少しファンタシーな鎮守府で   作:朝宮 糸瓜

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 旧127鎮守府の陥落の日の話です。


37話 始まりの悪夢

 翌日 第127鎮守府 執務室

 

 

 電の両親を含めた協力者を適当に尋問しつつ、裏の連中が一掃されたり残りも証拠がボロボロ東雲邸から出て来て上へ下への大騒ぎは横須賀と大本営、公安とかにぶん投げて。127の艦娘部隊は一先ずやることは終わった、という状況だった。

 落ち着いたのもあって、てーとくから今回までに収集できた情報が告げられていた。

 

 「まず、人類側の敵とその支援者の大多数は今回の作戦で掃討が完了したと言っていいでしょう。現状、抱えている問題は二つ。南西勢力の拠点が掴み切れないこと、そして第二技研の旧パトロンの正体が掴めないことです」

 「響だよ。南西勢力についてまず説明するよ。タやアウトローの情報もあって、南西勢力の中核は『統率者(コマンダー)』、『創造者(クリエイター)』の2名だけであること。他は姫級鬼級含め有象無象であることが分かっているよ。そして、その拠点は『艤装を持たない離島棲姫』の物であり、彼女は非協力的というか勝手に縄張りを乗っ取られただけであること。そして、この拠点は『南西海域にはない』ことが分かっているよ」

 「南西海域にない、ってどういうことです?」

 「南西海域の一部、鏡面海域はエーテルが不安定で陽炎たちの異世界にも繋がっていることは分かっているね。それと同じように、まったく別の海域から南西海域の鏡面海域にアクセスしている。そして、それは南西海域よりも北側ということまでは分かっているよ。早い話、日本における冬がその拠点でも多少寒かったから北半球ではあると言えるね」

 「東京程寒くはないが、南西のような熱帯な地域ではなかったよ」

 「潮の感じもだいぶ違うしなァ!」

 「というタとアウトローの情報、130に残っていたその拠点との通信記録、現在謎の勢力が存在していそうな領域。これらを絞ってみた結果、恐らく、という但し書きがつくけれど一つの候補が出て来たよ」

 「バミューダ海域。大西洋はアメリカとメキシコ国境近辺の海域。バミューダトライアングル、という名称に聞き覚えはあるでしょうか」

 「あ、あれってアメリカだったんだ!?」

 「そういえばアメリカ大陸に近いんですよねアレ」

 「該当海域はここ数年エーテルの異常値が観測されている他、霧が濃く航行が困難であること、調査に向かった部隊の音信が途絶えたり全く別の海域に出てしまうなどの異常現象が確認されているそうです。まあ、似たような状況は南西海域を含め複数あるのですが、気候条件や通信記録を照らし合わせるとここが浮上しますね」

 「そこまで分かってて、掴み切れないの?」

 「ええ。このバミューダ海域に拠点があるとして、この海域は広大です。具体的にどこなのかが不明であること、先程申し上げた通り調査が困難であること。攻め入るには情報が不足しています」

 「南西側の連絡路らしきものもここ何度かアウトローに先導してもらって調査していたけれど、あちら側から閉じてしまっているようだよ。これは陽炎たちの世界への境界を制御できたことから予想は出来ていたけれどね」

 「加えて敵勢力は南西の有象無象を従えています。強行作戦で突入したところで、絶えない援軍にすりつぶされてしまうでしょう。それに場所は遠くアメリカ大陸を挟んだ先。艦娘母艦白峰を送ることも困難です」

 「そういうわけで、現状情報不足、攻略手段が確立できていないということで一旦攻略は中断、というわけだよ」

 「輸送手段についてはアークスの協力でどうにかなるかもしれません。現在協議中です。ただ、正確な座標が掴めないことには」

 「もどかしいっスね……」

 「ええ。そしてもう一つの課題点。第二技研の元パトロンですが……マザー・クラスタ所属の皆さんに不快感を覚えさせる内容になることを先に通達しておきます」

 「えっ」

 「東雲曰く、彼らはマザー・クラスタを名乗っていた」

 「は?」

 「そんなっ!」

 「信じられません!」

 「……名乗っていた、とは?」

 「あくまでも自称マザー・クラスタであっただけですので確証はありません。そして、彼らの提示した内容も貴方方の持っているマザー・クラスタの情報と乖離しています。曰く、多大な功績を上げればマザー・クラスタへの参加を認める、支援すると。ですが皆さんは才能を示す前にマザー氏に見いだされマザー・クラスタに参加をした。そうですよね?」

