春。
雰囲気が全体的に柔らかくなり、トレセン学園にもピンクの花びらが舞い散るようになる時期。
多くのG1レースが集中している季節でもあるが、一般的には新たな始まりを予感させる季節ではあるだろう。
それは決して、トレセン学園も例外ではなく。
「毎年、ここの景色は変わらないな」
今日は、入学式。
それはこれからのトゥインクルシリーズに風を吹かせるウマ娘たちを、新しくトレセン学園に迎える一年に一度の祭典とも言える。
ワイワイと活気づいたような声が聞こえる中で、さぁと返事する様に桜の木々が揺れている。
そんな見るもの全てを歓迎するかのように咲き誇る花々を横目に、俺はとある場所へと向かうために一人で外を歩いていた。
「今日は暖かいな。絶好のトレーニング日和だ」
そんなありふれた感想を呟きながら歩いていると、視界の中に目的地である三女神の噴水像が見えてきた。
トレセン学園を象徴するこの場所は、俺も大分お世話になっていたりする。
テイオーと出会って俺の景色が色づいた日も、ここから始まった。
ここはウマ娘の縁が全て集まっているような、そんな非科学的なことすら思ってしまうほど。
「……まだ来てないか?」
そんな噴水像の近くを少しうろついてみるが、約束していた待ち人はまだ来ていない。
時計にちらりと目線を向けると、集合時間にはまだ数十分程の余裕があり俺が急いでいたことが分かってしまった。
「流石に俺が早く来過ぎたな」
そう思って近くのベンチに腰を下ろすと、暖かな春風が俺の瞼を優しく撫でてくる。
思い返してみればここの所テイオーの大阪杯にカフェのクラシックの調整と、なんだか慌ただしい毎日を送っていたように見えてきた。
少しの時間だけだが、ここで休憩がてら春を訪れを感じていても罰は当たらないだろう──
「はーっはっはっ!!! 見たまえ、ドトウ! この桜舞い散る三女神像の姿を! まるでボクたちの入学姿を祝福しているようだ!」
「ま、まってください~。オペラオーさ~ん!」
「ゆっくり歩くといいよ、ドトウ。ボクの勝利への道は、たったそれだけでは遅れる事はないのだからね!」
「さ、流石ですね~」
俺が耳を澄ませようとした次の瞬間、この空間にいきなり通るような大きな声が響き渡る。
その声の大きさは、周りにいた人たちが全員驚いて声の発生源を見つめてしまうくらいだった。
例にもれず俺もびっくりしてしまい、思わず尻尾がピンと立ってしまう。
「さぁ、行こうか! この覇王への道を!」
「オペラオーさ~ん! そっちは、入学式の会場じゃないです~~~!」
そう言って嵐のように過ぎ去っていった二人は、ゆっくりしようとしていた俺を叩き起こすには十分だった。
発言を聞くに、恐らく今から入学式に参加するウマ娘なのだろう。
活発そうな栗毛の短髪のウマ娘に白い流星にくるっとした鹿毛が特徴的なウマ娘の二人組は、今日という日の主役になっていそうな気配が漂っていた。
「はぁ……今年は一層騒々しくなるのかしら……。憂鬱な気持ちになるわ」
「アヤベさーん!!! 一緒に入学式のお手伝い行きましょー!!!」
「あぁ……もう、うるさかったわね……。好きにすれば、トップロードさん」
「えへへー、やっぱりアヤベさんは優しいですね!」
「そう……」
そんな彼女たちを追うように、また二人のウマ娘が俺の目の前を通過していく。
綺麗で長い鹿毛を一つ結びにしているウマ娘と綺麗に出たおでこが特徴的なウマ娘は、聞く限り入学式の手伝いに行くらしい。
トレセン学園に所属はしているが、まだトゥインクルシリーズには出走していないのが俺の記憶から分かる。
つまり彼女たちは、これからテイオーやカフェたちと走るかもしれないライバル。
その光景を見ると、否応にでも自分が「トレーナー」であることを再認識させられる。
それに──
「おはよう、スターちゃん! 待たせちゃった?」
「いや、特に待ってないぞ」
