トレーナーはスタンドに着き、その数分後にサンデーが隣に立ちスズカのレースを今かと待ち侘びていた。そして同じ場所に桐生院も揃い一緒に応援することにした。だが、トレーナーは始まる時間が近付く度に涙が込み上げ、思わず口からスズカの名前が出てくる。
佐竹「…………スズカ」
桐生院「どうしたんですか、先輩?そんな険しい顔をして」
サンデー「…………ねぇ、トレーナー。君ってやっぱり……」
サンデーが何かを言いかけた時、遮るようにファンファーレで掻き消された。トレーナーも音に気を取られ、サンデーの声はトレーナーの耳には届いていない。そして向正面でゲートに次々入るウマ娘達、そんな中スズカは落ち着いてゲートを潜り先程のことを思い返していた。
スズカ(私のレースで必ず!…………出来ればいつものトレーナーさんに!)
実況「栄光を求めてただ一つの盾の栄誉を手に、名だたる猛者達が集います。この天皇賞(秋)で最も尊き盾を手にするのはどのウマ娘でしょうか。今回一番人気のサイレンススズカ、この逃亡劇に待ったをかけるウマ娘は現れるのでしょうか、まもなく出走が整います。最後にステイゴールドが入ります……体制完了……スタートします!」
実況「やはり行ったのはサイレンススズカ、ぐんぐんと差が広がっていきます。もう、八バ身以上離れています、それに合わせるようにスタンドからは大きな歓声が沸き起こります。ステイゴールドは先団の位置にいますが、まだ差は広がり続けている!メジロブライトも懸命に追いますが、中団よりやや手前です。かなり縦長の展開、三コーナーの手前、まもなく1000メートル標識は果たしてどのくらいで通過するか、そして今通過!57秒台ですいていった。三コーナー、飛ばしに飛ばしてサイレンススズカ!後続の各ウマ娘、大丈夫なのかッ捕まえることは出来るのか!?」
『トレーナーの記憶』
佐竹『ねぇ!お父さん、今日もスズカ勝てる?』
父『あぁ、なんたって今年に入って一度も負けてないからな!今日も一番でゴールだな』
当時五歳の俺はよく父親に連れられ、競バ場に足を運ぶことが多かった。その日はサイレンススズカが出走する日、天皇賞(秋)だった。当時の自分は逃げ続けて勝つ、サイレンススズカが大好きだった、子供ながら単純ではあるがその走りに心を惹かれ自然と応援していた。そして大ケヤキを超えた時……。
実況『サイレンススズカに故障発生ですッ!何ということだッ、四コーナーを迎えることなくレースを終えた武豊、沈黙の日曜日ッ!』
明らかに足取りが悪くなったサイレンススズカを見た時、当時子供だった自分でも怪我だと分かった。そして俺は……。
佐竹『ねぇ、お父さん。またスズカ走れるようになるよね、ただの怪我なんだよね?』
父『あ、あぁ……そうだな。またきっと走れるようになるさ』
今にして思えば、父親にどれほど残酷な質問を投げかけたかと思った。それでも俺を心配させないように頭を撫で、落ち着かせてくれた父。サイレンススズカは救護車に運び込もうとするのだが、左手根骨粉砕骨折と診断され予後不良となった。ウマの脚は第二の心臓、その繊細さ故に小さい怪我であっても競争人生、或いは命までも散らすことになる。そしてそこから父親と競バ場に足を運ぶことはなかった、そして自分も自然とサイレンススズカの名前を呼ぶことはなく、今トレーナーの脳裏にフラッシュバックするようにトラウマとなって蘇り、スズカが大ケヤキに差し掛かろうとした時……。
実況「大ケヤキの向こうを過ぎて…………サイレンススズカが大ケヤキから出てきません、中で一体何が起きたのか?!後方のウマ娘が更に詰め寄ります。サイレンススズカは大丈夫なのか、そしてあとを追うようにステイゴールドも失速していきますッ、大変なレースになりましたッ!」
その実況を聞いたトレーナーは柵を乗り越え、ターフを走っていた。嫌な予感を感じながら、スズカの下へと無我夢中で走った。トレーナーが好きだった彼女を、知り合って仲良くなった彼女を、『また』失うという恐怖が襲った。
