馬の感情が読める厩務員が転生した件   作:泰然

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今年も終わりやぁ~


37話 ダスカの覚悟 たこ焼きパーティーそして……

遂に秋華賞当日を迎え、トレーナーは屋外で直接応援しようと人の波を掻き分けて行くと見覚えのある白いハットを被った後ろ姿が目に留まった。

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「ブーケさん?」

 

ブーケ「あら、トレーナーさん。桜花賞以来ですね、スカーレットの状態はいかがですか?」

 

佐竹「はい、感冒でレースに出れるか心配でしたが……何とかなりました。これもスカーレットの気持ちの強さの表れだと思います、本当恐れ入ります」

 

ブーケ「ふふっ……あの娘、負けん気だけは人一倍強いですから。それで苦労されてるトレーナーさんが目に浮かびます」

 

佐竹「ご家族の方が苦労なさっていると思いますが、確かに俺も大変な目に遭っていますよ。でも、それがレースに表れていると思います。今回の秋華賞も取ってくれると願っています」

 

ブーケ「随分信頼なさってるんですね。それだけ思っていただいて私達スカーレット家も鼻が高いです」

 

世間話を終え、準備が整いファンファーレが高らかに鳴り響いた。最初のGⅠの緊張と違い、トリプルティアラという偉業がかかっている中でのレース。その中で一番緊張しているはずのスカーレットなのだが思いの外冷静で静かにゲートをくぐった。その瞳には『紅く闘志』が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

ダスカ(大丈夫……風邪も完璧に治ったし、今までたくさん練習してきたんだから。それに、トレーナーに三冠の称号をプレゼントするんだからっ!)

 

ウオッカ「スカーレット、何度も言うが今回も負けねぇからな」

 

ダスカ「えぇ、アタシも負けるつもり何てないわ。ここも勝って泣いた姿をアンタのトレーナーに見せてやるんだからっ!」

 

ウオッカ「へっ、そうこなくちゃなぁ」

 

お互いに負けられないレース、どちらも得意とする距離での勝負。まだ始まっていなくても、二人は心の中で戦っていた。そして他のウマ娘がゲート入りが完了し、ゲートの開く音と共に火蓋が切られた。スカーレットはスタートが上手くいき、逃げる形になった。ウオッカは後方で様子を窺うような形になった。第一コーナーから第二コーナーを抜け、向こう正面の直線に入った。スカーレットは変わりなく逃げていた。一方でウオッカは徐々に上がって行き順位を上げ、第三コーナーに差し掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダスカ(まだ体力は残ってる……他の娘はアタシの走りで脚は多分残ってない)

 

最後のコーナーに入り、直線に向かいスカーレットの後ろは三バ身離れていた。その時スカーレットは勝利を確信した。

 

 

 

 

 

 

ダスカ(勝ったッ!!)

 

だが……。

 

 

 

 

 

 

ウオッカ「オラアアァァァァッ!!」

 

ダスカ「えっ!?」

 

唯一人だけ驚異的な追い上げによってかわされた。残り二百メートルで何とかスカーレットも食らいつくが、差が縮まらなかった。スカーレットの加速に合わせるようにウオッカも加速していった。

 

 

 

 

 

 

 

ダスカ(やだ……やだやだやだ!!こんな終わり方、アイツにプレゼントするって言ったのにッ!)

 

ダスカ「終われる訳ないんだからああぁぁぁッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一バ身差をつけてウオッカの勝利となった。ゴール版を駆け抜けた二人の顔はとても対照的であった。ウオッカは観客席に向かって手を振り、スカーレットは立ち止まり空を仰いでいた。他のウマ娘達が地下バ道に戻る最中、スカーレットだけ動こうとしなかった。役員が促した際は流石に従ったが終始俯いたままだった。声を掛けるのはウイニングライブが終わってからにしようと思い、控え室でスカーレットをブーケさんと待っていたのだが。

 

 

 

 

 

 

 

ブーケ「あの、トレーナーさん。私先に失礼させていただきます」

 

佐竹「どうしてですか?」

 

ブーケ「今日もお忍びで来ていましたが……あの娘にも心の整理が必要だと思います。私がこのレースを見ていたとなれば、幼いあの娘は取り乱してしまいます。不甲斐ないレースをしてしまったと。ですから、あの娘の整理がつくまで電話を待つ事にします」

 

佐竹「そうですね……彼女にとってショックでしょうし」

 

ブーケ「それに好きな人に届けてあげられませんでしたからね……」ボソッ

 

佐竹「今何て?……」

 

ブーケ「何でもありません。娘のフォローはトレーナーさんにお願いします、では失礼します」

 

