課外授業の日がやってきた。スペのイジメを止める策は結構簡単で、それで終わり?みたいに思うがシンプルな方がお互い傷付かずに済む。トレーナーは、授業の資料をまとめてトレーニングコースに向かい、スペ達のクラスと対面し授業を始めた。
佐竹「今回担当する佐竹です。君達ウマ娘は、レースに向けて鍛練し出走して自分が目標にしているレースに勝つ事が主な理由だと思います。それでは時間が勿体ないのでウォーミングアップで、コースを三周してきてまた戻って来てください」
指示を受けたウマ娘達は、走りだして行った。流石に三周はアップにもならなかったと思うが本当の狙いはそこではなく、スペをイジメていた犯人を確認する為でもあった。自分でも調べてはいたが、明らかにやる気のない二人が目に入る。走り終わったスペに確認したら、その二人で間違いないようだ。トレーナーは次の行程に進めた。
佐竹「はい、次はスキップをしてもらいます」
一同「スキップ?」
悪娘1「おいおい……授業でスキップとかなんのトレーニングにもならねえじゃねえか。舐めてんのか?」
悪娘2「意味ないんじゃなーい」
佐竹「やりたくない人はやらなくていいです。やりたい人はタイムを測るので五十メートル、スキップしてください」
ウララ「スキップ楽しそう!やりたーい!」
スカイ「スキップだけなら簡単だしね〜」
スペ「や、やってみます……」
先ずはスカイから始め、鼻歌交じりにスキップをした。本気ではないにしろ普通に他の娘よりも速かった。次にウララの番になり速さは普通だった。だが、飛ぶ度に地面が抉れていた。脚の強さがドンドン上がっているのを実感するがこれはおかしい。スペの順番が回ってきた。タイムを測るとクラスで一番速い結果となった。それが気に食わなかった例のウマ娘は……。
悪娘1「ほら!やっぱり走り方変じゃん」
悪娘2「ホント〜」
抵抗する様に二人はスペにヘイトが集まる様にしたのだが……。
ウララ「すごーい!スぺちゃん一番だー!」
スカイ「やりますね~スぺちゃん」
モブ「すごいね!スぺちゃん。アタシなんか全然だったよ~」
スぺ「あ、ありがとうございます///……」
他のウマ娘のお陰でスぺの周りを囲うように人だかりができた。注目の的にする事でイジメの対象から外し、周りからの評価によって責めにくくする。スぺが一人になるのを防ぎ、周りと常に一緒にいれば攻撃される事もなくなる。上手くいったところでスぺに悪さしていた二人を授業が終わったタイミングで連れ出し、厳重注意をする事にした。
佐竹「君達の処遇は担任の先生に決めてもらう。俺から一週間分の反省文を提出する事、分かった?」
悪娘1「はっ、そんなのするわけねぇだろ。バーカ」
悪娘2「それに……トレーナー、ウチらといて大丈夫?アタシら……トレーナー縛ってどっかに投げてくる事できるんだけど?」
佐竹「あっ……」
今更気付いた時には遅かった、この状況でやられるのは人間であるトレーナーの方である。誰か付き添いで信頼できる娘を連れてくるべきだったと、思った。ジリジリ詰める二人に襲われそうになった時……。
たづな「こらー!貴方達ー!何してるんですかー!」
遠くからたづなさんが凄い速さで走ってきた。逃げようとした二人の抵抗空しく直ぐに捕まり縄に縛られた。
佐竹「ありがとうございます、たづなさん。危ないところでした」
たづな「本当です!私が来なかったらどうするつもりだったんですか?!もう少し自分の心配をしてください……。他のウマ娘の方を同伴させてから行動してくださいね?分かりました?」
たづな(はぁ……本当に手のかかる弟をもった気分です)
佐竹「はい……またご心配をおかけしました。すいません……」
佐竹(まぁ、そう捉えられても仕方ないかぁ)
たづな「それでは私は二人を連れて行きますね。この問題は朝の集会で生徒会に取り上げていただきますのでトレーナーさんも何か気になる事があれば我々にも提供してもらえると対処も円滑に進みますので私や理事長、他の先生方にお知らせください。それでは」
