リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
感想、評価ありがとうございます。
独自設定マシマシ回です。
アメリカ、シカゴ。
「…………」
目の前に聳え立つ超高層ビルを見上げ、私はポツリと呟いた。
「調子に乗りすぎたかもしれん…………」
今日から、このビルは私のものである。
────────────
「ふぅ………」
最上階の一室にて、その窓からの眺めをソファに座りながら一眸する。さながら1000万ドルの夜景と言った所か。
「……お酒飲みたくなってきた」
封印指定から、聖杯戦争の準備を進めつつ早2年。執行者と殺し合いを繰り広げ、礼装を作り上げ、橙子さんからルーン魔術を学び、と私は忙しい日々を過ごしていた。そんな中
「おーい!ちょっとお酒持ってきてー!」
奥のキッチンに向かって声をかける。しばらくして現れたのは、表情の乏しい顔に若干の呆れを滲ませた
「そう、自堕落で他人に任せ切りなのはどうかと思います」
「他人じゃないよ私だよ」
「屁理屈を………」
彼女は持ってきたアイスペールにシャンパンを突っ込み、それを机に置いてから私の隣にドカリと座った。私はシャンパングラスを二つ作り出し、片方を彼女に渡してからグラスにシャンパンを注いでいく。
「私は未成年ですが」
「私が成人してるから
グラスを軽くぶつけると、チンッという軽い音が響いた。
そう、彼女こそが私が封印指定にぶち込まれた決め手。その精神は別々でありながら、肉体年齢以外は全く同じ肉体を持った《私自身》。呼称を『ハスバドール』としている。
「んー美味しい!流石に高いだけあるわ」
「俗……」
私にとって何よりの問題は使える魔力の少なさだ。この問題の打開策として、初めに私が考え着いたのが『擬似的な令呪の活用』だ。魔力を"令呪"という形に押し留め、必要な時に解放して使うという方法。これ自体は間桐の資料のおかげもあって成功したし、実際私の身体には今もいくつかの擬似令呪が刻まれている。が、使い勝手がゴミな上、今はともかく以前の私では3年で1画作り出すのが精々と、とてもじゃないが準備が間に合わないということが始める前の時点で分かりきっていた。
そして私が至ったのが『記録錬金で自分自身を増やし、実質的な魔術回路の総量を増やす』というもの。まず素体となる人形を幾つか作り出し、完成した擬似令呪を消費しての記録錬金によってそれら全てを私そのものに変じさせ、また間桐の資料を活用し自分同士でパスを繋げ、私含む全ての個体間での魔力の受け渡しを可能にした。
果たして目論見は成功し、私は3人のハスバドールを完成させた。結果、私は実質的に本来の4倍の魔術回路を使える様になったのだ。
「
「俗なくらいな方が人生楽しめるって」
「桜に格好が付きませんよ」
「口ばっかり上手くなりおって…………」
彼女はその3人の内の1人、名を『瑪瑙』。現状ではハスバドールはもっといるのだが、この娘の様に自律的に行動できるようにしているのは初めに作った三体だけだ。他は自我を持たせないまま保管し、眠らせている。その為の施設がこのビルという訳だ。
「ところで、明日からの管理は私に一任されるということでよろしいので?」
「とりあえずここはね」
「……まさかあの倫理観が消し飛んだ光景を別の場所にも作るつもりで?」
「まあ、まだまだ足りないからね。あと二箇所は作るつもり」
第五次聖杯戦争時点での完全な聖杯の解体、それに必要な総魔力はまだまだ足りない。あと2年はハスバドールを作り続けるつもりだ。
「すっかり
「いいや、私は依然
死なない程度に自分自身を雑に乱用する。それが私の主義だ。他人に迷惑をかけてしまうことはあっても、他人を犠牲にすることだけはしない。それを守る限り、私は魔術師にはならない筈だ。
「
「………それは、ごめん」
「……いえ、口が過ぎました。こちらこそごめんなさい」
表情を曇らせて顔を背けた瑪瑙の頭を撫でる。自分で自分を撫でるというのは中々不思議な気分になる。とはいえ、自我を与えてから2年も経てばそこに個性が生まれるし、顔立ちも当時の私とは異なってきているため、結構普通に妹扱いしてしまっているのだが。
「ま、大丈夫だ!瑪瑙も私自身な以上、誓って死なせない。もう二度と、誰一人として私の目の前で死なせたりなんかしない」
その為に、私は力を蓄えているのだから。
「執行者ぶち殺しまくってるのに良く言いますね」
「それはご愛嬌………」
────────────
翌日。識姫がそのビルを去った後のこと。
「さて………」
ハスバドール、瑪瑙は一人
「はぁ、面倒………」
一言と共に、その銃を右手に彼女は部屋を出てエレベーターに乗り込んだ。扉が閉まったのを確認してから、彼女は階を表す数字のボタンを何かの順番に沿って押した。その数列を認識したエレベーターはどの階とも違う別の空間へと瑪瑙を運んだ。そこには壁や天井以外に何も無く、無機質な白が広がるのみだった。その中心で佇む男に向けて、彼女は言葉を投げた。
「冠位魔術師直伝の対侵入者用の魔術結界。何も分からずこの場に飛ばされた気分は如何で?」
「冠位………なるほど、あの傷んだ赤色とも知り合いなのか」