「む~、それは待った時の言い方!」
自分の「根源」を見つめなおさないと、気持ちよくスタートダッシュを決める事は出来ない。
いつの間にか隣に座っていた楽しそうに笑う待ち人──マヤノトップガンは、俺に見せつけるように一つの鍵を取り出してくる。
「後悔は、しないんだよね?」
「……覚悟はできてる。向き合えるなら、俺は向き合いたい」
「……そっか。やっぱり、凄いや。スターちゃんは」
そう言ってとんとその場で立ち上がると、桜の並木を背景にマヤは俺だけに聞こえるようにひっそりと呟いた。
「じゃあ、行こっか。マヤが知ってる事、全部教えてあげる」
春。
全てが始まるこの日に、俺は「スターゲイザー」という本を開きにいく。
~~~~~~~~
花咲くトレセン学園の表通りから場所を移し、舞台は裏側へ。
俺は前を歩くマヤを視界に入れながら、人気が全くないトレセン学園の廊下を歩いていた。
しんと静まった空間にかつかつと二人の足音だけ響くと、なんだか別世界に移動しているような感覚さえ覚える。
それはなんだか菊花賞の後に歩いた、地下バ道に似ていた。
「これ、どこに向かってるんだ?」
「ひみつー…って言っても、まぁ普通に今使われてない部屋だよ。今日のお話は誰にも聞かれない方がいいもんね」
「……そうだな。こんな話、テイオーとかには聞かせられないし」
「テイオーちゃんは気にしないと思うけどなー。変な所、律儀だよねぇ」
「信じてくれるか信じてくれないんだったら、多分信じてくれるだろうけど……テイオーに聞かれるの、なんか嫌だ」
「ふーん……その気持ち、大事にした方がいいかも」
勘の良いことで評判のマヤにそう言われると、自分の気持ちが少しだけ肯定されたような気持ちになる。
今から彼女とする話は「俺」の話だが「俺」の話ではないところがある。
これは「スターゲイザー」だけでなく、もう思い出せない「過去の自分」に関係のある話だから。
これを自分で言うのもこそばゆいが……テイオーには、今の俺だけを見て欲しいというちっぽけな我儘なのかもしれない。
「到着! 今開けるから、ちょっと待ってね」
そう言うと、彼女は最初から手に持っていた鍵をゆっくりと鍵穴に差し込んだ。
二人の目の前にあるのは、一見普通のドア。
しかしそのドアが開かれると、なんとも言えない不思議な空間が視界に入ってくる。
「ここは……図書室、か?」
「の、なりそこないって感じかな。ほとんどの人が忘れちゃった、静かな場所だよ」
まず一番最初に目に入って来たのは、数えられない程ある本の山。
六畳くらいしかなさそうな部屋の両側には本棚があり、そこに入りきらなかった本が積み重なっているように見える。
そして窓から差し込む光に対して大きめの椅子が一つだけ、ぽつんと置いてあった。
その姿は、まるで誰かに忘れられてしまった玉座のような雰囲気を醸し出している。
「こんな場所、学園内にあったんだな……」
「うん。図書室に入らなかった古い本が、そのまま置いてあるだけの部屋だよ。マヤが理事長に確認とって使ってるから、実質マヤの部屋だね」
「一応何に使ってるか、聞いてもいいのか?」
「うーん……思考整理のためかな。時々辛くて、グチャグチャになっちゃう時あったから」
俺と目を合わせないように呟いた彼女の言葉には、見て取れるほどの重みを感じてしまった。
彼女の事情を知れたのは最近俺に話してくれたからだが……もっと、早く「同じ境遇」として気づいてあげれなかったのか──
「マヤは内緒にしてたんだから、逆に気づかれたら困っちゃうなー」
「……でも、ヒントはくれてただろ?」
「それも全部マヤの独りよがりだから、スターちゃんは気にしてないで。それよりも、未来の為の話しない?」
誰も座っていない玉座に鍵を優しく置いた彼女は、そのままこの部屋に光が入らないようにカーテンを閉める。