ブーケさんが退室していき、どう言葉を掛けてあげればいいか考えている時スカーレットが控え室に戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「スカーレット……」

 

ダスカ「……勝ちたかった。アンタに取らせてあげたかった、『アンタと一緒に勝ちかったッ!!』でも、アタシの慢心でウオッカに差し切られた。一度しかないのにッ!!」

 

佐竹「確かに一度しかないレースでスカーレットは自分を過信した結果、ウオッカに差された。本来なら一生悔いて苦しむ事になる。でも、それを背負ってレースに臨めば同じ過ちは繰り返さない。そして……その悔しさを味わったスカーレットはもっと強くなれるッ!」

 

ダスカ「トレーナー……」

 

佐竹「あと、それだけ涙を流すって事は今までのトレーニングだって全力で頑張った証だ、俺はスカーレットがどれだけ練習に打ち込んだか知ってる。例え負けたとしても自分を十分誇っていいんだぞ?」

 

ダスカ「うっ、うぅ……うわあああぁぁぁぁ」

 

佐竹「頑張ったな……スカーレット」

 

控え室から彼女は咆哮のように泣き叫ぶ声が外の通路まで響いた。感情を出したお陰もあり落ち着きを取り戻し学園を目指し帰った。学園の校門まで来た二人はその場で別れようとした時、オグリが遠くで手を振りながら駆け寄ってきた。

 

 

 

 

 

 

オグリ「トレーナー、スカーレットお疲れ様。結果は残念だったが、大丈夫だ。前回言っていた、たこ焼きパーティーだっ!!レースの事は忘れて楽しく食べよう」

 

佐竹「そうだな……。スカーレットは大丈夫?」

 

ダスカ「せっかく開いてくれるんだもの、楽しまなくちゃ悪いわ」

 

オグリ「よし!すぐ行こう、タマも待っている!」

 

オグリ(やっとタマのたこ焼きが食べれる)ダラー

 

佐竹(もしかして目的そっちじゃないよな……)

 

オグリに連れて行かれるまま辿り着いたのは、トレーナー室だった。

 

 

 

 

 

 

佐竹「何でここなの?」

 

オグリ「私達の部屋でもいいが、それだとトレーナーが入れないだろ?」

 

タマモ「せやでぇオグリでも分かる事やんか。それにトレーナー室の方が勝手が効くやんか」

 

佐竹「この部屋は溜まり場じゃねぇぞ……」

 

ダスカ「つべこべ言わないの。ほら、準備するわよ」

 

トレーナー室の机や椅子をどけて別のテーブルを用意し、たこ焼き器の準備をした。そして具材はタマに任せて生地を作りみんなで焼き始めた。

 

 

 

 

 

 

タマモ「最初生地は浅く入れなあかんで、何処にタコ入れたか分からんくなるからな」

 

オグリ「なぁタマもういいんじゃないか?」

 

タマモ「まだ生焼けやろ?!我慢せいッ!!」

 

ダスカ「賑やかでいいわね、少しずつ落ち着いてきたわ」

 

佐竹「よかったな、優しい先輩で」

 

ダスカ「えぇ、本当に」

 

タマモ「ほら、焼けたで。熱いから気いつけて食べや」

 

オグリ「はむっ、うまいぞ!タマ」

 

タマモ「当たり前やッ!何回焼いてきたと思ってんねん」

 

三人楽しくたこ焼きをつつき、時間はあっという間に過ぎて行った。そこでタマが退屈しのぎにたこ焼きを使ったゲームを提案した。

 

 

 

 

 

 

タマモ「少しゲームでもせぇへんか?」

 

オグリ「ゲーム?」

 

ダスカ「何するんですか?」

 

タマモ「ロシアンたこ焼きでもやってみぃひん?」

 

佐竹「ロシアンたこ焼きだったらルールでもあるのか?」

 

タマモ「一つだけワサビが入っとるんやけど、負けた奴は全員の言う事を聞かなあかん」

 

佐竹「全員の!?」

 

オグリ「面白い、やろう」

 

ダスカ「負けませんよ!」

 

佐竹「自分が負ける事を考えないのか!?全員の言う事聞くんだぞ!?」

 

タマモ「そりゃあ何とかトレーナーを負かしたいんとちゃう?理由は知らんけど……」

 

ゲームが始まり、トレーナー以外の三人は当たらなかった。今度はトレーナーが当てる番になり、ワサビ入りを引いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

タマモ「ご愁傷さまやな……ウチは洗い物を済ましてくれればえぇけど、他二人はどうか……」

 

佐竹「最悪だ……鼻痛ぇ」

 

