夏合宿も折り返しになり、疲れが見え始めた頃に神社のお祭りがあるらしく英気を養ってもらう意味も込めて五人で行くことに決めた。
タイキ「エンニチとっても楽しみデース!」
ウララ「ウララ、わた飴食べたーい!
ダスカ「アタシはフルーツ飴食べてみたいかも……」
シービー「みんな、はしゃぎ過ぎて転ばないようにね~」
佐竹「まあ、はしゃぐ気持ちも分かるけど……」
神社に着き中では屋台が立ち並び参道を煌びやかに飾っていた。各々目的の食べ物を探しに行き、お祭りの最後に花火がある。時間になったら待ち合わせの場所に来るように伝えた。俺とシービーで時間になるまで食べ歩く事にした。
シービー「トレーナー!ジャンボたこ焼きだって!食べようよ」
佐竹「二人で半分にして食べましょう」
シービー「うん?一人一個でしょ?」
佐竹「いや……俺が食べれるサイズじゃ……」
シービー「おじさん、ジャンボたこ焼き二つ!」
佐竹「話聞きなさいよ……」
おじさん「あいよ!美人な嬢ちゃんには安くしといてやるよ」
シービー「おっ!太っ腹!」
たこ焼きが出来上がるまで立ち上る香りを楽しみながら待った。
シービー「う~ん……いい匂い、美味しそう」
佐竹「こういう所でしか食べられないですからね、楽しみです」
おじさん「あい!お待ちどお~八百円だっ!」
佐竹「ありがとうございます」
シービー「ありがとうございまーす」
ジャンボたこ焼きを買い、近くのベンチで食べる事にした。ウマ娘のサイズなので自分の胃袋と同じ大きさなのではと、錯覚するほど……。
佐竹「どうしてくれるんですか?シービー。俺……食えないですよ、これ」
シービー「ゴメンって……アタシも食べてあげるから。それじゃあ、いただきまーす。ん~……美味しい~」
佐竹「はむ……生地も美味しい。出汁かなんか入ってるのかな?意外と食べれるかも……」
特大サイズだったのだが意外と食べる事が出来て自分でもびっくりした。お祭りの効果もあるのか、とても美味しかった。二人とも食べ終わり、神社を歩く人の波を眺めながら黄昏ていた。
シービー「あっ!トレーナー、ソース付いてるよ。取ってあげる」フキフキ
佐竹「自分で拭けますって……」
シービー「いいから!お姉さんに任せなさい……はい、取れた」
佐竹「……///ありがとうございます」
シービーにソースを拭き取ってもらい、静かな時間を過ごしていたら周りに座っているのがカップルしかおらず急に恥ずかしくなってきた。シービーが突然変な提案をしてきた。
シービー「アタシ達も周りと同じ事すれば、変じゃないでしょ……」
佐竹「何する気ですか?……」
シービーはトレーナーに対面するような形で座ってきた。
シービー「これで周りと浮かないでしょ?///」
佐竹「ま、まずいですって……誰かに見られたら」
嫌な予感は当たりトレーナーは後ろを見た瞬間目が合った……。
エア「貴様……何をしている」
佐竹「これは……その~……」
シービー「おっ!エアグルーヴ。何してんの~」
シービー(いいとこだったんだけどな~。せっかく頑張ったのに……)
佐竹(心臓に悪いからやめてほしい……)
エア「シービーさん……このような行為はお控えください。レースを控えているウマ娘のイメージを著しく損なうので……。ましてや、このトレーナーと……」
シービー「そんなに目くじら立てなくてもいいじゃん。それに悪いトレーナーじゃないから」
エア「そうですか……シービーさんが言うなら」
佐竹「ふう……助かった」
エア「おい、貴様!気を抜くな!まだ巡回は終わっていないんだぞ!今度また同じ事をしていたら……プールに沈めるからな」
佐竹「はい……すいません」
エア「何度も言わせるなよ、この戯けが。それでは、シービーさん。コイツと同じ者がいないか巡回してきますので。くれぐれもシービーさんもお気をつけ下さい。特にこのバカには」
