リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。   作:シーボーギウム

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まず、謝罪させて下さい。
前回のロード・エルメロイⅡ世の事件簿風の話は消しました。
理由としてはエタりの波動が凄まじかったからです。多分あれを書き切ろうとしていたらこの話はエタってました。
なので、あの話で書きたかったことを今回の後書きに書いておきます。
いずれ、気が向いたら別にして書くことはあるかもです。



多分ゴリラとかそういう類の生命体

 封印指定、そして執行者。魔術師にとって見れば目の上のタンコブでしかないそれにも、実力の優劣がある。最上級の執行者と最下級の執行者では、その力量には雲泥の差がある。

 例えば3年前に瑪瑙が対応した執行者。あれは雑魚だ。いや魔術師全体で見れば相当強い部類ではあるだろうが、生憎と私は戦闘特化。それこそ素でもアサシンかキャスターは殺せるくらいの力を目指している。で、恐らく現時点で持ちうるリソースを全て費やし、瑪瑙含むハスバドールズの助力込みならば、対百貌のハサンなら勝ち目があるくらいには私は強い。

 ではコルネリウス・アルバ(赤ザコ工場長)ならどうだろう。丁度今の時期から1年前、実は彼とも殺し合ったのだ。これも…………まぁ一応私が勝った。いや勝ったと言っていいのかあれ?

 事の顛末は単純で、なんともまぁ間の悪い事に橙子さんとの電話中に襲いかかって来たせいで"あの名"を呼んだ事を本人に聞かれてしまったのである。本格的に殺し合う前に『蒼崎橙子 参戦!!』の後瞬殺されたので実力差はよく分からない。でも多分勝てたとは思う。

 

 では今私の目の前にいる女性はどうだろうか。

 

 スーツに身を包み、手袋を付け、金属製の筒を抱えた男装の麗人。こと人間としては杜撰極まるが、代わりにその実力は規格外と言って差し支えないだろう。

 

 バゼット・フラガ・マクレミッツ。

 

 当代、いや歴代最強と言っても過言ではない執行者が、私の目の前に立っている。

 

「見逃してくんない?」

「出来かねますね」

「そっかぁ………」

 

 ならば、仕方あるまい。深呼吸を一つ。

 刀を、銃を創り出す。弾丸は全て私か切嗣さん製の起源弾。殺意MAXな装備だが殺す気は無い。というか今死なれるのは困る。彼女にはランサーを召喚してもらわなければならない。

 

「悪いけど、捕まる訳にはいかんのよね。だから…………」

 

 全力で足止めして逃げる!!

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「疾ッ!!」

 

 短く息を吐きつつ繰り出される拳。およそ人間が出していい威力じゃないそれを、識姫は合気道の技術を使って受け流す。 その拳圧のみで凄まじい風が起こる事に戦々恐々としつつも、内心では努めて冷静に状況を精査する。

 バゼットに比べて識姫が勝っている点は、リーチと決定力、そして手札の多さだ。刀と銃(識姫)VS(バゼット)なら有利は識姫に傾く。そして何より、彼女は死の線をなぞることによる防御無視の必殺の一撃がある。バゼットの拳が頭にでも当たればそれも即死だろうがそれはお互い様だ。最後に攻撃の手段。殴る蹴るor斬り抉る戦神の剣(フラガラック)のみのバゼットに比べれば識姫の攻撃手段は膨大な数と言ってもいいだろう。

 

「ふっ!!」

 

 識姫の顔面に向けて真っ直ぐ伸びてくる死の予感。そこに刀を置く(・・)。バゼットの手袋には硬化のルーンが刻まれている。だがそんなものは識姫の右眼の前には無意味だ。

 識姫の刀は手袋を容赦なく切り裂き、その拳へ切り傷を刻み付けた。

 

「なっ!?」

 

 驚きを顕にし、一瞬硬直するバゼット。その隙を見逃す程識姫は甘くない。容赦なく袈裟斬りを放った。しかしその刃はバゼットの服を切り裂くだけで留まる。跳び退くバゼットに向けて識姫は銃を乱射する。しかしその全てが拳によって弾かれるか避けられた。弾かれたものは地面に着弾すると同時にルーンが刻まれ炎を上げる。驚くべきことに、彼女は切嗣製の起源弾は綺麗に避け、識姫製の起源弾のみを弾いて見せたのだ。

 

(獣かよ………)

 

 イカれた精度の第六感に呆れながら、識姫は空になった銃を投げ捨て、正眼の構えをとる。しかしそれは見せかけ(フェイント)だ。そも拳を武器とするバゼット相手に近接戦、あるいは超近接戦(クロスインファイト)を挑むなど自殺行為も良いところだ。

 