たったこれだけでこの空間は、外界から隔絶されたかのようになった。それこそ、この今いる「世界」とも。
そしてその案内人は俺を安心させるかのように少し微笑むと、ゆっくりと口を開いた。
「昔々……とは言わないけど、きっとまだ最近。一人きりの、小さなウマ娘がいました。それは……自分のことを、マヤノトップガンだと思ってました──」
物語を伝えるように、目の前の「無縁の支配者」の本は静かに開かれる。
~~~~~~~~
「めでたしめでたし……って、マヤの人生終わってないけどね!」
「……」
彼女から聞いた話は、想像できないほどマヤの苛烈な過去だった。
この誰にも話す事の出来ない心情は、俺の想像をはるか上を行っている。
これを聞いてしまっては、確かにマヤが「本当にいいの?」と再三聞いてくるのも頷けてしまうものだ。
だからこそ、俺は彼女にかける言葉が思いつかない。
「……そんな顔しないで。この世界が終わって無いのを知れたのは、スターちゃんのおかげなんだよ?」
「それでも、俺に何か……」
「無いよ。無かった。だから、この話はこれでおしまい」
あえて、突き放すような彼女の言い方。
だがそれは諦めというより、ポジティブに前を見据えているように見えた。
「でもね……これまでがなかったら、マヤはテイオーちゃんともスターちゃんとも出会えてなかった。この話は終わったけど、これからの話はまだ始まったばかりだよ」
そう言っていた彼女の瞳は、今ある光を取り込むように輝いている。
彼女の中ではもう踏ん切りが付いている過去に、これ以上俺が踏み込むのは無粋だろう。
なら、次にすべきことは俺の話。
わざわざマヤは自分の話をしてくれたんだ。なら、次は俺の話をしないと無粋というものだろう。
「じゃあ、次はスターちゃんの自己紹介からしよっか!」
「え?」
「ほらほら、早くー。マヤも知りたいなー、スターちゃんのこと」
と思ってはいたのだが、彼女からされた提案は一風変わったものだった。
まるで初対面の人同士に求められているようなものではあるが、確かに言われてみれば理に適っているのかもしれない。
「俺の名前は、スターゲイザー。十七歳で、トレセン学園のトレーナーで……」
自己紹介なんて職業柄ありふれたものではあるけど、改めて意識してみると少し変な感じがするな……。
ただ自分のことを言っているだけなのに、なんだかこそばゆい。
「こう聞くとやっぱりなんか色々とおかしいね、スターちゃん」
「……世の中にはいるんじゃないか? 未成年のトレーナー」
「うーん……世界見渡せば、わんちゃん?」
いると思うけどな……俺が知らないだけで。
とは言っても、俺の自己紹介で開示できるところなんて他にあるだろうか。
トレセン学園に来てからは彼女の知ってる事だけだろうし、それより前は狭い空間で引き籠っていただけだ。
「一つ、話して無い事があるんじゃないの?」
「どうだろうな。そんなことないと思うけど」
「あるよ。マヤが知らないスターちゃんの前世のお話」
彼女にそう言われて初めて、自分の明らかな特異性に気づいた。
まるで忘れていたように、ぽっかりと自分の意識から抜け落ちていた「自分自身」に関連する記憶。
普段は、こんなこと無いのに。
「俺は、生まれ変わりで……前世は、ウマ娘がいない世界で……。あれ……自分のことだけ、思い出せない……」
「……うん」
「なんでだろう。あまり考えたこと無かったけど、俺にも前世で家族とかいたはずなのに。自意識だけ、残ってるような」
意識して思い出そうとしてみると、気持ちが悪い。
自分という存在はあった。前世という世界はあった。俺は元々、男だった。
一度見た物を絶対に忘れ無い自信があるからこその、忘れていることに対する恐怖と違和感が肌をつたう。
「は……? はっ、ははっ」
大事なことを忘れてしまっているような。
誰かと、約束をしたような。
俺は──もしかして、自分のことを知らなすぎるのか?