佐竹(ボロクソ言うやん……)ピエン
エアグルーヴはウマ娘が他の人に絡まれていないか、見て回る為に人混みの中に消えていった。
シービー「まあ……そんなに気を落とさないでね。エアグルーヴなりの愛情みたいなものだから……君にはキツく当たってるように見えるけど」
佐竹「はあ……なんか喉乾いてきたなあ。シービーなにか飲みます?」
シービー「う~ん……お茶でいいかな」
佐竹「すぐ戻ってくるんで」
シービー「ゆっくりでいいよ~」
数ある屋台の中から飲み物を選ぶのは正直迷った。トレーナーはウマ娘野菜ジュースを選んだ。名前の理由は分からんがひたすらデカい。自分のを選びシービーのお茶を買い戻ろうとした時、聞き覚えのある声に呼び止められた。
オグリ「
佐竹「えっ?違うけど……何でオグリいるの?」
オグリ「ここのお祭りの食べ物が美味しくてな、毎年楽しみにしているんだ。トレーナーは何でここにいるんだ?」
佐竹「何でってお前……俺がバスに乗って夏合宿に行ったところ見てただろ。それにここオグリも合宿で来てると思うんだが……」
オグリ「そうなのか!?言われてみれば……そうだったような」
佐竹「屋台のせいで合宿のこと忘れてただろ……」
二人で話をしているところにオグリの付き添いと思われるウマ娘が現れた。
タマモ「オグリ探したで!勝手にフラフラ歩くなや……おっ!オグリの世話焼きトレーナーやないか!こないな所で何して……あ~そう言えば近くに合宿所あるんやったなあ。せやかてオグリ!匂いにつられて歩き回るのやめえや。こんな人混みの中探せへんでホンマ……」
タマとはオグリ絡みで知り合い……他には、スーパークリーク、イナリワンなどとも知り合えた。オグリは何かと面倒事に巻き込まれるタイプで、三人はそれに手を焼いているらしい。
佐竹「タマはオグリの付き添いできたのか?」
タマモ「せやで~。こいつがどうしても言うから連れてきてやって来たんに……食べ物抱えたまま消えよるから探すの大変やでホンマ……食べきってから買いに行け!何べん言ったら気済むねん!」
オグリ「す、すまない……美味しそうだったからつい」
佐竹「お互い苦労するな……」
タマモ「手を焼く子供ほど可愛いもんやで。ウチのチビ共もこんな感じやし」
オグリ「トレーナーは一人なのか?一人だったら一緒に食べないか?ジャンボから揚げ」
佐竹「待ち合わせしてるから無理かな。それか一緒に花火見るか?」
オグリ「いいのか!?じゃあ、見に行こう!!」
タマモ「ウチは帰りたいんやけどなぁ……」
佐竹「まあまあ、そんなに長い花火じゃないから見よう」
タマモ「しゃあないな」
三人でシービーの待つベンチに向かった。
シービー「お帰り~……増えてない?」
タマモ「シービーやないか!トレーナーとつるんで何してるん?」
シービー「まあ、色々ね。オグリもいるじゃん」
オグリ「シービーもジャンボたこ焼き食べたのか……美味しかったか?」
シービー「うん、普通に美味しかったよ?」
タマモ「聞くのそれだけかい……」
佐竹「待ち合わせの場所に行こうか」
そして待ち合わせ場所の高台の公園まで行き、花火の開始時間を待った。花火が始まり様々な種類が打ち上がった。その中にオグリにそっくりな花火が見えた。
オグリ「あれは……同じ顔だな」
タマモ「ホンマやな、誰かオグリのファンが作ったんとちゃうか?何で着ぐるみ着てるかわからんけど……」
ウララ「ホント!そっくりでかわいいね!」
花火も終わりを迎え、最後に必勝祈願と表して神社にお祈りをした。神社に誓いを立てに行った担当の娘と他の娘の願いが酷すぎた。
タイキ(絶対海外GⅠ制覇したいデース)
佐竹(いい目標だな、頑張れ!)
