有馬記念当日を迎え、トレーナーとスカーレットは中山競バ場に来ていた。それに続いて今回出走する、ライスと桐生院も競バ場に訪れ、それぞれ時間まで控室へと入っていった。
佐竹「スカーレット。大丈夫か?」
ダスカ「何度言われても同じよ。もう迷ってなんかないわ、全力で走るだけよ。ママにもアンタにも、不甲斐ないところなんて見せられないんだから」
佐竹「そうか……今回は、ライスとゴルシが出走する。スカーレットにとって、厳しい戦いになるかもしれないが……自分の走りを忘れるな、全力で走って来いっ!」
ダスカ「えぇ、勿論よ。二人には悪いけど、今回はアタシが勝たせてもらうわ。だからトレーナー、アンタも全力で応援しなさいっ!」
自分を鼓舞するスカーレットの姿を見てトレーナーは、レースへの消極的な態度が皆無だと分かると二人は部屋を出ようとした時、ゴルシが入ってきた。そして何故かギターを持ち歌いながら入ってきた。
ゴルシ「選ばれしこのみ~ちを~、ひたすらに駆けぬ~けて~♪」
ダスカ「……何でギターなんて持ってんのよ」
ゴルシ「何言ってんだよ、スカーレット。真ん中でスポットライト浴びて歌わなくちゃいけねぇんだから、練習するのは当たり前だろ?」
ダスカ「何か、自分が一着みたいな言い草だけど。勝つのはアタシだからっ!」
ゴルシ「アタシだっ!」
ダスカ「ぐぬぬ……」
ゴルシ「ぐぬぬ……」
佐竹「二人共、そろそろ出走時間だぞ。早く行かないと……」
喧嘩する二人に呼び掛けるが、全く反応してくれず少し困っていると……。
ライス「お兄さま、時間だよ。早く……どうしたの?」
桐生院「また喧嘩ですか?」
丁度いいところに二人が入ってきた事で、何とかその場は収まりライス達に促されレース場へと向かった。ウマ娘達は本バ場入場をする中、トレーナーと桐生院はスタンド前で担当を応援。トレーナーと桐生院が話していると、ブーケが白い着物で現れ声を掛けてきた。
ブーケ「ご無沙汰しています、トレーナーさん。あの娘も踏ん切りが付いたのですね」
佐竹「お陰様で何とかなりました。これもブーケさんのお陰です、ありがとうございます」
ブーケ「あら、私は何もしていませんよ」
桐生院「この方が、スカーレットさんのお母様ですか?」
トレーナーに訊ねる桐生院に、改めて自己紹介をするブーケ。談笑する三人を尻目に、ターフの上でスカーレットは目を瞑って出走の時を待った。
ダスカ(大丈夫……大丈夫。いつも通り走るだけ……余計なことは考えない)
ゴルシ「随分、気合入ってんなスカーレット」
ライス「いつもと雰囲気も、違うような感じがするね」
ダスカ「えぇ、今なら何でもできそうな気がするの。絶対、グランプリウマ娘は渡さないんだからっ!」
意気込むスカーレットに対して、二人も同じように強い眼差しで応え出走の準備に取り掛かった。そして競バ場内に、ファンファーレが鳴り響き各ウマ娘がゲートの支度へと急いだ。スカーレットは、もう一度心の中で唱えながらトレーナーの顔を想い浮かべゲートへと足を踏み入れた。その中で、ライスやゴルシもトレーナーへの想いを綴りゲートを潜っていき出走の準備が整って行った。
実況「各ウマ娘落ち着いた表情で、ゲートへと入っていきます。今年の有馬記念も強者揃い、今日は一体誰が秋のグランプリに輝くのか目が離せません。三番人気の紹介です。菊花賞や天皇賞(春)、宝塚記念を制し数多のウマ娘の度肝を抜いた『黒い刺客』ライスシャワー今回はどんなレース運びを見せてくれるのでしょう。二番人気の紹介です。クラシック二冠を達成し、後ろからの豪快な追込みに魅了されたファンは多く、このグランプリでも大いに期待が高まります。『黄金の不沈艦』ゴールドシップ、このグランプリで新たな一冠目を手にすることは出来るのでしょうか。そして一番人気は、外枠にも関わらずこのウマ娘となりました。二つの花束、桜花賞、オークスを制し二冠を達成した『真紅の女王』ダイワスカーレットです。秋華賞では惜しくもウオッカに差され、トリプルティアラとはなりませんでしたが勝負根性は誰にも負けません。各ウマ娘、ゲートに収まりましてこの一年を締めくくるオールスター戦あの名ウマ娘達が駆け抜けた有馬記念、ゲートが開いてスタートしました」