「スターちゃん!」
その瞬間、俺を呼ぶ声が直ぐ近くから聞こえてきた。
ぱっと上を見ると、心配そうに見つめてくるオレンジ色の瞳が目に映る。
「息整えて。大丈夫、落ち着いて。ゆっくりでいいよ」
そう言われて、やっと自分が息すらままならない状態だったことに気付いた。
深淵に袖にゆらりと触れただけなのに、自分を見失うとまで思うほど。
少し、怖い。
「ごめん、マヤが悪かった。マヤみたいに知ってるかと思ってたけど、スターちゃんはそこまでは知らないんだね」
本当に申し訳なさそうに謝ってくるマヤを見て、俺もゆっくりと思考が戻って来る感じがした。
彼女も悪気があったわけじゃないのは、誰がどう見ても分かる。
これは不幸な事故であって、誰が悪いわけでもない。
「わざとじゃないのは分かってるから。大丈夫、俺も驚いた」
「ほんとに大丈夫…? マヤ、心配なんだけど……」
覚えていない。知らない。分からない。
自分の根幹に関わることが薄っすらとしているなら。
それを知る事が、きっと今一番やるべきことなのだ。
「俺がそれを知らないこと、今覚えたから。もう、いける」
「……マ、マヤが言うのもなんだけど、スターちゃんも大概だよね」
「そうか…?」
「うん、テイオーちゃんに引けを取らないくらいの化けm──天才だと思う」
そんな会話もありつつ。
さて……少々脇道に逸れてしまったが、そろそろ本題に移るべきだろうか。
そんな意味合いを込めて彼女に目線を向けると、それを汲み取ってくれたのかマヤは軽く頷いてくれる。
そして一度最初の場所に戻ると、ゆっくりとまるで授業中の先生のように話し始めた。
「じゃあまず最初は……スターちゃんの体に関すること、ウマソウルのことについて話していこっか」
ウマソウル。
俺がそれを初めて聞いたのは、大阪杯の直前。サイレンススズカと、二人きりで話をした時。
ウマ娘が必ず持つとされている、二つ目の魂。
あくまで意志や人格などはなく、恐らく前世にあった「馬」の記憶だけを持っているものらしい。
その記憶が主人格に対してちょっとだけ影響を与えることはあるらしいが、本当に個性の一つに収まる範囲。
と、ここまでが俺が知っている情報だ。
「結構知ってるんだね。スズカちゃんが、思った以上に他の子を見てたから辿り着けたのかな?」
「スズカをなんだと思っているんだ……?」
「先頭しか興味ない子」
「スぺも確かそう言ってたんだけど、思った以上に俺がスズカを見てないだけなのか……?」
「だってスズカちゃん目を離したらどっかに行っちゃうから、スターちゃんが見てないのも無理ないと思うよ」
そんな犬みたいなことあるのか?
「まぁそれは一旦置いておいて。ウマソウルの基本情報はそれで間違って無いよ。逆にそんな少ない情報から、正解を引き当てられたね」
マヤがそう言うと、ぱちぱちと静かに手を叩いて褒めてくれた。
そして話が繋がるのが嬉しいのか、滑らかな言葉で彼女はそのまま口を動かし続ける。
「ウマソウルは、ウマ娘をウマ娘たらしめるもの。ウマ娘が超人的なパフォーマンスを発揮するのは、ウマソウルが有るから」
「ウマ娘が人とほとんど同じ体をしているのに、走るのが早かったり力が強かったりするのは……ウマソウルが原因?」
「そうそう! スターちゃんは話の理解が早いね! 正確にいうと『魂』は車で言うエンジンの立ち位置なんだよね。ウマ娘にしかないウマソウルは、人の魂とは比べ物にならないくらいに、はるかに効率よく。何ならエネルギー法則を無視するレベルで、ガソリンから走力を生み出す見えない機関って言った所かな」
その概要を聞くと、確かに思い当たる節がいくつもある。
特に顕著なのは食事だろうか。
人より多く食事するウマ娘だが、それだけでは説明が付かない燃費をしている。
冷静に考えて車と同速度で走れる生物なんて、無からエネルギーを生産してるとしか考えられないが……まさかウマソウルが理由だったとは。
人とは全く違う「ウマ娘」の体は「ウマソウル」持ちにしか動かせないと言ったところだろうか。
ただ、そうなると。
「俺は。どうなんだ?」
「……」
「ウマ娘の体を持っていて、ウマソウルを持っていない俺は……? ウマ娘なのか?」
果たして、どこまで要素が揃っていれば自分を「ウマ娘」と定義付けていいのだろうか。
ウマ娘の体は持っている。ただし、ウマソウルはない。
あの時彼女にされた質問が、頭の中で回る。
──スターさん、アナタは本当に『ウマ娘』なんですか?
