リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
追記
一応今回の話は封印指定食らって数ヶ月後の話になります。
私自身は起源故に隠れることが難しい。だが私が何かを隠すこと自体は実はそう難しくは無い。そのため、今私は魔術工房とは全く別の、何ら魔術的な要素の無いマンションの一室にいる。作り出した礼装等は世界の至る所に作った工房に隠し、私は全く別の場所に滞在することで研究の成果がおじゃんになるのだけは避けるという寸法だ。
「Oh……」
そんな中、遂に一人、私の居場所を突き止めた魔術師が現れた。今済んでいるマンションの警備会社は買収済なので監視カメラは見放題なのだが、そこに現れたその女性の姿に思わず頭を抱える。別にそれ自体は特に驚くことも無い。いずれは必ず起こり得る事で、覚悟もしていた。とはいえ初手でそれは流石に心臓に悪過ぎる。
「いや、えぇ?マジか、えぇ??」
語彙力が消失したがそれもしょうがないと思う。なんせ初めは来るにしても名も知らぬ執行者とかだと思っていたのだから。それが初手この人って。
彼女は警備も防犯システムも知るかと言わんばかりに素通りし、着々と私の部屋に近付いて来ている。そうして彼女が辿り着いたのは私の部屋の扉の前。チャイムが押され、ピンポーンという無機質な音が私の耳に届いた。
「ッスゥーーーーー」
同じマンションに彼女の知り合いの魔術師が潜伏してる可能性的なものすら無いらしい。ここまでこられては逃げようも無い。意を決して扉を開いた。
「貴女が蓮葉識姫さん?」
「はい………」
「私、その眼帯の製作者なんだけど…………」
そこまで言って、彼女は眼鏡を外した。
「少し、話を聞かせてもらってもいいかな?」
「はいぃ…………」
蒼崎橙子。現状唯一、この世界において最高を意味する冠位《グランド》を戴く人形師が私の目の前に現れた。
────────────
「それで、なんで私なんかを?」
「なんかとは随分な言い草だな、その眼帯を着けて平然としているというのに」
その言葉に首を傾げる。この眼帯は橙子さんが作ったもの、それは確かに付加価値が生まれてもなんら不思議では無いが、所詮魔眼を封じる眼帯というだけのはずだ。
しかし、彼女は私のその様子に目を見開き、「まさか聞いてないのか?」と零した。
「その眼帯、三回も突き返されたんだぞ?"効果が弱過ぎる"とな」
「は?」
「結果それは、マトモな魔眼では完全に機能不全を起こし、それどころか数代に渡って魔眼を持つことが出来なくなるような呪いの品だ」
「そんなやばいもんだったのこれ!?」
聞いてないぞそんなの!?
「では、そんな眼帯を着けて平然としているお前の右眼は一体なんなのか、という話だ」
「…………見せろと?」
その言葉の直後、彼女の眉がピクリと動いた。いけない、無意識に殺気が洩れたらしい。深呼吸し、ため息をつく。本気で殺りあえば勝てるかもしれない、というか彼女はそこまで準備している訳ではないようだからこの場で勝つだけならどうにかなるだろう。が関係悪化は私も望む所では無い。
「他言無用でお願いします。後、瞼は開けられませんよ」
「それはどう、いう………」
言葉の途中、解放された私の閉じられた右眼を見て橙子さんが絶句した。私の視界に混ざり込む紅黒い線の群れに鬱陶しさを感じつつ、ペーパーナイフを作り出し、机上にあった馬を模した置物(記録錬金で作った)を殺してみせた。
「この眼は直死の魔眼
「ああ………」
眼帯を着けつつ視線を橙子さんに送る。流石に彼女でもこの眼は相当な驚愕に値する代物らしい。ようやっと再起動した彼女は得心がいったと言わんばかりに頭をかいた。
「そんな物を持っていれば封印指定にもされるか………」
「いや、これの存在を知っている人間は貴女を含めても四人しかいませんよ。何かあると勘づいている人間ならわんさかいますけど、ここまでだと考えてる人間はいないと思います」
「私以外の三人は良く君を見逃しているな」
「まぁ、相応の恩を売っているので」
「そうか」
ところで、と彼女は続ける。
「そんな物を、何故私に明かした?奪われるとは思わなかったのか?」
「いざ奪われかけたら捨て身で魂ごと消し飛ばせば良いので」
「怖い事を言ってくれるな…………」
多分、それやったら橙子さんでも復活出来ない。直死の魔眼、ないし普通の殺害行為による死を英霊の消滅に例えるなら、この眼による死は座そのものから消滅するのと同義だ。そうなれば、流石の冠位人形師でもどうにもならないだろう。
「一応、貴女に話した意図はあります」
「というと?」
「私は、この眼を