佐竹「スズカッ!!」
桐生院「せ、先輩、危ないですよ!?まだレース中です!」
サンデー「…………」
トレーナーは息を切らしながら大ケヤキの日陰に辿り着いた。トレーナーの目に飛び込んできた光景は、以外にもスズカは至って普通だった。しゃがんだまま、脚を気遣う素振りをしていてステイは介抱するような形だった。だが、冷静な判断が下せないトレーナーは慌てるようにスズカを抱きかかえる。
佐竹「スズカ、大丈夫か?!今、救護車を表に回すからな。俺がそこまで運んでやる」
スズカ「えっ///ト、トレーナーさん!?そんなに痛くないので抱えなくても///……」
佐竹「ダメだッ!!興奮状態の場合痛みを感じないが、あと数分も経てば痛みだしてくる。だから、俺の体にしっかり捕まってろよ」
スズカ「っ……はい、わかりました……」
スズカ(こんなに怒ったトレーナーさん……初めてかも。でも、ちょっと格好いい……)
ステイ「スズカ顔赤いぞ、どうした?」
スズカ「う、ううん、何でもない///……」
直ぐ様スズカを表の救護車へと運び、担架に移して後は救護班に任せようとした時。
スズカ「あ、あの……トレーナーさんは一緒に来てくれないんですか?」
不安な眼差しを送るスズカを見て、トレーナーは彼女に心配を掛けまいと直ぐ様乗り込み再び励ました。
佐竹「何処までも一緒だ、絶対一人にはしないからな!寂しくなったらいつでも俺の手を握ってくれてもいいからな、今握るか?……よし、これでもう安心だ」
スズカ「そ、そこまで言わなくてもいいですから!?手を放してください///」
スズカ(そんなに素直に言われると罪悪感が……でも、ちょっと得した気分)
ステイ「はぁ………何ニヤニヤしてんだ……。運転手さん、早く出してください」
今のトレーナーは必死なため、何を言うにもストレートに返ってくる。そんなトレーナーを見てスズカは、タジタジになるのだった。緊迫した状況と気の緩むような光景にステイは、呆れた顔で見送った。そして病院へ着き、トレーナーはスズカの診断を戦々恐々と待ち、遂に医者から結果が告げられた。
医者「脚に多大な損傷が見受けられます」
佐竹「骨折ですか?!」
医者「いえ、骨折までは至っていませんが……罅割れの一歩手前です。恐らく、度重なるトレーニングが原因でしょう。ですが本当に罅割れの一歩手前だったので、あれ以上走っていたらどうなっていたか…………」
佐竹「よ、よかった〜…………」
スズカ「あはは…………」
医者からは重い怪我ではないと告げられ、トレーナーは息を漏らしながら一安心した。だが何故、あのレースで骨折の手前で止まることが出来たのか疑問に思ったトレーナーだが、スズカの命が助かっただけでも良しとするトレーナー。更に医者から告げられたのは、三ヶ月の入院期間とリハビリ、その期間中に痛みなどがなければ退院ということになる。話は終わり、スズカは病室へと移され二人で話しているとサンデーとステイが部屋に入ってきた。
ステイ「スズカ、大丈夫だったか?暫くの間走れないからストレスには気を付けろよ」
スズカ「そうね、骨がくっついてくれるまでの間、どうやって暇をつぶすか考えないとね」
サンデー「よかったね、スズカ。脚の筋とかだったら治るまで半年、或いは一生走れない可能性だってあったからね」
スズカ「はい、練習に付き合ってくれてありがとうございます、理事長代理」
サンデー「やめてよ、代理って呼ぶの。呼び慣れてないんだから、恥ずかしいし…………それよりトレーナー、ちょっとこっち来てくれる」
佐竹「?……はい」
トレーナーはサンデーに促されるまま、病室の外へと出され何やら神妙な面持ちだった。トレーナーは何を言われるのかと思い、耳を傾けた。
サンデー「ねぇ……トレーナー。君はさぁ、何でスズカが天皇賞で走る時だけあんなに辛そうな顔してたの?」
佐竹「脚が少し痛いって言ってたので……」
サンデー「本当にそれだけ?……それだけであんな顔しないよね。私には君が、スズカの未来を知っているようにしか見えないんだけど……トレーナーは何者なの?」
