気まぐれな吹雪   作:音子雀

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76、明かされた真実

あの日、私は要を庇って死んでしまった。

 

私って親不孝者だからさ、地獄に行くことなんて覚悟の上だった。

 

だけど私がついたのは地獄じゃなくて白い空間、そして目の前にいたのは閻魔じゃなくて神様。

 

銀、彼はそう名乗った。

 

彼は言ったの。

 

本当なら要が死ぬはずなのに余計なことしてくれたな、って。

 

私が行動した結果とはいえ、本当なら私はここで死ぬべき人間じゃない、だから転生させる。

 

そうも言われた。

 

だから私はこの世界、「リボーンの世界」への転生を望んだ。

 

気がついたら、私はイタリアのとある家族の元に生まれ育っていた。

 

この容姿は変わらないままだったけど、今度こそ、今度こそ本当に幸せだった。

 

お父さんもお母さんも生きてて、妹も弟もいた。

 

初めて家族を知ることができて本当に嬉しかった。

 

だけど、その幸せさえも長く続くことはなかった。

 

ある日突然家族が殺されたの。

 

しばらくしてから知ったんだけど、私の両親は元々マフィア関係者だったみたいで、ファミリーの秘密を守るために殺されてしまった。

 

弟と妹はまだ幼くて、泣き叫んだ次の瞬間にはもう動かなくなってた。

 

私一人が残って、ああ家族が殺されるってこう言う気分なんだ、要はずっとこんな気持ちで生きて来たんだ、ってその時ようやくわかった。

 

私から幸せを奪ったのは、エストラーネオファミリー。

 

彼らは私を実験動物(モルモット)として扱うためにアジトへと連れて帰った。

 

あらゆる薬を飲まされあらゆる実験をされて、意識はなかったけど何度もメスを入れられた。

 

こうやって髪の色と瞳の色を変えられるのはその産物だね。

 

でも、大人は馬鹿だ。

 

私のこの力は誰にも見破ることのできない変装の力。

 

幻覚も見破れない大人を欺くなんて簡単なことだった。

 

そうして私はなんとかアジトから逃げ出した。

 

今思えばあの時他の子供を連れ出せればよかったんだろうけど、自分のことでいっぱいだったから。

 

あとは骸がどうにかするだろう、なんて思ってた。

 

逃げ出してから数日、捕らわれてからロクに何も食べてなかったせいで、森の中で私は力尽きた。

 

だけどそんな私を拾ってくれたのがヴァリアーのみんなだった。

 

当時入隊したてだったベルが私を見つけてくれたらしいの。

 

ボスと初めて出会った日、私は彼にこの力を見せた。

 

他人になりすませる力、ボスはこの力を気に入ってくれた。

 

私は元からヴァリアーが好きだったし、拾って面倒見てくれた恩もあったから入隊試験なしで入った。

 

この世界に入ってから気づいたことなんだけど、私、機械の操作とか情報操作とかがかなり得意みたいなんだ。

 

見ての通り非戦闘要因だから、技術者として諜報部として私は影ながらの暗躍者になった。

 

私の力もスキルも、揺りかごではなくてはならない存在にまでなってた。

 

そんな私に転機が訪れたのは、10歳の時。

 

スクアーロに言われたんだ、お前は小学校に通いたくはないのかってね。

 

言われてみればそうだし、ボスのいない時間を過ごすにはちょうど良かった。

 

だから私は日本に飛んで『榊原千鶴』としてのスクールライフを送ることにしたの。

 

もちろん、並盛でね。

 

それにも慣れ始めたある日、私の元に銀が現れた。

 

彼を見て、そう言えば転生者でした、なんて思ったほどに彼とのコンタクトはなかったよ。

 

しばらくぶりに顔を出したのには理由があって、彼は渡すものがあると言った。

 

彼が取り出したのは、赤い石がはめ込まれた十字架のチョーカー。

 

前世でもらった唯一無二の宝物。

 

なんで突然渡すのか聞いて見ても、そのうちわかると言われただけだった。

 

中学校にあがって、ツナとの接触もロクにないまま違うクラスになって、それはそれで普通の生活を送ってた。

 

Aクラスの霜月って人が風紀委員に入ったって噂があった時もあまり気にしてなかった。

 

だって小学校の時、霜月帝って男子がいたから、彼かなって思ってたから。

 

でも、2年に進級した時それは全て崩れ落ちた。

 

ようやくツナ達と同じクラスになれて嬉しい反面、彼らに話しかけられている一人の人物に困惑してしまった。

 

エメラルドグリーンの髪に霜月の名字。

 

要だって直感的にわかったよ。

 

でも、初めて要が私を見た時の視線や他人を見る時の目を見た時、本当は要じゃないんじゃないかって思った。

 

なんて言うか、人が全然違っていたから。

 

なんとか仲良くなって、クラスでは誰よりも心を許してくれる存在になって、私は全てを話そうと思った。

 

思っていたはずなのに、心のどこかで要は私を覚えてないかもしれないって思った途端、一気に怖くなった。

 

要の中に私がいないことがすごく恐ろしかった。

 

ずっと身につけていたチョーカーも次第につけなくなっていた。

 

要がファミリーを作って私を含めてくれた時はすごく嬉しかった。

 

その反面、学校に来なくなって、すごくつまらなくなった。

 

あ、そうだ。

 

氷の姫(ブリザードプリンセス)って私がつけたんだよ。

 

氷雪系の斬魄刀を使う姿があまりにも綺麗だったからついね。

 

その通り名を考えた時、もし要もヴァリアーに入ってくれたらどんなに嬉しいだろうと想像してしまった。

 

そして他に何も考えずに、氷の姫(ブリザードプリンセス)ことフィリミオのことを噂としてヴァリアーのみんなに流した。

 

彼らなら絶対に引き入れようとするだろうと予想はついてたから。

 

その頃には近いうちにイタリアのアジトに帰ろうって考えてて、そしたらスクアーロがフィリミオ捕まえたなんて言うから飛んで帰っちゃったよ。

 

要が寝てる間にこっそり顔を見に来てたんだけど、やっぱり正体を明かすのが怖かった。

 

会議の後にスクアーロとベルが様子見に行くって言った時に便乗すらできなかった。

 

ねぇお願い要、あなたの中に私はいるの!?

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