虫の音が響く鬱蒼とした森の奥、古ぼけた西洋建築の家1つ。看板には霧雨魔法店(なんかやります)という妙に胡散臭い唄い文句が飾られている。店の中は汚くもはや店として機能などしていない有様、店主と思われる人物は昼下がりだと言うのにまだ起きる様子はないらしく、店のソファでだらしなく腹を出して寝ているではないか。
「ぎっ、んっ、おー?」
ねむけ眼を擦りながらゆっくりと上体を起こし周囲の様子を確認する霧雨魔法店店主こと霧雨魔理沙。
寝癖がつきあっちこっちに跳ね上がった髪を乱暴にわしわしと掻き回すと、どうやってその床を歩けるのかという程、物が散乱している床を器用に寝起きとは思えない足取りで歩いていく。彼女が目指すのはこれまた汚く、フラスコや調合台に、なにかのレポート、試験管に本や謎のキノコその他もろもろが散乱している作業台と思わしき机。
「よっせっと…覚えているうちに書き上げとかねぇとな」
椅子に座り本立てから1冊の本を取り出しそこにペンを走らせる。これは最近彼女が実験も兼ねて行っている所謂夢日記と呼ばれるものである。
「…暗い森、狼、虹色キノコ…笑顔の人形に血まみれの死体、あとは…アメンドーズ…ん?なんだ?アメンドーズって。」
彼女は鼻と唇でペンをハサミしばらく思考を巡らせた。
「あー変なやつの事考えてたら夢の内容忘れちまったじゃねぇかよ。いつもより内容がスッカスカじゃねーか。」
彼女は日記帳を本立てに戻して身支度を手早く済ませ、愛用の箒に跨り慌ただしく家から飛び立っていく。目指す場所は博麗神社、幻想郷の中枢を担う場所である。
「にしてもアメンドーズ…アメンドーズか。」
彼女はフライト中にも関わらず1度振り払った思考を再び張り巡らせ夢でみたものを思い出そうとうんうんとうなっている。彼女は1度箒から手を離し、服のポケットに手を突っ込みゴソゴソと漁り始める。
「アメンドーズ…アメンドーズっと」
フィールドワーク用のメモ帳とペンを広げ飛びながら器用に知るはずもないそれを描き始める。
「んあ?なんだこいつ?」
メモ帳に出来上がったのは蜘蛛のような多脚で顔が網目状で目が見当たらない形容し難いモノであった。いつの間にか空中で制止した魔理沙はそれをまじまじと見つめてしまう。
「こいつが…アメンドーズ?」
霧雨魔理沙は唐突に理解したそれが生き物であるということをそしてそれがアメンドーズであるということを。知らなくて良い事を深堀し踏み入っては行けない領域に足を踏み入れてしまったのだ。
「?ガッ!?」
彼女が異変を察知し回避をしようとした時には既に遅く、彼女は巨大な何者かに掴まれてしまう。
「なんだ!このっ離っ!?!?」
巨大な者は彼女を握りつぶしそのまま能力か何かで彼女を塵も残さず消滅させてしまう。
ヒヒッヒヒヒヒヒヒヒ
おおアメンドーズ…おおアメンドーズ…憐れなる落とし子達に慈悲を!!!イヒヒヒヒ!!
ヒャヒヒヒヒ…
君も気づいただろう?アメンドーズという存在に。
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頭が痛い、吐き気もする。
知らない部屋で目を覚まし状況が掴めない…とりあえず起きよう。のそのそとベッドから降りてあたりの散策を軽く始める。医療器具に病床、医療に関する本がチラホラと見受けられることから民間の診療所と仮定した。しかしどうにもおかしいのが私が寝てた病床意外直近で使用された形跡もなく、何より医療機関だと言うのに衛生的によろしいとは言えない室内。廃病院ってことはないだろうけどそれに近しい様相であることは間違いがない。ここが病院で自分が病人もしくはけが人として運ばれてきて何かしらの施術を施されたのだろうと霧雨魔理沙は仮説する。その仮説を立証するためにまずは服を一通り脱ぎ下着姿になり棚のガラスに映る自分を観察する。しかし手術痕等は見当たらず白い肌に違和感は見受けられない。少なくとも怪我をして運びこまれたわけでは無さそうだ。
空中で突然意識を失った?いや、相当な高度を飛行していたから打撲痕ぐらいはあるはずである。なればどうやって…
「ッ!?」
記憶を深堀しようとしたところでこめかみに痛みが走る。踏み込むなって感じか
自分が何故ここに来たのかという事はとりあえず棚に上げておいて。次に持ち物の確認を開始する、ここら辺は家を出た時から変化がないらしくメモ帳と付属のペン、そして八卦炉という小型の魔道具それと幾許かのゴミクズのみ。
八卦炉に関しては軽く魔力を流して起動を確認する。とりあえず可動に違和感は無く十分武器として機能する…しかし八卦炉を起動した上で違和感が1つ
