3月某日 太陽テレビのテレビ放送
『皆さんこんにちはー!太陽テレビの相馬灯莉でーす!今日も東京はエスカタワーに一番近い鎮守府、第127鎮守府に来ています!前回の放送の『反響』、皆さんありがとう!
今日は前回聞けなかったことについても色々と聞いていきたいと思いまーす!』
『今回も解説を担当する江風だよ。今日もよろしくねともちゃん』
『よろしくお願いしまーす!』
そこまでぶちまけていいのか?など賛否両論な意見を『反響』としてまとめて『好評なので』と言ってのけて第2回をやるという強行軍である。第1回放送からスポンサーにはデカデカとYMTコーポレーションが表示されており、最悪YMTコーポレーション以外にスポンサーがいなくてもやり遂げる覚悟で臨んでいる撮影である。
『今日のメインテーマは、『深海棲艦って何?』です!』
2月 撮影日 第127鎮守府 江風視点
「というわけで!江風ちゃん、深海棲艦って……何ですか?」
「深海棲艦とは……よく分からない!というのが一番だね!」
「えーっ!?分からないんですか!?」
「前回で鎮守府施設も謎がいっぱい、って言ったように深海棲艦についてもまだまだ手探りなんだ。彼らはどこから来ているの?なんで人と敵対しているの?なんで普通の銃弾が効かなくて艦娘の攻撃が効くの?というか何考えてるの?全部『よく分かっていない』、が現状だよ」
「本当に何にも分からないんですね!」
「でもほっとんどの深海棲艦が人類めがけて攻撃してくるからなんとかするしかないよね!ってことで私達は日々相手をしているんだよね」
この開示については横須賀どころか大本の国連組織『大本営』で議論がなされたレベルである。ある意味自分達の正当性を投げ捨てるような行為でもあるからだ。それでもいずれ発覚するならこちらの意図するように流すべきだという意見が非公開にすべきの票を上回って今回の放送が成り立っている。
やるのが自分じゃないからと言って重大責任を気軽に投げてきやがって、とは鎮守府一同共通の怨嗟である。
「あれ、でもこの127鎮守府って味方になった深海棲艦さんもいらっしゃるって話じゃないですか。それでも分からないんですか?」
「と言うわけで本人達に来てもらいました。タの姐さん、イ!出てきてくださーい!」
「タだ。人々には深海棲艦の戦艦タ級と呼称されているタイプだね」
「きゅーきゅっきゅっきゅー!」
「すっごい美人さんと可愛い子が……!タさんは人と区別つかないですね!色白ってぐらいですか?」
「私はもう持っていないんだけれど、本来はこういう姿と装備をしているから見間違えることはないと思うよ」
そういってタの姐さんがパネルを取り出す。パネルに描かれているのは標準的な「戦艦タ級」と「駆逐イ級」である。
痴女もいいところな戦艦タ級の格好に対し、タの姐さんは青を基調とした格好良いスーツとそれに合わせたズボンというフォーマルな衣装になっている。見間違えようがないだろう。
「露出すっごい!装備、艤装って言うんでしたよね!それも艦娘さんのと比べるとだいぶ違いますね!イさんは……同じタイプなんですか!?」
「イちゃんは特殊個体みたいで戦闘能力もないからね」
「きゅっきゅー!」
「127には経緯は色々だけど、人々とっていうよりは私達127の一員として一緒にやっていこうってタの姐さんみたいな深海棲艦のヒト達がいるんだ」
「へえ……どんな理由なんですか?」
「その前に話を戻そうか。深海棲艦は何を考えてどこから来たのか。私のケースを挙げよう。
私はふと気がついたら海の上にいた。そしてうっすらと、人間は敵だという意識が……いや、本能と言うべきかな。それがあったんだ。その時からなんとなく体の動かし方、戦い方は分かっていたし同胞である深海棲艦や敵である艦娘の感覚もなんとなく分かっていた。
そうして多くの深海棲艦はたまたま近くに居合わせた他の深海棲艦と編隊のようなものを組んで行くんだ。全部本能、人で言うところの食欲睡眠欲といったようなものだね。
だから、深海棲艦は生まれながらにしてヒトの敵である、としか言えないしそれが何故なのかも分かっていないんだ」
