そのウマ娘、星を仰ぎ見る   作:フラペチーノ

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10.好敵手:メジロマックイーン ナイスネイチャ

 寮の自室でカタカタとPCを弄る音が響く。

 今俺はテイオーの練習メニューを作っている最中だ。

 

 スぺの日本ダービーから数か月後。

 時間が経つのは早いもので、もう季節は夏に突入しようとしていた。

 その間もテイオーの練習の指導をしつつ二人三脚で頑張っていたのだが、ここに来て一つ誤算が発生した。

 

「テイオーのフォームの直りが早い……」

 

 そうなのだ。俺の予想以上にテイオーのフォームの修正が上手くいっている。

 正直もっと時間がかかると思っていたので、その前提で練習メニューやデビュー戦の日程まで考えていたのだが……

 

 もしかしたら今年中にデビュー戦出来るか……? 

 

 因みにデビュー戦は別に早ければ早いほど良いというわけでも無く、そのウマ娘の本格化に合わせる事が多い。

 本格化というのはウマ娘の持つ能力が開花し、競技者としてピークを迎える期間の事である。

 だが、本格化を迎えたウマ娘はある程度の期間が過ぎてしまうと、ピークが終わり能力が下がっていってしまう。

 なので、本格化と同時にデビューするのがベストなのだ。

 うちのテイオーは既に本格化は来ているとは思うので、デビュー戦は確かに早い方が良かったのだが……

 

 嬉しい事なのだがどうしようかと考えていると、ぴこんと携帯の通知音が鳴る。

 確認する為に携帯を確認してみると、テイオーからのメッセージだった。

 

『昨日トレーナー室にノート忘れちゃったかもしれないんだけど、無い?』

 

 ノート……? あ、これか。

 

 少し自室を探してみると、テーブルの上に「トウカイテイオー」と名前が書かれてあるノートを見つけた。

 そういえば昨日ミーテイングが終わった後にここで宿題してたな。自室ですればいいのに。

 

『あったぞ。で、これどうすればいいんだ?』

 

『実はさ、それ今日の授業で使うんだよね。持ってきてくれない……?』

 

 えぇ…… いや忘れ物しちゃうのはあるあるだよね。分かる。

 時計を見ると、時刻は十一時半頃。丁度いいしノートを届けるついでに学食でも利用するか。

 

『分かった。じゃあ、十二時頃に食堂に集合な。そこで渡すわ』

 

『ありがとー!!! 待ってるね!!!』

 