「えっ?馬鹿すぎる………」
サラッと禁句を言ってのけた男に、思わず最大限の侮蔑の言葉が洩れた瑪瑙。その言葉に気を悪くした男、執行者である彼は、パチンッと指を鳴らした。それとほぼ同時に、彼の服の中から枝が群れとなって現れた。その材質は、鋼鉄。黒鉄の枝はのたうち、男から離れるとその場に根を張り出す。
「行け」
その言葉に従い、枝から樹へと姿を変えた鋼鉄の群れが瑪瑙に迫る。未だ彼女を識姫と思っている男は、眼帯に隠されたその眼に警戒していた。
だが、その予想は彼にとって想定外の方向に裏切られる。
「えい」
そんな軽い掛け声。それとはかけ離れた技量と膂力のもとに放たれたのは、聖堂教会が誇る異端狩りの専門家、代行者の武具である『黒鍵』だった。
鉄甲作用。そう称される技術によって放たれたその刃は、男の
「随分脆いですね」
右手に銃を握り、左手の指の隙間に黒鍵の柄を挟み、瑪瑙は構える。対して男は懐から真っ黒な種のようなものを取り出し、周囲にばら撒いた。それらの種は地に落ちると同時に急速に成長し、生み出された枝は獣の形へ変じていく。そうして彼の周りに計7体の鉄の獣が現れた。
「行けっ!!」
掛け声と共に、先程の枝を超えた、獣と言うに相応しい俊敏さでそれらが瑪瑙へ襲いかかる。それに対応する瑪瑙は、やはり気怠げな様子のままに黒鍵を投擲していく。三本の黒鍵が、3体の魔獣を穿ち抜いた後、瑪瑙は左眼の眼帯を外した。
「なっ!?」
男が見たのは、彼女の左眼を中心に刻まれた、宝石の結晶を思わせる七つの呪印だった。それそのものに驚いたのでは無い。彼は、そこに込められた莫大な量の魔力に驚愕していた。
「擬似令呪解放」
その内の一画が、光と共に消失する。その莫大な魔力の塊が瑪瑙へ与えたのは、ただの身体機能の強化。しかしその強度は通常の魔術のそれを大きく凌駕する。
ズガンッ!!という何かが壊れる音。それは彼女の脚が、今正に飛び掛からんとしていた魔獣の頭部を蹴り砕いた音だった。残り3体となった魔獣に向けて瑪瑙は再び黒鍵を投擲する。全ての魔獣が破壊され、動揺する男に向けて瑪瑙は銃口を向けた。
「では、さようなら」
乾いた音と共に放たれた弾丸が男の右肩に着弾する。貫通はしない。弾丸そのものの威力はその弾丸には意味が無い。理由は単純、その一撃には
「
その言葉と同時に、男の肩が
「が、あ゛ぁあっ!?!!?」
胴体から右腕が分離し、その激痛に悶える男に向けて瑪瑙は黒鍵を投擲する。対物ライフルを受けたかの如く吹き飛ばされ、黒鍵によって壁に縫い付けられた男に、彼女は弾倉に込められた全ての弾丸、
「ふぅ、
言葉に呼応し、着弾箇所が爆ぜ、燃え上がる。その火力に、骨すら残すこと無く燃え尽きた執行者だった物を一瞥してから瑪瑙は眼帯を拾い上げ、再びエレベーターに乗り込んだ。
「本当に面倒な
後片付けを後回しに、昨日のシャンパンを飲み干してやろうと心に決めながら、瑪瑙は自室に戻っていった。
色々解説
・擬似令呪
文字通り。本物の令呪とは違い本当にただの魔力の塊。使い方は四次言峰のそれ。
・ハスバドール
魔力量問題の解決策。擬似令呪一画で三体作れる。ぶっちゃけやってる事は橙子さんとそう変わらない。が、肉体年齢が識姫の裁量で変更可能なので完璧に同じかと言われると違う。
人格が与えられ動いている個体、起動個体は三体だけで、残りは今回購入されたビルの中で円柱形の水槽に浮かべられて管理されている。その光景はあまりにも
肉体的には完璧に識姫。ただ
・
起動個体の内の一人。見た目は5年前の識姫。
識姫とは違い左眼に眼帯を付けている。その左眼周辺に擬似令呪が刻まれている。
識姫によって鉄甲作用、八極拳、射撃術を身体に記録されている。魔術、武器無しのステゴロに限定すると識姫より強い。
基本辛辣でサディスト。プチ愉悦部。
精神が別物とはいえ身体が識姫な影響で生存欲求は非常に強い。後桜のことも溺愛している。
・
今回未登場の起動個体。見た目は今の識姫と同じ。桜を溺愛している。
・
今回未登場の起動個体。見た目はロリ識姫。桜を溺愛している。
・起源弾(識姫製)
識姫の起源『記録』が込められた弾丸。
着弾箇所に予め設定しておいたルーンを刻み付ける。物は問わず
IF識姫その2
FGO
一応可能性としては3つで、
・あるサーヴァントの依代
・ぐだ子の友人
・クリプター
のどれか。
あるサーヴァントはゴリゴリのネタバレになるので言えない。でも多分既にバレてる。Zeroイベントで登場する。
ぐだ子の友人としてのルートの場合、カルデアの拉致に巻き込まれて普通に人類最後のマスターその2として戦う。家族の死を目の当たりにすることが直死の魔眼への覚醒の条件なのでこのルートだと直死の魔眼には目覚めない。
が、代わりに起源フル活用で伝説上の武人連中に色々仕込まれるので終局特異点時点で低位のサーヴァント相手なら生身で殴り合い出来る化け物になる。
クリプタールートはマリスビリーの参加した聖杯戦争に巻き込まれて今作識姫の数倍擦れた感じになって登場する。
異聞帯の名前は『無欠幸福異譚 アラビアンナイト』
名前だけで何も考えてはいない()
感想、評価よろしくお願いします。