少しファンタシーな鎮守府で   作:朝宮 糸瓜

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 だんだんPSO2成分が強くなっていきます。時系列としては、この後の9月からPSO2ジ・アニメーションが開始となるタイミングになります。

 橘イツキと本作主人公の立花蒼は特に関係はないです。ただ苗字が被っただけです。


25話 事後処理と合流と

 25話 事後処理と合流と

 

 

 2日後10:00 第127鎮守府司令室

 

 

 「……こちらの状況をおおよそ把握した。新兵装のテストに今まで手を出さなかった観光業、そしてイレギュラー適性の艦娘の運用に深海棲艦の特殊運用……なぜ絞らんのだ、と言いたくなるな」

 「ここまですれば復讐に集中していると思われないこと、他の鎮守府からのやっかみを持たれにくいこと等がありますが」

 「ここまでこの人数でやらされていては哀れにしか思わんよ。さて、どこから着手したものか、と言いたいところだが」

 「どこから手を付けますか、司令」

 「不知火。今の俺は『参謀』だろう。こちらの基地司令までやる気はないと言ったはずだ」

 「私にとって基地司令とはあなたのことですから」

 「強情め。まあ、いい。俺が手を付けられるのはやはり艦隊運用……の中で特に問題と思ったところだ。先日の戦闘データ、それに過去の戦闘データを参照すればお前にもわかると思うが……」

 「……エーテル具現者組の暴走、ですかね」

 「ああ。強いエーテルに晒されている中では覚醒がしやすい、それはいい。だが、その後も精神が引っ張られ激情に駆られる。だけならいいが制御が出来ていない」

 「特に顕著な江風さんはそれがプラスに働いている面もありますが、参謀」

 「急に変わるんじゃない。せめて一言挟め。問題は最終的に交戦する予定の南西勢力、そして攻略予定の旧130鎮守府。いずれも高濃度のエーテル下の戦いが予想される、ということだ」

 「暴走確実、というわけですね」

 「敵も馬鹿ではないのだろう。となれば、それを利用する可能性も考慮すべきだ。差し当たり、その制御が課題になるだろう。力が増幅するのは構わん。激情に走るのも構わん。だが、制御できなければいずれ死ぬぞ」

 「そうですね。そういう、ものでしたね」

 「その中でなんとかしてきたから感覚が鈍ったか?それで救えなかったというのだろうに、お前も」

 「……」

 「とはいえ、相性的な意味でも江風らをそういう場に投入するのは確定事項だ。となれば、制御という方向に舵を切るのは当然だな」

 「そうですね。とはいえ、どうしたものか」

 「案としては2つだな。1つは高濃度エーテルの状況下での訓練を積み制御できるまで慣らさせること。もう1つは程度よく沈静化させる手段を用意することだ」

 「どちらも厳しいですね。そこまでのエーテル施設、となると第二技研が相当していましたが破壊済みですし、ここにはそのようなものがありません。沈静化も……」

 「それぞれの案としては。エーテルに近いフォトン。それを代用すること。つまり、アークスシップと言ったか、お前の本来の拠点に連れて行きそこで鍛錬を行うことだ。もう片方は、雷だ」

 「オラクルに……それと、雷さん?」

 「ハグには心を穏やかにする効果がある、とは言うが前回の結果は顕著に過ぎる。ならば、彼女の具現武装にあたるものはそういう方向性かもしれん。であれば、だ」

 「エーテル組に雷さんを編成することで制御を行う、ですか」

 「そうでなくとも本人自体での制御は必要になるだろうが、更なる保険としては有用だろう」

 「となると、それぞれ働きかけて……ですか」

 「アークスだのオラクルだのはお前に任せる、が。問題は雷だな。エーテルに目覚める、それはエーテルに強い思いを反映させることだ、というのはなんとなく分かってきたことではあるが手段として確立できていない」

 「これについては、うん、いえ、だが……」

 「どうした、歯切れが悪いぞ」

 「具現武装に詳しい組織が存在します。1つはマザークラスタ。江風さん達の所属しているSNSグループで、構成員のYMTコーポレーション社長、亜贄さんもこれに所属しています。彼から具現武装について学ぶことになりました。もう1つはアースガイド。これは現在は具現武装を行えるものが主体となって主に陸上での怪異に対処しているのだとか」

