リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
感想、評価よろしくお願いします。
「よお」
「………」
冬木市。その新都に立つ一際存在感を放つタワークレーンの上。二騎のサーヴァントが邂逅を果たしていた。
一方は、髪の長い女だった。その両眼をバイザーで隠し、その両手にダガーが握られている。
他方は、青いタイツを身につけた男だった。その手には真紅の槍が握られ、その眼光は獣の如き鋭さを誇っている。
「あの騒ぎはお前の仕業か?」
「えぇ、そうですが、何か?気に触りましたか?」
「いや別にぃ?追い詰められりゃあ俺も似た様な事をするかもしれねぇしよ」
「では、何故こんなところまでいらっしゃったのですか?」
「はっ!んなもん………」
嘲笑の後、男、ランサーは獰猛な笑みを浮かべ、槍を構える。それに呼応し、女もダガーを構えた。
「テメェをぶち殺す為に決まってんだろうがァ!!」
ガンッ!と地を蹴り、ランサーは神速でもってライダーへ肉迫する。対するライダーも両手のダガーで朱槍を迎え打つ。
ケルト神話の大英雄、クランの猛犬と、ギリシャ神話の怪物、石化の眼差しを携えた女神の殺し合い。槍の一突きが、ダガーの一振りが、その全てが致命となりうる死の領域が生まれた。
「フッ!!」
ボッ!と槍が空気を叩く。常人が見れば全力の一撃としか見えぬそれは、しかし英霊同士の殺し合いにおいてはただの様子見に過ぎない。
「シッ!」
ギィィイン!と槍とダガーがぶつかり合う。火花が散らしながら、ライダーはその猛攻を捌いていく。突きを逸らし、薙ぎを弾き、打ちを躱す。そしてその間隙を見逃すことなくダガーを振るい、それを避けられ、防がれる。一見互角に見えるそのやり取りは、しかしその実ライダーの不利に進んでいた。
「っらァ!!」
「っ!」
鋭い一刺し。その鋒がライダーの頬を掠る。対したダメージでは無いとはいえ、この戦いにて先に傷を負うというのは、そこにある実力差を如実に表していた。
されどそれは即座の決着を意味しない。これはランサーもライダーも預かり知らぬことだが、この戦い、双方共にマスターから枷が掛けられている。ランサーは令呪によって、ライダーはあくまで口頭での指示に過ぎないが、本人がそれに忠実に従うつもり故に
(埒が明きませんね)
頃合いを見て、ライダーは自ら僅かな隙を晒した。それをランサーは見逃さない。あからさまな、
「ぐっ!」
最速、と称される槍兵の脚撃。まともにくらえば、それだけで霊核を砕かれかねない一撃を、ライダーはダガーでもって受けた。しかしその勢いは殺す事は出来ず、クレーンの端まで後退する。
しかしその勢いを殺すことも無く、ライダーはクレーンから飛び降りた。
「はぁ?逃げんのかよ!」
ランサーは慌ててライダーを追う。対してライダーはその追跡を気にすることもなく地上、そこに
「ちっ!」
着地したランサーは舌打ちの後ライダーの追跡を開始する。その敏捷性は此度の聖杯戦争においては随一。しかし"馬"に乗ったライダーに勝るか、と言われればそうでは無い。
「クソが」
小回りではランサーが勝るが、直線距離ではライダーに追いつくことが出来ない。しばらくは追跡を続けることになるであろうことに、ランサーは苛立ちを隠すことも無く速度を上げた。
────────────
「物凄く心臓に悪い………」
一連の流れを使い魔越しに観測していた桜は、ライダーが何とか逃げ出したのを見てから深いため息と共に椅子に座り込んだ。
(後10分程で到着します。このまま向かって問題ありませんか?)
(うん、私も瑠璃お姉ちゃんも準備は済ませているから、そのままお願い)
(了解しました)
ライダーとの念話を終え、再び桜はふぅとため息をついた。天井を仰ぎ、瞳を閉じて彼女はポツリと呟いた。
「お願い、しますね」
直後、桜の影から
────────────
柳洞寺。その敷地内に存在する湖の中心。逃走をやめたライダーは一人佇んでいた。
「何だ、もう逃げねぇのか腰抜け」
「酷い言い草ですね」
特に気にする様子も無く、背後に降り立ったランサーへ言葉を返す。そんな彼女をランサーは嘲笑する。
「事実を言っただけでそう言われちゃ世話がねぇ」
「おや、本気で言っているのですか?流石に気付かれていると思っていましたが」
「…………はぁ……面倒くせぇ。やめだやめだ!下らねぇ探り合いなんざ性に合わねぇ。何だか知らねぇが狙いがあんだろ?乗ってやるからさっさとしろ。真正面から叩き潰してやる」
鋒を向け宣言するランサー。そんな彼にライダーは、ではお言葉に甘えて、と零した後、彼の背後を指さした。
「後ろ、気を付けた方が良いですよ」
「あん?………………ッ!?」
言葉の意味が分からず疑問を呈したランサーは、直後全身を襲った悪寒に即座に構えを取り、自身の背後へ最速最短最大威力の一撃を放った。しかし、手応えは無い。そして彼は瞠目した。放たれた朱槍は間違い無く自身の背後を取った存在を貫通している。だがそこから血は流れず、それどころか抵抗感一つ感じない。そればかりか、その様相は明らかに人間のものではなかった。
身長は、3m程。手足は長く、スーツを身に付けている。顔は真っ黒でのっぺりとしていて、一切のパーツが欠如していた。そしてその頭からは、僅かだが禍々しい紅の光が洩れている。
