馬の感情が読める厩務員が転生した件   作:泰然

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フラッシュとブルボン欲しぃ……。


43話 フラッシュの勘違い 地方からの来客

トレーナーはフラッシュが気になる中、トレーニングコースに足を運んでいた。そして偶々フラッシュが模擬レースをしている最中で、最後の直線で中々上がってこれず凡走。他のウマ娘より一層疲れるフラッシュの姿が目に留まった。彼女の様子を見てトレーナーは声を掛けられず、その場で悩み続けた。

 

佐竹「考えても仕方ないし、後で励ましに行こうかなぁ」

 

ゴルシ「よぉ!トレーナー。渋い顔してどうした?悪いもんでも食べたんだろう~?」

 

佐竹「あぁ、ゴルシ。フラッシュが少し調子良くないっぽいんだよ……だから励ましに行こうかなぁって」

 

ゴルシ「あ~、最近ずっと自分のメモ帳と睨めっこしてたな。あっ!フラッシ励ましに行くならいいアイデアあるぞ」ニヤニヤ

 

佐竹「何でお前……そんなにニヤついてんだ。取り敢えず聞こうか?」

 

ゴルシ「先ずな…………」

 

トレーナーはゴルシの提案を聞いたがこれでフラッシュを励ます事が出来るのか疑問に思いつつ、カフェテリアにいる彼女の下を訪ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラッシュ「このエネルギー量で数十キロは動けますね……残りのトレーニングで負荷を調整できれば……」

 

佐竹「フラッシュ、調子はどうだ?」

 

ゴルシ「元気かー?」

 

フラッシュ「トレーナーさんとゴールドシップさん?!どうしました?」

 

佐竹「いや、最近フラッシュの調子が悪そうだったからどうにかしたいと思ってさ、ゴルシと少し考えてたんだ」

 

ゴルシ「そこでIQ1000以上の頭脳で考えたゴルシちゃんの文章をお頭が足らないトレーナーが読み上げる。これでフラッシュも元気になると思うぞ?」

 

佐竹「お頭は余計だ。ゴルシはフラッシュを勇気付けたいだけだから少しだけ、俺等に付き合ってくれ」

 

フラッシュ「二十分程度なら大丈夫ですが……何をなさるんですか?」

 

佐竹「短いセリフを読むだけなんだが、俺はもっと別のやり方をしたかったんだけど……」

 

ゴルシ「ゴチャゴチャ言うなッ!ほら、読み上げろ」ニヤニヤ

 

ゴルシに紙を手渡されたがトレーナーはそれでも、踏ん切りが付かず渋り続けた。

 

佐竹「今更言うのもなんだ……これで本当に元気になるのか?」

 

ゴルシ「意外と喜んでくれるかもしれないだろう?先ずはやってみろよ」

 

佐竹「こういうのはフジさんとかオペラオーがやった方が似合うと思うんだが……」

 

ゴルシ「お前が言うから意味があるんだろ?いいからサッサと読め」

 

トレーナーは諦め、ゴルシが書いた文章を読み上げる事にした。正直、この場で読むのが恥ずかしくて仕様がない。

 

佐竹「己が棘に蝕まれようといつか大輪花開く時、それは必ず武器になる。私は貴女の柱になり、この身が錆びて朽ち果てようとも居なくなるまであなたを支えます。あなたが幾度、茨の道を突き進み深く傷を負ったとしても、強くあなたを抱き締める」

 

ゴルシ「ブッ、アッーハッハッハッハッ!!いや~傑作だぜ、トレーナー。フラッシュもこれで元気出たんじゃねぇか?」

 

佐竹「お前……最初から俺を嵌める為に仕組んでたな」

 

ゴルシ「でも、面白かっただろ?よかったよなぁ、フラッシュ?」

 

フラッシュ「…………」

 

ゴルシ「あれ?お~い、フラッシュ?」

 

フラッシュはゴルシの呼び掛けには答えず、硬直したままトレーナーを見つめ続けた。ゴルシは頻りにフラッシュの顔に手をかざしたが、瞬きすらしなかった。そしてフラッシュはゆっくり口を開いた。

 

フラッシュ「トレーナーさん、私もう一度模擬レースを走るのですがその際見に来ていただけないでしょうか?」

 

佐竹「えっ?いいけど……」

 

フラッシュ「私、必ず勝ちます。あなたに勝利を捧げて……そしてもう一度……」

 

真剣な顔でトレーナーに語り、最後の方は聞こえるか聞こえないかの声でトレーナーの耳には届いておらずフラッシュはそのまま立ち去ってしまった。

 

佐竹「おい、お前のせいでフラッシュ怒って行っちゃっただろ……」

 

ゴルシ「トレーナーが下手クソだったんじゃないか?……フラッシュのレース見に行くのか?」

 

佐竹「そりゃあ、行くしかないだろ。それにゴルシも共犯なんだからレースに来い」

 