 「なのです!功績なんてなんもしてないのです!」

 「ソレ本当にマザー・クラスタなの?」

 「私もそれを疑っています。東雲曰く可能性としてはマザー・クラスタの裏切者が独断専行で唆した、あるいはマザー・クラスタに非友好的な組織が詐称していた可能性があるとのこと」

 「まあ、それなら……許せねェな」

 「いっぺんぶち殺すのデス」

 「旧第127鎮守府及び第130鎮守府を襲撃する際には既に連中は手を切っていたらしく、改めて声をかけられることを期待しての第二技研らの暴走であったという話です。それもあり、その『自称マザー・クラスタ』についてはこれ以上の情報が非常に少ないのです」

 「他に判明していることは、裏組織の壊滅によって日本の鎮守府に関係する悪党はまとめて炙り出されたけどその中にはいなかったこと、どうやら通信先がアメリカのラスベガスであったことから、国外組織ないし国家の枠に囚われていない組織の者であることは推察できているね。逆に言えばここまでだよ」

 「いずれどちらも討伐しますが、現状では打つ手がありません。第130鎮守府のログを中心に解析を進めるのが現状の方針となります。それと、この情報はマザー・クラスタには流さないでいただきたいのです」

 「え?」

 「もし裏切者がいるならば対策をされるでしょうから、彼らの協力を仰ぐ場合はこれ以上の進展があってからとします。確実に獲り逃さず確保し、殲滅する。その為と思ってください」

 「……了解」

 

 今までてーとくの許可もあって色々とマザー・クラスタと情報共有していただけに、歯がゆいがそういうことなら黙っておくべきだろう。ただ、絶対とっ捕まえてやる。

 

 「後は協力者共が有用な情報を吐き出してくれればよいのですが……期待薄でしょうか」

 「あの、尋問して吐き出さるだけ吐き出させたらその後はどうするのです?」

 「処分します」

 「!」

 「テロリストの内通者。であればテロリストと同様の存在。生かす理由はありません」

 「司令官さん、一つお願いがあるのです」

 「なんでしょうか」

 「私の両親を殺す時、私にやらせてください。せめてもの、清算を」

 「……了解しました。現状報告は以上ですが、他に質問は」

 「赤騎士(レッドナイト)、アレどうなったの?」

 「元帥を安全領域まで輸送したのち行方不明になりました。追跡を試みましたがどこへ行ったものか……まあ、今後敵対することはないとは思いますが」

 「不安っスね……それと、話変わるけどいいですかね?」

 「ええ、どうぞ江風さん」

 「一息付けたことだし、そろそろ『てーとくが地球に降り立った時の旧127襲撃』と『前回』って奴を私達も知りたい。駄目かな?」

 「……卯月、天龍さん、坂田さん」

 「いいんじゃねぇか?改めて振り切っておきたいし」

 「あまり気分のいい話じゃないことは前提として話しておくぞ」

 「だな。まあ、長くなるぞ。まずはあの初日のことだ」

 「お茶、入れてきますね」

 「お願いします、弥生さん」

 

 まず、語り出したのは天龍の姐さんだった。少なくとも3者視点になる話だという。

 

 まずは俺からだな。忘れもしねぇ。あの日、最初は友好的な関係を築けそうだった『北の姫』の勢力、タ達のとこだな。元々非好戦的で『暮らすモノが楽しい、心がプラスになる環境を大事にするタノシイウミ』の形成を目指すってとこだった。だが、いくつもの不幸による衝突で決戦やむなしになっていたんだ。全て終わって色々と漁って、130に残った情報も見れば敵の人類側や南西側からの裏工作があったらしい。

 結果として、127の主力、北の姫との交渉にあたっていた暁を中核とした攻略メンバーと128、129、130の部隊も増援として送り込んだ大規模討伐作戦になったわけだ。逆に攻め入られるのを想定して卯月達は鎮守府近海で警戒に当たっていたわけだが。

 決着としてはお互いに大きな被害を出しつつ、北の姫は討伐。こっちは先代の加賀、基地航空隊をやってる岩本隊を連れていた奴だが、こいつが戦死した。タやル、ハやイはそこで離脱したんだが、問題はその直後だった。

 当時127に残っていたのは遠征帰還組と待機組のいくらか。ここにいる面子としては俺、龍田、響、秋雲、雷。そして舞鶴から来てた電さんを含めた何人かだったわけだが。ここにジャミングを使った大規模勢力が押し寄せてきた。当時はそこまで対ジャミングの準備が出来ていなかったというか、ジャミングの発想がなかったからな。気付いた瞬間数えるのも億劫なぐらいの敵艦が鎮守府に押し寄せていたわけだ。

