翌日 午前 アークスシップ医療棟
電の救出劇から一夜明け。私達127鎮守府一行はダークファルス【若人(アプレンティス)】と交戦したこともあり、メディカルチェックを受けていた。
「なんで私だけ1週間も入院なんですか納得いかないのです!!」
「あんだけどう見てもヤバい状況になっててそれ言う?」
「むしろ1週間で退院できることに感謝すべきね」
「なまじ体が動けると納得いかないよね。分かるよ電ちゃん」
【若人】直々に乗っ取られかけていた電は検査入院どころではないが、これでも早い方だとてーとくは言っていた。依り代になった人間が浸食されきって死亡してもおかしくはないという話だった。
「1週間は私が依頼した追加措置を兼ねたものになります。電さんには窮屈な思いをさせますが……」
「司令官さん!司令官さんが言うのなら仕方ないのです!」
「嘘だろコイツ」
「貴方そんなキャラだった?」
「あー、うん、皆が私に向ける目線の意味がちょっと分かったような、わかりたくなかったような」
入室してきたてーとく相手に露骨に態度を変える電。出自の関係からか、雷の姐さんを筆頭に心を開いた相手にはチョロい感じなのだが今後が不安になってしまう。
「昨日は浄化槽に浸かりながら電さんと色々話していまして。電さんの事情や心象がダークファルス受けがいいと言いますか。再び狙われてもおかしくはない、と判断したので対浸食用のコーティング処理のようなものをしてもらおうと思ったんです」
「確かにまた狙われたら命がいくつあっても足りないっスからね」
「ええ。それに情報部と共有できた情報がいくつかありまして。少なくともここの皆さんとは一旦共有しておいた方がいいでしょうね」
電を含めたダーカーによる地球人の拉致事件。今回の結果もあって、惑星リリーパの地下に封印された【若人】の力の塊が新たな依り代を求めての犯行だったことは確定した。その上で集めていた地球人はPSO2の実力者ユーザー。ダーカーから見て『強いユーザーアークス』だったという。
その上でフォトン適性がアークスのそれかそれ以上に高い素質を持った人間を依り代にして復活を果たそうと狙っていたらしい。今回救出できた人たちの中には【若人】のお眼鏡に適った人物はおらず、一番高かった電を当座の依り代として選択しようとしていたらしい。結果、依り代候補にならなかった人たちはダーカーのコロニーに確保こそされていたものの軽い処置と浄化で日常に復帰できるレベルだったようだ。現在、記憶処置と情報操作の下に順次地球に返す手続きを踏んでいるところだ。
「カスラ……情報部局長曰く、フォトン適性というモノとエーテル適正は似て異なるもののようです。ですから、エーテル適正が高かった電さんは候補にこそなりましたが、依り代としてはいささか不十分だった、と【若人】には判断されたようです」
「散々暴れた上に勝手に拉致っておいてコレジャナイってのもむかつくのです」
「拉致される側としては溜まったモンじゃねーわな」
「そして現在、情報部はフォトン適性の高いユーザーアークス、つまり【若人】に狙われそうな地球人を監視しているとのことでした。この方ですね」
「橘イツキ……私立高の清雅学園の2年生?」
「実は9月から彼の監視を始めているそうで。こちらに情報が回ってこなかったのはなるべく自身の手で処理をしようとしていた情報部局長カスラの判断でしょうね。それに、情報提供されたところで我々が動けることは皆無でしたから」
「私達も私達で忙しかったもんなァ」
「でも、こんなことになったら何かしないわけにもいかないのです!エーテルの感覚、なんか強くなってる感じもしますし行けるのです!」
「一度ダークファルスに全身を支配されたことで、フォトンの扱いを体で覚えたのでしょうね。類似する性質であるエーテルにも活かせると思いますし、電さんの強化につながったと思っていいでしょう……が」
「が?」
「逆に言えばダーカー因子に馴染みやすいとも言えます。だからこそ対策としてしっかり処置は受けてくださいね」
「はあい、なのです」