 そう返信してアプリを落とす。

 俺は食堂に向かうため、椅子から立ち上がり、ぐっと背伸びをする。ずっと座っていたせいか腰が少し痛い。

 そして帽子を被りつつ、テイオーのノートを持って俺は自室を後にした。

 

~~~~~~~~

 寮を出て、トレセン学園の食堂に向かう。

 時間が昼と言う事もあり、食堂に向かう通路はウマ娘達で混み合っていた。

 

 一応学食の食堂は誰でも利用出来るのだが、今まで俺は利用した事が無かった。

 なんかわざわざ行くのも面倒くさいし自室で食事をしていた。因みに昼は寮の食堂は閉まっているので、コンビニなどで買って来たお弁当を食べている。

 

 食堂に到着すると、がやがやとかなり騒がしかった。

 

 そういえば集合場所とか指定してなかったな…… どうしたものか。

 

 トレセン学園の生徒数はかなり多いのでそれに対応する為か食堂はかなり広い。

 そこに人混みも相まってテイオーを探すのはかなり苦労しそうだ。

 

 仕方がないので電話して場所を確認しようと携帯を取り出そうとすると、視界内に見慣れたポニーテールがぴょこぴょこ揺れるのが見えた。

 

 電話をかけるまでも無かったかと思いつつ、テイオーの方に近づいて声をかける。

 

「おーい、テイオー……」

 

「だからさー、マックイーン我慢は体に毒だよー?」

 

「余計なお世話ですわ! だからわざわざ私の前でスイーツを食べるのをやめてくださいまし!」

 

「でも美味しいよ? ネイチャも食べる?」

 

「いやぁあたしも遠慮しとくかな…… あたしもちょっと今食事制限中だからさ」

 

「むー、勿体ないのー」

 

 そこにはテイオーの他に二人のウマ娘が正面のテーブル席に座っていた。

 一人は芦毛の綺麗なロング髪のウマ娘。もう一人は赤い髪をもふもふのツインテールにしたウマ娘だ。

 

「……あら? テイオー呼ばれてますわよ」

 

「ん? あっ、トレーナー! ノート持ってきてくれたの? ありがとー!」

 

 そう言ってテイオーがこちらの方に振り向いたので、俺は持ってきたノートを手渡した。

 すると、赤いもふもふのツインテールのウマ娘が口を開いた。

 

「おぉ~、貴方が噂の」

 

「噂の?」

 

「いやいや、あのテイオーにウマ娘のトレーナーが付いたら噂になるってもんですよ。一時期凄い話題になってましたよ?」

 

 マジか。トレセン学園の生徒の方とはあんまり繋がりが無かったから分からなかった。

 

「にしても……凄い美人な方ですわね。綺麗な白毛ですわ」

 

「へ? ど、どうも……」

 

 何故か唐突に芦毛のウマの子に褒められてしまった。なんか凄い気恥ずかしい……

 

「えっと、テイオーのトレーナーのスターゲイザーです。宜しく」

 

「メジロマックイーンですわ。以後お見知りおきを」

 

「ナイスネイチャです。よろしくお願いしますよ」

 

「ボクはトウカイテイオー!」

 

「何故お前まで自己紹介した」

 

 謎にテイオーまで一緒に自己紹介した後、俺はテイオー達の席に一緒に座らせてもらい昼食を取ることにした。

 テイオー達が楽しそうに会話をしている様子を隣で聞きながら、食堂のご飯を食べる。

 テイオーの交友関係は本人から話を聞く程度でしか知らなかったが、こうして実際に見てみると、とても仲が良いようで少し安心した。

 それにしてもメジロマックイーンか。メジロ家のご令嬢と知り合いとは一体どこで仲良くなったのか……

 

「にしてもテイオー、食事制限とかしてないんですの?」

 

「へっへっへっ、ボクは太りにくいからそんな心配は無用なのだ~」

 

「羨ましいなぁ…… はちみーだっけ? あんなカロリー高そうな物飲んでるのに……」

 

「……ん?」

 

「え、いや週一でね! 週一だし!」

 

 テイオーがネイチャに突っ込まれて突然あたふたし始めた。

 

 はちみーとはカロリーと糖分の塊みたいな飲み物である。

 はちみー好きのテイオーには悪いが、そんな明らかにヤバそうな飲み物を無制限に飲ませる訳にもいかないと思った結果。テイオーと話し合いをし、はちみーは週一回という約束をした。

 その時のテイオーはめちゃくちゃ不満そうな顔をしていたがまさか……

 

「へ? あれこの前昼休みに飲んでなかった? 一昨日とか、昨日とかも」

 

「ウェ!」

 

「トウカイテイオーさん……?」

 

「ななな何かなトレーナー」

 

 明らかにテイオーが焦り始めて、俺の方から目を逸らし始めた。

 そんなテイオーに俺はなるべく俺は優しく話しかける。

 

「はちみーは一週間に一本って約束しましたよね」

 

「……はい」

 

「こっちを見なさいトウカイテイオーさん」

 

「……はい。ピェ! トレーナー目が笑ってないよ! 怖いって!」

 

 あははは。心外だな、こんなにも笑顔じゃないか。

 

「いやぁ、あれはどうなの……?」

 

「美人の方が笑顔で怒るとこんなに怖いものなんですわね……」

 

 ネイチャとマックイーンが何か言っているようだが無視をする。

 

「……はぁ。あのな、そんなにはちみーが飲みたかったなら言えばいいだろ。言ってくれれば調整したしさ」

 

「トレーナー……」

 

「でも隠れて飲むのは違うよな」

 

「はい……ごめんなさい……」

 

「はい、この話は終わり。次からはやらないようにしろよ」

 

 俺は説教長引かせるのは好きじゃないしこれで話は終わり。

 全く……隠れてやるのはこれで勘弁してもらいたいものだ。

 

 テイオーの顔を見ると流石に反省したのか耳も倒れてしゅんとしている。

 

「ウマ娘たるもの自分を律する事くらい出来て当たり前ですわ、全くもう」

 

「いやマックイーンだってこの前スイーツ食べてたじゃん」

 

「なぁ!?」

 

「確か、『食堂のスイーツが美味しくて手が止まりませんわ! パクパクですわ!』とか言って食べてたじゃん」

 

「あれ、マックイーンも食事制限中じゃなかった? テイオーの事言えないじゃん……」

 

「何を言ってますの。『パクパクですわ!』なんて言ってませんわ」

 

 いや食べた事は否定しないのか……

 

 ネイチャも呆れたような目でマックイーンを見てる。

 この二人なんやかんや似てるな……

 そう思っているとテイオーとマックイーンの言い争いが加速してきた。

 

「マックイーンだってボクの事言えないじゃん!」

 

「テイオーとはカロリーの量が違いますわ!」

 

「はい二人とも落ち着け」

 

「「ぐぬぬ」」

 

 二人が正面で睨みあっている。

 どうしたもんかな…… このままだと言い争いし続けちゃいそうだが……

 そう考えていると、頭の中で一つ妙案が浮かんだ。

 テイオーの時期的にも丁度いいし、ちょっと提案してみるか。

 

「なぁ、この決着模擬レースでつけないか? ウマ娘なら走ってなんぼだろ?」

 

「望むところだよ! マックイーンには負けないからね!」

 

「望むところですわ! 後で吠え面かかないでくださいまし!」

 

 売り言葉に買い言葉と言うのだろうか。あっという間にレースをする事が決まった。

 

 試したい事(・・・・・)もあったし、マックイーンとネイチャには悪いけどテイオーの練習台になって貰おう。今後のテイオーのレースの為にもね。

 

「あのーもしかしてアタシ、巻き込まれてます?」

 