「きゅっきゅー!」
「そうだね、イちゃん。この本能にも強い弱いがたまに、極稀に存在するんだ。私達みたいにヒトと殺し合うぐらいなら平穏な暮らしをしたい、というような深海棲艦が出ることもある」
10年以上戦い続けてなお深海棲艦について結論を出せないのがこのせいである。彼女らもどこから生まれて何故そんな本能を植え付けられたかを知らないのだ。知りたいというタの姐さん達や産み出した根源を殺してやるという南極女帝(アンターティックエンプレス)のような個体が出てくるのも当然の帰結と言える。
「私達は恵まれていてね。生まれた区域を支配していた親玉的存在、私達は姫様と呼んでいるヒトが殺し合いなんてせずに自分達で仲良く楽しい海を作ろう、という方針だった。だから穏やかに生きることができていたんだ」
「ヒトからの分類は北方棲姫って呼ばれる深海棲艦の上位種扱いされている存在だね。名前の最後に姫とか鬼って付いてるのは格が違うスペックを持っている種類、ってことでヒトに認識されている証拠だよ」
「いい人だったんですね、その姫様ってヒトは」
「ああ、本当に良いお方だった……」
「極稀にだけどヒトと敵対的じゃない深海棲艦がいるっていうのは確認されていてね。多くは他の好戦的な深海棲艦に裏切り者ってやられちゃうんだけどそういうヒト達が集まって勢力を築き上げることがある。
日本から見て太平洋にある『終の海』なんて代表格だ。危害を加えないなら人も艦娘も自由に領海を通行しても漁をしてもいい。だけど危害を加えるなら誰であろうと容赦しない。ってスタンスだね。当然深海棲艦側からも手出しはさせないし、そういう奴が紛れ込んだらいの一番に排除するから安全な海とも言えるね」
「それってすごいことじゃないですか!?」
「現状唯一無二だね。姫さんの北方海域は第二のそれになるはずだった。リニューアルする前の旧127鎮守府も交流を経て、仲良くしていこうとしたんだ」
「した……ってことは」
「それを快く思わないのはヒトにも深海棲艦にもいる。そういった連中に潰されたんだ」
「そんな……」
「姫さんの支配する北方海域と旧127がそれで殺し合わなくちゃいけなくなってね。お互いに死傷者を出した中でそういった悪者が更に手を出したんだ。結果、どちらの勢力も壊滅した。
そうして今のてーとくを迎え入れてそういう奴らに反旗を翻すために今の127は再結成されて、私もそこで着任したンだ。そこに紆余曲折あってタの姐さん達も合流して今に至るって訳さ」
「最初の共通目標は私達を貶めて大切な人達を死に追いやった連中に報復すること。それには一区切りついた今としては、姫様の願いをここで果たしたいと想っている」
「姫様の願い、ですか?」
「自分達のいる海域を明るく楽しい海にする。つまり一緒にいる仲間と明るく仲良く未来を歩んでいきたい。……今は127の皆とそれを成すために、その障害になる相手と戦い抜く所存だよ」
「敵の深海棲艦やら悪評やらこの『127という居場所』を壊すやつ全般だね。それは今127に所属している皆の総意でもある。だからタの姐さん達は深海棲艦か、深海棲艦は何かというのは抜きにして『仲間』なのさ」
「なんと言えばいいのか……でも、応援しています!」
「ありがとう」
「きゅっきゅー!」
居場所を守る。そのために127は価値を示し続けなければならないのだ。
「さて、深海棲艦について分かっていることで代表的なことは『多くの近代兵器が通用しない』ことだ」
「どういうことですか?」
「例えば銃弾、ミサイル。そういうものだとほっとんどダメージを与えられないンだよね」
「武器による刺突やら殴打もあまり効果がないね。どうやら『人の武器による攻撃』の多くが属性として効かない扱いらしい」
「じゃあ打つ手なしってことですか?」
「不意に落下してきた鉄骨とか、武器を介さずに殴る蹴るするとか首を絞め落とすとかなら効くけど、基本的に深海棲艦って海の上で戦うからね。出来るモンならやってみろよのレベルで無理難題だね」