「そして、その上なのですが。これは任意でと思っていますが、皆さんには対ダーカーに合わせた戦術や専用装備の更新など、海上用装備と並行して用意していこうと思っています。今後またダーカーが地球を襲う可能性は十二分にありますから」
「それ込みでのコーティングですよね!?やるのです!」
「乗るよ。電の感じを見るに無駄にはならなさそうだし」
「牽制とはいえラストネメシスが弾かれたのには頭に来ました。強化できるなら望むところです」
「わ、私もです!それに、福山提督に勝てるかもしれませんし……」
「当然、アタシ達も乗せてくれるんだよな!」
「ええ、ぜひお願いしたいです、卯月」
隣の病室から卯月の姐さん達もやってきた。そして、皆乗り気である。
「狙いは地球人なんだろ?俺達が海を守ってる後ろでダーカーなんぞに好き勝手されてたまるかってんだ。やるぜ」
「俺達憲兵隊もだよ。本来の深海棲艦対策支援からは離れていくけど、それ以外をばっちりサポートできるなら望むところさ」
「皆さん、ありがとうございます」
今日はメディカルチェックで一日潰れるが、明日からそういう更新やらを進めていくという流れになった。アークスからの武器の支給も話を通している段階らしい。
「ってことは、今日はとりあえず待機ってか休みか」
「皆1週間休んでいいのですよ?」
「やだよ一人で休んでろ」
「絶対暇だから嫌なのです!!」
「電。調子というか、メンタル的には大丈夫なのかしら?昨日色々ありすぎたわけだけれど。それを含めての1週間休みではないのかしら」
「まあ、両親が目の前で私狙いだったダーカーに殺された時は気が動転しましたし、もうちょっと覚悟固めてから自分の手で始末をつけよう、って思ってたのです。それに、最期に、一度だけでいいから自分たちの非を認めて欲しかった。私の願いを聞き入れて欲しかった。そんな心理を【若人】には付けこまれたようなんですけどね」
「電ちゃん……」
「けど!それ込みで司令官さんは受け入れてくれました。ずっと、心のどこかでこんな両親の娘なんだからいずれ切られちゃうんじゃないか、って不安だったのをそれでも!って司令官さんは引っ張ってくれたのです。だから、もう大丈夫です。それに……」
「それに?」
「司令官さんと同じ経歴になった、って思えば悪くないのです♪」
「な、お前、おま……ッ!」
そう言っててーとくの腕に抱き着く電。狼狽する卯月の姐さん。
「安心してください卯月さん」
「な、なにをだよ!?」
「司令官さんをお慕いしてますけど、取ったりはしませんから」
「いや、別にアタシらそういうんじゃないし……」
「フリーなのです?だったら……」
「考えるな考えるな!!」
卯月の姐さんがてーとくに気があるのは周知の事実みたいなところなのだが、まさかこの人自覚してないのか、気付かれていないと思っているのか。
「?……電さんは大事な仲間で部下で、卯月は大切な背中を預けられる仲間……相棒だ、と思っていますよ」
「な、ならいいんだよ!ダーカーとの戦いだって任せなって!」
「私もお付き合いしますからね司令官さん!」
「フ、ハハハ!両手に華じゃねーか、梓」
よく分かっていなさそうなてーとくに不器用なアピールをする卯月の姐さん、それを楽しむのを込みでてーとくの腕に頬ずりしている電。天龍の姐さんから見れば面白くて仕方がない光景だろう。それにしても。
「てーとくと同じ経緯ってどういうこと?」
「隠す必要もない話ですし、全員今日は経過観察で我々はこの医療棟から動けませんし……暇つぶしには丁度いいでしょうかね」
「鎮守府の方にも通信繋いで共有するか?」
「そうですね。卯月、通信をお願いします」
そうして語られたのはてーとくの出自、そしてオラクル宇宙を狙っていた陰謀との戦いの歴史だった。
まず、私はいわゆる人造人間というものです。製作者はルーサー。PSO2をプレイしている人はイメージされた通り、あのダークファルス【敗者(ルーサー)】です。私が作られた理由は彼が『理解』して取り込もうとしていた惑星シオンが強力な私兵として人造人間を作り運用していたので模倣し、理解の一助にということでした。
