馬の感情が読める厩務員が転生した件   作:泰然

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長くなりました、すいません。


46話 とある彼女の壮絶な過去

今日トレーナーはタイキとウララのトレーニングに努めていた。一日の練習は終わり、トレーナーは二人に別れを告げ食堂に向かった。トレーナーは野菜炒めを注文して席に着いた時、同じタイミングでタキオンが座ってきた。

 

タキオン「やぁ、トレーナー君。君も食事かな?同席しても構わないかい?」

 

佐竹「座ってるじゃん……まぁ、いいけど」

 

タキオン「そう言えば、あれからスぺ君とはどうだい?進展はあったかな?」

 

佐竹「どういう意味だよ……何もないよ、ご飯に誘ってもらったくらいで」

 

タキオン「何だ~つまらないねぇ。まぁいいさ……それより聞いたかいトレーナー君、理事長が出張に出るらしいよ?」

 

佐竹「えっ?初耳なんだけど……居ない間は誰が代理をするんだ?」

 

タキオン「そこまでは知らないねぇ……直接聞きに行ったらどうだい?若しくは、代理がたづなさんになる可能性もあるだろうけど」

 

二人で会話をしているとそこに食事を持ってスカーレットが歩いてきた。

 

ダスカ「アンタ、タキオンさんに迷惑かけてないでしょうね……」

 

佐竹「何で俺が怒られるんだよ……寧ろ、迷惑被ってるのは俺の方なんだが」

 

タキオン「クククッ……何の事かわからないねぇ~。スカーレット君も今から食事かい?」

 

ダスカ「はいっ!タキオンさんが見えたので一緒に、と思いまして。トレーナーは次いでよ」

 

佐竹「……」シュン

 

タキオン「元気を出したまえ、トレーナー君。特別に私のから揚げをあげよう、勿論……等価交換で私の実験に付き合ってくれると言う事で」

 

佐竹「釣り合ってないんだが……」

 

ダスカ「タキオンさん!今度はどんな実験をするんですか?」

 

タキオン「うん?まぁ、今回は自然由来の物でどこまで強制的に覚醒状態にさせるかの研究を……」

 

ダスカ「すごいですねっ!優しい食材でみんなを元気にして、尚且つ目覚めを良くしてだなんて……本当にすごいですね!」

 

タキオン「いや私は唯、トレーナー君の実験に使う為に……」

 

ダスカ「そこまで他のウマ娘の為に考えているなんて、尊敬します!タキオンさん」

 

佐竹「よかったな、そこまで絶賛されて。本当、頭が下がるよ」ニヤニヤ

 

タキオン「そんなに笑ってると今、試作段階の嫌われる薬を君に飲ませる事になるぞ、いいのかい?」

 

佐竹「何でそんな薬作ってんだよ……」

 

タキオン「前に作っていた感情の起伏をコントロールする薬を応用するだけだよ。君の絶望する顔が見てみたいだけさ、クックッ」

 

タキオンから恐ろしい話をされ、トレーナーは直ぐ様機嫌を取り食事を終わらせトレーナーはこの間、ルドルフとシービーの話を思い出しタキオンに聞いてみる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「タキオン、少し聞きたいんだがスぺやカフェに似た長い黒髪のウマ娘って見た事ないか?」

 

タキオン「突然だね。う~ん……カフェやスぺ君に似たウマ娘ねぇ……。その人か分からないが、偶にトレーニングコースを眺める姿を見るような気が……」

 

佐竹「そっか、後は自分で探してみるよ。ありがとう」

 

トレーナーは話を終え、そのまま食堂を後にした。

 

ダスカ「…………何でトレーナーあんな事聞いたんですかね?」

 

タキオン「さぁ……」

 

トレーナーは取り敢えず今の話を理事長に聞いてみる事にした、海外出張に行く前に。

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「失礼します、理事長いらっしゃいますか?」

 

理事長「許可するッ!入り給え」

 

佐竹「理事長、少し聞きたい事、が……えっ」

 

理事長の返答でトレーナーが入室すると、見覚えのある姿があった。長い髪に青みがかった青鹿毛、あの日保健室で出会った彼女だった。ソファーに理事長に対面するように座っていた、トレーナーは彼女の詳細聞き出しに理事長の下を訪れたがその場に居た事により呆気にとられ固まっていると彼女が口を開いた。

 

?「あれ?君、どこかで会ったよね?こんな所でまた会うなんて」

 

理事長「驚倒ッ!?二人は知り合いなのか?」

 

?「偶々保健室で包帯取りに行った時に、この少年がウマ娘の看病しててさ~。トレーナーだったんだ」

 

佐竹「は、はい……。新人トレーナーの佐竹です」

 

理事長「成る程……だから、彼女が……。それより佐竹トレーナー、私に用があったのではないか?」

 

何か含みのある言い方をした理事長に『疑問』を抱いたが、トレーナーは訪れた理由を話した。

 