こんなもの、役割を終えたら私の未来には必要無い。使い切ればそれこそ用済み、出涸らしになった後なら魔眼蒐集列車に売り飛ばしても構わないくらいだ。
「ただ出涸らしとはいえ、宿っていた物がモノ。なんの効果もなくても、その内に眠る神秘は少なくとも黄金、高い確率で虹のそれに匹敵する。そんな物を何処ぞの名も知れない馬の骨に売り渡すのは気が進まない」
という訳で初めは桜にそれを渡そうと提案した。が、
「曰く、『そんな物を渡されても使い道がない』」
桜は魔術師ではない。自分の身を守る為に学んでいるに過ぎない。現時点で将来の夢を聞くと顔を赤らめ、モジモジとしながら「士郎さんの……」とモゴモゴ言い始めるので身に付けている常識や思想はかなり一般寄りだ。そもそもとしてあの娘にとって強さとは平穏を維持するための手段に過ぎず、根源も求めているものでは無いのだ。
では、魔術師であるウェイバーに提案してみれば、
「曰く、『周りの魑魅魍魎に狙われる理由が増えるだけでマトモに扱い切れるものじゃない』」
魅力的には魅力的らしいが「今の僕が手にした所で、知らない間に奪われるか殺されて奪われるのが関の山だ」というのがウェイバーの言葉だ。また、仮にこの眼を保持し続けられても、結局手を付けられるのが数十どころか数百先の代の子孫になりかねないとも言っていた。
ケイネスにも提案したが『今の私の身には余りある』と断られてしまった。
「だとしても、今日会ったばかりなんだぞ?私達は」
「例え初対面でも、現状唯一の冠位の魔術師。馬の骨は馬の骨でも幻想種の馬の骨が良いってことです」
「言い方どうにかならんのかお前」
呆れ顔で呟いた後、彼女は沈黙する。その数秒の静寂の後、彼女は「わかった」と言葉を零した。
「その提案を受けよう。ただし、一つ条件がある」
「条件?」
「
………………What?
「はぁ……良いか?契約というのは、双方に双方が納得するメリットがあってはじめて成り立つものだ」
「私にとってみればこの眼を誰かに押し付けられるのはメリットなんですが………」
「言っただろう
「それが何故ダメなんですか?」
「信用できない。相応のメリットを与え合う事は、万一裏切られた際に相手を糾弾する理由付けにもなる。今のままでは直前で『やっぱりやめる』と言われても私は文句の一つも言えん」
「要するに私が裏切った時にぶち殺す為の正当性が欲しいと」
「だから言い方どうにかならんのか。合ってるけど」
なるほど、と納得の声を上げる。この眼が魔術師にとって値千金の代物であることは私も納得している。要するに先程までの私は「特に見返りは要らないけど100億円上げるね☆」とでも言っている不審者と同様の存在だったわけだ。
「なら、いくつか条件を出しますね」
「ああ、大概の事は聞こう」
────────────
「ではよろしくお願いします」
「………私としては納得がいっていないんだがな」
玄関で釈然としない表情の橙子さん。私が提示した条件は『後々桜に魔術を教えること』『私にルーン魔術を教えること』の二つだ。これ以上は私自身条件が思い付かなかった。
「それなら、私ではなくいずれ妹に返してください」
「……そうさせてもらおう。では、」
その言葉を最後に彼女は再び眼鏡をかけた。
「
「ええ、また」
優しげな微笑みと共に去っていく橙子さん。その背が見えなくなり、家の中に戻り、自室のベッドの上に転がったところで、私の口から意図せず言葉が洩れ出した。
「こ、怖かった………!」
今まで会ってきた誰よりも風格のあるその様。その場では彼女に勝てても、最終的には完膚無きまでにボコボコにされるに違いない、という根拠が無い筈なのに妙な信憑性を誇る確信のせいで、私はその日中萎縮しっぱなしになるのだった。
実はビビりちらかしていた識姫さん。
IF識姫その1
Fate/Apocrypha
黒のアサシン召喚に巻き込まれる。
何やかんやで召喚の隙を着いて逃げ出した六導玲霞を助けようとして両親と弟が殺され、キレた相良豹馬に触媒その2扱いで召喚に立ち会うことになる。
しかし今作同様に直死の魔眼に目覚めた識姫が相良を殺害、直後ジャックが召喚される。多少は魔術回路があることでマスターとして選ばれる。この世界線の場合六導さんが母役、ジャックが妹役になる。
家族全員が目の前で殺されたせいで魔術師に対するヘイトが凄まじく、ルーマニアに行くのも願いの為では無くあわよくば黒の陣営側の魔術師を皆殺しにするため。
ストッパーが存在しないせいで色々とヤバい、が、識姫の残りカスの良心でなるべく一般人は巻き込まず魔術師、ホムンクルスを中心に殺すように行動する。
最終的に迎える結末は六導、ジャックとの心中。
おそらくあらゆる世界線で最も碌でもない結末を迎える。
感想、評価よろしくお願いします。