 「近しいものとしてはマザークラスタだが、実績はアースガイドか。で、悩んでいた理由はアースガイド、か?」

 「ええ。端的に言えば、第1鎮守府元帥から距離を置くようにと指示を受けています。理由はそのスタンスですね」

 「想像するに、深海棲艦絡みか?」

 「ええ。彼らは『人々を守り、導くもの』と自らを定義し、裏で活動を続ける所謂正義の味方のようなものです。逆に言ってしまえば、味方となる人外に対しては風当たりが強い」

 「全員が全員か?」

 「いえ、そうではないでしょう。ですが、トップ層がそういう存在だと第1鎮守府やその協力者は判断し、先手を打って現状況を生み出しました」

 「末端ならともかく、上がそれでは公に手を組むことは出来んか。して、その協力者とは?」

 「先日の比叡さん、もとい稗田詠さん。彼女が現在身を寄せている組織、そこは人類と共存を望む人外と人外と共存を望む人類が手を取り合って成り立っている相互補助組織。『組合』、と自称しているそうです」

 「深海棲艦以外の人外か。河童か何かか?」

 「河童の他にも、悟妖怪、雪女、等の妖怪や幽霊、格の低い神など様々だそうです。諸事情で表世界に居づらい特殊な状況の者も多いとか」

 「何でもあり、だからこそ人類優先のアースガイドとは喰い合わせが悪い、か」

 「ええ。深海棲艦が出現した当初、意思を持った個体がいると判断できたこと、それに海から現れた人外、生まれながらの艦娘。それらの存在から、人に仇なさない深海棲艦の出現を予測していたようで。アースガイドやその流れに合流した安倍晴明からの陰陽道一派より先に大々的に鎮守府組織と手を組むことにした。それが第1鎮守府の始まりだったそうです」

 「安倍晴明か、ずいぶんなものが出たな」

 「この国における対人外のスペシャリスト、その開祖とでも言うべき存在だそうですね。その流れをくむ派閥は、人外に対して敵対的であり、友好的であろうとも排除に躊躇いがないそうです」

 「そのスタンスが主流になれば深海棲艦との全滅戦争は必須だな」

 「ええ。それを恐れ、ついでに人類に友好的な人外の生存権確立の為に大きく動いた。これが組合というわけですね。この代表格と呼べる女性、現在は『濁流』というコードネームで通っていますが、彼女が初期の艦娘を支え、現在我々が使っている人類用対深海棲艦兵器の着手、大破ストッパーシステムや応急修理妖精システム等にも関与したとか」

 「大きく出たものだな。大破ストッパーシステム、それがあれば俺達の方でももう少し犠牲は減らせただろうに」

 「そのシステムは明日、改めて黒潮さん経由で流させていただきます」

 「頼むぞ。まあ、そうなるとアースガイドに頼るのは無理だな。第1鎮守府の流れをくむどころか傘下にあるここがアースガイドと手を組むことは出来んだろう。となれば、マザークラスタだが」

 「覚醒するときは覚醒する、ぐらいのスタンスですのですぐに目覚めさせるというのは厳しいでしょうね。ただ、参考にはなると思います」

 「暴走への制御を含め、自分たちの構成員でもある江風達の話でもあるんだ。巻き込ませるべきだな」

 「では、アークスへの協力依頼と、亜贄社長への依頼が優先事項、となりますね」

 「後は各種訓練や編成だが、そこもおいおいやっていくぞ」

 「了解です、参謀」

 

 

 翌日 12:00 異世界・陽炎たちの鎮守府

 

 

 「……と言ったところで、大破ストッパーシステム、応急修理妖精のレシピなどです。参考にしていただくよう」

 「分かりました。……生きていらしたんですね」

 「死に損なっただけだ。済まないが、今後のこの世界の未来、お前に託す」

 「そこまで期待していただけるとは。……この鎮守府の子たち含め、預からせていただきます」

 

 てーとくというか不知火さん、響の姐さん、参謀のおっさん、そして直感センサーとしての私。この面子でこっちの鎮守府を訪れたら、αのとこの――なんて鎮守府って言ってたっけ――提督さんが来ていたので情報をぶん投げていた。

 

 「さて、お二人共。ここの皆さんに顔を出してあげてください。貴方達は、どれだけ想われていたか知るべきだ」

 「……む」

 「……」

 「いーから行ってきなよ二人共」

 「詰める話はこちらでしておくから」

 

