朝になり、何時も通り食堂に向かった。四人共入って来たので、一緒に食べる事になった。
ダスカ「ねえ、あんた何時もこうなの……」
テーブルに座るなり、トレーナーの隣にギュウギュウに座るタイキとウララ、膝にシービー、めっちゃ食べづらい。
佐竹「俺が知りたい……助けて」
ダスカ「アンタで、何とかしなさいよ。じゃ、先に準備してるわね」
タイキ「トレーナーさん、私のステーキ食べてくだサーイ!」
ウララ「トレーナー、お腹パンパンで牛さんみたーい!」
シービー「トレーナー、早く食べさせてよ」
佐竹「勘弁してよ……」
食堂内の他のウマ娘に白い目で見られながら、何とか食べ終え練習場に向かった。
一人一人練習を見ていき、それぞれ苦手な種目をやりちょっとずつ、克服していった。トレーニングは、ここまでにして明日は休みという事にして、別れた。
夕方になり残りの時間を三人の栄養管理表を作ろうと、トレーナー室に向う途中に知らないウマ娘が倒れていた。
?「うぅ……お腹が空いた……」
佐竹「大丈夫?」
?「何か……食べ物を……」
?(おにぎりが、食べたい……)
佐竹「ちょっと待ってて!」
俺は食堂に向かい、大きめのおにぎりを五個作り倒れていたウマ娘の下まで走った。
佐竹「唯の、塩むすびだけど、どうぞ」
?「ッ!!」
無我夢中で食べるそのウマ娘は、葦毛で綺麗だった。
佐竹「君の名前は?」
?「パクパク……」
?(トメさんの塩加減と、同じだ!)
佐竹(トメさん?誰?)
佐竹「あの……」
オグリ「んっ……すまない美味しかったからつい……私はオグリ、オグリキャップだよろしく頼む」
佐竹「俺は、佐竹よろしく。まだひよっこトレーナーだ。何で、ここで倒れてたんだ?」
オグリ「それは……食堂を探していたんだが、道に迷ってしまったんだ。そこでトレーナーに助けられた、ありがとう」
佐竹「そうなのか、じゃあ食堂まで案内するよ」
オグリ「それなんだが、トレーナーの料理が食べたいんだがいいか?」
佐竹「ある程度、自炊してたからいいけど量はそんなに出せないよ?」
オグリ「それでも、構わない!」
そして厨房を借りてナポリタンを作ろうと思い、先にパスタを茹でてその間に食材を切ってフライパンで炒めて、茹で上がったパスタも入れてケチャップで味付けをして完成。その間オグリの鼻息が、凄かった。
佐竹「はい、召し上がれ」
オグリ「いただきます」
オグリ(……ッ!?優しい味だ、まるでトレーナーのように優しさで包み込むような味だ……)
あっという間に、オグリはナポリタンを平らげた。
オグリ「ごちそうさま。トレーナーとても美味しくて、優しい味だった」
佐竹「お気に召して何より」
オグリ「なあ、トレーナー。偶にでいいんだが、トレーナーの手料理を食べさせてくれないだろうか」
オグリ(トレーナーの傍にいれば、迷子になっても大丈夫だし手料理も食べられる、一石二鳥だな)
佐竹「偶になら、大丈夫だよ。お腹が空いたら、食べに来ていいからね」
佐竹(毎日は無理だぞ、オグリ……)
オグリ「今日は、本当にありがとうトレーナー、それじゃあまた逢おう!」
佐竹「待て!オグリ寮までの、道のりわかるか?」
オグリ「フワッとしか……トレーナー頼んでいいか?」
オグリ(本当に優しいなトレーナーは……この人がお兄ちゃんだったら楽しいだろうな)
佐竹「いいよ、送っていくよ」
佐竹(横に、並んで歩いたら不釣り合いだろうな……兄妹には見えないと思う)
そしてオグリを栗東寮まで送り、別れ一日が終わった。だが、オグリに手料理を食べさせたことによって、とんでもないことになる事を、トレーナーはまだ知らない。
いっぱい食べる君が好き。