実況「やはり逃げを打って出たのは、ダイワスカーレット。その後ろをマークするようにライスシャワーが追い掛ける。二番人気のゴールドシップは、最後方を追走。自分のペースを守りながら最初のスタンド前へとウマ娘達が走り抜けます。十万人近いお客さんが、地鳴りのような歓声でウマ娘達を迎え入れます」
スタンド前を通過していくウマ娘達にトレーナーは、声を出さずにはいられなかった。トレーナーはライスやゴルシ、スカーレットに思わず声を張り上げていた。
佐竹「何も考えず走れえぇぇぇぇ!!」
ダスカ「っ!」
ライス「っ!」
ゴルシ「っ!」
この大観衆の中、三人はトレーナーの方を向き笑いながら1コーナーを通過していった。トレーナーの『何も考えず走れ』、という言葉に指導者として疑問を覚えるがその台詞で三人は何かに後押しされるようにスピードを上げ2コーナーに差し掛かり向こう正面を駆け抜けた。
ダスカ(何も考えずに走れって……ふふっ。トレーナーとしては失格かもしれないけど、人としては合格ね。だからアタシは、アナタと……)
実況「さぁ、向こう正面に差し掛かりウマ娘達が濃緑のターフを駆け抜けて行きます。一番手は、まだまだ逃げ続けるダイワスカーレット。そして二番手は、姿勢を崩さずダイワスカーレットの後ろを追走しています。そしてゴールドシップは、ドンドンとペースを上げて順位を上げていきます。3コーナーを迎えた中山競バ場、各ウマ娘徐々にペースを上げてくる。ダイワスカーレットも差を広げにかかるが、ライスシャワーが迫ってきたぁぁぁぁっ!最終コーナーから直線へ、ゴールドシップが三番手まで上がってきたぁぁぁぁっ!」
スカーレットは速いペースで逃げてバテさせようとしたが、思うようにはいかず直線での争いになってしまった。だが、負けじとスカーレットも並ばれる度に差し返しライスを追い抜こうとした。
ダスカ「はああぁぁぁぁっ!」
ライス「やああぁぁぁぁっ!」
実況「これは二人の凌ぎ合い、この有馬記念を制するのはどっちだっ!ゴールドシップも追い込んで二人に並び掛けようとしている!」
ゴルシ「おおぉぉぉぉりゃああぁぁぁぁ!!」
実況「ゴールドシップが抜けて行く、ゴールドシップが抜けて行くっ!半バ身のリードでダイワスカーレットとライスシャワーは、届くのかここから巻き返すことができるのか?!残り200mを切りこのままゴールしてしまうのか!!」
ダスカ「トレーナーの為に負けて帰ってくるなんて、絶対あり得ないんだからああぁぁぁぁ!」
ゴルシ「アタシだって、散々バカにしてきた奴等を見返さなきゃいけねえんだよッ!」
ライス「ライスが絶対、一番になる。ライスが……絶対!」
実況「ダイワスカーレットが盛り返してくる、残り100m差し返すことが出来るかっ!ライスシャワーも突っ込んでくる。ここでダイワスカーレットが差し返したっ!ダイワスカーレット、ダイワスカーレットッ、ダイワスカーレットォォォォッ!」
実況「幾多の困難に立ち向かい、強者との争いに打ち勝ったのは『真紅の女王』ダイワスカーレットです。逃げの大外にも拘らず、その障害を乗り越え強さを証明して見せたダイワスカーレット。苦難も彼女の脚自身で、扉を抉じ開け夢のグランプリ制覇となりました」
ダスカ「はぁ……はぁ……勝った。やったわよ、トレーナー!」
スカーレットは、大勢の観客とトレーナーに精一杯応えるように手を振った。ライバルとの対決、グランプリ制覇への喜びでスカーレットは涙を流し空に向かって大声で泣いた。その姿を見て、観衆も当てられ涙ぐむ人達も沢山居た。そんなスカーレットの下に、ライスが近づき頭を撫でた。