佐竹「…………」
トレーナーはこれ以上隠せることではないと判断し、サンデーに自分がこの世界の住人ではないことを伝え、ウマ娘という存在ではない違う個体が自分の世界にはいるという説明をした。半信半疑であったサンデーだったが、これまでのトレーナーの行動からすれば納得せざるを得ない。
サンデー「名前は同じで、姿形は全く違う生き物……そして同じ生涯を歩み、その一生を終える。だからスズカを何とかして止めようとしたんだ」
佐竹「そうです。この天皇賞でスズカは…………でも、同じ結末にはならなかった、どうしてかはわかりませんが」
サンデー「そうなんだ…………私もスズカのことには気付いていたんだ、だからステイに頼んでおいたんだよ」
佐竹「頼んだって、どういうことですか?」
『天皇賞(秋)当日』
サンデー『ステイ、もしスズカに少しでも異変を感じたら止めてあげて。あの娘、無理矢理自分を抑え込んで走ろうとするから』
ステイ『異変って言っても……例えば?』
サンデー『左脚を庇うような素振りを見せたら直ぐに止めて』
ステイ『そうなったら止めればいいんだな、任せろッ!』
レースに臨むステイはスズカの動きを常に注意深く観察していた。そして第三コーナー……。
実況『三コーナー、飛ばしに飛ばしてサイレンススズカ!後続の各ウマ娘、大丈夫なのかッ捕まえることは出来るのか!?』
大ケヤキを迎える途中、スズカの上体が傾き、脚を庇うような動きを見せた時ステイは透かさず声を張り上げた。
ステイ『スズカァァァァッ、止まれぇぇぇぇッ!!』
スズカ『えっ?痛ッ…………』
声に驚いたスズカは速度落とすと同時に、脚の痛みに気付く。ステイの一声がなければ確実に怪我をしていたスズカはゾッとはしたが、走りきれなかったことに悔しさを感じていた。
スズカ『ありがとう、ステイ。でも、走りきれなかった…………トレーナーさん、がっかりしてるかなぁ……』
ステイ『気にする必要ないと思うけどな、だったらあんな必死にここまで走ってこねぇだろ?』
スズカ『トレーナーさん、ここまで来るのに遠いのに……』
サンデー「って、ステイが言ってた」
佐竹「紙芝居みたいに言いますね…………だからあの怪我で済んだわけですか」
サンデー「それにしても君が、この世界の住人じゃないことに驚きだけどね。他の娘には話してないんでしょ?」
佐竹「できるだけ内密にお願いします、騙してるような感じになるので逆上されそうな気がして……」
サンデー「別に怒ったりはしないと思うけど、逆に興味持たれて大変になるかもね〜」
佐竹「どういう意味ですか?」
サンデー「そんなことはいいから、スズカにもう一回顔出してきなよ。心配してくれたのが相当嬉しかったみたいだし、私はそろそろ学園に戻るよ、たづなさんに報告しなきゃだし」
そう言ってサンデーは病院を去って行き、トレーナーは再びスズカの病室へと入った。ステイとスズカは他愛の無い話をしてステイは用事を思い出した、と言って部屋を出ていった。二人だけの空間になった瞬間、スズカはモジモジしだし話し始めた。
スズカ「あ、あの、トレーナーさん。今日は本当にありがとうございました、私なんかのためにここまでしてくれて」
佐竹「当たり前にやっただけ、それにスズカは大丈夫って言いながら走り続けようとするだろう?危なっかしいんだよ、子供みたいで」
スズカ「すみません……」
佐竹「だけど、そこが可愛かったりするんだけどな。放っておけない感じが」
スズカ「そ、そうですか///…………あ、あの、トレーナーさんは私のことどう思って……」
スズカが何かを言いかけた時、ドアが開かれ勢いよく入ってきたのはスペだった。それからは桐生院、ライスとミークがお見舞いに駆けつけた。スペはスズカに抱きつき咽び泣いた。
スペ「ズズガざぁぁぁぁん、大丈夫でずがぁぁぁ!!」
スズカ「…………」プクー
スペ「あれ、スズカさん怒ってます?」
スズカ「何でもない!……いいところだったのに……」プクー