 てーとく、というか不知火さんと参謀のおっさんを叩きだす。実は生きてたらしいですよでお別れは確かに嫌だもんなァ。

 

 「……さて、前回は派手にやってくれたわけですけども。事後処理、まだ終わっていないんですよ」

 「だからこちらの鎮守府にいたわけだね。ただ、今後はやりやすくなるだろうから感謝してくれていいんだよ?」

 「陽炎さんや黒潮さんから口の回る響さんだ、とは聞いていましたが。ハハ、本当に。……さて、押し付けられたからには少し依頼があるのですが、受けてもらえるでしょうか」

 「なんだい?」

 「簡単な話です。陽炎さんと黒潮さんをそちらで預かって欲しい」

 「いいのかい?」

 「彼女らたっての希望です。不知火さんやここの元司令……今は参謀でしたか。彼らだけをそちらに置いておくのは不安だ、と。こちらの戦いは一息付けますし、この鎮守府は合併により巨大化します。人手は多少余るところとなります。問題はありません」

 「2部隊に分けて戦うと連合艦隊も組めない状況だったから、有難いね。ただ、それだけかい?」

 「後は、たまにはその4人に。こちらに顔を出させるようにしてください。特に参謀と不知火さんには」

 「理由を付けて渋るだろうけど、了解したよ。長期的なケアは必要だからね」

 「それと、江風さん」

 「え?私?」

 「ありがとう。君たちが頑張ってくれたおかげであの主を討伐できた。それと、君の力。気を付けて欲しい。力に呑まれるということは、危険に直結するからね」

 「……ウス」

 「依頼とは別だけど、君たちが全員生きて目標を達成できること。これが僕の、いや。僕たちの望みだ。どうか叶えて欲しい」

 「頑張ります」

 「それと、君たちの方での決戦。必要があれば僕たちの力も貸そう。どうかそれは覚えておいて欲しい」

 「有難いね。当てにさせてもらうよ」

 

 純粋にこちらを想ってくれている目だった。思わず照れてしまう。……自分の鎮守府でも慕われてるンだろうなぁ、この人。……その後、ついてくると知って反対していた二人が帰ってきたけど、響の姐さんが適当にあしらって連れてくる流れになった。

 

 

 16:00 第127鎮守府

 

 

 「――というわけで黒潮共々よろしくね!」

 「大体お初やな。陽炎と不知火のボケを抑えるからよろしゅうな」

 「ま、とりあえず言うことは一つね」

 「言うてみいや陽炎」

 「私にとって不知火は妹!憑依してる梓もよって妹!その部下のアンタたちもみんなまとめて妹やおとうどっ!?」

 「開幕飛ばすなや!!」

 「変わりませんね、陽炎姉さんも黒潮も」

 「変わんねぇンだ……」

 

 沈んでいた保護当時とは打って変わって陽気な陽炎の姐さんとそれと漫才していく黒潮の姐さん。多分、向こうの鎮守府のムードメーカーだったんだろうな、と思う。なんだかんだ言ってたてーとくも参謀も嬉しそうだしよかったんじゃないかな、と思う。優秀な人員が増えるのはありがたいし。

 

 

 8月末 10:00 アークスシップVR空間

 

 

 『さあさあ!データを取らせてもらいつつ、始めていきますよ!』

 「お、落ち着かねぇ……」

 「ですねぇ、ぞわぞわするのです」

 「この中で落ち着いてやることが課題、と言っていたわね」

 「まずは私が手本として動かさせていただきます。芯は熱く、表面はクールに。それを目指せれば十分ですので。徐々に慣らしていきましょう」

 

 そういって変身を解いた状態で1人で作戦エリアに突入するてーとく。

 

 『あなただと雑魚じゃデータ採取にならないのでー……こんなのでどうですかねぇ!』

 

 カリンさん、という管理者の人の声と共に大型ダーカーやらなんやらが大量に湧く。

 