たづなさんからお叱りを受けて反省しながら、スペの下へ戻って行った。
スペ「トレーナーさん……大丈夫でした?」
佐竹「叱りに行ったら逆にやられるところだった……その後にたづなさんに助けられたけど」
スぺ「そうだったんですね……次からは私がトレーナーさんのボディーガードになりますね!任せてください!!」
佐竹「そんな状況に出くわしたくないけど、そうなったらスぺに頼ろうかな」
スぺ「何人相手でも勝てる自信があります!その時は私が助けてあげますね!」
佐竹「その時は頼むよ。話は変わるけど、あの二人はもうスぺに悪さはしないから安心していいよ。今、たづなさんに連れて行かれて会長にしごかれてるらしいし」
スぺ「友達になれると思ったんですけど、何とかできないんですか?トレーナーさん……」
佐竹「その二人にスぺが手を差し伸べて、いい結果であればいいけど……それがダメならダメかなぁ」
スぺ「私、頑張ってみます。絶対話せばわかり合えると思うんです、そんなに悪い方に見えませんでしたし何か理由があると思うんです」
佐竹「綺麗だな……」
スぺ「えっ!?///トレーナーさん今何て///……」
佐竹「いや、心が綺麗だなぁって思って。普通はもう関わりたくないとか思うのに、自分から歩み寄れるのが凄いなぁって」
スぺ「あっ、そういう意味ですか……」ボソ
佐竹「まぁ、スぺの好きなようにしたらいいさ、じゃあ俺はトレーナー室に戻るよ。また何かあれば力になるからね。それじゃ」
スぺと別れ、トレーナー室に戻りコーヒーミルにコーヒー豆を入れ挽いている時にルドルフが入ってきた。
ルドルフ「やあ、トレーナ……おお、私のコーヒーミルを使ってくれているんだな。改めてみると嬉しいものだな、私がプレゼントした物だと特に実感する」
佐竹「ルナさん、こんにちは。これとっても使いやすいです。形もコンパクトで扱いやすいですし毎日使わせてもらってます。何か用事ですか?」
ルドルフ「うむ、今日訪ねた理由は……スペシャルウィークの事だ」
佐竹「スぺがどうかし……」
ルドルフ「スペシャルウィークと
佐竹「同衾!?いや、別々で寝てたので一緒ではないと思うんですけど……」
佐竹(何で知ってんの?……)
ルドルフ「確かにそうなのだが、トレーナー君と一緒の空間で眠るという行為を私が先に味わいたかった……味わいたかったんだ。そして一日『君を独占したかった』……」
佐竹「そんな悔しそうにしなくても……。別にトレーナー室であれば一緒でも構いませんけど……」
ルドルフ「本当か!?撤回は無しだぞ、トレーナー君」
ルドルフ(床に就いたトレーナー君の寝顔を、ずっと見つめていたい)
佐竹「何回も泊まれないですけど、偶にならいいですよ」
佐竹(寝顔をずっと覗かれるのはちょっと怖い……)
そんな約束を取り付けられ、二人で食堂に行き一緒にご飯を食べていた。その頃スぺはお世話になったトレーナーに何かプレゼントしたいと思い、フジさんの下へ訪ねた。
スぺ「フジ先輩ちょっといいですか?」
フジ「二回目だね、スぺ。どうだい?あれから」
スぺ「はい!トレーナーさんのお陰で解決出来ました。泊めていただいた件でもフジ先輩にはお世話になりました、ありがとうございます。また頼る事になるんですけど、トレーナーさんの好きな物って何かわかりますか?」
フジ「トレーナーさんの好きな物?う~ん……確かトレーナー室に訪ねた時、コーヒーの香りがしたからそれに関連する物をプレゼントしてあげたらいいんじゃないかな?」
スぺ「トレーナーさんコーヒーが好きだと言っていたので、それで考えてみます。ありがとうございます!フジ先輩」
フジ「うん、頑張ってね。……あの娘もああなっちゃったかぁ、罪な男だねトレーナーさんは」
