リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
昨日の午後にも投稿しているのでそちらからお読み下さい。
「お前なぁ………」
「はい、すいません………」
病院のベッドの上、私は見た事がないほどに呆れ返った表情のウェイバーに説教をくらっていた。なお、100%私が悪いので反論の余地は微塵も残っていない。
あの後、バッチリ気絶した私はレスキュー隊に救出され、病院に緊急搬送された。のだが、右眼がどうやっても開かない(開いたらヤバい)こと以外はなんら問題が無いという状態にお医者様は大層困惑されたらしい。更には全く問題ないのになんと1週間丸々眠っていたそうだ。
そうしてようやく目を覚ました私を出迎えたのはギャン泣きする桜とキレ散らかしたウェイバーであった。ちなみに桜は今私にしがみついて寝ている。
「まぁ、説教はまた後々にするとしてだ」
「え、終わりじゃないの?」
「お前これで終わると思ったのか……?」
「アッハイ………」
ふざけたやり取りはそこまでに、ウェイバーの瞳に真剣なものが宿った。
「お前、その右眼がどんな状態か把握してるか?」
「………うん、大凡は」
「説明は……」
「ごめん、あまり話したくないかな」
嘘だ。実際はこの眼がどんなものか、何ができるか、全て完璧に把握している。だがウェイバー相手とはいえ流石にこれをそう易々と他人に伝える気にはならない。
「はぁ〜〜〜…………まぁいい。とりあえずこれ付けとけ」
「これは?」
「ケイネス先生からだ」
投げ渡されたのは黒い布、というか眼帯だ。
曰く、私の容態を確認したケイネスが彼の義手を作った人形師に即依頼を飛ばして作らせたものらしい。聞けば彼のポケットマネーの大半が費やされた逸品だとか。同時に渡された手紙には、淡々と感謝が綴られていた。
「まぁ、僕もお前に恩があるから深くは追求しない」
「そっか、ありがとう」
感謝を伝えると、ウェイバーは若干頬を染めて照れ臭そうにした。しばらく目を逸らしていたウェイバーだったが、ちらりと私に視線を向けると、何やら意外そうな表情を浮かべた。
「お前、笑うんだな」
「私を何だと思ってるんだ」
「だってお前が笑ったの初めてみたぞ」
その言葉に虚をつかれた。桜やシェヘラザードといた時はもしかしたら笑っていたのかもしれないが、確かにウェイバーといる時は常に気を張っていた。
「じゃあそろそろ帰るからな」
「分かった。用がある時はマッケンジーさんとこ訪ねれば良い?」
「ああ、またな」
病室を出ていくウェイバーに手を振る。なんともまぁ奇妙な縁だ。今までまるで関係の無かった人間が、たった数日の関わりで私が信用出来る人の中でも上位に位置する存在になったのだから。
「…………ふぅ」
ウェイバーがいなくなったのを確認してから、桜を起こさないようゆっくりベッドに寝転がった。安堵の表情でぐっすりと眠る桜の姿に微笑ましい気分になりながら、私は思考を廻す。
(何をしよう、何から始めよう)
やるべき事は山積みで、やりたい事は数え切れなくて、だけどそこに込められた想いは数日前のものとは180度違ったものだ。多分、こういうのを
(まぁ、とりあえず)
恐らくは、私が今一番にやるべきことがある。約束したことだ、違える訳にはいかない。
桜を抱き返し、瞼をおろす。
(退院したら、先輩に叱られに行かないと)
ここ数日で初めての、寝物語の無い入眠。そこに寂しさを覚えながら、それでも私は穏やかな気持ちで微睡んでいった。