理事長「そういう事か、彼女は『サンデーサイレンス』。アメリカで理事長補佐をしていたのだが諸々の理由があってな、今はこのトレセン学園で私の補佐を担ってもらっている。そこで私が長期の海外出張に行く事になったのだが、たづなだけでは負担が大きいという事で困っていたんだ。そこでッ!このトレセン学園に滞在しているサンデーに、出張期間任せようと思い白羽の矢が立ったという訳だッ!」

 

サンデーサイレンスだと知り、トレーナーは驚愕のあまり顔が引きつっていた。

 

サンデー「本当は周りの娘の練習を見てあげるだけだったんだけど、テー……やよいさんに頼まれてね。押し切られちゃったんだ、しかも秋までなんてさ~私疲れちゃうよ~」

 

佐竹「あはは……それにしても理事長、随分長い出張ですね」

 

理事長「私としてもここまで長いとは思っていなかったんだが、欧州諸国でウマ娘の『更なる飛躍』の為にプロジェクトが掲げられたのだ。その為、私もその企画に参戦する事になった」

 

佐竹「更なる飛躍って具体的には……」

 

サンデー「主な目的としては気軽に海外遠征をして個人個人の能力向上かな。テー……やよいさん的には日本でもっと海外のウマ娘がレースに参戦出来るようにしたいって感じだよね?」

 

理事長「うむっ!新たなライバルとの対戦で、新たなる目標が生まれ自身の能力を開花させる。私がその懸け橋となり、我がトレセン学園の生徒を世にその名を轟かせる事こそが私の本懐ッ!」

 

サンデー「熱いね~。それじゃ私は行くよ、話が長くなりそうだし。トレーナーも頑張ってね~」

 

サンデーは理事長室を退室し、トレーナーは先程意味深な発言をした理事長に聞いた。だが、理事長は少し躊躇うように先程の事を言うか迷っていた。サンデーには内緒という事で訳を話してくれた。

 

理事長「悪く捉えないで欲しいのだが彼女はあまり……人間が好きではないんだ」

 

佐竹「えっ……でも、俺とは普通に話してくれてましたけど……」

 

理事長「恐らく佐竹トレーナーはウマ娘に対して脅威が無いと感じているからだと私は考えている」

 

佐竹「脅威とは、どういう事ですか?」

 

理事長「彼女は幼少期、目を覆いたくなる程の罵声や虐待が続いていたんだ。彼女の体は最初の頃は見栄えが悪く、関係者から不愉快だ、と言われ毛嫌いされていた。それでも前より良くなっていったとしても関係者からは辛辣な言葉を浴びせられ、穏やかだったサンデーはそこから気性が荒れていった。そこで不運にも腸疾患を患って下痢が止まらず医者も治療するのだが、治る見込みが立たず医者は治療を投げ出し生死を彷徨うのだが何とか一命を取り留めた。だが、それだけでは終わらずサンデーが友人とバ運車での帰り道、事故で車が傾き転倒した。車内に居たサンデーは助かったのだが友人全て亡くってしまった……。サンデーはあまりのショックで立ち直れずにいた、心の拠り所でもある全ての友を亡くすんだ無理もない。更に追い打ちをかけるようにサンデーの虐待が激化し彼女自身命の危険を感じ、人を寄せ付けない程牙を剥き出しにしていた。だから同じ行いをする人間を見ると嫌悪するようになってしまった訳だ、決してサンデーは気性が荒い訳では無い……過去の出来事である事ない事言われているだけだ」

 

佐竹「そうですか……」

 

理事長「先程、諸々の理由でアメリカから日本に来たと言ったのはそれでも非難の声は鳴り止まなかった。そこで私がここに呼び寄せたという訳だ……この事は絶対サンデーには内緒だぞ?」

 

佐竹「はい、わかりました」

 

トレーナーはサンデーサイレンスの壮絶な過去を知り、ただただ悲しかった。そしてトレーナーは理事長室を退室し、トレーナー室に戻った。今後はサンデーサイレンスが理事長代理として、秋頃までの任期らしい。そう言えばとトレーナーはある事を思い出した、彼女にハンカチを返すのを忘れていた。また何処かで会った時にでも返そうと思いまたの機会に持ち越す事にした。トレーナーはサンデーに対して慎重に接するように努力しようと思い、夕方の廊下を歩いているとフラッシュが駆け寄ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラッシュ「あの、トレーナーさん。もしよろしければ、夕食をご一緒に如何でしょうか?故郷の手料理をご馳走しようと思いまして。何やらトレーナーさん、思い詰めた顔をしていたようにお見受けしましたので……」」

 

佐竹「そんな顔してた?ごめん。フラッシュの手料理かぁ、時間とか大丈夫なの?スケジュールとか……」

 

フラッシュ「はい、先程終わりましたので、一時間二十分の余裕がございます。なので私のスケジュールには何ら支障はありません、それに元気では無いトレーナーさんを放って置く方が私は落ち着きませんので、是非ッやらせてくださいッ!」

 

トレーナーはフラッシュの気迫に押され厨房に向かおうとした時、遠くから走ってくるタイシンに呼び止められた。息を切らしながら口を開くと……。

 