走り去っていくスぺを眺めながら物思いにふけるフジ。スぺはプレゼントを買う為にショップに行き、少しいいコーヒー豆を購入しトレーナーを探していた。夕方になりカフェテリアにトレーナーが見えたので声を掛けようとしたが……。
スぺ「あっ!トレーナー……さん」
スぺが目にしたのは、親しげに話すトレーナーとルドルフであった。何の変哲もなく普通に二人で談笑している光景なのだが、何故かスぺは陰に隠れてしまった。
佐竹「ん?今スぺの声が……」
ルドルフ「気のせいではないか?周囲にはいないぞ。それよりトレーナー君、傑作だと思わないかっ!!野口英世の愚痴ひでえよ……ぷっ、あっはははは、んふふ……。一語一句無駄にする事のない素晴らしいダジャレを先日思いついたんだ。まだ他にもあるぞ、次は……」
佐竹「ははは……」
トレーナーは乾いた笑いしか出来ず付き合っていたが、スぺはそんな会話が聞こえない程、先程の光景で耳に届いていなかった。
スぺ「えっ、何で私隠れたんだろう……。それに何で、胸が……痛いんだろう」
胸の痛みが分からずそのままにし、また後日トレーナーにプレゼントをしようと考え、何故自分がトレーナーとルドルフが会話をしていただけなのに隠れた疑問に頭を悩ませながら寮に戻る事にした。その後のトレーナーはルドルフと別れ、とあるウマ娘に頼まれていたリンゴを渡しに行く事にした。
佐竹「はい、買ってきたよ」
?「やあ!トレーナー君。頼まれたものを買ってきてくれたかな?」
佐竹「リンゴでいいんでしょ?タキオン、リンゴなんて何に使うの?」
タキオン「うん?唯食べるだけだよ。実験で使う事もあるだろうが、研究をしながらでも片手で食べれるというメリットが大いにあるからだよモルモット君。それにリンゴに含まれる栄養素を考えれば当然と言えるだろう、リンゴは医者いらずと言われるくらいだからね。血流の改善、便秘や下痢の解消、美肌・美白効果、ダイエット効果に疲労回復……」
佐竹「分かった、分かった。リンゴの効果は分かったから、その……フラスコのヤバい色のやつ何?」
タキオン「ああ、これかい。まだ研究段階なんだが、感情の起伏を変化させる薬でね。まぁ、本来であればある一定の感情に作用させて喜怒哀楽の増幅させるものなんだが……実験はまだまだでね、ランダムに作用する副作用があるんだ。匂いを嗅いだだけで効果が表れるからね、普段はガスマスクをして研究しているよ」
佐竹「そんなん作ってどうすんのよ?てか、誰か嗅いだらアウトじゃない?」
タキオン「そうだねぇ……たしか、スペシャルウィークが理科準備室の個室に入って来てね。私はその部屋を使わせてもらっているのだが、物置部屋みたいなものでね……小道具が入っているんだ。その研究をしている最中に彼女が入って来て……まぁ彼女以外入っていないから他は大丈夫だと思うが……どの感情が引き出されるか分からない、くれぐれも気を付けたまえよトレーナー君」
佐竹「お前は爆弾を忍ばすのが多いな!?これが大事になったらどうしてくれんだよ……」
タキオン「そんなに目くじらを立てないでくれ、私だって故意ではないんだ。それに鍵は閉めていたんだが……壊れていたみたいだし」
佐竹「はぁ……わざとじゃないならいいけど、今度から気を付けてくれ……」
タキオン「トレーナー君。私がそこまで言われる所以は無いと思うんだがね……。先程も言っただろ?故意ではないと、咎めるのであればメンテナンスを怠っている用務員に……」
佐竹「分かった、俺が悪かった。でも、他の娘は巻き込まないようにしてね、タキオンの為にも」
タキオン「分かっているさ、私も少し意地悪し過ぎたよ……すまなかった。次からは気を付けておくよ」
タキオンにリンゴを届け、危険で実験途中の薬を披露されたところで、その薬の被害者がいるという事に不安でしかない自分。これにより、トレーナーの身に何が起こるか唯々怖いという感情が渦巻いていた。そして時は流れていった……。
この作品終わったら、ヤンデレばっかりのやつ書こうかな……。