スペ「えぇ!?そんなに怒んないでくださいよ〜……」
佐竹「何でそんなに怒ってるんだ?」
スズカ「トレーナーさんは知らなくていいんです!」
桐生院「まぁまぁスズカ、スペさんも多分悪気があってやったわけじゃないと思うから許してあげて?」
スズカ「悪気がないのはわかってます、でもタイミング悪すぎます……」
ミーク「……トレーナー、また何かやった?」
佐竹「俺が原因みたいに言うな……」
ライス「でも、大体お兄さまが発端の時あるよね?」
佐竹「ライスは俺の味方じゃないのか?!」
そして話は大体トレーナーが悪いという結論になり、話は終わった。その間にも、スズカのお見舞いに訪れる生徒が大勢詰め寄せてきた。これだけの生徒に慕われているんだな、とトレーナーは心の中で呟き面会時間が終わりに近づいてくると同時に、他のウマ娘達も次々に退室していった。最後にトレーナーと桐生院が出て行こうとした時、スズカに呼び止められた。
スズカ「あの桐生院さん、トレーナーさん。いつもありがとうございます、早く治して皆さんと走れるようにしますね」
桐生院「感謝なんてしなくていいです、アナタが元気に走ってくれれば」
佐竹「しっかり治してまたいつもの走り、期待してるからな」
スズカ「はい、必ずまた戻ってきます」
そう宣言したスズカは怪我したにも関わらず、闘志は未だに消えずに次に気持ちが向いていることが、素直にできることではない。そして二人も部屋を後にし、トレセン学園に戻って行った。そして今日のスズカの件で忙しかったトレーナーは、ある事実を桐生院の言葉を聞いて驚愕する。
佐竹「チャンピオンズカップに『リアルクワイエット』が走んの、マジ!?」
桐生院「嘘じゃないですよ、ネットニュースに載ってたんですから」
佐竹「チャンピオンズカップでウララが勝つ確率が…………」
桐生院「早い段階から担当の娘が負ける想像をするのはやめてください、まだ決まってないんですからウララさんを信じてあげてください。それにJBCに向けて対策を練ったほうがよろしいかと……」
佐竹「そういえば直ぐだな、色々あったから何もやってねぇ……」
桐生院「致し方ないと言っても、担当のレースの日にちは把握しておきましょうよ……」
佐竹「取り敢えず、ウララに伝えに行くか……」
ウララ「ウララがどうかしたの?」
佐竹「うぉ!?何でこんなところに……買い物か?」
ウララ「ううん、八百屋のおじさんのお手伝いしてたの!」
桐生院「ウララさんは偉いですね」
ウララ「ほんとー!?ウララ偉い?」
桐生院「えぇ、普通出来ることではないので自信を持っていいと思いますよ」
ウララ「わーい!鼻がのび~る〜♪」
佐竹「伸ばすな伸ばすな。そういえばウララ、チャンピオンズカップにリアルクワイエットが出走するんだが……知ってたか?」
ウララ「うん、学園中に名前が貼ってあったよ?メイちゃんとクワちゃんの名前」
佐竹「メイセイオペラも出るのか。クワちゃんって…………もうあだ名付けたのか?」
ウララ「だって長いんだもん……」
佐竹「確かに。ウララが知ってるんであれば話は早いな、今後のトレーニングは少しキツくなるかもしれない。それでもいいか?」
ウララ「うん、ウララの体は強いほうだから全然大丈夫だよ!それよりトレーナーはまた悩んだりしてない?」
佐竹「あぁ、もう大丈夫だ。一緒に勝とうな、ウララ!」
ウララ「うん!」
佐竹「先ずはJBCレディスクラシックで勝つぞー!」
ウララ「おー!」
佐竹「おー!」
桐生院「うふふっ」
打倒リアルクワイエットを掲げ、ウララとトレーナーは次のJBCレディスクラシックに向けて数日ではあるがトレーニングに励み、ベストに近い状態までもっていった。そしてレース当日、大井競バ場にやってきた二人はその場の熱気に酔いそうになりながら、控室に入った。そんな二人の姿を追うように、メイセイオペラが競バ場にやってきていた。
メイセイ「…………」