「魔力が少なくなってる?」
魔理沙の中を流れる魔力が極端に少ないのだ。元々自分は人間である事から、そう大した魔力量は保有していないのだが。この魔力量では自分の十八番マスタースパークが最大出力で1発、それもうったらガス欠で動けなくなるおまけ付き。小刻みに威力を調節しながら打てば5発と言ったところである。
「しっかしこの威力じゃそこいらの雑多な妖精でさえ倒せねーぜ。」
一通りの確認が終わったので服を着直し脱出の準備をすすめる。家主さんには悪いがいつまでも大人しく待つだけの魔理沙様でもないんでね、早いとこトンズラこかして頂くとするぜ。
出口と思われる方向に進み、浮ついた足取りで外を目指したが、その歩みは直ぐにとまることになる。先程自分が寝ていた病室よりも数段大きな病床。物が散乱しホコリが溜まっている点は自らが寝ていた病床と変わらない為に目立った様子はないが問題なのはむせかえるような血の匂いである、酷くキツく部屋が広いというのに濃く臭ってくる。オマケに気味の悪い水音と咀嚼音まで聞こえる始末である。薬品棚を背にしながら奥を覗き見てみると、大方の予想通り狼型の妖怪がお食事の真っ只中らしかった。
ちっ…これじゃあ通れねぇじゃねぇか。
生憎と出口があの狼の奥にあるらしく奥の扉からは僅かに夕焼けのあかりが見て取れる。
やるしかないか…
メモ帳とペンを取り出し適当なページを数枚引き離し魔法陣を描き魔力を少量ながしてないよりマシな魔法符を作成する。
作成したの強い光を発する札と軽い弾幕を放射する札2枚の計3枚。作戦は光で目くらましからの弾幕で後押ししてからマスパフィニッシュという安易な奇襲策である。
決めきれなかったら近くのメスなりなんなりの刃物で応戦すればあれくらいの狼型の妖怪ならなんとかなるだろ。
「先手必勝!!くらいやがれ!犬っころ。」
閃光札を放り起動させると薄暗かった室内が突如白い光に包まれる。これは上手く決まったらしく妖怪は突然の出来事で困惑している。
「そうら追い討ちだぜ!」
弾幕札2枚から大きめな弾幕が2個放射され妖怪にクリーンヒット。これは一溜りもないことだろう。
「トドメだ!マスタースパーーク!!!」
威力は控えめだが手負いの妖怪1匹葬るには申し分ない威力の極光。室内で放つにはあまり宜しくない威力の光線であり。これには妖怪もたまらず壁に激突してしまう。
「やったか?」
妖怪には相当なダメージが入ってる事は間違いない。狼型のそれも恐らく下級の妖怪などが耐えられるはずも無いという慢心が彼女を支配する。
「へへっわるいね、霧雨魔理沙様の通行を妨害したバツってやつだ…ってタフすぎやしないか?」
やはり火力不足だったのか妖怪はムクリと立ち上がり血走った瞳でこちらを睨みつけてくる。
「あープランBに移行するとしようか。」
ヤツから目を離さないように近場にあったメスを拾い上げ不格好ながら構えを取る。
「近接戦なんてあんまし得意じゃないんだけとな…」
相手方もこちらの出方を伺っているのか右へ左へと犬歯を剥き出しにしながら隙を狙う。
狙い所はカウンター…相手の一撃をいなしてメスをねじ込む、くっそ魔力がしっかりあれば魔法でちょいちょいなのに…
無いものねだりをしても仕方がない。ジリジリジリジリとヤツの出方を待つ、ただ待つ。
「ギアオゥ!!」
妖怪が勢い良く飛び掛かりこちらに覆いかぶさらんとしてくる。
「ハッ!すっとろいぜ!犬っころ!!」
そんな飛び掛かりを余裕を持ったステップでいなし、がら空きの横っ腹に渾身のメスを突き刺す。
なんだ!?こいつの皮膚硬すぎんか!?
しかしそれも力技華奢な腕からは想像もつかない力でメスを奥へ奥へと押し込んで妖怪を地に伏せる。
「おっぶねぇ!?」
最後の足掻きで腕をブンブンと振り回してきたが、咄嗟のバックステップで難なく回避し1度距離を取る。距離を取る最中にメスを補充することを決して忘れない。
妖怪はしばらくのたうち回った挙句徐々に動かなくなって行った。
「死んだフリとかじゃねーよな?」
先程のタフさが尾を引いて辺りのガラス瓶等を狼に当てて完全に死んだことを確認する。
「本当に死んだっぽい…な。さて!」
おまちかねの帰宅である、帰って現状の魔力が少ない原因を研究せねばならない。
「久々のシャバの空気だぜぇーーぇぇえ…えぇ?」
眼前に広がるは綺麗な夕焼けと全く身に覚えもない、西洋建築の建物達だったのである。
文才はないプロットはあるが熱意がない。まぁとりあえず1章終了までは頑張る1章終わったあとにやる気あったらつづける。