー!」」

 

 明後日の決闘について盛り上がる私達。それを周囲警戒しながら聞いていたてーとくは。

 

 「やはりいいものですね、『仲間がいる、感じられる』というのは。ええ、本当に。……だからこそ、期待していますよ。貴方達が見せてくれるものを。私がかつて捨てて絶望したその光を見せてください」

 

 そう小さく、誰にも聞き取れない声量で呟くのだった。

 

 

 5日目 20:00 大浴場

 

 

 「また鉢合わせましたね、姉さん」

 「……ええ、加賀さん」

 (居づらい)

 

 またしても姉と大鳳さんと大浴場で鉢合わせてしまった。まあ、今回は。

 

 「赤城ちゃん髪の毛本当に綺麗なんだけどシャンプーとか何使ってるの!?」

 「え、えーと、特に私は選んでいなくて……」

 「生粋!?た、大鳳さんは!?」

 「私達の鎮守府、そこまで要望を出す人いなくて……一応仕入れてる種類ならわかりますけど」

 「是非是非!」

 

 煩い卵焼き馬鹿――瑞鳳――がいた。

 

 「今日はアウトローと交戦したとか。お疲れさまでした」

 「いえ、ほとんど江風が撃退していましたし、福山提督もいましたから特には……」

 「そう、呼び捨てにするようになったのね。……それにしても、アウトローも間抜けね」

 「加賀さん達は……怖くないんですか?ネームド級の深海棲艦が」

 「正直、1人で正面切って勝てるとは思っていないわ。けれど、アウトローはあんな調子だから江風を主軸にすればどうにかなるし、私達は最終的に『南西』のネームドを相手どらなければならない。ビビっていられないというのが正直なところね」

 「アウトローも、今のところ江風ちゃんに振り回されてばっかで噂に聞く『艦隊を壊滅させて悠々と去っていくヤバいやつ!』って感じしてないからなんか緊張感ないよね。今日もアレだったし……」

 「特殊技能はあくまでも特殊技能。上手く活かせなければ正攻法に負けますし、使いこなせなければただの重荷ですからね。正直、話を聞いたときは笑いました」

 「鼻で笑ってたもんね加賀ちゃん」

 「……」

 「姉さん、何か」

 「……いえ、本当に、変わったんだな、と」

 「そうね、そうかもしれないわね。そこを含めて、明日全てを叩きつけてあげますから。覚悟しておいてください」

 「こちらこそ、全力で当たらせていただきます。正攻法、で」

 「優等生としての実力は、そこの卵焼きから嫌というほど聞かされているわ。楽しみにしています」

 「ねえ、私のあだ名卵焼きになってるの!?」

 (赤城さん、だいぶ気が楽になっているようで良かったわ。ここに来て、正解だったかもしれないわね)

 

 後方保護者顔をしている大鳳さんの視線を受けつつ、話題は尽きなかった。




 アウトロー「オイテメェ創造者ァ!あんなクソ装備つけさせやがって!早いだけで役に立たなかったじゃねェかよォ!」

 創造者「……何か特殊能力なものを、と希望したのは貴様だろう。まあ、扱えなければそんなモノか」

 アウトローが使っていた加速装置の性能は『速度を大幅に上げるが旋回性能が死ぬ』というものなので、小刻みな動きで張り付いてくる江風とは相性が最悪でした。パージしていた方が確実に強かったです。
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