ただ二人を眺めるだけで声を掛けず、メイセイは観客席に着き出走時間を待ち続けた。本バ場入場の時間になり、ウララがレース場に姿を表すとメイセイは取り憑かれたようにウララを目で追っていた。それを見つけたトレーナーは、メイセイに声を掛けた。
佐竹「そんなにウララ眺めてどうしたんだ、メイセイ」
メイセイ「ウララさんのトレーナーさん。いえ、レディスクラシックに出走すると聞いて応援に駆けつけました」
佐竹「ありがとう。話は変わるんだが……すまなかったな、ウララとのレースに水を差して」
メイセイ「どういうことですか?」
佐竹「俺、他のレースに気持ちが向いててウララのレースをちゃんと見てなかったんだ。それでウララにも君にも悪いことをした」
メイセイ「やはりそうだったんですね。なのに私はその場の感情で、ウララさんに酷いことを言ってしまいました……」
佐竹「ウララは多分気にしてないと思うぞ、気になるようだったら後で声でも掛けてみたらどうだ?」
メイセイ「そうですね……時間を見つけてウララさんに逢いに行きます」
話が終わりレースの時間が近づき、ファンファーレが鳴りゲートへとウマ娘が次々と入っていった。そしてウララは前走の結果により五番人気での出走となるが、本人は至って落ち着いていた。ゲートが開いてスタートし、ウララは好スタートを切りいつもの中団での位置取り。トレーナーの指示は大井の直線を活かし、最後に全力を出し切る、ウララの脚であれば上位に食い込んでくれると信じて。最後のコーナーを曲がり、直線へと入っていく。
実況「最終直線、先頭との差は五バ身程あるッ!これを捉えることはできるのかッ?!だが、後続の手応えもいいッ!残り200、ここで上がってきたのはハルウララ!外から怒涛の追い上げ、先頭集団も粘る、粘る!だが伸びきれない、ハルウララは伸びないままゴォォォォルインッ!!」
ウララ「はぁ、はぁ……うぅ〜……」
最後の直線に賭けたウララだったが、タイミング遅かったことが敗因となり三着という結果になった。G1という舞台は、やはりそう簡単に取れるものではない。ウララはスタンドで待つトレーナーの下へと歩き出した。
佐竹「よく頑張ったな、ウララ」
ウララ「ごめんね、トレーナー。また一着取り損ねちゃった…………これじゃあ、メイちゃんにまた怒られちゃうよ」
メイセイ「怒ってなどいませんよ、寧ろ私のほうが謝らねばなりません。あの時、貴方の走る理由も聞かずにあのような言葉を投げてしまいました……すいませんでした」
ウララ「えっ、メイちゃん!?……ううん、メイちゃんとの真剣勝負だったのに変なこと考えてたウララが悪いよ、だから気にしないで!」
佐竹「な、気にしてなかっただろう?」
メイセイ「本当に器の大きな方ですね」
ウララ「うつわ?ウララそんなのもってないよ?」
佐竹「喩えの話だ……」
メイセイ「あははっ」
二人はまた以前のように笑顔が戻り、次のチャンピオンズカップで再び対決を宣言したのだった。だが、今回はメイセイだけが相手ではない、アメリカで米二冠を達成した『リアルクワイエット』。彼女もまた、強さを示さんと日本に来日しその勲章を手に入れるため、レースの一ヶ月前からトレーニングに励んでいた。そしてクワイエットは、とあるホテルに担当トレーナーと泊まっていた。
アメリア「フィッシュ、寝ないの?今日の疲労が明日に残るよ」
クワ「大丈夫、もう少し日本のレース場を勉強しておきたいの」
アメリア「そう……無理しないでね」
『フィッシュ』という名は平べったいバ体で歩く様子が水槽の中を美しく泳ぎまわる熱帯魚に似ていたことが由来になりその名が付いた。そしてクワイエット担当のアメリアは昼間の練習を熟し、遅い時間までレース場の研究をするクワイエットを心配し声をかけるがそれを遮り黙々とレース映像を眺めていた。アメリアはこれ以上諫言はできず、自分の部屋に戻り寝ることにしたが中々眠りにつけなかった。
アメリア「はぁ…………あの時まではあんな娘じゃなかったんだけど……」