タイシン「ね、ねぇ……トレーナー。はぁ、はぁ、今大丈夫?」

 

佐竹「う、うん。タイシン、大丈夫?」

 

タイシン「ふぅ……今暇?暇だったら一緒にゲームしない?本当に暇だったら……あれ、フラッシュ……どうしたの?」

 

フラッシュ「トレーナーさんの様子が気がかりでしたので料理を、と思いまして。タイシンさんは?」

 

タイシン「アタシは///……まぁ、トレーナーの暇つぶしになればいいかなって」

 

フラッシュ「申し訳ないのですが、先程私がお約束を取り付けたばかりでして……」

 

タイシン「あ……そ、そうなんだ。じゃあ、アタシはまた別の機会にしとくよ。それじゃ」

 

タイシンはそう言われ、背中を向けその場を去ろうとした時フラッシュが呼び止めた。

 

フラッシュ「あ、あの!タイシンさん。よかったら、ご一緒に如何ですか?三人でならきっと美味しく召し上がれると思いますので」

 

タイシン「いいの?アタシ、邪魔だと思うけど……」

 

フラッシュ「いいえ、人数は多い方が楽しく賑やかですので、遠慮なさらないでください。トレーナーさんはそれでいいですよね?」

 

佐竹「俺はタイシンも居てくれた方が楽しいぞ?」

 

タイシン「そ、そう///じゃあ、遠慮なく」

 

フラッシュの一声により、タイシンも食事に参加する事になり三人で食べる事になった。早速、家庭科室に向かいフラッシュは入った瞬間に調理を開始した。横目で調理を眺めていたタイシンは自分も作る、と言い放ち一緒に料理を作る事になった。フラッシュはドイツ料理、タイシンは普段トレーナーに作っている料理を振る舞う事にした。タイシンが作ると宣言した時、タイシンはトレーナーを暫く睨んだ。何故か分からなかったが、時間は進み二人共料理が完成した。フラッシュはリンダーロウラーデンという、何とも格好いい名前の料理で薄切りの牛肉と牛脂に野菜を巻いたドイツ料理で付け合わせにはクローセというジャガイモの団子が並べられている。一方タイシンは大体弁当に入っている、肉じゃがをチョイスしていた。そしてトレーナーは二人の料理を食べる事にして先ずは、フラッシュの料理から食べる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐竹「いただきます……んっ、美味しい!」

 

フラッシュ「よかったです!家庭でも親しまれているので、トレーナーさんのお口に合ってよかったです」

 

タイシン「本当だ……リンゴのソース、美味しい」

 

佐竹「次はタイシンの肉じゃがだな。いつも食べてるから美味しいと思うけど……うん!やっぱり美味い!」

 

トレーナーは二人の料理を堪能し、もう少しで食べ終わる頃に少し味変したいなぁ、と思い喉も乾いてきたなぁ、と感じた時……。

 

タイシン「ほら、胡椒で味変えてみたら?……えっ?」

フラッシュ「はい、喉乾いてませんか?……えっ?」

 

何と二人共トレーナーが思っている事を分かっているかのように差し出してきた。お互い同じ行動をした事でビックリはしたが、直ぐ様何故か喧嘩が始まった。

 

タイシン「今トレーナー、胡椒が欲しいって思ったんだけど……」

 

フラッシュ「いえ、トレーナーさんは喉が渇いてきたと思うので胡椒ではないと思います……」

 

お互い一歩も引かずといった感じで、睨み合いが続いていた。トレーナーがどっちも欲しかった、と諭しても自分の主張が正しいと聞かなかった。そして食べ終わり、三人で片づけをして出ようとしたが二人にトレーナーは先に出てていいよ、と言われトレーナーは退出し二人だけで話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

タイシン「フラッシュは、さぁ……トレーナーの事どう思ってるの?」

 

フラッシュ「愛してますよ?」

 

タイシン「即答!?、よく臆面もなく……」

 

フラッシュ「タイシンさんは、どう思っているのでしょうか?」

 

タイシン「ア、アタシは……好き、だけど///……」

 

フラッシュ「では二人共、ライバルという事でこれからもよろしくお願いします」

 

タイシン「えっ!?ライバルなのによろしくって……ふふ、変なの」

 

二人は何故か笑い合い、同じトレーナーを好きという事でお互いどこに惚れたか話し合い家庭科室に暫く留まった。そして日付は変わり、トレーナーはタイキとトレーニングをしていた。マイルの距離でタイキのタイムを計っていたのだが、何故かタイムが落ちていた。理由を聞いてもいつもの食事量で健康にも気を付けて偏食は見受けられなかった。恐らくスランプに近い現象が起きている可能性が高いと判断したが、あまり長引くと目標にしている安田記念に大きな支障が出る。何とか打破したい一心で、トレーナーはその日の練習を切り止めトレーナー室に戻ろうとした時……。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウイナー「おっ!いつぞやのトレーナーさん。何か暗い顔してるね~どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 




サンデーの過去が悲惨過ぎて、自分なら何処かで心が折れる。
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