海上を駆けて一瞬で首根っこを掴んでへし折って殺せるてーとくが異常な理由でもある。
「そもそも海上において、艦船から見た私達深海棲艦は人間大の大きさだから的として小さすぎる。一方で深海棲艦から見た艦船は非常に大きい的だ。だから通用する兵器を作れたとしてもハイリスクと言わざるを得ないだろうね」
「だから艦娘さんが必要なんですね!」
「そういうこと。どういうわけか艦娘とそれ用に工廠で作られた装備はしっかり深海棲艦に通用するのもあるからね」
「対深海棲艦用に装備を新しく作る時も、工廠で工廠妖精ちゃんの力を借りてどうにか出来ないと『深海棲艦には通用しない兵器』にしかならないからね。鎮守府が、工廠が人々にとって重要なのはそういった理由だよ」
「工廠妖精さん達はすっごい頼もしいんですね!」
「その辺を全部解体して分析して完全に人造で、って計画もあったみたいだけど失敗に終わってるね。それでも諦めきれなかった人達が非人道的なことをしていたけど効果はなかったよ」
「私達127の仇がそういった連中でね。人体を弄くり回して満足しただけだったこともしっかり確認しているよ」
「酷いですね……」
「そういう奴が今後出てきても私達がやっつけてやるから心配しないでねともちゃん!」
「はい!頑張ってください!」
発信側という立場を利用して第二技研のような連中をしれっとディスって人々に『そういう印象』を植え付けるのも今回の狙いである。
「そうだ、深海棲艦のタさん達が合流して、何か分かったり役に立った研究ってあるんですか?」
「主に装甲とかだね。特殊な装甲を使っていたからそれを工廠妖精さん達と共同研究をして、深海棲艦の攻撃に有効な防具や艦船の開発に繋がっているよ」
「私の武器も特殊でね。さっき言った悪い人達が幅を利かせている時に合流したから武器を取り外せって圧力がかかってね。それに対して味方が用意したのがこの盾さ」
「うわぁ、すっごい大きい……」
「これで全て護ってみせるよ」
「頼もしいですね!」
「後は実戦なんだけど戦闘記録からーー」
その直後警報が鳴る。緊急出撃を要するものである。
『響だよ。哨戒艦娘が大規模部隊と遭遇。救難信号を出している。担当艦は白峰に搭乗してこれの救助にあたって欲しい繰り返すーー』
「……来たよ、実戦」
「これ、どういうことですか?」
「ちょっと待ってね、こちら江風!太陽テレビさん同行の上で私も行っていいですか!?」
『響だよ。命の保証はできない旨を伝えたうえでいいなら許可するよ。タ、防衛に参加して欲しい』
「了解!……絶対護るけど覚悟は良い?現場に連れていけるけど」
「是非!……あ、社長、いいですか?」
(撮影スタッフ共々サムズアップをする)
「よし、じゃあ付いてきて!急いで出港だよ!」
艦娘母艦白峰 艦内
「今作戦の部隊長を務める夕立よ。太陽テレビさんには悪いけど先に作戦の説明をさせて欲しいっぽい」
「はい!」
「今回は救難信号を発した哨戒艦娘の救出よ。敵は駆逐姫級を含めた連合艦隊1部隊分でその駆逐姫がねちっこく追いかけてきているっぽい。
だから先行部隊でこの駆逐姫を含めた部隊の頭を抑えて救助対象を救出、後続の本隊で残りの連中を制圧しながらお迎えするわよ!作戦参加者の質問は?」
「先行部隊は誰が?」
「卯月先輩と江風にやってもらうっぽい!試験運用中のオーバードブースターを使うっぽい」
「敵陣の上を乗り越えていけってことかっぴょん」
「えぇ。そのほうが映えるし一刻を争う状況である以上適切っぽい」
「ハッ、やってやりますよ」
「整備班オーバードブースター2基の準備に取り掛かるっぽい!完了次第2人は装着!以上!」
簡易的なミーティングは終了した。太陽テレビさんには意味不明な話だっただろうが。
「太陽テレビからの質問、大丈夫ですか?」
「構わないっぽい!」
「まず、哨戒艦娘さんっていうのは一体?」
「海って広いし深海棲艦はどこから現れるか、どこを移動しているか分からないっぽい。だから陸地から一定ラインに深海棲艦の反応が出たら陸地にデータを送る哨戒ブイを一定間隔で設置しているわ!
