リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。   作:シーボーギウム

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感想評価ありがとうございます。

前回、ディルムッドがバサスロに負けると判断した理由
1.ランスロは円卓最強(公式設定)。
2.しかも無窮の武錬(ランク:A+)持ち。
3.令呪の影響で定期的に識姫の状態に意識が割かれる。
以上3点から無理と判断しました。
描写不足もあって分かりにくかったですね。

追記

今回かなりシェヘラザードの生前について(相当重めな)捏造をしました。
そういうの苦手な方はブラウザバックお願いします。





16.いつかの(記憶)

「な……ぜ…………」

 

 女は視界の先、自身の心臓を貫いた男の背中を見ながら、届くことの無い問いを繰り返していた。

 

「どう……して…………」

 

 男は、狂気に蝕まれていた。毎夜毎夜、己の伴侶となった者達を尽く殺し、幾人もの娘の命を奪っていた。そんな狂君の不信を鎮めようと立ち上がったのが、とある姉妹だった。

 妹は夜になると姉である女に寝物語を求めた。古今東西、あらゆる国、あらゆる時代の物語を、女は妹へ語り、そして王へ語り聞かせた。一つの物語に、数度の晩を費やし、数十、数百の物語を、女はその口から紡いだ。

 

 一の夜を越え、女は生きていた。

 

 それは、一つの気まぐれだ。物語の続きを次の夜に語ると告げた彼女を、王は気まぐれに殺さずに済ました。だがそれでも、王は物語を聞き終えれば女を殺そうと考えていた。そうして、また次の夜、また次の夜と日々を重ねた。

 

 十の夜を越え、女は夜を恐れ始めた。

 

 未だ、王の内から殺意は消えること無く、物語ることが出来なくなればすぐさま己の命が失われるであろう事を、女は察していた。

 

 百の夜を越え、妹が殺された。

 

 物語を乞うだけだった彼女を、王は"不要"と定め、殺した。最愛の家族を失った悲しみに囚われ、そして何より命を奪われるその様に恐怖した。それでも尚、女は物語を語り聞かせた。

 

 千の夜を越え、女は生きていた。

 

 その夜、物語を語り終えた後、女は王と己との間に生まれた子を王へ見せた。何とか隠し通し、どうにか産み、育てた我が子。その姿に、王は喜びを顕にした。そして女を正室に定めると約束した。そして────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────千と一の夜を越え、女は殺された。

 

 結局、女は王の狂気を取り除く事など出来ていなかった。王の後継たる子を産み、物語を語り終えた彼女は、最早王にとって"不要"な存在と成り果ててしまった。

 

(ああ……結局、全て……無駄、だっ……た…………)

 

 女は、王を愛していた。最早呪いと化したその不信から、解き放ってあげたいと、怯えながらもその心の内で、想っていた。その呪いが解けたなら、その罪に気付いたのなら、共に背負い、歩んで行きたいと思っていた。だがその願いはもう、叶わない。

 

 

 

(ああ、そうか…………)

 

 緩い微睡みに包まれながら、その記憶(記録)を見て理解した。眠りに堕ちる前、彼女が言おうとしていたことを。

 

 彼女は、きっと────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ん」

 

 僅かな光を感じて、私は目を覚ました。ぼんやりと天井を眺めていると、視界に誰かが入ってきた。

 

「おはようございます、マスター」

「キャスター………」

 

 安堵の様子を見せる彼女に、私は「良かった」と言葉を零した。果たしてそれは私が生き残っていることに対してか、彼女が生き残っていることに対してか、それとも、彼女が安堵を顔に出せている現状にか。

 

「桜は………?」

「………行方不明です」

「そっか」

 

 何となし予想出来たことだ。むしろあの状況で桜が消えなかったらあの野郎(間桐雁夜)の行動は意味不明極まりない。今、かなり高い確率で、桜は間桐邸にいるだろう。蟲蔵はキャスターに頼んで全壊させておいたが、あの家自体桜にとってみればトラウマそのもの、できるだけ早く助け出さなければならない。

 

 閑話休題(それはともかくとして)

 