ライス「おめでとう、スカーレットさん。お兄さまも、きっと喜んでるよ」
ダスカ「ぐす…………ありがとうございます、ライスさん。ここまでいいレースが出来て、とっても良かったです」
ライス「私もスカーレットさんと走れて、とっても楽しかった。また一緒に走れるといいね」
二人で仲良く会話をしていると、ゴルシが割り込み何処からかまたギターをぶら下げ掻き鳴らしながら入ってきた。
ゴルシ「おい~スカーレット。アタシが真ん中で歌う予定だったのに、何てことしてくれんだよ~」
ダスカ「知らないわよ。それに、目的変わっちゃってるじゃない!?ライブも大事だけど、レースでの成績が一番でしょ?!」
ゴルシ「そんなのわかんねぇだろ、ライブの方が大事って言う奴も居るかも知れねぇぞ?」
ダスカ「そんなウマ娘居るのかしら……」
ライス「そ、それより、ウイニングライブの準備しよ。ここで話してても仕様が無いと思うし」
ライスに促された二人は、急いでライブの準備に取り掛かりレース場を後にした。そしてスタンドに居るトレーナーは、自分のことのようにスカーレットの勝利を喜んだ。それを見ていたブーケは、慈愛の表情を浮かべてトレーナーを見つめていたが桐生院は異常なまで号泣しているトレーナーを見てドン引きしていた。愛娘の勝利に喜ぶトレーナーの姿を見て、何かを決心したような面持ちでブーケはトレーナーに声を掛けた。
ブーケ「トレーナーさんに謝罪しなければならない事があります」
佐竹「謝罪?」
ブーケ「私の娘が、有馬記念について記者集団に結婚しますと明言したそうですね」
佐竹「あれは別に、謝ることでもないので気にしないで下さい。俺の説明不足も原因ですので」
その言葉を聞いたブーケは、目を伏せ暫く沈黙が続いた。その様子をトレーナーは首を傾げるが、ブーケは直ぐ様向き直り口を開いた。
ブーケ「スカーレットの結婚なのですが……。トレーナーさんが良ければ、真剣に考えては頂けないでしょうか?勿論、トレーナーさんがよろしければですが……」
桐生院「えっ……本気ですか?」
ブーケ「本気です。先程トレーナーさんが、ご自分の事のように歓喜なさっていた姿を拝見して確信致しました。両家が結ばれ一つに納まる……つまり、結納しても構わないと。でなければ、私の娘を預けたり致しません」
佐竹「いや……まだ、考えられないって言うか。第一、スカーレットが俺の事好きじゃなかったらどうするんですか?年も離れてますし……」
ブーケ「はぁ……この際ですからハッキリ申し上げておきます。あの娘は、貴方の事が好きです。好きでもない相手に結婚なんて言いますか、言いませんよね?加えて、年の差は関係ありません。こちらの同意は得ています、後はトレーナーさんのご両親の許可を得れば済む話です。どうするのですか?」
佐竹「ですけど……」
ブーケ「するのか、しないのかハッキリしなさい!」
白黒つけろと迫られ、タジタジになるトレーナー。その場の返答は、曖昧に済ませ結婚の話は逸らす事にした。ブーケはその返事に、渋々といった形で会話は終了した。そしていよいよ、ウイニングライブが始まりお客さんはそれぞれ推しウマ娘のサイリウムや団扇を持ち会場は盛り上がり、大盛況で幕を閉じた。そしてトレーナーは、控室に居るスカーレットの下へブーケと共に向い控室に入ると、身支度を済ませているスカーレット。そして忘れ物が無いか確認し、部屋を後にして三人でトレセン学園へと向かった。帰る途中、スカーレットがブーケの機嫌が悪い事に気が付きトレーナーに訊ねた。
ダスカ「ねぇ、何でママ機嫌悪いのよ?」
佐竹「いや……ちょっとな……」
ブーケ「トレーナーさんがスカーレットと中々、結婚を認めてくれないからです」
ダスカ「どういうこと?」
佐竹「てか、聞こえてたのか……」