 当時は地上戦が行える連中もいなかったし、待機状態ですらなかった連中も多かったからな。多くが抵抗もできずに殺されて行った。それで提督、秘書艦だった秋雲と正式に指揮を上げる予定でもあったんだが……そいつがその中でも指揮を取って生き残りを撤退させる方向に舵を切った。遠征帰り直後の俺達も撤退戦に参加したんだがな。それでも押されて、電さんが一人残って時間を稼いでくれたんだが、提督がいたこの執務室を中心に砲撃で本棟も爆破されて。そんな状態で先に逃がされた秋雲も本棟を出たところで爆発に巻き込まれて撃沈判定、それも中途半端に艦娘化が解けて素体まで重症。結果その近くで動けるのが俺と響。それも気を失っている龍田と雷を抱えている状態だった。そこに電さんを殺した連中が追い付いてきて、もう駄目か、と思った瞬間だった。大剣を携えた女、梓が来たのは。

 

 「今でも、本能的に足を向けたのが正解だったと思っています」

 「じゃなきゃ127は生存者ナシだったな」

 「で、その後にアタシ達130組が合流したんだが、先にこっちから話すか」

 

 127の中核メンバーが北の姫の海域に殴りこむ際、128や129、そしてウチの130も主力部隊を送っての共同作戦だった。お前らの知ってる奴だと130からは山城とかが該当だな。で、130は立地的に東京湾の出島だ。逆に攻めてくる連中がいるかもしれない、ってことでアタシ、弥生、長月、菊月の小隊が警戒に当たっていた。睦月はその前に警戒を担当してて入れ替わりで130に帰投したとこだった。

 そこで北の姫討伐完了の報告が入ると同時に、127が襲撃されたって情報が飛び込んできたんだ。位置的には無視できないはずの130を素通りして大量の深海棲艦部隊がなだれ込んできてた。そりゃあ混乱したさ。その時に127に援軍に行くべきか、130にも敵襲が来ると見込んで130に引き返すか。そう思っていた時に夏奈姉から通信が入った。130も襲撃を受けている、そして襲撃者の正体が人間だった、ってな。元々艦娘やってる連中は対人戦なんて想定してないし、人に銃を向けられる想定もしてない。だから、130に残ってた連中もそのほとんどがあっさりと殺されちまった。睦月と並んで最古参だった如月たちも。

 その上で、夏奈姉が睦月と最低限の抵抗は行うが保たない、だから130は棄てて127の救援に向かえって指示を出したんだ。そういう「何かがあった時」の為にアタシは艦娘になったんだがな……ただ、理性が130に戻ったところで間に合わないってのは告げてたからな。断腸の思いで127に向かうことにした。

 その最中、130の方向から1隻の所属不明艦、まあ第二技研だったんだろうが。が接近してきてな。当然レーダーの反応もなしだった。それがいきなりそこの艦娘は本艦に着艦せよ、と言い出しやがった。敵の手先ってのは分かったさ。けど、その船の速力的に振り切れるとも思えなかった。……そんな時、弥生がここは任せて先に行けと一人残ったわけでな。……残った3人で127に着いて。そこで見たのは炎に巻かれる127だったものとその奥で深海棲艦と戦う天龍たちと謎の女、まあ梓だったわけだ。

 

 「私はその時に捕まって第二技研に連行され、北の姫の勢力が潰走した際にルが同様の形で捕まって、私達は第二技研で実験台にされていました。数少ない確保できた生存固体、ということで殺さないように注意を払われていたおかげで命は繋ぎ留めました、けど」

 「私達本来の艤装は弄り回されてぐちゃぐちゃにされて使い物にならなくされてしまったがな。同等かそれ以上の実験対象が新たに確保できていたら私達は殺されていただろう。その前にお前たちに助けられたわけだが」

 「第二技研の制圧と様子見を同時に行わなければいけなかった理由もそこにあるね。『前回』はそこが読めなかったのと抵抗しきれなかったから私や暁、雷、電が第二技研に駐留してしまったからね」

 「『前回』ってやっぱ気になるんですけどもてーとくの始まりも先に聞きたい」

 「ええ……どこから話したものでしょうか」

 

 

 2026年12月 東京 海近辺

 

 

 「……転移完了。ダーカー因子の反応もなし、か。視線を集めているようだが……シャオ、服装に問題はなかったのか」

 『軽く調査しただけだけども、ないはずだよ。君のそのおっかない殺気が原因だよ』

 「……ふん」

 『ここまでの状況を改めて確認するよ。君が降り立った惑星の名前は地球。オラクル宇宙とは亜空間で隔たれた先の宇宙にある惑星だ。現在分かっているのはこの惑星からアークス船団にアクセスがあった、ということ。敵対的な行動は今のところ発見されていないけれど意図が掴めない。その為に調査隊を派遣する必要がある。けど、未調査の惑星だし何が起きるか分からない。その為に単独で送り込んでも生還できる君に降り立ってもらったというわけだ』

