いよいよ今日が、宝塚記念出走の日になり今日行われるレース場が京都レース場に変更され、史実と同じで不安が過ぎった。ライスがいる控室に向い部屋には、桐生院もいた。
ライス「あっ!お兄さま。来てくれたの?」
佐竹「走る前に、声掛けようと思って……調子は?」
ライス「うん!すごくいい感じ。それにね、お兄さまから貰った……ブレスレット付けてがんばろうと思って!」
ライスは、俺がプレゼントしたターコイズのブレスレットを付けていた。
桐生院「えっ!?先輩、宝石あげたんですか?抜け目ないですねぇ」
佐竹「何かその言い方だと、聞こえ悪いんだけど……純粋な気持ちで、あげたんだけど……」
ライス「お兄さま、そんなに凹まないで。ライス、とっても嬉しいから」
桐生院「じゃあ、レース場に行きましょうライス!」
ライス「うん!」
佐竹「なあ!やっぱり……レース取り消してくれないか?……」
桐生院「えっ!?でも、もう始まりますよ!?」
再度、レースの取り消しを申し出たが何か感じ取ったライスが、口を開いた。
ライス「ねえ、お兄さま。前にも言ったけど、ライスは二人に恩返しがしたいの。それで、お兄さまとお姉さまに一着をプレゼントしたい。それでもダメかな?お兄さま……」
佐竹「……絶対戻ってきてほしい、それが最優先。何か違和感があったら、走るのを止めてくれ。これだけは、守ってくれ」
ライス「うん……ライス、守るよ」
桐生院「何で、先輩このレースだけライスを走らせたがらないんですか?心配するにしても過剰じゃないですか?」
佐竹「そ、そうなんだけど……」
はぐらかそうとしたのだが、ライスが……
ライス「お姉さま、お兄さまにも色々あるんだよ。詮索は、よくないよ。じゃあ、行ってくるね!お兄さま!」
佐竹「ああ、スタンドで応援するから!」
桐生院「先輩!私も後で行きますね」
二人と別れ、一足先にスタンドで桐生院を待つ事にした。やはり、未来は変えられないのかと嘆いた。暫くして、桐生院がスタンドに来た。
桐生院「先輩?どうしたんですか、そんなに落ち込んで?大丈夫ですか?」
佐竹「大丈夫。二人で、ライスを応援しよう」
桐生院「そうですよ。そんな顔してたら、ライスが悲しみますよ?」
そして、ファンファーレが高らかに鳴り響き、次々とウマ娘達がゲートに入っていった。そして、ライスがゲートインした瞬間、不安で仕方なかった。今すぐにでも、止めたい気持ちがあったがライスの気持ちを、踏みにじる事は出来ない。出走の準備が整った。
桐生院「ほら、先輩始まりますよ」
佐竹「……」
ゲートが開き遂に始まった。第一コーナーに入る所で。
佐竹「ラァァァイスッ!!がんばれえぇぇ!!」
ライス「ッ!!」
桐生院「そんな大きい声出したら、怒られますよ!?」
声援のお陰か、ライスのスピードが心なしか上がった気がした。第二コーナーを越え、向こう正面に入り第三コーナーに差し掛かった。
ゲートに入って、緊張しながらも高揚感に浸りながらスタートを待った。ゲートが開き、最初のコーナーに差し掛かった時。
佐竹「ラァァァイスッ!!がんばれえぇぇ!!」
ライス「ッ!!」
ライスの耳に飛び込んできたのは、トレーナーの声だった。声援を聞いたライスは、自ずと脚に力が入った。全く疲れを見せず、第二コーナーを越え直線に入り第三コーナーに入った。
ライス(お兄さまの声……今まで以上に、力が湧いた気がする。ライスの勝つところ見てて……お兄さま)
コーナーで、仕掛けようと足に力を込めて走った。
ライス「ここでっ!」
?(ダメッ!!)
ライス「えっ……」
頭の中で、声が聞こえた。聞いたことのない声が脳に鳴り響き、力が出せなかった。それ以降、聞こえなくなり先の言葉を振り払うように走り第四コーナーに入り無事乗り越え、直線に向かった。
ライス(これならっ!!)