先程の話を、スカーレットに状況説明をした。それを聞いた彼女は、強引に押し切ろうとするブーケに一喝する。
ダスカ「何でそこまで言っちゃうのママ?!」
ブーケ「スカーレット家の跡取りとして、母親として心配するのは当然でしょ?スカーレットだって、トレーナーさん以外嫌でしょ?」
ダスカ「いや、まぁ……そうだけど///」
佐竹「何故照れる……」
ブーケ「兎に角トレーナーさん、お返事は早めにお願いしますね?いつまでも優柔不断では困りますので」
佐竹「はい……」
ブーケ「ですので、二人が早く進展できるように夜景が綺麗なレストランを予約しておきました。今日は、クリスマスという事もあって雰囲気はバッチリだと思いますので一発かましてきてください。何がとは申しませんが」
佐竹「えっ、今からですか?!」
ブーケ「そうです。四の五の言う前に行ってきなさい……」
母親の迫力に押され、トレーナーはスカーレットと共に例のレストランに行く事になった。レストランだけでなく、宿泊する場所まで手配していると言われトレーナーはトレセンにも連絡させてくれと言ったが、既に学園には上手く言い訳を作り何とかなったらしい。そして二人は、都会のカップルが犇めく夜の道を歩いた。暫く歩くと目的の場所に二人は着き、そこには見上げる程の高い店が聳え立っていた。トレーナーが驚いていると、スカーレットは慣れたように店の入店を促し受付が丁寧に迎え入れる。
「スカーレットお嬢様、ご来店ありがとうございます。本日はお二人となっていますが、ブーケ様とご一緒ですか?」
ダスカ「いいえ、今日は担当トレーナーと一緒よ。いつもの部屋に案内して」
「畏まりました。では、個室へと案内致します。不測の所お伺いしますが、今日はどのような予定でご来店されたのですか?ブーケ様から何も伺っていませんけど……」
ダスカ「あぁ……デートみたいな///?」
佐竹「お、おい……スカーレット」
「そうでございましたか。今日はクリスマスですから、特別コースがございますので是非そちらを試してみては如何ですか?」
ダスカ「そうね、お任せするわ」
「承知致しました。足元に気を付けて前へお進み下さい」
長い通路を通され、エレベーターに着いた。だが、トレーナーが使うエレベーターは一般の方が使うものと違い、あらゆる装飾が施されている会員専用のエレベーターだった。スカーレット家は、特別な日や親しい友人などを招く際に来店するらしく殆ど家族と同伴が当たり前である。そして二人は最上階へと上がり進んで行くと、お城の扉のように重厚感あふれる場所で立ち止まり先程の受付が開くと、照明は暗めに設定されていることで夜の都会の景色が映えるように出来ており、大人の雰囲気漂う場所となっている。だが、如何せんトレーナーの服装は普段着ているトレーナー服になっている事に恥ずかしさを覚える。スカーレットは普段着ている私服が、ドレスのような見た目なので場の雰囲気にピッタリで、普段から足を運ぶことがあるが故にゆとりが生まれ落ち着いた佇まいにトレーナーはドキッとした。二人はテーブルに対面にするように座ると、係の人が料理が出来るまで時間が掛かると言われお互い会話で間を持たせようとしたが……。
佐竹「スカーレットは普段来てるから落ち着いてるな。俺はダメだな……こういう空気に耐えられない」
ダスカ「だらしないわね。アタシのトレーナーなんだから、このムードにも慣れていきなさい。何時こういう食事に呼ばれるか分からないんだから、マナーくらいは覚えて帰りなさい」
佐竹「わかった……」
お叱りの言葉をもらい、トレーナーは勉強だと思って食事のマナー、作法を学ぶことにした。普段の食事は、トレセンの学食を食べれば生きていけると思っていたトレーナーは甘えていたと自覚し色々見直そうと考えていた。そんなことを考えているトレーナーを尻目に、スカーレットは平静を装っているが心の声は余裕がなかった。