(ま、近接戦のリスクは見せられたでしょ)

 

 今、識姫とバゼットがいるのは識姫が購入したマンションの15階だ。壁を全てぶち抜き一部屋と化したその階は魔改造の末、外部からの攻撃に限ればほぼ地下シェルターと同レベルの防御力を誇る。そしてそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ふぅぅぅぅぅ………………」

 

 深く息を吐き、如何にも今から斬り掛かるぞ、といった様子を見せる。しかし次の瞬間、識姫は足元にナイフを一本創り出し、その柄を蹴り飛ばした。魔術によって強化された脚力で放たれたナイフは虚を突いたことと、そこそこの速度があることもあってバゼットの対応を僅かに遅らせたが、代行者の黒鍵を受けたこともある彼女がそれに当たる道理は無い。首を軽く傾げるのみでそれを避け、これで識姫は体勢を崩したはずだと攻め入らんと前傾姿勢に入る。

 しかしそこで彼女が見たのは()()()()()()()()()()()()()()()をこちらに投げ付ける識姫の姿だった。

 

「Present for you★」

『████████』

 

 巫山戯きった識姫の言葉直後、投げ付けられた何か、レコーダーから異常な程に圧縮され、最早人間の耳では雑音にしか聞こえない音が洩れる。

 直後、レコーダーを基点に凄まじい威力の爆発が起こった。

 

「ぐっうぅぅ!!?」

 

 直撃は避けたバゼットだったが、避けきることは出来ず火傷を負う。回避直後のバゼットを狙い、識姫は黒鍵を投擲。バゼットはそれを拳で砕きつつ、どうにか識姫に近付こうと駆け出した。

 

(レコーダーは効果薄めだな………)

 

 一度見せたこともあって、恐らくはもう通用しないだろうと考えつつ、識姫は若干の後悔に襲われていた。今のレコーダーは、1つ製作するのに一週間を要する。識姫の持つ礼装のなかで唯一記録錬金を持ってしても創り出せないものだ。

 コストに対して与えたダメージの少なさに不満を抱きながら、識姫は刀を脇に放り投げつつ、再び銃を創り出した。創り出したのはバレットM82(対物ライフル)。この銃は識姫によって魔改造を受けている。具体的な内容は………

 

「Fire!!!」

 

 ドガガガガガガガガ!!!!

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。強化魔術によって耐久性を上昇させなければ弾倉が空になるよりも先に銃がイカれるという頭のおかしい性能。一発一発が主装甲でなければ戦車すら貫くそれを一切の容赦なくバゼットに向けて乱射する。加えて弾丸は全て識姫製の起源弾。着弾と同時に地面が時に爆発を起こし、時に凍結し、時に切断されていく。

 

(当たんねぇ!)

 

 しかしそれら全てを器用に捌き切るバゼット。ジグザグと、柱を壁にしつつジワジワと識姫へ近付いていく。その様子に内心で悪態をつきながらも掃射は止めない。識姫の打つ銃に弾切れの概念は存在しない。弾薬が無くなったと同時に弾倉の中に記録錬金で弾薬を補充(リロード)できるからだ。とはいえこのまま撃ち続けても決め手にはならない。一度弾薬の創造を止めるか、と考えた時だった。

 

「────後…り出……先…断つ…の(ア………ー)

 

 銃撃の音に紛れての言葉。途切れ途切れのその文言の意味を、蓮葉識姫は知っている。

 バゼットが柱から飛び出す。その右拳、その数cm先に、刃を伴い、雷撃の如き閃光を迸らせた球体があった。それは、バゼット・フラガ・マクレミッツの真骨頂。その二つ名、伝承保菌者(ゴッズホルダー)の由来。

 

斬り抉る戦神の剣(フラガラック)!!!!」

 

 刃が迫る。だが識姫は切り札など使っていない。つまりこの刃には元来の『切り札に対する絶対的なカウンター(因果逆転の必殺の一撃)』という性質は無い。早い話がただの宝具の解放だ。だが、宝具は宝具。現存する武装では軌道を変えるどころかその威力を僅かばかり減衰させることすら不可能。唯一打開可能な死の線をなぞることによる宝具の破壊(殺害)すら、手元に刃の無い識姫では間に合わない。

 

(あ、やば………)

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「驚きましたね………」

 

 抑揚の無い、しかし恐らく本当に驚愕しているであろう声音が耳に届く。

 フラガラックの一撃を受けた私は、まぁぶっちゃけ瀕死だ。刃は右胸に突き刺さった。既に再生成した刀で殺したので刃は存在しないが、右胸の傷からダクダクと流れ出ていく血がその一撃の重みを分かりやすく表している。