オグリ「トレーナー、早速だが私の願いは……また一緒に食事をしよう。今度はラーメンが食べたいっ!この前雑誌を見た時よさそうな店があったんだ。トレーナーも喜ぶと思う」

 

佐竹「そうだな、タイミングが合えば一緒に行こう」

 

佐竹(無理なこと言われると思ったわぁ)

 

佐竹「スカーレットは?」

 

ダスカ「……キスしたい」

 

佐竹「無理」

 

ダスカ「何でよッ!……私じゃ、嫌なの?」

 

佐竹「スカーレットが嫌とかそう言う事じゃない。単純に一線を越えないようにする為だ」

 

ダスカ「アタシの体は触ろうとしたくせにキスはダメなのッ!?ゴルシとはキスしたくせに……」

 

佐竹「ゴルシのは不可抗力だろッ!?触ろうとしたのは事実だが……」

 

ダスカ「だったら観念して……」

 

オグリ「そう言う事なら私の話も変わってくる。食事の件は無しだ、私もトレーナーとキスしたい。スカーレットには譲れない、ゴールドシップの話は初めて聞いたが……」

 

ダスカ「アタシに譲ってくれてもいいんじゃないですか?レースで傷心したアタシに免じて」

 

オグリ「出来ないな、他の事なら構わないがトレーナの事となれば別だ。後輩だからと言って譲る訳にいかない」

 

タマモ「痴話喧嘩は余所でやってくれんか?そんなん犬も食わへんで……それやったらジャンケンで決めたらえぇやん」

 

佐竹「タマ……関係ないからって適当に言ってないか?」

 

タマモ「せやかて、いつまで経っても決まらへんやんか。ジャンケンの方が早いやろ」

 

オグリ「では、ジャンケンで勝負だ。スカーレット」

 

ダスカ「いいですよ、勝った方がトレーナーを好きにできますからね」

 

佐竹「俺……そんな事一言も言ってないんだが」

 

オグリ「いくぞッ!!ジャンケン……」

 

オグリ「ポンッ!!」パー

ダスカ「ポンッ!!」パー

 

オグリ「相子でしょッ!!」チョキ

ダスカ「相子でしょッ!!」チョキ

 

そこから延々と相子が続き勝負がつかなかった。ジャンケンをする二人を尻目にタマとトレーナーは終わるのを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

タマモ「長いなぁまだ決まらんのかい……あっちが決まらんくても皿は洗っといてなぁ」

 

佐竹「はいはい、ところでタマ。この生地に白いの入れてたよな、すごい美味かったけどあれ何?」

 

タマモ「唯の白だしやけど?でも、配分めっちゃムズイねんであれ。入れすぎると固まらへんし、入れへんと不味いし」

 

佐竹「教えてくれない?」

 

タマモ「えぇけど、どないすんの?」

 

佐竹「美味かったから再現しようと思って」

 

タマモ「嬉しいな……それやったら!再現出来たやつウチも食うてかめへん?どれだけウチのたこ焼きに近づけたか確認したいし」

 

佐竹「そしたらご馳走するよ。またみんなで集まってやろう」

 

タマモ「せやな!」

 

トレーナーは二人がジャンケンをしている間に食器を片付け、事が収まるまで身を隠し二人がいなくなったトレーナー室に戻り残った仕事をしていた。だが、少し眠くなりソファーに倒れるように沈んだ。仮眠しているトレーナーの下に、テイオーが訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

テイオー「トレーナー!遊びにき、たよ……寝てる。そう言えばあまりトレーナーの寝顔見た事なかったから新鮮。無防備な顔、かわいい♪」

 

テイオーはトレーナーの寝顔を暫く観察していた。だが……。

 

テイオー「うへへ~///って、うわッ!?」

 

寝相の悪いトレーナーはテイオーに抱き着くような形になった。

 

テイオー「ト、トレーナー!?そんな大胆な事///まぁでもこのままでもいいや♪」

 

その状態でもトレーナーは起きなかった。しびれを切らしたテイオーは流石に離してもらえるように促した。

 

テイオー「トレーナー///流石に離して欲しいんだけど……ねぇトレーナー?聞いてる?トレーナーってばあぁぁぁぁぁッ!!」

 

抱き着いたままトレーナーは起きる事は無かった。目覚めた時はテイオーの目が怖かったトレーナーはすぐさま逃げ、学園中を駆け巡りたづなさんに見つかり二人とも怒られてしまった。次の日になり、課外授業で使った資料を職員室に持っていく途中であまり見慣れない黒髪のウマ娘に呼び止められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「すいません。厨房が何処にあるかご存じでしょうか?」

 

 




テイオーに抱き着いて困らせたい人生でした……。
※史実と違いますのでお間違いのないようにお願いします。
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