 「言語翻訳は完了しているのか?」

 『この惑星、複数の言語からなる複雑な言語系をしているみたいでね。解析にはしばらく時間がかかるから、君にはしばらくその辺りをうろついてもらって言語データの収集をしてほしい。ハルコタンに最初に降り立った時と同じ、と思ってもらえればいいよ』

 「……了解した」

 

 そんな中でしばらく気の向くままに足を運んでいたところ、海沿いに到着した。そう、鎮守府のすぐそばに。

 

 「シャオ、よくないフォトンがある。……戦いが起きている」

 『状況が分からない以上、介入は駄目だよ。誰が味方かもわからないんだから』

 「……だが、状況を窺うぐらいはするぞ」

 『ちょっと、ルーファ!?』

 

 フォトンの示すままに鎮守府付近まで走ってきて、黒煙が上がっているのが見えた。

 

 「大分、大規模な戦闘になっている……!」

 

 その時だった。一際大きな爆発が敷地外からでも見える建物、つまりこの本棟の執務室から発生したのを目撃したのは。そして、一気に流れ込んでくる守り切れなかった悔恨、予測できなかった悔恨、悲劇を食い止めきれない悔恨。『悔恨のダークファルス』である私(【仮面(ペルソナ)】)である以上、無視できないものだった。そして、その中でまだ生きているものの強い悔恨を、感じた。

 

 「……シャオ」

 『待って、言語解析もまだ!』

 「後で何とでも言え。……介入する!」

 『ちょっとぉー!?』

 

 鎮守府の正門前には向こう見ずな人だかりが出来ていて、生存者の憲兵隊が必死に押し返していた。それをまとめて飛び越える。……飛び越えた憲兵の中に坂田さんもいましたね。

 

 「フォトンは……こっちか!そして、あれは……!」

 

 地球人らしき負傷者二人とそれをかばう二人。それに対して複数の地球人とは違う形状の人型が武装らしきものを構えていて。

 

 「やるぞ、『コートエッジ』!そして『ジャストガード』!」

 「!?」

 

 天龍さんと今思い返せば重巡級だった深海棲艦の間に割り込んで、重巡の砲撃を剣で弾く。

 

 「――!?――!!―――!!」

 「……何を言っているかは分からない、か。シャオ、翻訳にはあとどれぐらいかかる」

 『ああもう、まだまだかかるよ!どうするんだい!?』

 

 言葉は通じないと思いつつも後ろの人物、天龍さんに目を向けて。先程の悔恨の発生源は彼女であると本能で察して。そして周囲を見回した。辺り一面火の海。何人か確認できる遺体。誰が侵略者で誰が被侵略者かは一目瞭然だ。そして、私はどちらに味方すべきか。

 

 「アイツは言っていたな。そこで手を伸ばさず諦めるからどうにもならないのだと。なら、迷う必要は……ない!」

 

 皆さんには守護輝士(ガーディアン)と言った方が伝わるでしょうか。アレの言っていたことを思い返しつつ。深海棲艦に剣の切っ先を向け、そのまま顔だけふり向き天龍さんにうなづきを一つ。……恐らく伝わったと願って。そして複数いる深海棲艦からいかにして彼女らを守るかを考えて。

 

 「貴様らの相手は、私だ!『ウォークライ』!」

 「「!!?」」

 「ッ、オオオオ!!『ギルティブレイク』!」

 「――、―――!!」

 

 後ろで天龍さんが何を言っているかは分からずに突撃をかまし――お前、剣は効かねぇって言ったんだよ――そうですか。重巡に斬りかかったんですが、ご存じの通りエーテルやフォトンを通した攻撃は通常の火器同様、耐性の問題で有効打になりませんでした。PSO2をしている方は分かるかもしれません。アンガ・ファンダージというエネミーが耐性で耐えてくるのでそのパターンだと気づくことが出来ました。

 

 「硬い……いや、耐性!アンガ・ファンダージのようなものか!」

 「!!」

 「貴様の攻撃は弾けないわけではない!……一通り試すか。ライフル!」

 

 一応持っていたライフルによる射撃、テクニックによる法撃と一通り試しましたが結果は変わらず。

 

 「!!」

 「ッチ、当たった……が、フォトンを使っていないのか?この体には通用しない……お互い決定打なし、ということか」

 