そうですね、惑星シオンとはなんだ、というところからですよね。これはダークファルスが生まれる経緯にも絡みます。惑星シオンとは海と微生物が存在する惑星が意思を持ったモノ。内包するそれらによって得た演算能力で宇宙の全て、全知存在(アカシックレコード)まで演算出来た超常の存在でした。その情報の中には我々アークスが使っているフォトンの扱いもありました。
そこに宇宙を旅するとある種族の船団が惑星シオンに降り立ちました。意思疎通のできる相手がやってきたことに喜んだ惑星シオンは彼らを真似たアバターを創り、彼らとコミュニケーションを取りフォトンの扱いを教えました。それによってその船団民の文明レベルは跳ね上がり、栄華を極めました。そして、彼らは自らをフォトナーと名乗るようになりました。
そこまではよかったのですが、やがて文明末期というべき状況に陥りました。社会の堕落や腐敗。惑星シオンはそこまで予測できたそうですが、交流相手を手に入れるという欲求に負けてその上で技術供与を行っていたとのことです。そして、フォトナーは制作実験を始めました。惑星シオンを人造で模倣するという実験を。
元々は惑星シオンにばかり負担をかけない為だったのかもしれません。あるいは惑星シオンと対等に並び立とうという向上心からだったのかもしれません。ただ、結果として腐敗したフォトナーの最悪の実験となったことだけが事実です。
最初に創り出した人造惑星は高い能力を持ち自意識を持ちました。しかし腐敗したフォトナーにとって都合が悪く、『反抗的な失敗作』として亜空間の先の宇宙に放棄したそうです。そしていくつかの失敗を経て、『フォトナーにとっての理想の模倣シオン』というべきものが完成しました。それこそが最悪の結果につながるわけですが。
その完成した人造惑星は思考しました。そして、結論を出しました。『フォトナー、そしてフォトンは宇宙の害である。滅ぼすべき存在である』、と。地球の創作物でもよくある話ですよね、意思を持った人工物が制作した人類に反旗を翻す。これの宇宙規模が発生したというわけです。そしてそれは反(ネガ)フォトンを生み出しました。これがダーカー因子と呼ばれるものです。
フォトナーに反旗を翻したその人造惑星は自身をダーカー因子の根源として変容。【深淵なる闇】と呼ばれるようになり、発生させたダーカー因子を集めてダークファルスを生み出し、さらにその尖兵としてダーカーが生まれるに至りました。【若人】や【巨躰(エルダー)】といったPSO2でお馴染みのダークファルスはこうして生まれました。そして、【敗者】も。
宇宙ごと滅亡の危機に瀕したフォトナーは多大な犠牲を払い、有力者のいくらかをダークファルスの依り代に奪われつつ、最後の手段を取ることにしました。とある一人の人物を【深淵なる闇】の依り代にし、まとめて亜空間に封印してしまうという作戦。膨大なダーカー因子そのものはともかく、依り代に押し込めてしまえば強化はされるものの本体はどうにか対処ができる、という判断だったようです。
その封印の代償としてフォトナーは種族単位でフォトンを扱う能力を失いました。しかし【深淵なる闇】以外のダーカー因子、つまりダークファルスやダーカーは健在。この処理をフォトンを扱える人造種族を新たに作り出し、対処を押し付けることで解決しようとしました。その人造種族が現在のオラクル船団を構成するオラクル人であり、その戦闘集団がアークスになりました。
フォトナーはその後惑星シオンの中に情報生命体へと姿を変え、表舞台から姿を消しました。
「え、つまりフォトナーはてーとく達オラクルの人達に全部押し付けて隠居かましたってこと!?」
「そうです。勝手な話ですよね。もしフォトナーが再度姿を現すのであればこの手で殺してやりたいと思いますよ。間違ってもこの世に生み出してありがとう、等とは思いませんね」
「そりゃそうなのです」