~~~~~~~~

 模擬レースの約束をしたその日の放課後。俺とテイオーはターフでマックイーンとネイチャを待っていた。

 流石に彼女達のトレーナーに許可も取らないといけないし、もしかしたらいきなりすぎて出来ないかもしれんな…… 勢いで言っちゃったけど。

 

 しばらくすると、ぴこんとテイオーの携帯の通知音が鳴る。テイオーがメッセージアプリを確認するとネイチャからのメッセージみたいだった。

 『トレーナーさんに確認したけど、ごめん無理!』との事らしい。まぁ、これは仕方ない。

 後はマックイーンだけだが……

 そうしていると、後ろの方から声が聞こえた。

 

「すみません、お待たせいたしましたわ」

 

 後ろを振り向くと、マックイーンがジャージの姿でターフにやって来たのが見えた。

 

「トレーナーさんに確認したら、無理しない程度にやっていいとの事でしたので。トレーナーさんはちょっと忙しくて来れないそうですが……」

 

「すまんな、急に」

 

「いえ、私もいつかテイオーとは競ってみたいとは思ってましたので」

 

 しかし……二人か。本当は三人の方が良かったがこれでも大丈夫かな。

 

「なら、スターさんも一緒に走りますか?」

 

「え、いやいや。無理だから」

 

「ふふ、冗談ですわ」

 

 俺が現役ウマ娘と並走トレーニングなんてしたら、直ぐに置いてかれてしまうのが目に見えている。

 俺がテイオーと並走トレーニングしないのは「出来ない」のではなく「やれない」のだ。

 

「スーツ姿では走れませんものね」

 

 そこじゃないんだよなぁ……

 

 少し話をした後、俺はテイオーとマックイーンに準備運動をするように指示をする。

 しっかり足の筋肉をほぐして貰いながら、俺は今回のコースの説明をした。

 

「コースは芝の左回り2000mだ。こっからスタートして、ぐるって回って来る形だな」

 

 そうコースを指でさして説明する。テイオーとマックイーンが二人して首を縦に頷く。

 

「あと、当たり前だけど怪我はしないように注意しろよ」

 

「りょーかい!」

 

「分かりましたわ」

 

 しっかり準備体操をしてもらった後、俺はテイオーを呼んだ。

 そしてこっそり耳打ちをする。

 