哨戒艦娘はその哨戒ブイの定期点検とその目と積載されたレーダーで哨戒することが任務よ。戦闘能力を捨てて速力と索敵能力に全力を振っている形ね。
基本的に哨戒艦娘が深海棲艦を感知した場合は警報を陸に打って撤退か深海棲艦の索敵範囲外から追尾するのだけど……今回は見つかった上に執拗に追いかけてくる集団という貧乏くじだったっぽい。普通は振り切られたら追いかけてこないっぽい」
「ってことは大ピンチ……!」
「そう、だからこの高速艦娘母艦白峰で急行してやられる前に救助するのが今回の作戦っぽい」
『こちら中村、接敵まで後10分!先行部隊はカタパルトへお願いします!』
「っしゃあやるぞ江風!」
「了解!こちら江風、卯月両名ともに換装完了!カタパルトへ移動!」
「な、なんですかアレ……」
ともちゃんが驚くのも無理はないだろう。背負う艤装の数倍大きな無骨なブースターを無理やりつけたような歪な状態である。
「127では色んな新しい兵装の試験運用を担当しているの。この艦娘母艦白峰もその1つっぽい。そしてアレは片道だけ装備した艦娘を超速度で射出するための使い捨てブースター。とりあえずオーバードブースターって呼んでるけど正式名称は変わるかもっぽい」
「SFで見るようなデタラメな感じがしますね」
「着想自体その辺りっぽい。ブースター自体は昔からできていたけどそんなものを装備したら艦娘がGでやられるっぽい。そこの制御に目処がたったから試してこいって上の、『大本営』のお達しっぽい。本来は適当な強襲作戦にでも投入する予定だったけどぶっつけ本番で今回使うっぽい」
「大丈夫なんですか、色々と……!」
「アレを使うために訓練してた2人が使うから事故は大丈夫っぽい。問題は間に合うか、よ」
「……!」
「本隊も第一戦闘配備!いつでも出れるようにしなさい!」
『こちら卯月、カタパルトデッキ1番へ移動完了。いつでも行けるぞ』
『こちら江風、2番で左に同じ!』
『こちら中村了解、進路を維持しつつカタパルト方角合わせ!』
『こちら秋津島、固定完了かも!』
『『出撃ィ!!』』
ソニックブームを起こしながら私と卯月の姐さんは『射出』された。
3分後 交戦区域
「はぁ、はぁ、救援は……救援は!?」
哨戒艦娘の心は恐怖で限界だった。艤装の主機も悲鳴を上げている。
「キャハハ!鬼ごっこも終わりだよォ!」
「あっーー」
追いかけてきていた姫級駆逐艦の砲撃が脚部に被弾。バランスを崩して転倒する。
「楽しいナァ、いたぶるってサァ!」
「いやーー」
「ーーァァァァァアアアアア!!」
「!?」
哨戒艦娘の眼の前から姫級が『消えた』。そしてその場所にふわりと赤い影が降り立つ。
寸前 江風視点
「喋れるか江風ぇ!」
「なんとかァ!」
「私は先行部隊のど真ん中に降りる!お前は哨戒のケツ追い回してるクソ姫級をやれ!」
「了解!見えてきた……不味い!」
哨戒艦娘が転倒するのが見えた。
「江風、最高のタイミングでやるぞ!」
『きひひっ!じゃあ蹴りでエントリーでいいよなァ!』
「言ったな!オーバードブースターパージ、偏向バーニア出力最大!ハアアアアアアアアアアア!!」
最大速度で姫級に蹴りを入れ、その反動と制御で無理やりその場に降り立つ。当然姫級はすごい勢いで蹴り飛ばされていった。
(っぐ、体がGに耐えられてねェや。要改善だな)
口から零れそうになった血を無理やり飲み込み、哨戒艦娘の方へ向く。ボロボロで振り向くのは格好悪いし不安を抱かせてしまうからよくない。
「遅くなってゴメンな。もう、大丈夫だ」
「あぁ……!」
「ギシャア!」
「ハァ!」
「チッ」
私めがけて数発夾叉の砲弾が飛んでくるがマントで防御する。こちらの性能だって上がっているのだ。
「『ウォークライ』!てめーらの相手は私だっぴょん!」
その小物達も卯月の姐さんが意識を引っ張っていく。これで私がやるべきことは哨戒艦娘の護衛とーー
「ヨクモ……ヤッテクレ……ゴホッ」
「やっぱ頭に入れないと死なねェか」
私の蹴りをモロに喰らって息も絶え絶えの姫級の撃破である。
「具現武装と偏向バーニア起動、『レイジングワルツ』!」