「それはね、アナタが決める事だよ」
また思考の渦に巻き込まれそうになった時、マヤの声が俺の近くで響く。
仕方ないなぁといった表情で俺を掬いあげてくれるように声をかけてくれる様子は、まるで物語の案内人のようだった。
「スターちゃんは菊花賞の時に、なんて思ったの?」
「……自分が、ウマ娘である理由」
「じゃあそれは、アナタがウマ娘であることのなによりの証明だよ。定義なんて関係ない」
あの時、俺は自分がウマ娘であることの意味を問いただした。
そして、自らがテイオーの隣に立てるからと決めた。
なら、それでいいはず。ウマ娘かどうかは、自分で決めてしまえばいい。
「トレーナーが人の方がいいなんて、迷信に近いしねぇ。トレーナーが人だと強い絆が生まれるなんて信じられてるの、マヤに言わせれば下らないジンクスだって思うし」
「因みに、それって。馬の上には人が乗ってるからってだったりするのか?」
「多分ね。でも上に乗るより、隣を一緒に走った方がいいと思わない?」
「それは……そうだな。俺はテイオーと同じ目線でいることを選んだから」
そう言われて落ち着いて考えてみると、俺がウマ娘にしては虚弱で。人としては、強いのはなんとなく理由が分かって来る。
それも割と単純な理由で。
「俺にはウマソウルがないから、ウマ娘の体を正しく動かせてないのか……。そりゃエンジンがなきゃ、車体のウマ娘が動かない──」
「正しくというか、一部過剰に動いてる部分はあるけどね」
「え?」
「スターちゃんは、不思議に思わないの? 一回見たら二度と忘れない記憶力とか、明らかにいい眼とか持ってるのに」
「……もしかしてこれ、ウマ娘の体だったとしても異常なのか?」
「やっぱりあんまり自覚なかったんだ。テイオーちゃんに、ちょくちょく突っ込まれてそうだったけど」
一度記憶したら二度と忘れない記憶力は、俺でも少なくとも「通常」では無いと思っていた。
ただ「異常」とまでは思って無くて、ウマ娘の体は凄いこともあるんだなくらいに考えていた。
これは恐らく、俺が元は「人間」だったからということに他ならない。
色々なところが前とは格段に向上したせいで、どこまでがその範囲なのか自分でも把握が難しかったのだ。
「異常って言い方はちょっと好きじゃないけどね。個性だよ、個性。勿論理由はあるけど」
「その理由、教えてくれるか?」
「勿論! っと、そうだなぁ……。ちょっと色々複雑に絡み合った話しちゃうけど……分かんなかったら直ぐに聞いてね?」
マヤがそう言ってじっと俺を見つめると、にこりと微笑みを向けてくる。
何の話をし始めるのだろうかと俺が首を傾げていると、彼女は指先で器用に星のイラストを描きながら説明し始めた。
「まずスターちゃんには、自身が特別な存在っていう前提を認識してもらおうかな」
「俺がか?」
「うん。マヤみたいに普通のウマ娘もいるけど、スターちゃんは特別。なんたって、三女神特製なんだから」
そして、急にマヤの口から出てきた「三女神」という言葉。
三女神というと、一般的にはウマ娘全ての始まりともいえる存在の事。とはいえこれは現実にいた語り継がれている、生きていたウマ娘のことのはず。
もしかして俺の知らない三女神が、この世界にいるのか?
「あー……そっか、知らないんだっけ。行ってないもんね、どうしよ。どうやって、話した方がいいかな……。んんん、ちょっと待ってね。マヤも考える」
マヤが一瞬で真剣な表情になり、くるくると指先を回した。
口をもごもごとさせて、言葉が出るか出ないかの瀬戸際をさ迷う感じの表情を見せてくる。
そして彼女が口を開いたのは、それから数分後のことだった。
──この世界には、神様がいる。
そう口にした彼女の瞳は、どこか全く異なった世界を魅せていた。
☆小話
ここらへんの設定は最初から決まっていたりするので、見返すとそれっぽい描写があったりする。
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続いてしまいました。すみません。
現状の活動報告を出しました。
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諸事情により発生した医療費のためにSkeb開いてます。
もしよろしければ依頼してくださると嬉しいです。オリウマでもなんでも書くと思います。
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