リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
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前回触手緊縛された全身タイツの美青年とその触手を操る魔術師の交渉回です。
「んで、テメェらの狙いはなんだ?」
柳洞寺を後に、瑠璃達はランサーを連れて蓮葉邸へ戻った。そしてそこで、ランサーと桜は対峙していた。もしもの時に備え彼女の背後にはライダーと瑠璃が控えている。部屋自体もキャスターによって一つの魔術となっており、緊急時にはランサーの身体を拘束するようになっていた。
「貴方を私達の陣営に引き込むことです」
答えられるとは思っていなかった問に答えが返され、ランサーは眉を顰める。桜の言葉は、まるで元々自分を知っているかのような口振りだ。
「最悪、貴方を言峰綺礼のサーヴァントである、という状態から解放出来ればそれで充分なんですけどね」
「………何者だ、テメェ…………?」
露骨に、ランサーは警戒を露にする。彼は言峰をいけ好かない、と思ってはいるが、有能であることと確かな実力の持ち主である事は認めていた。それ故に、目の前の少女が言峰と自身の主従関係を知っていることは不可解極まりないものだった。
桜を睨め付け、威圧する。気の弱い者ならば禄に言葉を発する事も出来なくなるような重圧。それを一身に受けながら、桜は飄々とした態度のまま話を続ける。
「別に貴方に何かしてもらう必要は無いんです。用があるのは貴方自身では無くてあくまで
「………」
「あれ?理由聞かないんですか?」
「聞いたところで答える訳じゃねぇだろ」
「いえ別に全然答えますよ?協力してくれるならその方が都合が良いですし」
「んじゃあ何でだ?」
「
「………」
マジで言うのかよ……と呆れの感情を表情から滲ませつつ、桜の言葉を訝しむ。サーヴァントは七騎召喚された、聖杯戦争は始まった、それはどちらとも言峰から聞き及んでいたことだった。故に全てのサーヴァント相手に戦いを挑み、倒すこと無く生還しろなどという令呪が下されたのだから。
「確かに、サーヴァントは七騎全て召喚されました。だけれど、
「何言ってんだ……?」
「サーヴァントが召喚されるプロセスご存知ですか?」
そうランサーへ問い掛けながら、桜は影からグラスを一つ取り出した。
「これはサーヴァントのクラスです。通常の召喚の場合、触媒と関係のある英霊の霊基や召喚者と共感性の高い英霊の霊基で中身を満たして、それからこちらの世界に喚ぶんです」
パチンッと指を鳴らし、桜はグラスの中を水で満たす。そしてそれを机の上に置いた。
「私達はここに干渉しました」
桜は再び影からグラスを取り出し、それをそのまま机の上に置いた。
「私達はアサシンという
まぁその為の術式はキャスターさんにおんぶに抱っこだったんですけどね、と桜は苦笑した。
「…………何が目的だ」
「………私達の目的は、この聖杯戦争を破壊することです。その為に、私達は────」
『────』を召喚します。
驚愕にランサーは目を見開いた。同時に自身の霊基を求めたことにも合点がいった。そして、彼は怒気を孕んだ様子で声を上げた。
「正気かテメェ……!」
「正気です」
「ハッ!なら尚更タチが悪ぃ!下手すりゃこの街どころか世界が終わるぞ!!聖杯戦争どうこうの話じゃねぇ!!」
桜の胸倉を掴み、声を荒げる。すぐさま瑠璃が左手を掲げようとし、ライダーがダガーを構える。だが桜はそれを制止した。
「別にそれそのものを喚ぶわけじゃありません。喚ぶのはその能力のみです」
「無理だ!能力を呼び声にその意識も喚ばれる!」
「それならそれで、問題ありません。意識は塗り潰せます」
その、あまりにも確信を持った物言いに、ランサーは
「………説明しろ」
「ええ、喜んで」
桜はフワリと微笑んだ。
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衛宮邸。
「ん、ん…………」
「あら、お目覚め?」
「遠坂か……………遠坂ァ!?」
目を覚ました士郎は、自室に平然といる遠坂凛の存在に驚愕し、同時にその意識を一気に覚醒させた。
「一応治療してあげたって言うのに随分な反応じゃない」