 「えーと、ファングパンサーにグワナーダ、デコルマリューダにブリュー・リンガーダ……多くないですか!?」

 「ふっ!」

 「!?」

 「剣からは熱を感じるのにてーとく自体は落ち着いてる……ああいうことか……」

 「躊躇わずにパンサーの爪を破壊してそのまま切り伏せたわね。今度はグワナーダの触手を切り伏せながらデコル・マリューダに向かったわ」

 「敵に何もさせない、って感じなのです」

 「あ、リンガーダの攻撃捌きながら巻き添えでデコル潰した。しかもその巻き添えで残りのグワナーダの触手も潰してダウンさせた」

 「リンガーダの輪っか壊してダウンさせたので……まとめてオーバーエンドで叩き切ったのです!?」

 『よしよしよしよしとてもよっし!素晴らしいデータが……素晴らしくもないですね。もっと強いの当てないとダメでしたかー』

 「当然のように進行してンだけど」

 「ゲームとしてのPSO2でも真似出来そうにないのです」

 「ねえ、これって」

 「「?」」

 「私達もそういうレベルで組まれないかしら……?」

 「「……」」

 

 本当に組まれた。フォトンの濃い状況下で変に逸れば簡単にぶっ倒される状況下でメンタルを制御して戦う、という意味では役に立ったけどかなりのスパルタ式になってしまっていた。

 

 「こ、心と体が一致しねェ……」

 「心は前のめり、体は危険を訴えてぐらぐら、やりにくいのです……」

 「足を止めさせてもらえないというか単純にフィールドが狭いのは不利ね……まあ、いい訓練にはなったのだけれど」

 「正直、これをいい訓練って思える辺り毒されてますよね、私達」

 「違いねェ」

 『よしよしよしよしとてもよっし!素晴らしいデータが取れました~!』

 ((なんのデータだろう))

 

 私達の休憩中はてーとくがなんかもう意味不明に強いダーカー……いやダークファルスじゃねェ?って相手に訓練をしていた。平然と相手をして、再現データではこの程度かとかもうちょっと強化をとかもうよくわからないことになっていた。

 

 『そういえば、この訓練はその方たちの力と心の制御、って目的でしたよね。なら、ルーファさん!あなたの心も乱してみましょう~!』

 「ッ!!」

 『正直強さは再現しきれてないんですけどね。だからこそちょうどいいんじゃないですか?』

 

 出てきたのは2人のアークス。確か片方はマトイって人で、もう1人は……

 

 『最強の2人のアークス!今後は『守護輝士(ガーディアン)』と呼称することになるそうですが、どうでしょう!』

 「確かに、私への揺さぶりとしてこれ以上の者は……ないか」

 『では、スタートです!』

 

 ふざけた次元の高出力の法撃を使っていくマトイさんに武装を柔軟に使い分けていくもう1人の守護輝士。マトイさんには剣が鈍り、守護輝士には剣が先走り過ぎている。敵自体にもだが、てーとくの心が振り回されている。アレが、危険ということなのか。

 

 「く、ぐ、おおおおおっ!!」

 「てーとくがあそこまで乱れるなんて……」

 「これが実戦だったら、って思うと恐ろしいのです」

 「卯月さん達が執拗に頭を押さえろ、潰せ、っていう意味がよく分かるわね……」

 

 結局、てーとくがボロボロになりながら勝利を掴んではいたが、とても安心できるような戦果ではなかった。指揮艦がアレだと確かに不安になるし、ああいう姿を晒していたら問題視もされるのだろう、というのがしっかりと理解できてしまった。

 

 

 16:00 アークスシップロビーエリア

 

 

 「あら、ルー……梓と呼んだ方がいいかしら?久しぶりじゃない」

 「サラ」

 

 訓練――ずっと誰かしらが戦い続けるハードな訓練だった――を終えてカフェエリアへ向かうため、ロビーエリアを歩いていると声をかけられた。年代は私達と同じぐらいだろうか。

 

 「その子たちは……ああ、部下の子ね。話は聞いてるわ」

 「ええ。今回はこちらでの訓練とデータ取りを兼ねてカリンのところへ」

 「えぇ、アレやってたの……ご愁傷様ね、貴方達。疲れたでしょう?」

 「あ、はい」

 「嫌でも体が慣れてはきましたが」

 「リフレッシュがてら甘いものをってことでカフェに連れて行ってもらおうとしていたのです」

 「まったく、アンタじゃないんだから程々にしてあげなさいよ?あ、それとフランカ’sカフェに行くならゲテモノっぽさそうな名前のは避けること。本当にゲテモノだから後悔するわよ」

 「そうなのか」

 「そうなのか、じゃないわよ!アンタも商品の素材回収だかに協力してたんでしょ!?それでなんも食べてないの!?ヤバいの出来てるわよ!?」

 (……そういや、フランカ’sカフェって言えば妙な収集クエストあったよな)