 傷口を左手で抑えながら、記録錬金によって体内で絶えず血液を精製する。これでとりあえず失血死はしないだろう。

 

「はぁ…………ふ、うぅ…………」

「無理はしない方が良い。大人しくするなら、命だけはどうにかしましょう」

 

 激痛に表情を歪ませながらも何とか立ち上がる。無理?笑わせちゃいけない。この程度で無理だの無茶だの言っていたら私の目的は達せられない。幸いなことに、本当に幸いなことに、ギリギリ心臓には傷一つ無い。本来の使い方では無かったからだろう。

 

「7………いや8かな…………」

「……?何を……?」

 

 その疑問に答える訳も無い。左手を掲げ、虚勢で笑みを浮かべた。痛みもあるが、ここまで消費するのは想定外。正直痛手だが、それでも命あっての物種だ。

 

擬似令呪八画解放:記録錬金(Ars Magna)

 

 私自身に、()()()()()()()()()()()()()()()()。疲労は無くなり、傷が失せた。

 

「なっ………!?」

「ドッキリ大成功!なんてね」

 

 実質的な完全回復。ド○クエで言うところのベ○マだ。多少の傷でも擬似令呪を一画は消費する上、部位欠損などしようものなら現状持ち合わせている擬似令呪を全ツッパしても足りないクソ燃費だが、如何なる傷であろうと一瞬で治癒できる、私にだけ許された魔術だ。

 

「何をした!?」

「さぁ?」

 

 そこそこに手傷を負った彼女に対して、無傷の私。服は直らないし武装も元には戻らない、もちろん魔力は消費されたままだが、身体だけは万全だ。流石の彼女も結構動揺しているらしい。なら、今が畳み掛けるチャンスだ。

 刀を地面に突き刺し、拳を構える。

 

「…………何のつもりですか?」

「いや、殺す訳には行かないから」

 

 舐められていると思ったのだろう、眉を顰め、苛立った様子を見せる。全然そんなことないのであまり怒らないで欲しい。殺す訳には行かないのは事実で、死の線を見る私では刀は使えない。となればステゴロになるが、これも私では実力不足。ならどうすれば良い?

 

 簡単だ。()()()()()()()()()()()

 

────固有時制御(Time alter)四倍速(Quartet accel)

 

 踏み込み、肉迫する。一瞬でバゼットの目の前にまで辿り着いた。腰を落とし、腰辺りに右手を、左手を掲げるように構える。

 

「鉄山靠」

「ガッ!?!!??」

 

 ズガンッ!!という鈍い音と共に、バゼットが柱へ衝突した。クレーターを生み出したその威力に我がことながら戦慄する。見た限り死んではいないが、流石に気絶してくれたらしい。放置していてもそのうち勝手に動き出すだろう。…………なんでこれで死なないんだろう…………?

 

「とりあえず逃げよう」

 

 次に目覚められたらマジで勝ち目がない気がする。その予感をヒシヒシと感じながら、私は逃走準備に入るのだった。

 





固有時制御(Time alter)四倍速(Quartet accel)

 固有時制御と擬似令呪と記録錬金を組み合わせて使う識姫の切り札。バゼットさんはもう少し粘るべきだった。
 固有時制御によるダメージを擬似令呪解放による記録錬金で無効化する。余裕で一画消費。


・消した話で書きたかったこと

 簡単に言うともう一体のネームドハスバドールを出すつもりでした。
 ただ瑪瑙、瑠璃、柘榴のどれとも違い、完全に識姫とは繋がりの無いハスバドール。創り出す時も産まれたばかりの赤子の姿。
 そのハスバドールを、一切魔術とは関係の無い一家に預けて育てさせます。つまり識姫は『あの日家族を殺されず普通の日常を過ごし続ける自分』を見たかったという話です。
 その為にその末妹に仇なす魔術師を瑠璃にコロコロさせていた、というのが真相です。
 因みに名前は識姫に微塵も関係なく『レイチェル・フィールズ』です。

IF識姫
Fate/strange Fake
この世界線だった場合、そもそも偽りの聖杯戦争が起こらない。
識姫はstaynight時空でも第四次から第五次までの10年間で
『スノーフィールド』『繰丘』
のどちらかを探しています。仮にどちらかでも補足した場合、識姫はコネフル活用で偽りの聖杯戦争を開始前に頓挫させに行きます。
まず繰丘夫妻は殺され、繰丘椿は識姫の第二の妹となり、
ファルデウスは組織の方を潰され後に識姫に殺され、
警察署長はクラン・カラティンと建物諸共識姫に殺され、
最大の懸念事項フランチェスカは橙子さんの協力の元に封殺します。

結果、もっとろくでもない物を見逃して、それにレイチェルが巻き込まれ、識姫がキレ散らかします。

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