坂田銀時の姉弟子になって鬼兵隊でドタバタする話 作:アルトリア・ブラック(Main)
今回は真選組vs鬼兵隊です。
鬼兵隊に潜入する手筈になった山崎と、山崎の顔を知っている(そもそも原作知識あり)久坂の遭遇の物語。
今回は割とシリアス、そして、主人公の中での優先順位が『弟弟子達・鬼兵隊》》》》越えられない壁》》》市民』です。
第4話『やる気のない奴が突然やる気になると面倒な事になる』
ー久坂ー
長いこと鬼兵隊の副総督をやっていて感じるが、入って来る鬼兵隊の人員がスパイか否かの判断はなかなかつきづらい。
だってみんなモブだし、みんな同じ顔に見えて仕方ないのである。
原作に登場する顔ぶれならある程度分かるのだが、それ以外はてんで分からない。
一つだけ言おう、今はまだ真選組動乱編が起こる前の話である。
だから真選組面々の顔はこっちは見ていないし、知らないのだが、自分はなにぶんチート知識(いうほどチートでもない)があるおかげで大方顔ぶれは分かる。
(確か、山崎くんって監察の仕事してたよなぁ…小太郎と銀時が内通している可能性があるからって理由で万事屋の前であんぱんあんぱん言ってなかったっけ?)
「どうしたでござるか?」
「んー、なんでもない。この後って密会だったっけ?」
「そうでござる」
万斉と話しながら進む後ろを荷物を持って着いてくる山崎退。
鬼兵隊の人員を補充した際に紛れ込んでいたらしい。
武市変平太から貰った書類の中に山崎の顔があった時は吹いた。
(…いやまぁ、名前は偽造だったから普通は分かんないだろうけど)
「火が消えてるでござるよ」
「あ」
煙管を差し出すと火をつけてくれる万斉。
「このまま行くとして…よし、吉田君も行く?」
吉田君(山崎退の偽名)
「え!?俺がですか?」
「うん、また子は晋助の護衛だし、武市は別の仕事頼んでるし、君新人だから一応耐性付けておかないとと思って」
「耐性…」
「血生臭いのとか平気でしょ?」
「…はい」
「んじゃ、行こ」
相当物騒なこと言ってるが、隣の万斉が『今日って春雨との密会でござろう?暴れてどうする』と聞いて来る。
「いや、アイツらって同盟相手の副官が女だったら調子乗るじゃん」
「そりゃ、主がやる気のない雰囲気出すのが悪いでござろう」
「まぁそれもそうだけど」
ー山崎退ー
鬼兵隊に潜入する手筈になり、雑用から始め、少しずつ情報を集めるつもりだったのだが…
「え…?久坂様の雑用係…?」
「久坂殿が手が足りないという理由で吉田殿を指名して来ましたよ、良かったですね、まぁこっちとしてはあの人にもそろそろ働いてもらわないといけないので」
武市は書類を整理しながら話す。
(久坂美和子かよ!いや、確かに副総督に付けばそれなりに情報も入るけどっ…!)
『久坂美和子』
かつての攘夷戦争で黒夜叉と言われる程の猛者だ。
全身が返り血で真っ赤で真っ黒だったことから着いた呼び名だった。
あの戦争の最中、女性は後方支援をする中、久坂だけは前線に出て白夜叉や鬼兵隊総督、狂乱の貴公子と言われた桂小太郎と肩を並べて戦った武人だ。
それに、彼女が暗殺した幕臣達も桁違いに多い
女だからこそ相手の油断を誘いやすいのだ。
どういう理屈か、彼女には先見の明があると言われるほどの知略があるらしく、将軍様も度々襲われている。
しかも、影武者か否かも判断つくらしく、鬼兵隊のほとんどが影武者を襲う中、久坂だけは本物を狙いに行く始末だ。
「し、失礼します」
そう言って声をかけると「どうぞー」というやる気のない声が聞こえてくる
部屋の上座に気怠そうに座る久坂と、その隣で書類を見ている人斬り河上万斉
(…大物が二人もいるのは捕まえるチャンスなんだろうけど…)
山崎は部屋に入ると、他の攘夷志士に混ざって書類の整理を始める。
「万斉。この情報デマだと思うけど、近藤勲って絶対この時間帯に屯所いないでしょ」
「む?そうでござるか?」
「アイツって警察官だけど、女性にストーカーしてなかったっけ?」
(うわぁ!局長の行動バレてるっ!!)
冷や汗ダラダラ流しながら、書類を作る
「久坂様、準備ができました」
そう言われた久坂は「ん、了解」と返す
久坂が立ち上がると、河上万斉も立ち上がる。
山崎の後ろにある出入り口に向かって行く
「…あ、吉田君」
「!はい!」
急に名前を呼ばれて変な声が出てしまう。
「ちょっとその荷物を持ってきてくれない?」
「はい!」
そう言って荷物を持って二人の後ろを着いて行く
二人の会話が微妙に聞き取れず、運んでいると…
「あ、ここまできたから吉田君も参加して」
「え!?僕がですか?!」
「うん」
(チャンスだけど…!下手したら命ないぞこれ…いや、ここで投げ出すわけにもいかないし…変に投げ出したら副長から怒られる…!)
ええいままよ!と参加を決意し、二人に着いて行くと天人の前に座った久坂は左側に刀を置く
万斉もそれに倣うように左側に置く
(うわっ…天人相手でも強気だな…こいつら…)
刀を左側に置くということは相手に対して『いつでも首切れるぞ』という意思の表れだ。
「幕府を乗っ取る為の手筈だが、その手筈として真選組を狙うのか」
「!」
その言葉に山崎は肩を揺らしそうになるが、必死に堪える。
敵の拠点真ん中でそんな仕草をすればバレるのは明白。
「……それについてはこっちもいろいろ考えてる。それより今後のことで話があるのだけど」
山崎はこの場で話している内容を逐一逃さないように神経を張り詰める。
真選組を内から破壊する為の作戦を真っ向から聞いてきた海賊の汚さに眉をひそめながらも、なんとか刃傷沙汰にならずに済んだ。
まぁ、そんな中でも、チラホラと真選組内情の話になったのを尻目に吉田こと山崎の様子を横目で見ると、緊張と重要な内容を忘れないようにと神経をとがらせているのが見て取れた。
山崎と別れた後、万斉と共に本物の本拠地に戻る
「スパイはあのまま帰らせて良いのか」
「うんまぁ、大した情報も言ってないし、問題ないかなと」
「しっかし、あの吉田が山崎退なんて情報、とかで掴んで来たんでござるか?」
そう問われれば知識でなんて言えない。
「歌舞伎町歩き回ってた時に見つけた。案外分かりやすい監察だよね」
「…ホイホイと出かけてたのはそういうことでござるか」
納得したかのような声色に微笑む
「甘味処9割、歌舞伎町内観察1割って所で発見したかな」
「ほとんど甘味処でござるな…」
部屋と前までくると万斉に向けて『仕事頑張ってね、おやすみ』と言って室内に入る
はい、始まりました真選組動乱編。