 (誰が食べるのかなってモノとか変な機材とか納入してましたよね)

 (本当に出てくるのね……)

 「はー、私も休憩したかったし。ついていくわ。アンタだけじゃ不安よ。……それと、ヲ級って子は元気かしら?」

 「ええ。元気にやっていますよ」

 「ヲの姐さんの知り合いっスか?」

 「あの子をアークスシップで預かっていた時、私の下に置いていたの。っと、申し遅れたわね。私はサラ。このアークスの総務部次席をしているわ。……と言っても、局長の馬鹿マリアが総務ほっぽり出して教導部とか行ってるから実質私が長みたいなものだけど」

 「た、大変ですね……?」

 「そういう貴方達は江風、電、加賀ね。一応そこの梓から送られたデータで知ってるわ。色々大変だったみたいね。ま、後は食べながらにしましょ」

 

 そういってサラさんに先導してもらってカフェでくつろぐのだった。こっちの人相手には、てーとくは地が出るというか敬語が抜け気味になる様子だった。どちらかに統一した方が楽だが慣れない、とはてーとくの談だった。

 

 「……加賀、マジで挑戦すンのか?」

 「普通に食べるのと挑戦用と分けてるから大丈夫よ、というか貴方達も試すのよ」

 「巻き込むのやめてもらえます?」

 「ブルメッタの蕾パフェってホントゲテモノだからね?残していいからね?残りはこいつが食べるから」

 「いやまあ、アレの素体を食べたことはありますが」

 「……アンタの場合ちゃんと調理してないんでしょ……あぁ、私達の頼んだのは時間かかるから先に席についてて食べてて」

 「はーい」

 (……で、こっちにあの子たちを連れてきた、ってことはあの子たちのデータ取り兼ねてるのよね?)

 (ええ。私としては訓練の意味合いの方が大きいですが。最近特に見られるアークスのようなモノ。実際心強い戦果を挙げているが所属不明のアークスもどきたち。彼らのデータと江風さん達が一致しているかの調査でしたか。結果は別物と出ました。予想通りでしたが)

 (アンタが上げてきたデータを見る限り、アークスみたいな戦闘挙動を取れるのは艦娘になれば精々程度、情報の少ない妖怪も可能性は低そう、ってことね。後はやっぱあれね、PSO2。アレを媒介にしている可能性ね)

 (ESCA標準搭載のプリセットアプリ、PSO2。どうしてこちらの世界とつながったのかは不明ですが、ゲームキャラクターとしてなら、ですか。直接聞いてみるのも手ですが)

 (……そうね、お願いしてみようかしら。けど、ほとんどがただのゲームだと思ってる可能性の方が高そうなのよね。これはカスラの推測だけど)

 (通常ユーザーをカモフラージュに。まあ、ありえない手ではないでしょうが。その辺りの調査はどうするつもりで?私には情報は降りてきていませんが)

 (アンタは鎮守府、艦娘を介して惑星地球の非日常部分にアクセスする、というのは継続で。別個に現地で活動するアークスをいくらか派遣してそっちに諜報してもらうって話よ。例えばそっちの学校、高校って施設にとりあえず1人送るって話ね)

 (ユーザーの多いのは高校生大学生辺りがピーク、ということだった。まあ、妥当か。……で、誰が行く?ブルーノは……年齢が適さないか)

 (情報部の詳細なメンツは知らないけど。高校生担当としてはアイカ……ほら、法撃クラス一通り収めて試験運用中のサモナーやってる腕利きの子。って話ね)

 (……あの任務に忠実な。いや待て、私も似たようなものだから分かる。浮くぞ、アレは……!)

 (そこはカスラにでも言って。私の担当じゃないし)

 (はぁ……)

 (後は、アンタが関わらないって宣言してるアースガイド。そっちと情報部組は連携とっていくって話ね)

 (!)