ゴルシ「えぇ……めんどくさいなぁ。でも、怒ったフラッシュとか見たくねぇからなぁ……」

 

フラッシュが何故あそこまで決意を示した面持ちなのか分からない二人。誘われたからには行くしかない二人は、当日レース場に赴く事に決めその真意を確かめる事にした。模擬レースが開催される間、何故か今までの調子が嘘のように力を付け明らかに体格が変わっていった。そして開催日、フラッシュの顔つきが他のウマ娘と比較すると覚悟の度合いが違った。余りの変わりっぷりにトレーナーは戸惑いつつ声を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「フラッシュ……最近調子よさそうだな」

 

フラッシュ「はい!トレーナーさんから頂いた言葉が私の支えになっています。そしてトレーナーさんへの気持ちを伝えたく、レースにお誘いいたしました。お手間をおかけして大変申し訳なく存じます」

 

佐竹「いいよ、故郷を離れたら精神的に辛い事だってあるだろうし……その時は相談してよ」

 

ゴルシ「フラッシュ頑張れよ~、そこで応援してるからな~」

 

フラッシュ「ゴールドシップさんも態々お越し頂いてありがとうございます。お二人には不甲斐ない結果をお見せしましたが、このレースで必ず払拭して見せますので。トレーナーさん……最後まで私の走りを見ていて下さい」

 

佐竹「あ、あぁ頑張れよ」

 

そしてフラッシュは模擬レースに出走する準備に向かった。

 

ゴルシ「なぁ、気持ちを伝えるって何の事だ?こんな模擬レースで伝えるって担当になってくれ~、みたいな事だろ?でもトレーナー、担当はもう取らないんじゃなかったか?」

 

佐竹「そうなんだけど……俺、色んな人に公言してるからフラッシュの耳にも入ってると思うんだけど……」

 

ゴルシ「ちゃんと言わないからあんな感じになったんじゃねぇか?あ~あ~落ち込むぞぉ?フラッシュ~」

 

佐竹「そんなつもりじゃ無かったんだが……もし言われたら謝るかぁ」

 

トレーナは謝るパターンを考えながらレースの開始を待った。そして準備が整い、レースがスタートした。芝2000メートルに挑むフラッシュは以前のようにかかる素振りは無く、中団で構え最後の直線まで待つ姿勢。そして最終コーナーに差し掛かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラッシュ(トレーナーさんの言葉……唯その言葉で私は救われた。素敵な言葉で助けて下さったトレーナーさんに、私の気持ちをレースという形で!一着になったら伝えるんですッ!)

 

佐竹「頑張れぇ!!フラッシュ!」

ゴルシ「いい位置だぞッ!フラッシュ!」

 

先団をドンドン追い抜き一着との距離が縮まり、並ぶ間もなくあっと言う間に躱し独走状態に入って残り100メートルでフラッシュが観客席にいるトレーナーに顔を向け……。

 

フラッシュ「トレーナーさぁぁんッ!!愛していまぁぁぁぁすッ!!」

 

佐竹「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

ゴルシ「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?どういう事だットレーナー!?何でフラッシュがこんな場所で告白してんだよ!!」

 

佐竹「知らねぇよ!俺が聞きたいぐらいだわ!」

 

フラッシュの公開告白を聞きつけ、誰に向けて言ったのか周りが騒ぎ始めた。

 

モブトレ「誰!?誰に言ったの、今の?!」

モブトレ「羨ましい奴め……ぜってぇ許せさねぇ……」

モブ娘「よく聞く、禁断の恋?キャァ♪」

モブ娘「アタシも素敵な人と出会いたい……」

 

ヤジが飛び交う中、フラッシュは真っ直ぐトレーナーの下に歩み寄った。悪い噂の絶えないトレーナーだと周りが知ると、一斉にブーイングが飛び交った。フラッシュは睨み窘め周りを黙らせてからトレーナーに向き直し口を開いた。

 

フラッシュ「返事をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

佐竹「いや……説明して欲しいんですけど……」

 

ゴルシ「そうだぞ?!何でこいつに告白したんだよ!」

 

フラッシュ「トレーナーさんから頂いた告白に応えただけですが?」

 

ゴルシ「あれは、アタシが考えたんだよ!フラッシュが元気になればいいなぁと思って……説明聞いてなかったのか?」

 

フラッシュ「そうなのですか?そうであったとしても私はトレーナーさんに、あのような言葉を投げかけていたかもしれません。それが今、確信に変わったというだけです……レースでもトレーナーさんへの思いも」

 

ゴルシ「えぇ……トレーナーお前どうするつもりだよ」

 

佐竹「どうするって……」

 

フラッシュ「私はトレーナーさんを諦めるつもりはありませんので」ダキ

 

佐竹「恥ずかしいので離れて頂いてよろしいですか?」

 