そして……
ライスが、三コーナーを越えた。史実通りにならず、ライスが走っていた。三コーナーの辺りで、ライスの動きがおかしかった。だが、それも感じさせない走りを見せ四コーナーも越え、直線に向かった。ライスを見た時、勝利を確信した。一人だけ、足が違った。そして、ライスは一バ身差をつけて宝塚記念を勝利した。
桐生院「勝った!勝ちましたよ!ライスが!!」
佐竹「よかった……本当に……」
桐生院「うわっ!先輩すごい泣いてる……大丈夫ですか?」
佐竹「だ、大丈夫……よし!ライスの所に………………えっ」
トレーナーは、膝から崩れ落ちた。
桐生院「ライスの所に……大丈夫ですか!?」
突然右足が動かなくなってしまった。いきなりの事で、頭が混乱した。動かそうとするのだが、石のように微動だにしなかった。
佐竹「分かんないけど、足が動かない……」
桐生院「えっ!?ど、どうしよ……取り敢えず救急車!」
桐生院に、肩を貸してもらい救急車が来るまで待つことにした。その時ライスは……
ライス「あれ?スタンドにお兄さまもお姉さまもいない……何処に行ったのかな?あれ?救急車の音……レース場の外だ」
ライスは、何となく胸騒ぎがした。サイレンが鳴る方に急ぎそこに、担架に乗せられるトレーナーと桐生院の姿があった。
ライス「どうしたの!?お兄さま!!」
佐竹「えっ、ライス?ウイニングライブは?」
ライス「そんな事より!どうして、救急車に乗ってるの!?」
桐生院「ライス……先輩は、足が動かなくなっちゃったの……だから、私は先輩の付き添いで病院に行ってきます。不安でしょうけど、ライスはここで……」
ライス「ライスも!ライスも……お兄さまと一緒に病院に……」
佐竹「俺は、大丈夫だから。ライブを待っているお客さんの所に行ってきな、ね?」
ライス「……終わったら、逢いに行くから……」
佐竹「ライブ、楽しんで来い!」
ライスは、二人と別れライブを行った。ライブ中ずっと、先の事が気になり歌う最中に泣いてしまった。観客は、一瞬どよめきはしたがその後は、何事もなく終わり急いで控室に戻りトレーナーの病院に向かおうした時、トレーナから貰ったターコイズのブレスレットが壊れていた。宝石だけが、ライスの足元に落ちていた。
ライス「お兄さまから貰ったブレスレット……」
ターコイズを手に取り、ポケットに入れてトレーナーに謝ろうと病院に急いだ。
佐竹「いや~、よかったよ。一時的な麻痺で」
桐生院「笑い事じゃないですよ。一生動かないと思いましたよ……」
佐竹「これは、ライスに怒られるかな……」
桐生院「怒られますね、これは……」
病室で、そんな事を話しているうちにライスが病室に入ってきた。
ライス「お兄さま!」
佐竹「噂をすればライスが来たな。ライス、どうだったライブ……おっと」
ライスは、トレーナーに抱き着いた。
ライス「大丈夫!?お兄さま。足……なんともないの?」
佐竹「一時的な事だって。ほら、動かせるでしょ?」
ライス「よ、よかった……う、うえぇぇぇん」
桐生院「泣いちゃいましたね」
佐竹「心配させてごめんな」
ライスは、トレーナーの胸で永遠と泣いた。涙が枯れる程泣き、ライスはブレスレットを壊してしまったことを話した。
ライス「ごめんなさい、お兄さま。ブレスレット壊しちゃって……」
佐竹「そっか……残念だったね。でもそれ、魔除けの効果があるからライスを守ってくれたんじゃないかな?」
ライス「そうなの?」
ライス(じゃあ、あの時の声って……)
佐竹(声?)
ライス「ありがとう、お兄さま。宝石だけになっても、大切にするね」
佐竹「うん、落とさないようにね」
桐生院「それでは、先輩。私達は、そろそろ行きますけど一週間は安静にしててくださいよ。お見舞いに来ますから」
ライス「また来るね、お兄さま。いい子にしててね」
病室から、二人は出て行き交代するように担当医が入ってきた。
医者「いいんですか……本当の事を言わなくて。動くと言っても、何時その症状が起こるか分かりませんよ?」
佐竹「全く動かない訳じゃないので、大丈夫ですよ」
医者「はあ……階段など段差のある所は特に気を付けてくださいね。何時症状が出るか分かりません。私達も何故突発的になったか分かりませんので後、一週間は絶対安静ですからね」
佐竹「分かりました」
佐竹(確かに、今まで何もなかったのにこんな事起こるもんなのかな?)
一週間検査入院という事になり、次の日からウマ娘達が押し寄せる事になる。そして、原因不明の足の麻痺症状。トレーナーは、分からないまま日々を送る事になる、これが悲劇の始まりと知らず。
幸せの雨って言葉綺麗で好き……こんな~レースは~は~じめて~