 現状、何よりの謎は何故私が生き残っているのかということだ。あの状況から一体全体どうやって生き長らえたというのか。そんな疑問が顔に出ていたのか、キャスターが答えを与えてくれた。どうやら桜が令呪を使ってランサーを呼び、私を守らせたらしい。

 

「ランサーは………?」

 

 その問いに、キャスターは無言で首を横に振る。バーサーカーに殺されたのだろう。なまじ生き残るよりかマシな結末ではある。仮に生き残っていれば、桜までもが衛宮切嗣の殺害対象にカウントされた筈だ。だがバーサーカーと戦ってまで桜を殺すのはリスクに対してリターンが余りにも少ない。そんな選択をする程衛宮切嗣は愚かでは無いはずだ。

 

「私、どれくらい寝てた?」

「大体丸一日程です」

「………状況は?」

「それは僕が説明する。報告したいこともあるしな」

 

 キャスターが口を開こうとした時、それを遮るように一つの声がかけられた。そちらに目を向ければ、そこには不機嫌そうなウェイバーと、相変わらず快活な笑みを浮かべるライダーがいた。

 

「状況が状況だ。お前の復調は待ってられないからな」

「わかった」

 

 一際真面目な表情で、ウェイバーは私が眠っている間に起こったことを語り始めた。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「そう、か…………」

 

 話を聞き終えた私は、ウェイバーとライダーが退室したのを見届けてから布団へ倒れ込んだ。

 私が昏睡状態にいる間、ウェイバーが使い魔やキャスターの宝具を利用して集めた情報は、

・聖杯の汚染の確認が完了したこと。

・概要不明だがセイバー、アーチャー両陣営が教会に集まったこと。

・どういう理由かは不明だが間桐雁夜が言峰綺礼と行動を共にしていること。

 の三つ。

 一つ目に関して言えば、私自身としては一応の確認以上の意味は持たないのでそれは良い。まぁ、これでウェイバー達との協力関係が解消されることが無くなったのは僥倖と言えば僥倖だ。二つ目も、内容は大方原作通りであると考えていいだろう。恐らくだが、既に遠坂時臣は殺されているはずだ。

 重要なのは、三つ目。早い話、どういう訳かこの世界線でも言峰璃正は殺され、言峰綺礼は間桐雁夜を己の愉悦の糧にするつもりということだ。

 

「…………」

 

 沈黙の保たれた室内で瞳を閉じ、やるべき事を頭の中で整理する。現状、最優先すべきことは桜の救出だ。戦力的に、バーサーカーと戦うことは不可能では無い。ライダーが王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)を使えば正面突破すら可能だろう。だが、その後の事を考えればそれは愚策も愚策だ。

 

(どうする………)

 

 ウェイバーの話を聞く限り、事態はこれからの数日で急激に終息していくだろう。だからこそ、求める結末によって私の取るべき行動は大きく変化する。そしてただ一つを除いた全ての選択肢で、桜を見捨てなければならない。

 

「………………ねぇ、キャスター」

「はい、マスター」

 

 唯一部屋に残っている彼女に、問い掛ける。この選択肢は、私の《願い》からは最も遠いもので、私の想いに最も近いものだ。この選択肢でなければ、私の根底が崩れてしまう(桜を助けられない)。私にとっては最善で、この街にとっては最悪で、そして最も危険な(死に近い)選択肢。言葉に詰まる。私が提案しようとしているのは、彼女が最も忌避しているものだ。

 そんな私の葛藤を見透かしたように、

 

「ただ、命じてください。貴女は、私の(マスター)なのですから」

 

 私が最も欲しい言葉を、完璧なタイミングで告げてきた。

 ああ、これはもう迷っている暇は無い。

 

「桜の救出を最優先にする」

 

 例えその他の誰かに、どれだけの悲劇が降りかかろうと、私はあの子を、代替品(弟の代わり)などではなく私の家族()として救ける。

 

「もう、二度と、例え、誰であろうと────」

 

 ────私の家族を、奪わせてなるものか。

 




内心ガクブルなシェヘラザードさん。
ちなみに識姫の影響でこの世界線のカルデア時空ではアガルタが発生しません。

感想評価よろしくお願いします。
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