馬の感情が読める厩務員が転生した件   作:泰然

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腹ペコオグリ。


9話 食堂の問題児

 朝になり、何時も通り食堂に向かった。四人共入って来たので、一緒に食べる事になった。

 

ダスカ「ねえ、あんた何時もこうなの……」

 

 テーブルに座るなり、トレーナーの隣にギュウギュウに座るタイキとウララ、膝にシービー、めっちゃ食べづらい。

 

佐竹「俺が知りたい……助けて」

 

ダスカ「アンタで、何とかしなさいよ。じゃ、先に準備してるわね」

 

タイキ「トレーナーさん、私のステーキ食べてくだサーイ!」

 

ウララ「トレーナー、お腹パンパンで牛さんみたーい!」

 

シービー「トレーナー、早く食べさせてよ」

 

佐竹「勘弁してよ……」

 

 食堂内の他のウマ娘に白い目で見られながら、何とか食べ終え練習場に向かった。

 

 一人一人練習を見ていき、それぞれ苦手な種目をやりちょっとずつ、克服していった。トレーニングは、ここまでにして明日は休みという事にして、別れた。

 夕方になり残りの時間を三人の栄養管理表を作ろうと、トレーナー室に向う途中に知らないウマ娘が倒れていた。

 

?「うぅ……お腹が空いた……」

 

佐竹「大丈夫?」

 

?「何か……食べ物を……」

 

?(おにぎりが、食べたい……)

 

佐竹「ちょっと待ってて!」

 

 俺は食堂に向かい、大きめのおにぎりを五個作り倒れていたウマ娘の下まで走った。

 

佐竹「唯の、塩むすびだけど、どうぞ」

 

?「ッ!!」

 

 無我夢中で食べるそのウマ娘は、葦毛で綺麗だった。

 

佐竹「君の名前は?」

 

?「パクパク……」

 

?(トメさんの塩加減と、同じだ!)

 

佐竹(トメさん?誰?)

 

佐竹「あの……」

 

オグリ「んっ……すまない美味しかったからつい……私はオグリ、オグリキャップだよろしく頼む」

 

佐竹「俺は、佐竹よろしく。まだひよっこトレーナーだ。何で、ここで倒れてたんだ?」

 

オグリ「それは……食堂を探していたんだが、道に迷ってしまったんだ。そこでトレーナーに助けられた、ありがとう」

 

佐竹「そうなのか、じゃあ食堂まで案内するよ」

 

オグリ「それなんだが、トレーナーの料理が食べたいんだがいいか?」

 

佐竹「ある程度、自炊してたからいいけど量はそんなに出せないよ?」

 

オグリ「それでも、構わない!」

 

 そして厨房を借りてナポリタンを作ろうと思い、先にパスタを茹でてその間に食材を切ってフライパンで炒めて、茹で上がったパスタも入れてケチャップで味付けをして完成。その間オグリの鼻息が、凄かった。

 

佐竹「はい、召し上がれ」

 

オグリ「いただきます」

 

オグリ(……ッ!?優しい味だ、まるでトレーナーのように優しさで包み込むような味だ……)

 

あっという間に、オグリはナポリタンを平らげた。

 

オグリ「ごちそうさま。トレーナーとても美味しくて、優しい味だった」

 

佐竹「お気に召して何より」

 

オグリ「なあ、トレーナー。偶にでいいんだが、トレーナーの手料理を食べさせてくれないだろうか」

 

オグリ(トレーナーの傍にいれば、迷子になっても大丈夫だし手料理も食べられる、一石二鳥だな)

 

佐竹「偶になら、大丈夫だよ。お腹が空いたら、食べに来ていいからね」

 

佐竹(毎日は無理だぞ、オグリ……)

 

オグリ「今日は、本当にありがとうトレーナー、それじゃあまた逢おう!」

 

佐竹「待て!オグリ寮までの、道のりわかるか?」

 

オグリ「フワッとしか……トレーナー頼んでいいか?」

 

オグリ(本当に優しいなトレーナーは……この人がお兄ちゃんだったら楽しいだろうな)

 

佐竹「いいよ、送っていくよ」

 

佐竹(横に、並んで歩いたら不釣り合いだろうな……兄妹には見えないと思う)

 

 そしてオグリを栗東寮まで送り、別れ一日が終わった。だが、オグリに手料理を食べさせたことによって、とんでもないことになる事を、トレーナーはまだ知らない。

 

 




いっぱい食べる君が好き。

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