アメリアはまだトレーナーになる前、幼いクワイエットをよく知っている。一緒に遊ぶ仲で二人はそれぞれ自分の夢を志、アメリアはトレーナー、クワイエットは三冠ウマ娘。そんなクワイエットが変わってしまったのは米国三冠、最後の一冠ベルモントステークスからだった。
リアルクワイエットの過去
米国三冠の最後の一冠、ベルモントステークスを迎えたリアルクワイエット。彼女にとって、そして観てくれている人達にとってアメリカクラシック三冠の期待が高まっていた。前走のプリークネスステークスでニバ身差まで猛追した、ヴィクトリーギャロップ、この三冠目のレースでも注目視され、二人の対決を観客は今かと待っていた。そして結果は……。
『何だ今の走りッ!!』
『細い体が影響したな……』
『寄れて走ったら危ねぇだろッ、ふざけんなッ!!』
ヴィクトリーギャロップにハナ差4cmで躱され、悲願の三冠達成は叶わなかった。そんなクワイエットに慰めの言葉を投げかけると思いきや、彼女に対して罵詈雑言の嵐。仕掛けるのが早過ぎる、アヒルの子はアヒルの子、世代に助けられている。心のない声が挙がり、リアルクワイエットは今まで応援していた人達がこの敗戦で『簡単に人というのは変わってしまう』、と思い知らされクワイエットはこれから何を信じてレースに臨めばいいのかわからなくなった。
クワ『どうして…………ただアタシは……』
アメリア『フィッシュ……』
そしてその後、トレーニング中に軽症ではあるが怪我を負いそこからのクワイエットは取り憑かれたように性格は変わり、怪我が完治した日から練習にのめり込むようになっていった。以前自分のトラウマを抱えたまま……。
そして現在、様々なレースでG1を獲得してきたクワイエットは悦喜するのではなくただ淡々とレースを熟すだけ。クワイエットは、夢であった三冠ウマ娘も敗れ、応援してくれた人たちにも見限られたことにより、まるで機械のようになっていく彼女。そんなクワイエットを、三冠ウマ娘に憧れていた当時に戻してあげたいと願うアメリアだった
アメリカのあだ名って、皮肉とかアメリカンジョーク混じってるから……う〜んってなる。
どのウマ娘とイチャイチャしたい?
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タイキシャトル
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ハルウララ
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ダイワスカーレット
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ミスターシービー
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シンボリルドルフ
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オグリキャップ
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サイレンススズカ
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ゴールドシップ
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トウカイテイオー
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ライスシャワー
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ナリタタイシン
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スペシャルウィーク
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エイシンフラッシュ