フラッシュ「何故敬語?」

 

暫くフラッシュの腕組から抜け出せず悶々とするトレーナー。このフラッシュの出来事で他のウマ娘から問いただされる事になり、フラッシュから解放されるのだがスぺとオグリに食堂に誘われるのだがずっと不機嫌なままご飯を食べ続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「あの……何で怒ってるの?」

 

オグリ「自分に聞いてみたらどうだ?……おかわりしてくる」スタスタ

 

スぺ「どうしてフラッシュさんにあんな告白を受けていたんですか?」

 

佐竹「ゴルシの考えた文章を告白と勘違いしたんだと。そのお陰で周りからますます白い目で見られようになったよ……」

 

スぺ「その文書私にも読み上げてもらっていいですか?」

 

佐竹「ヤダよ……唯でさえ恥ずかしいのに」

 

スぺ「一度だけでいいので!その文章が告白に聞こえるのか、そうじゃないのか聞く必要がありますッ!」

 

佐竹「えぇ……じゃあ言うぞ?……己が棘に蝕まれようといつか大輪花開く時、それは必ず武器になる。私はあなたの柱になり、この身が錆びて朽ち果てようとも居なくなるまであなたを支えます。あなたが幾度、茨の道を突き進み深く傷を負ったとしても、強くあなたを抱き締める……あ~自分で言ってて鳥肌が立つ」

 

スぺ「そんな事ないじゃないですか?!私はよかったですよ?でもこれは……告白に聞こえますね」

 

佐竹「この文章、女王が騎士に送った言葉らしいんだけどな……ゴルシ曰く」

 

スぺ「やっぱり愛の告白じゃないですか……実らない恋でも言葉では伝えたかったみたいな風に聞こえますね。悲恋ですね……」

 

佐竹「よくそこまで想像できるな……」

 

オグリ「どうしたんだ?スぺ」

 

スぺ「オグリさん、今ならトレーナーさんから告白を聞けるかもしれませんよ」

 

オグリ「本当か?!早速トレーナー頼む」

 

佐竹「…………」

 

トレーナーにとって地獄のような時間が続き、死んだ目をしながら食堂を去って行った。そんな時間を過ごしたトレーナーとは別でウララは自主トレをシービーの下、坂路トレーニングを行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウララ「よーい……ドーンッ!!」

 

ウララはトレーニングに打ち込んでいると知らない栗毛のウマ娘の姿が目に入った。そのウマ娘は額には漢字が綴られた鉢巻を身に着け、ウララのように元気な印象があった。練習中ではあったがウララは構わず声を掛けてみる事にした。

 

ウララ「ねー!君、どこのクラス?」

 

?「あ、いえ……私はここの生徒ではないのですが近々レースがありますので、このトレセン学園で練習の許可をいただいて今はトレーニングの最中です」

 

ウララ「そうなんだ、わたしはハルウララよろしくね!」

 

メイセイ「私はメイセイオペラと言います。以後よろしくお願いします」

 

ウララ「同じオペちゃんの名前だね、それじゃあ……メイちゃん!」

 

メイセイ「ふふっ、私はウララさんと呼んだ方がいいですか?」

 

ウララ「うん!いいよ。ねぇ、メイちゃんもダートなんだよね?一緒に走ろうよ」

 

メイセイ「勿論!いいですよ」

 

ウララは坂路トレーニングを忘れ、メイセイと一緒に並走する事になった。その後はシービーに怒られはしたがシービーはある事に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

シービー「ウララ……あの娘強いよ」

 

ウララ「わたしと走ってる時も付いてくのちょっと大変だったもん。メイちゃん絶対強いよ!」

 

シービー「……ウララ、もう一回走るよ。今度はアタシと」

 

ウララ「えぇー!?シービーちゃんと走るとすぐ置いて行かれちゃうからヤダよー」

 

シービー「そんな事言わないの、ほら行くよ」

 

ウララ「はぁーい……」

 

シービー(あの娘、もしかしたら……)

 

シービーは何かに気付き、ウララと一緒に並走する事にした。ウララはフェブラリーステークスまで気付くことはない、ましてやトレーナーも彼女がこのレースに出走する事を。そして月日は流れフェブラリーステークス当日を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「ウララ、いよいよだな」

 

ウララ「うん!最後まで走り切ってくるねトレーナー!」

 

ウララはバ道を進んでいるとメイセイが歩く姿を目撃し、声を掛けた。

 

ウララ「メイちゃーん!、メイちゃんも出るの?」

 

メイセイ「はい、ウララさんも出走するんですね。私、絶対負けられませんので憾まないでくださいね」

 

ウララ「ウララだって負けないからね!」

 

二人は気持ちを高め合い、レース場に歩んで行った。そしてメイセイオペラには何か計り知れない闘志を宿しながら今、ゲートを潜り始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あぁ、夏来ねぇかなぁ……。
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