ダスカ(落ち着いてるわけないでしょ。二人で食事何てなかったから余計緊張するし、この照明のせいでトレーナーが五割増しで格好良く見えて困ってんのよ///?!)
佐竹「どうしたスカーレット、目が泳いでるぞ?」
ダスカ「な、何でもないわよ!?そんなことより、ママに言われた事……アンタはどう思ってんのよ」
佐竹「結婚のことか?まぁ、真面目に考えないとスカーレットにも失礼だからな。お前が中学生じゃなければ、即決できるんだが……」
ダスカ「それって……ちゃんと考えてくれるの?」
佐竹「そりゃあ、スカーレットがある程度の年齢になれば考えるさ。そうしないと、ブーケさんにまたどやされる……」
ダスカ「そ、そう///……」
トレーナーは照れるスカーレットに気付く事なく、時間は過ぎていき蓋がされている料理が運び込まれてきた。出てきたのは蛸とオリーブのトマト煮、鯛のアクアパッツァ&リゾット。海鮮に続いて肉詰めピーマンのトマト煮、衣から肉汁が溢れるフライドチキンにトレーナーの喉が鳴った。待ちきれないトレーナーは、フォークやスプーンを取ろうとしたら何処を見ても見当たらなかった。そのことについて、係の人がコースの説明をした。
「今日はクリスマスという事で、本日限定でカップルコースという項目がございまして,
こちらに差せて頂きました」
ダスカ「フォークとスプーンが一つしかない理由は?」
「はい。その御一つで、お互い食べさせ合いをして頂きます。では、ごゆるりと御堪能下さい」
その言葉を最後に係員は、カートを引き下げ扉の向こうへと消えていった。こんな事になるとは微塵も考えてなかったが、せめてもの救いはカップルがよく飲んでいるジュースにストローが刺さっていないだけマシだと思った。そして二人は心の中で、最初にどっちが口を付けるか考えていた。
ダスカ「どうするのよ……これ」
佐竹「特別コースをちゃんと聞かないお前が悪いだろ……。取り敢えず、俺から……」
ダスカ「待って!」
佐竹「何だよ……」
ダスカ「アタシから食べる。アンタは後」
佐竹「何かそれ傷つくな……」
ダスカ「別に、アンタの間接キスが……嫌な訳じゃ///……」
佐竹「何だって?」
ダスカ「いいから、先に食べるわよ!」
そう言い放ったダスカは先ず、蛸とオリーブのトマト煮を口へと運んだ。味わいながら咀嚼を楽しむスカーレットは、いつもの味に喜びと安心をして食事を楽しんだ。その横でトレーナーは、我慢できない顔でスカーレットを凝視していた。ある程度食べ終わったスカーレットは、トレーナーに食器類を手渡す。
ダスカ「は、はい。どうぞ///……」
佐竹「いただきます…………うまっ!」
ダスカ「それはそうよ、星持ちレストランなんだから当たり前でしょ?遠慮せずドンドン食べなさい」
佐竹「ありがと」
トレーナーは料理を続けて口に入れ、運び込まれたメニューを平らげていく。そんな姿を見ていたスカーレットの様子が、少し可笑しかった。
ダスカ「ふふっ……」
佐竹「なぁ、スカーレット。何でニヤけてんだ?」
ダスカ「ニヤけてなんてないわよ!?」
佐竹「じゃあ、何で笑ってんだよ……」
ダスカ「そ、それは……そう、相手を不快にさせない為に笑顔を常に向けてただけよ!」
ダスカ(アタシってこんなに変態だったの?!スプーンとかフォークがアイツの口に運ばれる度に、顔が緩むなんて///……)
佐竹「そういうマナーなら仕方ないな。俺もスカーレットが食べる時、ガン見すればいいのか?」
ダスカ「やめてっ!」
スカーレットは違う性癖の扉が開かれ、自分に驚いている中トレーナーは全ての料理を食べ終わり二人はレストランを退出した。帰りの道中、少し寄り道したいとスカーレットが申し出てイルミネーションが点灯している大通りを歩いた。大勢のカップルが闊歩する中、二人はいくつもの光を見上げ感傷に浸りスカーレットは昔のことを話し始めた。