「テイオー、最後の直線入るまで抑えて走ってくれ。マックイーンと離されるかもしれないけど焦らないようにな。今日は切り替え(・・・・)の練習だ」

 

 テイオーがこくりと頷く。

 マックイーンがスタート位置で不思議そうにこっちを見てきていたので、テイオーを彼女の方に向かわせる。

 今回はゲートは用意していないので、片足を前に出すスタンディングスタートの状態を取って貰った。

 二人がスタートの準備が出来た事を確認した後、合図を出した。

 

「……よーい、スタート!」

 

 ダッ! と心地よい音ともに二人がターフを蹴って飛び出す。

 

 マックイーンが先行、テイオーが後ろからついて行く形になった。

 マックイーンは聞いたところによると生粋のステイヤー。中距離ではまだテイオーの分があるはずだが……

 

 速いな……流石メジロ家と言ったところか……

 

 メジロ家──それは代々多くのアスリートウマ娘を輩出してきた名家で、競走ウマ娘界隈でも広く名前が知られている。彼女、メジロマックイーンは天皇賞の連覇を目標にしているのだとか。

 

 レースは中盤、マックイーンがテイオーより五バ身差ほどをつけて先行。テイオーが必死にそれを追いかけている。

 テイオーには今まで修正してきたフォームで走って貰っている。最近はこのフォームでの走り方にも慣れてきており、2000mでのタイムも徐々に最初の模擬レースの時のタイムに近づいて来た。

 が、相手はメジロ家のご令嬢。テイオーがハンデを背負って勝てるほど甘くはないようだ。

 

 しかも今回は並走トレーニングではなく、模擬レース。マックイーンのスピードは衰える事無く、ぐんぐんとテイオーと更に差をつけ始めている。

 最終コーナーでもテイオーとマックイーンの差は縮まる事無く、最終直線に差し掛かった。

 

 最後の直線約350m。さて……こっからだぞテイオー……

 

 俺はマックイーンを追うテイオーを見ながら、そうボソッと呟いた。

 


 何と言うか……少し期待外れでしたわね……

 

 ひょんなことから決まったこのレース。テイオーとはいつか模擬レースをしてみたいと思っていたので、何かに活かせるかとウキウキで参加したのですが……

 

 実際に走ってみるとなんというか、お利口さんの走りですわね。

 私は見ていませんが、聞いたところによると選抜レースは目に入るものを魅了する走りだったとか。

 これがその走り……? 期待外れもいいところですわ。

 

 自分で無敗の三冠ウマ娘を目指しているなど豪語している者の走りとは思いませんわ。

 

 ですが、これは勝負。残念だけどこのレース、勝たせてもらいますわ! 

 

 そう思い、私は最後の直線に入る。

 後ろは振り返っていないが、足音的にかなり差は付いているはず。

 

 このまま逃げ切らせて貰い…ッツ!? 

 

 最後の直線に入った瞬間、私は後ろの方からテイオーが凄まじい勢いで加速した音を聞いた。

 


 ぐぬぬ……マックイーン速いね。

 流石にそう簡単に勝たせてくれる相手じゃなさそう。

 

 でもトレーナーからの指示があるからフォームには気を付けないといけないし、マックイーンには置いてかれないようにしないといけないし…… あーもう! 気にする事多すぎ! 

 

 気づいたらマックイーンには結構差をつけられちゃった……

 でも焦らない……まだ足をためるんだ。

 

 勝負はトレーナーの言ってた最後の直線。

 

 まだ…まだ… あともう少し……

 

 ボクは我慢しながら、最後の直線に入る。正面を向くと前を走っているマックイーンと、腕を上げているトレーナーが見えた。

 合図だ。 じゃあ……いっくよー!!! 

 

 そしてボクはトレーナーから教わったフォームをやめて、元々使っていたフォーム(・・・・・・・・・・・)に切り替えて、スパートをかけた。

 

 そう簡単に逃げられると思わないでよね! マックイーン! 