……少し話を戻して、かつてルーサーはフォトナーのしがない一研究者だったそうです。惑星シオンの模倣惑星制作には関われない程度の低い地位の。というのも、その高い地位を知る者がルーサーを認識していなかったからという話ではあるのですが。そんな彼にダークファルスが憑依し、依り代を主人格として活動を始めました。その中で、依り代の元の理想が何であれ長い年月をかけて『惑星シオンを取り込む』ことに目標がシフトしたようです。その元の動機は最期まで聞くことは叶いませんでした。
そんなルーサーがアークスに接触を始めたのがおよそ60年ほど前の【巨躯】との大規模戦争の後。その戦いによってアークスは再起不能レベルの被害を受けました。そこに指導者として救いの手を差し伸べたのがルーサーでした。そうして内部に取り入り、じっくりと惑星シオンを吸収しようとしていたようです。惑星シオンはただ取り込めば吸収できるのではなく、その超常的な能力などを『理解』しないといけないようで、ルーサーは迂遠な作戦に出たようです。
その後ルーサー主導の下で様々な非人道的な実験が行われる中で、惑星シオンも対策なのか独自に動き始めました。自身で制作した人造人間のアークスによってダーカーをさっさと滅ぼす。……こうして作られたのが2代目クラリスクレイス、マトイです。
それを受けたルーサーは『理解』の為にそれを模倣しようとしました。その手段の一つとして彼もアークスとしての適性の高い人造人間を創り出しました。この作品の一つが、私です。最も、ルーサーを殺した後までルーサーに創り出されたなどとは知りませんでしたが。
ルーサーは複数人造人間を創り出したものの、どう成長させるかを考えました。そうして選んだ手段の一つがあるオラクル人夫婦の記憶を操作し、その子供として人造人間を育てさせること。この子供が私でした。この実験自体は途中でルーサー自身が放棄することになりました。よりよい『理解』のための実験対象が手に入ったからです。
その契機になったのが11年前。【若人】相手にアークスが苦戦し当時の六芒均衡2名が落命する戦況で、惑星シオンが2代目クラリスクレイス、いえ、マトイを本格投入し、【若人】の力の多くを交戦地の地下に封印、あと一歩で【若人】本体を撃破するところまで行きました。これが惑星リリーパであり、封印された力が電さん達を襲ったダークファルス、ということになります。
その後マトイに復讐を狙っていた【若人】にルーサーが取引を持ちかけました。オラクル船団の警備に穴をあけ、そこを襲撃して乱戦の中でマトイを討て、と。マトイの亡骸ないし扱っている専用武器、『白錫(はくしゃく)クラリッサ』を手に入れられればルーサーの解析が大いに進むのが理由でした。このクラリッサには惑星シオンの意識の一部が組み込まれていて、惑星シオン自身がマトイを指揮する形でした。そして、マトイはダークファルスにすら打ち勝つ膨大な出力を持つ一方でアークスとの共闘経験もありませんでした。漠然と『アークスの皆を守る』という目的意識だけ与えられて。ルーサーはそこに勝機を見出したというわけですね。
そして発生した【若人】によるアークスシップ襲撃事件。この戦いで【若人】は戦場にいたアークスを自身の異能で傀儡とし、マトイの動揺を狙いました。結果は乱入者の影響もありマトイが勝利しましたが、マトイは【若人】に与えられた絶望とそれまでに吸収していたダーカー因子の許容量をそれでオーバーの影響で、自身が第二の【深淵なる闇】になりかけました。そして紆余曲折あって乱入者の本来いる時間軸である10年後にマトイ自身は惑星シオンによって巻き込まれるように転移させられ、クラリッサは他の惑星に散り、自らを封印することでルーサーの干渉を避けました。
しかし、マトイが【若人】と戦う直前に保護した少女に一時的にクラリッサの所有権を譲渡し、少女を守ったことで『解析対象』が別に発生しました。この少女はルーサーに拉致され実験対象になり、結果フォトンを扱う能力を失いました。それを基にルーサーが作成した人造人間が3代目クラリスクレイスであり、実験されつくし放棄された少女は六芒均衡の二、マリアに保護されました。……この少女が電さん達が出会ったことがあり、ヲさんを預かってもらっていた総務部次席のサラです。