 被弾しても私のダークファルスとしての耐性で非フォトンの砲弾も効かないということも判明しました。ただ、それに焦れてきたのは敵も同様で。

 

 「!!」

 「強行突破するつもりか!?貴様!」

 

 私をすり抜けて天龍さん達に強襲しようとする重巡級に手を伸ばして、投げ飛ばそうと思って首を思いっきり掴みました。

 

 「ギャッ!?」

 「らぁッ!……今のは、首が折れた感覚?」

 

 投げ飛ばした重巡はそのまま動かなくなって。素手による握り潰しは有効だとそこで気付いたわけです。実際、武器を使わない素手による格闘戦や艤装武器を用いた格闘戦は有効であることが判明していますね。砲を向けてくる深海棲艦相手に実行できる存在が皆無であるということを除けば、ですが。

 

 「……それなら、次は貴様らを……!」

 「!!」

 「!!」

 「同時に抜けるつもり……!?」

 「――――!!」

 「――!」

 

 二体の深海棲艦が突破しようとした瞬間、それぞれに突き刺さる砲撃。振り返ると砲を構えた天龍さんと響さん。彼女らの攻撃は有効であるということがそこでわかり。私のやることも決まりました。

 

 「私が盾になり、後方射撃。隙あらば首を折ればいい……!」

 

 非人型である駆逐級に対しては特に砲撃に任せていました。雰囲気からの共闘、といったところですね。その中で他の襲いつくした深海棲艦が少しずつ合流してきて。数的不利が顕著になってきたところに卯月達が到着しました。

 

 「――!!」

 「――!!」

 「よくわからないが、後ろの地球原生人の味方、か!?」

 「――!」

 「―!!」

 

 天龍さんとのやりとりの上でそのまま砲撃を開始する卯月達。そんな中、鎮守府本棟から負傷した秋雲さん、それも変身の解けた状態で。彼女が這い出てきて、そのまま倒れ伏しました。

 

 「――!!」

 「――、――!」

 「――!」

 

 響さんが秋雲さんの元に走り、他の皆さんが砲撃を強め。彼女を救助するつもりのようだ、ということは伝わったので盾役として派手に動くべきだ、というのは分かりました。

 

 「ならば……スタンス、発動!」

 「!?」

 「オオオオオアアアッ!!」

 

 体のギアを一段階上げて。首を圧し折り残った敵に投げつけ、砲は剣で叩き落し。響さんが秋雲さんを龍田さん達の元まで運ぶことが出来ました。その少し後です。

 

 「敵はまだ来るか……!」

 『ルーファ!翻訳、完了したよ!』

 「!」

 『それと、海の方から反応多数!君が庇っている方に近い反応だ!』

 「主砲、斉射!」

 「「!!?」」

 「あ、アレは……!」

 「横須賀鎮守府、金剛隊到着!掃討に移りマス!」

 

 金剛さん率いる横須賀の艦娘隊の到着でそのまま敵の掃討を終えることが出来ました。

 

 「さて、終わりましタガ……」

 

 そう言って私に砲を向ける金剛さん。人としてあり得ない戦いをしていたんです。不審に思うのも当然ですね。

 

 「貴方は何者デスカ?」

 「待ってくれ金剛さん、そいつは俺たちを助けてくれ……ぐっ」

 「分かっていマス。それはそれとして正体を明らかにする必要がありマス」

 「……敵対するつもりはない」

 「お前、喋れたのか!?」

 「たった今、翻訳が完了し喋れるようになった」

 「翻訳……?」

 「……」

 

 金剛さんを、そして天龍さん達をじっと見つめて。感じたフォトンの感覚を信じて。

 

 「私はルーファ。この惑星、地球に降り立ったばかりの船団民……宇宙人、という方が分かりやすいか」

 「「宇宙人……!?」」

 

 これがファーストコンタクトでした。地球人の記録には宇宙人の来訪履歴がないこと、私の異能の特異性などから私の存在は隠す形で情報共有となりました。

 

 「それで、貴方は分けも分からずにこの127鎮守府の支援に来た、と?」

 「そういうことになる」

 「宇宙人を地球の尺度で測る方が無駄、デスカネ……はあ、それでこの星に来た目的は?」

 「……我々の宇宙、その船団にアクセスするものを探しに来た」

 「は……?」

 

 そこから横須賀の第1鎮守府に一旦移り、元帥とアークスの導き手であるシャオや情報総括担当のカスラのやり取りが始まり、一先ず交流することになりました。




 この作品作り始めてからバミューダトライアングルが大西洋にあると知りました。
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