「ガッ!?」
空を駆け一気に斬りかかり、
「『シュートポルカ』!」
更にサマーソルトからの刃の連撃で空中に浮かして無防備にしつつ顔面に傷を負わせていく。
「トドメ!『シンフォニックブレイク』!」
「ガァーー」
最後にその無防備な弱点である顔面に蹴りと魚雷を叩き込んで爆発。いくら姫級といえど南極女帝のような堅牢さを持っていなければ、首をもぐ勢いで一点集中攻撃をかければ討伐することは十分可能だ。もっとも、多くの射撃合戦を前提とする艦娘にそれをやれと言っても無理だと返されるのがオチではある。
「よっし。大丈夫かい?立てる?肩貸すよ」
「は、ひゃい……」
「良かった、助けられて。間に合って。そしてありがとう。頑張ってくれて、敵を見つけてくれて。きひひっ」
同時刻 艦娘母艦白峰 灯莉視点
「カッコいいなぁ……」
『あの子ああやって軽率に声をかけていくからコロッといく子がちょこちょこいるのよね……』
呆れたような夕立さんの声が届く。軍の最新鋭の追跡カメラで江風ちゃんの様子はこちらでもしっかり確認できていた。卯月さんの無双ぶりもよく見えている。
『さて本隊!江風にだけ良い格好させて満足っぽい!?』
『そんなわけないでーす!』
『やってやります!』
『特殊戦闘だけが華ではないとお見せします!』
夕立さんの発破に威勢よく応えたのは瑞鳳さんに羽黒さん、赤城さんだ。江風ちゃんの同期で具現武装という特殊能力を持たないメンバーだそうで、正統派な戦い方で負けないぞという気概を持っているらしい。
『敵本隊は戦艦2と重巡4の砲撃部隊!私が突っ込んで掻き乱すから刈り取りなさい!』
『『了解!』』
『夕立、思う存分やりなさい!サポートは陽炎お姉ちゃんにお任せよ!』
『こちら黒潮、逃さへんから安心しいや!』
『出る幕もないぐらいに暴れてやるわ!』
福山司令官さんのお姉さんらしい陽炎さんと妹らしい黒潮さんはベテランで頼りになると聞いている。今回出撃しているのはこの面子で、艦娘母艦には母艦防衛にタさんがついている状態だった。メイン操舵は中村さんという男性が、補助に秋津島さんという艦娘さんが配置についていてこれは固定だそうだ。
『偏向バーニア最大速度!ウォンド帯電開始!行くわよ!貴方達は私に構わず暴れるっぽい!』
『江風にだけ良い格好させるかー!』
『私達だっているんです!』
『正規空母の力、お見せします!』
『こっちまでうずうずしてくる空気じゃない』
『せやなぁ、ワクワクしてきたわ』
そこからの戦闘は一方的だった。先方にいた姫級がやられたから混乱していたらしい深海棲艦の隊列に夕立さんが高速で突入。
深海棲艦は同士討ちを恐れて、かつ大きな艤装のため取り回しが効かずに目の前を動き回る夕立さんへの対処に苦戦、そこを夕立さんが主砲で接近弾を当てたり夕立さん専用にあつらえたらしい帯電武器を当ててスタンさせたりとやりたい放題だった。
そうして陣形も崩れたところに瑞鳳さんと赤城さんの艦載機部隊が殺到、それらに完全に気を取られて隙を晒した相手には羽さんの主砲が刺さり撃破。陽炎さんと黒潮さんは混乱を加速させるためにサポートに周り、全艦撃破で幕を閉じた。そうしてから悠々と江風ちゃんが哨戒艦娘さんを支えながら帰投した。
ちなみにこれについては戦いながら夕立さんが実況していたから把握できたことであり、素人目には艦娘さんがすごい優勢で大活躍!としか認識できなかったのでありがたかった。
「各艦帰投っぽい!秋津島、周囲に他の敵影は?」
「確認できないかも!問題ないかも!」
「なんか不安な会話ですね!?」
「語尾はアイデンティティだからさ……」
そうこうしている中で戦闘は終了し、鎮守府に戻る流れになった。
江風の連撃は最後の『シンフォニックブレイク』の直接の蹴り+魚雷以外は移動と耐性崩しのためのPA(フォトンアーツ)でほぼノーダメージです。
夕立の雷属性ウォンドは「武器は有効打ではないけど状態異常付与なら通用するよね」という理由で振り回しています。それを「ものすごく愉しそうに」振り回している様子が明瞭に映像に映りました。