そして【若人】の襲撃によって多くの犠牲者が出た11年前の襲撃の中には私の育ての親の一家もいました。……私の目の前で幼い弟を抱えた父が殺され、母も私をかばって死にました。その後アークスに救助されて孤児院に入りました。
「一息に話しましたが、何か質問などは」
「……なんというか、大体ルーサーのせいじゃンかさ60年前以降の流れ」
「そうですよ。そんな創造者を生みの親として敬意を持てと言われれば、無理だという話です」
「創作物でもそういう製作者に感謝する被創造物なんてネタは聞かないわね」
「というか、自分で作った福山提督ごと襲撃させるってどんな神経してたんですかルーサーって」
「私というより私の製作自体が実験の肝だったのでしょうし、そもそも実験自体幅広く数多く行っていたのでさしたる興味も残っていなかったのでしょうね」
「改めて振り返ってさぁ」
「はい、卯月」
「フォトナーってロクでもねぇなって。アタシ達は前からちょこちょこ聞いてたけど、聞けば聞くほど、なぁ」
「腐敗と堕落の象徴!って感じだもんなー。なんならまだどっかでしぶとく生き残っててアークスを影から支配しようとしてる……とかねーのか?」
「第二、第三のルーサーが……シャレにならないねぇ」
姐さん達が盛り上がっているが、確かに聞いた感じだと素直に滅んだとは思えない。
「全滅しましたよ。生存者のフォトナーは例外なく惑星シオンの中で情報生命体になり、その惑星シオンは【敗者】によって汚染され、崩壊しました。それに」
「それに?」
「もし万が一、フォトナーの生き残りが居たらと調査して回ったんですよ。居たら殺すつもりで。……まあ、いませんでした」
「どうやったんだ?」
「【若人】の主人格部分の残滓が移植されていた元【若人】の体から、初代【若人】の依り代になったフォトナーの残留思念が具現化しまして。彼女の協力を得て探した形ですね」
「初代【若人】って……残滓の残滓ってもう残りカスもいいとこだけど、それってフォトナーって言えるんじゃないか?」
「元フォトナー人、ではあるんですが……腐敗と堕落をもって【深淵なる闇】の原型を作り離反され、滅ぼされた挙句オラクル人を後始末を押し付けるために生み出したフォトナー共とは立場が違うと言いますか。連中が科学者とすれば彼女は一流芸能人のような立ち位置で、科学者連中の顔と名前を知っていたところで加担する立場になく、ダークファルスが生み出された際には依り代として乗っ取られその後の後始末にも関与していない。……恨む対象としては何かが違うと言いますか。それでもルーサーなら殺していましたが」
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの域じゃなきゃなぁ、ってとこかぁ」
「それに彼女はダークファルスの依り代になったことに罪悪感を覚えているようで、彼女なりに協力はしてくれているのでまあ、といったところです」
「それでフォトナーだぞひれ伏せー、ならともかくしおらしくされちゃあな」
「そういうことです」
複雑そうな顔をして溜息をつくてーとく。理性が違うと訴えて手を下さないけど思うところはある、って感じだ。
「っというわけで、生みの親は敵だった繋がりで司令官さんと私は同族、なのです!」
「結論そこかよ!」
「ルーサーが結局どう倒されたのかとか分からないから、そんなに得意げになるのが分かる段階にないのだけれど」
「それはですねー」
「そろそろお昼じゃない?」
海の空気を読まない発言で電の調子に乗った言動がカットされた。
「もうこんな時間ですか。続きは昼食後としましょう。……電さんは昼食後は浄化槽に戻って頂きますが」
「えー!私だけはやっぱ嫌なのです!」
「病院嫌がるガキかお前」
「むむむ」
「マトイを思い出しますね。彼女も検査嫌いが酷くて手を焼いたものでした」
「推し?のマトイさんと同じ属性って目で見てくれます?」
「ないですから大人しく浄化措置を受けてください」
「はーい……」
抑圧されていたものが解放された、と思えばいいのだろうが電のこの調子に慣れるまではしばらくかかりそうだ、と思うのだった。