ダスカ「なんか……この光を見てると、色々思い出しちゃうわね」
佐竹「あぁ、この三年で色々経験したよ……」
ダスカ「初めて会った時の事、覚えてる?」
佐竹「覚えてるさ。拘りが凄くて、コースで倒れて……」
ダスカ「保健室でアンタに口説かれた」
佐竹「口説いた訳じゃないけど……同じようなもんか」
ダスカ「ねぇ、トレーナーは何でアタシに声掛けたの?」
佐竹「単純に好みだったから」
ダスカ「好みっ///どういう意味!?」
佐竹「う~ん……わかんない」
ダスカ「何でそこは曖昧なのよ!?」
イルミネーションに照らされながら、二人は学園を目指した。先程トレーナーに『好み』と言われた事で、嬉しかったのかスキップをしながらトレーナーの前を歩いた。そしてスカーレットは、改めて自分の好意をトレーナーに伝えようと振り返る。
ダスカ「ねぇ、トレーナー。改めてだけど、やっぱりアンタの事……」
ドサッ
振り返りながら話す途中、トレーナーが体勢を崩し倒れた。何が起こったか分からないスカーレットは、横たわるトレーナーを凝視し全く体が動かなかった。その間、長い時間が経過したような錯覚に陥りスカーレットは我に返り、トレーナーを呼んだ。
ダスカ「トレーナー…………?トレーナー、トレーナーしっかりして!?」
スカーレットは目が開かないトレーナーを見てパニックを起こし、必死に叫び続け周りには人だかりが出来ていた。人の目など気にせず、スカーレットはトレーナーを起こそうと抱き寄せて願い続けた。
ダスカ「お願い、起きて……。目……開けてよ……」
何度呼んでも起きないトレーナーに、スカーレットは有馬記念に出走しなければこんな事にはならなかった、と思うようになりスカーレットの緋色の瞳には涙と同時に暗い色へと変わっていった。
シービー、ライス、タイシンのイチャイチャは番外編で書きます。
どのウマ娘とイチャイチャしたい?
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タイキシャトル
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ハルウララ
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ダイワスカーレット
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ミスターシービー
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シンボリルドルフ
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オグリキャップ
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サイレンススズカ
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ゴールドシップ
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トウカイテイオー
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ライスシャワー
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ナリタタイシン
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スペシャルウィーク
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エイシンフラッシュ