 (異世界だの宇宙からだの、ってことで敵対はされなかったらしいわよ。とはいえ、アンタに付き合えとは言わないわ。アースガイドと関わる側と関わらない側。2方面から情報を集めてもらう算段だから)

 (……了解した。カスラにはその上では私は援護できない旨を伝えておきます)

 (すっかり、鎮守府基地司令官さんね、アンタ)

 

 何か遠くでひそひそとてーとくとサラさんが話しているなと思いつつ、ブルメッタの蕾パフェに挑む。

 

 「……肉汁ね」

 「マジで鶏肉の肉汁じゃねーか」

 「え、私も食べるんです?」

 「そうだぞ」

 「そうよ」

 「うぇ、ホントに肉の味。パフェに向かないのです……!」

 「残りは福山提督に回しましょうか」

 「お前ホントいい性格してるよな加賀」

 「それはそれとして、なんですけど」

 「ン?」

 「私達、ゲームの中だと思ってたPSO2の中に来ちゃったんですね……」

 「そうね、言われてみればゲームの中にいるのよね私達」

 「今いるカフェだってゲーム内で駄弁ってた場所そのものだモンなァ」

 「……これ、周囲から見たらどう見えるんですかね」

 「……そうね、もし周囲にいるのがPSO2のプレイヤーだったら……」

 「いや、流石に似てるだけで別モンだろ!?……だよな?」

 「江風、直感判定」

 「したくねェ」

 「右に同じくです」

 「帰ったらエゴサでもしてみようかしらね」

 「どうやンのさ」

 「PSO2、艦娘、再現、辺りで調べればわかるでしょう」

 「加賀ちゃん鋼メンタルですよねホント」

 「ま、ぶっちゃけるとどっちでもいいっちゃいいというか。ホラ、艦娘がいるけど人じゃねェIF世界なんて体験したばっかだろ。もうなんでもアリだー!って感じ」

 「わかるのです。もうキャパオーバーですよね」

 「そうしたら素直に受け入れてこなしていくだけよね」

 

 ここ最近増えてきた情報が大きすぎて、もうどうにでもなれというのが正直なところだった。

 

 

 8月末 19:00 第50鎮守府司令室

 

 

 「……腰抜けどもめ。それでこちらにお鉢が回ってくるのもなぁ……む?」

 

 どたどたと廊下を走る音が近づいてくる。これはいつものパターンだろうか。そう思っていると、予想通りバンと大きな音を立てて扉が開く。

 

 「もうもうもうもう!ホンット信じられない!なんなのよなんなのよ~!!」

 「落ち着きなさい、霞」

 「落ち着いてられないわよぉ!もう限界!」

 「で、どうしたね」

 「どうもこうも……また延々と私を持ち上げて……恥ずかしいからやめてって言ってるのに……!それに、それに……!」

 「お茶を入れるからゆっくりと話すといい」

 「うぅ……」

 

 涙目で駆け込んできたのは新人の霞。内容は想像通り、というかここ最近頻発している内容だった。端的に言えば、礼号組の仲間がよってたかって持ち上げてくるのに対して羞恥心が限界を迎えた、ということだった。同期の朝霜と清霜はともかくとして、大淀と足柄もどうも羽目をはずしがちの様だ。

 

 「私、全然できてない!皆の方がすごいの!なのにいつもみんなして私がすごい、私のがすごいって持ち上げて来て……もう耐えられんないわよぉ……!」

 「あの子たちは本当に君が可愛いんだろうね。そうやってその上で足搔くその様がまた、魅力的に映るんだろう」

 「でも、だからってもうちょっと加減してってばぁ……」

 「まあ、そろそろお灸が必要だとは思っていたがね。……さて、霞」

 「な、なによ」

 「家出、してみるかね」

 「……え?」

 

 これはちょうどいい機会かもしれない。この鎮守府にとっても、鎮守府組織という大枠としても。そしてこの子の為にも。確か127には彼女の同期も多く在籍しているとのことだし、都合のいい話だろう。




 むこうの世界では、無傷からのワンパン轟沈が有り得る世界でした。

 梓「だからアイカは不適だと!潜入捜査とはただ入り込めばいいのでない、溶け込むことが必要だと……というか清雅学園って私の鎮守府の近くじゃないか!おい、笑ってないで人選を変えろもう日程が迫っているとか言っている場合じゃない、アイカは履歴はしっかり把握できるだと!?アイツはただ読み上げるだけだおい聞いているのか陰険腹黒クソ眼鏡ッ!!」
 陽炎「なんかわからないけど大変そうね……?」
 黒潮「茶菓子用意しといたるわ」


 電「で、どうだったのです?」
 加賀「そもそも艦娘再現勢が多くて話題になってるかわからなかったわ」
 江風「それもそうか」

 ※艦娘が近いようで遠い扱いなので再現キャラに選ばれやすい世界です。
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