「あ……そうか、昨日バーサーカーとの戦いで…………」
昨晩の戦いを思い出し、士郎は自身の身体を見る。悪いな遠坂、と士郎が言うと、凛は首を振った。
「気にする必要は無いわ。私自身、打算込みの行動だったから」
「打算?」
「えぇ、まぁ用があるのは衛宮君じゃなくてセイバーなんだけれど」
そこまで言って凛は立ち上がり伸びをした。そこで、ぐ〜と腹の虫が鳴いた。部屋の中にいるのは士郎と凛の二人だけ。そしてその鳴き声の主は士郎の腹の中にはいない。
早い話凛は空腹だった。気まずい空気が流れる中、凛は士郎を睨みつけた。
「アンタの看病で朝からなんにも食べてないのよ!!文句ある!?」
羞恥のあまりに顔を真っ赤にして叫ぶ凛に、士郎は苦笑で返すのだった。
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「んん!恥ずかしい所をみせたわね………」
羞恥が抜けきらず頬を染めたままの凛が言う。真顔のままなんの事か分からず首を傾げるセイバーと苦笑する士郎。昼食を終えた三人は衛宮邸の居間に集まっていた。
「早速だけど本題に入らせて貰うわ」
表情を改め、姿勢を正した凛に呼応して士郎も背筋を伸ばす。凛の口から飛び出てきたのは、言ってしまえば同盟を結ばないか、ということだった。
「わかった。組もう」
「アンタねぇ………」
「士郎………」
「な、なんだよ………?」
ノータイム同盟締結に呆れの視線を向ける二人にたじろぐ士郎。まぁ都合がいいし私はいいんだけど……と呆れを滲ませたまま嘆息する凛と、あまりにも無防備なマスターに意識改革をしなければと考えるセイバー。未だ呆れられた理由が分かっていない士郎にセイバーが叱責を、と話を始めた。
「士郎、同盟を結ぶならば、せめて相手が何を求めているか、相手からの対価は何かを知ってからにして下さい。実力のある魔術師ならば、先程の肯定の言葉だけで士郎の行動の全てを縛ることすら可能なのです。もう少し危機感を持ってください」
「そりゃあ、俺だって何も知らない奴ならもう少し考えるさ。遠坂はそんなことしないだろ」
「衛宮君が魔術師のことを何も分かってないのがよくわかったわ………」
これは現時点で何を言ったところで意味は無い、と判断した凛は本題、何故士郎達に同盟を持ち掛けたかを語り始めた。
「今回の聖杯戦争、既に同盟を締結してる陣営がいるわ」
「!」
驚きの表情を見せる士郎に凛は続ける。
「どのサーヴァントかまでは分からないけど、二騎のサーヴァントが連携して襲いかかってこられたら大概の場合は手も足も出なくなるわ。だからその同盟相手を倒すまでは協力して欲しいのよ」
「凛、口振りからして、マスターが誰かは分かっているようですが」
「えぇ、その通りよ」
「では、各個撃破は出来ないのですか?陣営同士が離れているうちに」
「………まぁ、それは、私の実力が足りないのよね」
悔しげな表情を浮かべ、伏し目がちに呟かれた言葉に士郎は疑問を抱いた。
「遠坂でも実力が足りないのか……?」
「ムカつくけど、相手はどっちも格上よ」
「それで、相手は誰なんだ?顔とか名前とか」
「それは………」
士郎の問いに凛は言い淀む。しかし数秒して、覚悟を決めた表情で士郎を真っ直ぐと見据えた。
「これは、衛宮君にとってショックなことだと思うけど言わせてもらうわ」
「俺にとってショック?」
自身の内に広がる葛藤を露知らず首を傾げる士郎に、凛は深呼吸一つの後に、その名を口にした。
「相手の名は、蓮葉桜と蓮葉識姫。
「なっ!?」
士郎にとって家族同然の少女とその姉の名を。
・この世界線の桜と原作桜の相違点
その1
幼少期から識姫に可愛い可愛いと甘やかされ、周囲の大人(ケイネス、ウェイバー、橙子さん)に魔術の腕を褒められた結果、自信やら自己肯定感が高い。
その2
原作よりも早い段階で士郎と出会って色々と過ごして来ているため士郎からの好感度が第五次開始時点でほぼ藤姉とどっこいどっこい。
桜からの好感度は原作イベントが軒並み識姫がかっさらっているが過ごした時間が長いので原作とほぼ同じか少し低い位。
その3
自分の容姿の良さとプロポーションの良さを理解した上で、士郎ですら勘づくレベルのアプローチを日常的に行っている。
原作桜:BBちゃん=7:3みたいな感じ
感想評価よろしくお願いします。