────スレンダーマン
彼は、声を聞いた気がした。
「う、おおぉっ!?」
次の一撃を放とうとするよりも先に、彼の脚に何かが巻き付いた。その何かは彼の身体を真横に引き摺り始める。それが何かを確かめる間もなくランサーは空へ放り出された。何とか空中で体勢を立て直した彼は、先程の怪物から赤黒い、帯のような触手が伸びているのを確認する。だがそんな間も直ぐに無くなる。飛び上がり追撃の蹴りを放つライダー。その蹴りを槍で受けた彼は、空中故に踏ん張れる訳もなく吹き飛ばされ水面へ叩き付けられた。
そうして水中へ戻ってきた彼を、即座に触手の群れが追撃する。
(クソが……)
内心で悪態をつきつつ、ランサーは槍を振り回す。触手を弾き、切り裂き、それでも捌ききれないものは避けていく。だが水中ではそんな攻防も長くは続かない。彼は湖底を蹴り、水上へ飛び上がった。そして比較的水の浅い場所に着地した。
(チクショウが、数分前の自分を殴り飛ばしてやりてぇ気分だぜ)
考えながら、ランサーはルーン魔術を使用した。持ちうるルーン全てを使った結界。それは宝具すら防ぎうる程のものだ。しかしそんな事知るかと言わんばかりに周囲の湖面から触手が現れる。襲い来る触手を無視して、ランサーはライダーの姿を探す。
「見つかんないよ」
その声が聞こえた直後、結界が一瞬の内に砕け散った。
「何っ!?」
再び背後、そこにいたメガネを掛けたメイド服の女、瑠璃はいた。不安げな表情の彼女の右手には特殊な形状のナイフが握られている。
虚を突かれつつもランサーは咄嗟に瑠璃に向けて槍を振るう。だがそれよりも速く触手が殺到した。槍は瑠璃に届くことは無く触手によって止められる。それどころかランサーの腕が、脚が次々と拘束されていく。されど相手は大英雄。それだけで止められるほど甘くは無い。
なら、二重三重の手を用意するのは当たり前だ。
「あ、がっ!?」
全身が無理矢理に硬直させられる。魔力の流れから、ライダーを見つけたランサーは彼女がバイザーを外し、こちらを
「魔…眼……!」
効果は石化。最早正体を隠す気も無い。持ち前の対魔力と破壊されたとは言え全てがダメになったわけでは無い結界の効力によって何とか持ち堪えているが、全く身動きが取れなくなるのは時間の問題だった。ランサーは何とか直接ライダーの視界に入っていない左手の指先でルーンを刻む。
だがルーンを刻み終えるよりも先に、瑠璃の持つ短剣が彼の身体を切り裂いた。大したダメージでは無い。だが彼は、英霊にとって命と同義である
「て、めェ……!!」
「ひっ………!」
瑠璃は怯えた表情でランサーに背を向け逃げ出した。
「キャスター!!早くしてぇぇえ!!死んじゃうぅぅう!!」
(ちっ!端っから組んでいやがったか!!)
ルーンを刻み終えたランサーは魔眼の効力を弾き、触手を吹き飛ばす。
(最悪契約は戻って結び直しゃ良い!まずはあの女がこれ以上余計なことをしねぇ様に確実に殺す!!)
ライダーがこちらに駆け寄る様子もあるが、それよりも自分が女に追いついて心臓を貫く方が早いと判断したランサーは魔力を迸らせ、走り出した。
それを察知した瑠璃は、多分な怯えをその顔に浮かべつつもランサーの方へ向き直った。そして、その左手の甲、
「令呪をもって命ずる!」
その言葉に、自身の中に新たな
「私に、」
槍を構える。
「危害を、」
令呪の強制力が働き始める。
「加えるな!!」
そして────
ドォォォォオオオン!!!
「………クソッタレ…………」
サーヴァントの速力を、同じくサーヴァントの膂力によって無理矢理に押し留めたが故に湖面が爆ぜる。爆ぜた湖面から大量の水が巻き上がり、雨の如く降り注いだ。ランサーの槍は瑠璃の胸部から数cmの所で留まっていた。
「は、う………」
その状況に限界を迎え、瑠璃は腰を抜かした。そうしてその場に、死ぬ程機嫌の悪いランサーと、死ぬ……死ぬ……と呟き続ける瑠璃という意味不明な光景が生み出された。
ハスバドールが全部出たので改めて
瑪瑙
左眼に眼帯を付けたクラシカルメイド服の識姫。髪は夜会巻き。実はメイド服を結構気に入っている。
識姫の呼び名は「
現時点でタイマンなら識姫相手に勝率9割。キャスターの魔術込みかつお互いに視認可能な距離で準備万端ならアーチャーはギリギリ何とか殺れる。
擬似令呪の位置は左眼の周り。
瑠璃
今回初登場。見た目メガネをかけたミニスカメイドで右脚だけストッキングを履いた識姫。髪は普通におろしてる。最近度々「この肉体年齢でこの服はもう流石にキツいって!!」と言って騒いでいる。彼女の肉体年齢は識姫と同じ。識姫はSSFの一つ下。後は……分かるな?
識姫の呼び名は「お姉」
徹底的に防戦に特化している。そのせいか知らないがめちゃくちゃ気弱。
しかし素の状態でも二三撃ならセイバーの全力の攻撃でも凌げる。キャスターの魔術を受けるとバーサーカー相手に1分までなら何とか耐える(尚普通に瀕死になる)。
擬似令呪の位置は右脚。
柘榴
和服メイドの小学生サイズの識姫。髪はボブカット。鼻と口を覆うガスマスクを付けている。
識姫の呼び名は「姉貴」
戦闘はからっきし。代わりに諜報やら研究やらそっち方面に強い。現在はキャスターの助手状態。
擬似令呪の位置は舌。
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