 


 最終直線に入ってテイオーが一気に加速し始める。

 

 俺が言った通り、最終直線でのフォームの切り替えはちょっと不格好だけど上手くいってるな。

 

 テイオーがしたのは俺が足を壊さないようにと教えたフォームから、テイオーが元々使っていたばねのようにしなやかな走りへの切り替えだ。

 確かにテイオーの元のフォームは足への負担が大きい。が、それは常にその走りをしている場合だ。足へのダメージの蓄積には上限がある。

 だから、俺はスパート時にのみテイオーの元々の走り──「テイオーステップ」とでも言おうか──を解禁する様に指示をした。

 

 正直これは出来るとは思ってなかった。レース中に走法を切り換えるなんて前代未聞だ。聞いたことが無い。

 だがテイオーはそれをやってみせた。もうこれに関してはテイオーが天才だからとしか言いようがない。

 

 

 テイオーがマックイーンとの距離を徐々に詰め始めている。マックイーンも少し焦ったのか速度を落とさないように逃げきるような体制だ。

 テイオーとマックイーンの差が四バ身…三バ身と縮んでいく。これは差し切れるか…!? 

 

「っつ! はああああああああ!!!!」

 

 しかしここでマックイーンが更に速度を上げた。マジか、まだ足が残っていたのか。

 そのままマックイーンがテイオーに三バ身離したままゴールした。

 ゴールした二人ははぁはぁと息が荒くなっている。

 

「二人ともお疲れ様。今回はマックイーンの勝ちだな」

 

「はぁ……今日の所はこれで勘弁しておいてやる……」

 

「それ悪役のセリフですわよ…… ふぅ……」

 

 息を整えさせながら、クールダウンをするように二人に指示する。

 

 テイオーステップへのスムーズな切り替えに、普段のフォームでのタイム短縮。まだまだ課題は山積みだな…… だがこの模擬レースはテイオーにとってもいい刺激になったんじゃないだろうか。

 

「さて……今日はありがとうございました。色々と参考になりましたわ」

 

「こちらこそわざわざありがとうな。良かったらまた並走トレーニングでもしてくれ」

 

「今度は負けないからね! マックイーン!」

 

「こちらこそ負けませんわ。それでは」

 

 クールダウンを終えたマックイーンは、そう俺たちに挨拶をしてターフを去っていた。

 マックイーンの姿が見えなくなった所で、俺はテイオーに話しかける。

 

「さてテイオー、今日の模擬レースの反省会を寮でするぞ。色々と掴んだ事もあるだろうし」

 

「了解! マックイーンに負け越しは嫌だからね! 次は勝つよ!」

 

 テイオーがやる気満々に返事をしながら寮に向かって走り出す。

 

 競い合える友達がいるって良い事だな…… 

 

 そんな事を思いながら、俺はテイオーの後をついて行くのであった。

 


「さて、ネイチャさん次のトレーニングですが……ネイチャさん?」

 

「はぇ!? あっ、ごめんちょっと聞いてなかったかも……あはは……」

 

「テイオーさんとマックイーンさんの模擬レースの事ですか? 参加させなかったのは申し訳ないです」

 

「あ、いや! 怒ってるわけじゃないんだよ!? せっかく誘われたのにーなんて思ってたり……思って無かったり……」

 

「ネイチャさん……今あの二人に挑んで勝てると思いますか?」

 

「……うん、無理だね。でも……」

 

「ですが最終的に勝てばいいんです。今は力をつける時ですよ」

 

「……はい」

 

「それに今、ネイチャさんの手札を二人に晒す意味がありません。私の一番はいつでもネイチャさんだと思ってますよ」

 

「あーーもう!!! なんでそんな事サラッと言えちゃうかなぁ!!!」

 

「はい元気も出たところで、次のトレーニング行きますよ。頑張りましょうね」

 

「でもこういう所は鬼だよね。トレーナーさん」

 

~~~~~~~~

「さて、テイオー。今日は大事なお知らせがあります」

 

「どうしたの改まって」

 

 夏も終わりかけ、少しずつ肌寒くなってきた頃。俺はテイオーを自室に呼び寄せていた。

 俺は一枚の書類を机から取り出し、テイオーに見せる。

 

「デビュー戦の日程がほぼ決まったぞ」




スターゲイザーのヒミツ①

怒ると静かに笑顔になって口調が変わる。
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