リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
前話の最後のセリフが話の展開の都合で変わりました。ご容赦お願いします。
変わる前はニトクリスの予定でした。
兄弟を殺され、その仇を討った後に自決した。という逸話があるので識姫の状況と重なり喚ばれた、という設定でした。展開の変化というのは要するに召喚されるサーヴァントが変わりました。
は?ジル殺したのに召喚される訳無いやんけぇ!!?
という疑問はあると思いますが、一応そこの設定はあります。
ただ状況的にどう足掻いても作中で説明するタイミングが無いので今回の後書きに書いておきます。それでも納得いかなかったらごめんなさい。
「は?」
有り得ない。初めの感想はそれだった。私は彼女を知っている。一方的にだが識っている。艶やかな、腰まで届く長い髪。褐色の肌。露出の多い、しかし豪奢で高貴な装束に身を包んだ美しく、艶かしい様相の美女。
真名をシェヘラザード。キャスターの装いにて、彼女は私の目の前に現界していた。
「どう、いう………」
「いけません、それだけは」
定規を持つ手を握られる。見れば、彼女の身体は震えていた。当然だ。ここまで死を想起させる状況は、何よりも死を忌避する彼女にとってみれば最悪と言っていい。
「なんで、召喚されて…………」
「はい?貴女が召喚なされたのでは………?」
あぁダメだ。許容量を超えた現実の濁流が、私の意識を押し流そうとする。力が入らない。掌から滑り落ちた定規が、床の上でカランと、この場の状況とは似つかわしくない乾いた音を鳴らしたのを最後に、私は気絶した。
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「…………ここ、は………?」
「この街の下水道です。あの場に留まるのは気が引けましたし、一先ず落ち着ける場所を、と思いまして」
「………下水道には見えないけれど」
「陣地作成のスキルによるものです。安全性、秘匿性という点においては保証できると思います」
目覚めたのは、高級ホテルを思わせる外観へと改装された下水道だった。臭いも無く、気温や湿度も快適だ。匂いに関しては寧ろシェヘラザードから甘い香りが漂ってきているくらいだ。
どうやら、私は彼女の膝の上で眠っていたらしい。体調は悪くない。身体を起こそうと力を入れて、しかしそれは彼女によって阻まれた。
「………何?」
「お疲れのようですから、あまり無理はなさらない方が良いかと」
「疲れてないよ」
「身体はともかく、貴女の
「死んでしまう?それなら望むところなんだけど」
家族を失って、弟が惨殺されるさまを見せ付けられて、少なくとも人の形をしたアイツらを獣と断じて殺して、私にはもう、生きる理由が見つからない。
「私はもう、生きていたくないんだ」
「………それも、事実なのでしょう。でもそれだけでは無い筈です。だって────」
────貴女の眼は、私ととても似ていますから。
「っ!」
「生きたくない。だけど死にたくもない。どういうわけか貴女は、本来同時に存在し得ない願望を手にしてしまったのですね」
あまりにも、否定のしようがない指摘に言葉が出ない。そうだ。私は死ぬのが怖い。私は、死の記憶を知っている。あの深く深く、暗い水底に呑み込まれていくような恐怖を、識っている。あんなものを、二度も経験するのは耐えられないのだ。
それでも、できることなら私はこの生を諦めてしまいたい。でももう無理だ。少なくとも自分自身の手で私を終わらせることはもう出来ない。消えてしまった殺意をもう一度灯しても、それを自分に向けられる程熱するのは、もう私には出来ない。
「きっと、会ったばかりの私が何を言っても貴女には響かないでしょう。ですが貴女に死なれるのは私も困ってしまいます。死ぬのは、嫌なので」
「マスターなら、別に私である必要は無いじゃん………」
「死にたくないと思う貴女だからこそ、分かってくれるものがあると思うのです」
そんなことを言いながら、まるでグズる子供を宥めるかのように、彼女は私の額に手を当てた。
「今宵はもうお休みください」
「無理だよ。あの光景が脳裏に刻みついてる」
「では、子守唄代わりに物語らせて頂きましょう。貴女が眠れるまで、いくらでも。貴女が望む限り、いつまでも」
────それは、昔々のことでございます。
そんな語り口で、寝物語が始まる。当然、物語る彼女にも死の線はある。だけど、そんなグロテスクな線が全身にあってなお、彼女はとても美しく見えた。
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識姫が眠りに落ちた後、シェヘラザードはその身を震わせた。理由は様々、聖杯戦争に喚ばれてしまったこと、召喚直後に死を想起するようなおぞましい光景を目にしてしまったこと、己のマスターであろう少女が自決寸前だったこと。
だがそれ以上の恐怖があった。
(なんと、恐ろしい眼なのでしょう………)
死を恐れるが故に死に敏感であり、生き残る術として王の機微に聡い彼女は、本質は掴めねど、少女の眼が持つ規格外の異能の力に勘づいていた。
それと同時に、己の膝の上で眠る少女を襲った悲劇を哀しんでいた。もはや普通であることを許されず、生きる事を苦しみ、死ぬ事に怯える少女。触媒も何も無いあの場を見て、多少なり魔術の知識を持つ彼女は、少女のその精神性こそが己を喚び寄せたのだと確信していた。
明確に違うのは、英霊シェヘラザードは死ぬ事に怯えていても生きる事に苦痛を覚えてはいないことだろう。彼女は物語を生きる術とした。狂君の暴虐の陰に怯えながら、物語ることによって生きながらえた。そこに楽しむという感情は無かったが、それでも物語を、物語ることを選んだのは、ひとえに彼女がそれらを愛していたからだ。少なくとも、なんのしがらみもなく物語を読む時、彼女は楽しむことができていた。彼女は
(気休め、いえ、それにすらならないかもしれませんが)
眠る少女の事情を全て知ったとして、そも語り部でしかない彼女ができるのは、それこそ物語ることだけだ。だが彼女の言葉は、かつて不信に狂う王を鎮めた最上のものだ。彼女は、今はまだ生きたいと思えぬままの少女の頭を撫でる。
「どうか、私の物語が貴女が生きるための一助となりますように」
英霊シェヘラザードにとっての、新たなる
感想評価よろしくお願いします。
Q:なんで召喚された?
A:ぶっちゃけると
とは言え99.9%完成しているような状況。普通に殺せばジルは聖杯に取り込まれるところですが、識姫の普通より強力な直死の魔眼が悪さをして、ジルの霊基は普通の悪霊死霊が消滅する時と同じような消滅の仕方をしてしまい、結果英霊が足りず、近くにいた識姫がマスターとして選ばれ、そのまま近くの血の魔法陣からシェヘラザードが召喚されました。