ダスカ(ティアラティアラティアラティアラティアラティアラティアラティアラティアラティアラティアラティアラ)
佐竹(怖っ!?どんな執念だよ……まあ、いいけど)
ウララ(にんじんプリン一年分!!)
佐竹(必勝祈願って言っただろ!)
シービー(みんなが自由に走れますように)
佐竹(優しすぎて涙が……)
オグリ(トレーナーのご飯が一生食べられますように)
佐竹(感動を返せ……)
暫く神社に留まり、みんなでもう一度屋台の食べ物を食べたいと申し出があった。移動して屋台で一番大きい水槽に入ったラーメンをみんなで食べ、オグリは一人で平らげた。お祭りも終わりに近づきここでオグリとタマここで別れる事になった。
タマモ「じゃあな~トレーナーウチらは先に帰っとるわ。残りの合宿頑張りや~」
オグリ「トレーナー。寂しくなったらいつでも電話していいんだぞ。いつきてもいいように起きてるからな!」
佐竹「いや、寝なさいよ……じゃ、気を付けて帰れよ」
二人を見送り自分たちは合宿所に戻った。そして月日は流れ合宿も終わり、確かな手応えを感じて学園に戻った。久しぶりに逢ったテイオーに離してもらえない日が何日か続いた。
テイオー「ねえ~トレーナー。ボクがいなくて寂しかった?ねえってば~」
佐竹「寂しかったって!何回も言ってるでしょ……」
テイオー「トレーナー冷たくなーい?もしかして……他の娘ともう……」ハイライトオフ
佐竹「何もないから!トレーニング終わったらハチミー買ってやるから勘弁してくれ……」
テイオー「ホント!?やったー!絶対だよ」
溜息を吐きテイオーと別れた。すると、遠くで笑われているウマ娘が目に入った。あまり見ない娘で最近転入してきたのかと思った。彼女は俯いたまま逃げるように栗東寮に入って行った。少しフジさんに聞いてみる事にした。
フジ「トレーナーさん?珍しいね。なにか用かな?」
佐竹「フジさん……栗東寮に最近入った娘っています?」
フジ「ああ、スペシャルウィークの事かい?夏合宿の間に転入してきたんだけど、ちょっと問題が……」
事情を聞くとスペシャルウィークは苛めを受けているらしい。田舎での生活でウマ娘との接点がなくトレーニングも、もう一人の母親から教わっていた。そして練習初日に他のウマ娘に走り方が変だとバカにされたらしい。それが原因でトレーニングにも顔を出すことが少なくなっていった。
フジ「何かあったら彼女を助けてあげて欲しい……色々大変だったらしいから」
佐竹「分かりました。出来る限りの事はしますので……」
元の世界では、スペシャルウィークの母親は出産し亡くなった。そこでニュージーランド出身のティナさんが担当になり愛情を注いでいった、本当の母であるキャンペンガールの『無念を晴らすように』。だが、ティナさんはスペシャルウィークだけが担当ではなかった為別のウマの担当がおろそかになっていた。それでもティナさんは『この仔は私が世話をしなければならないのです』といい、世話を続けた。他の厩務員の助けを借りてスペシャルウィークは人懐っこい性格になっていき元気に育っていった。だが、またしても母親のように愛情を注いでいたティナさんとも別れなければいけなくなった。ティナさんは代表に泣いて縋るが調教師やオーナーの意向には逆らえず、スペシャルウィークは二人目の母親も失ってしまった。この世界では、日本一のウマ娘になる夢を掲げ母親が送るような形でこのトレセン学園に転校してきた。それを踏まえつつ、どうするべきかトレーナーは考えていた。単純に苛めを止められたとしても、さらに悪化する可能性もある。先生やトレーナーの目の届かない場所でも行われるかもしれないと……。
佐竹「問題ごとに首突っ込み過ぎだよなあ俺……」
スぺの幼少期は壮絶過ぎる……
あれで笑顔で頑張るとか女神かよ……