リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。   作:シーボーギウム

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感想評価ありがとうございます。

絶死の偽眼は今話でやると言ったな。あれは嘘だ。

すいません、やっぱ未定ってことにさせて下さい。



2.懊悩と計略と

「マスター!?」

「キャスター………」

 

 どうやら彼女は課せられた任務を完璧にこなしてくれたようだ。彼女の腕の中には間桐桜がいる。彼女は宝具によって再び空飛ぶ絨毯を取り出し、そこに桜を乗せてから私に駆け寄ってきた。

 

「大丈夫なのですか!?」

「血で汚れるよ………」

 

 血塗れではあるが、傷は全て浅い。おかげで、既に血はほとんど止まっている。正直泣きそうな程痛いが、今はまだ泣き喚いている暇は無い。

 

「早く休みたいし、さっさとやること済ませて帰ろう………」

「えぇ………」

 

 心配そうな彼女を引き剥がし、歩を進める。ふと、ズキリと眼が痛んだ。出力を上げすぎたのかもしれない。

 

「………」

 

 眠る桜の頭を撫でる。身体を丸めるその様に、弟の姿を見た。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「臓硯氏が死んだ………?」

「えぇ、息子の間桐鶴野からの通達です」

 

 初戦を終え、その次の朝。遠坂時臣は己の徒弟たる言峰綺礼の言葉に耳を疑った。聞けば、昨晩コンテナ地区での戦闘と同時刻間桐邸に襲撃があり、下手人が間桐臓硯を殺害、その後間桐桜及び魔術に関連する資料や書物を強奪した後逃亡したという。

 

「………あの御老公が簡単にやられるとは思えん」

「間桐鶴野によれば、襲撃はキャスター陣営によるものだと」

「っ!なるほど、いくら彼とはいえサーヴァントには敵わないということか………」

 

 椅子に背を預け、天を仰ぐ。傍から見れば冷静に見える彼だが、その内心は酷く揺り動かされていた。既に親子の縁は切れているとはいえ、血の繋がった娘が得体の知れぬキャスターとそのマスターに連れさられたのだ。その目的など、優秀な魔術師である彼からすれば容易く想定できるものだった。

 

(いかんな………)

 

 意識を切り替えようと、遠坂時臣は言峰綺礼に問いを投げかけた。

 

「綺礼君、君はキャスター陣営が桜を連れ去った狙いをどう見る?」

「順当に行けば、サーヴァントの魔力供給の為かと」

「そうだ。非凡な才を持つ子だ。サーヴァントにとってみれば実に都合のいい魔力の供給源となるだろう。だが、重要なのはそこでは無い」

「何故魔力が必要なのか、ですか」

 

 満足気に遠坂時臣は頷く。考えられる可能性は2つ。サーヴァントの宝具の発動の為か、そもそもマスターの魔力量が乏しく、魔力が足りないか。彼は現時点で分かっている情報から推測するならば前者であると判断した。

 

「とはいえ決め付けるには早い。だが現時点ではそちらの線で対策を練るのが得策だろう」

「引き続き、アサシンによる諜報を?」

「………いや、現時点ではキャスターも、そのマスターの姿も分かっていない。今は他の陣営についての調査に集中した方が得策だろう」

「了解しました」

 

 退室した言峰綺礼を見送り、人知れず、彼は頭を抱えた。

 

(昨晩の戦いを避け、その先を見据えての行動………キャスターのマスターを間桐雁夜がどうにかすることは期待できない………)

 

 覚悟を決める。遠坂時臣が懺悔することは無い。それは、桜の親でなくなった時点で彼には許されぬ権利であるが故に。

 

「………」

 

 ただ静かに、彼は月明かりに照らされていた。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 翌朝9時。間桐鶴野を脅して500万程強奪していた私は桜を連れて近場のファミレスに来ていた。昨日までは財布の中に残っていた金を切り詰めて使って食い繋いでいたので、数日ぶりのマトモな食事だ。

 

「何か食べたいものある?」

「なんでも、いいです」

 

 流石に食事はちゃんとしたものを与えられていたのだろうが、彼女にしてみればそれもあのクソジジイの命令だったのだろう。だがそれではいけない。

 

「ダメだよ、ちゃんと選びな。なんでもいいよ」

 

 この先、この子がどう生きていくにしろ、他人に判断を任せて生きていくのには限度がある。放っておいても、いつか正義の味方がこの子の笑顔を取り戻すだろう。でも、取り戻せるのなら早ければ早い方が良い。

 

「泣いて笑って恋をして、桜はそういう風に生きるべきだと思う」

 

 この子と私は、多分似ている。でも決定的に違うのは、この子は生きることに希望を見い出せないだけで、生きることを諦めたいとは思っていないこと。

 頭を撫でながら微笑みかける。

 

「どんなものが食べたい?」

「………」

 

 迷いつつも、おずおずと手を動かし桜はメニューを見ていく。

 

「あ……」

「うん?」

 

 そうして桜の手が止まったのはデザートのページだった。彼女の瞳は写真のプリンに釘付けになっている。

 

「これ頼もうか」

「はい………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しかった?」

「はい………」

 

 食事を終えた後、私達は茜色に染まる街を歩きながらある場所を目指していた。傍らには霊体化しているがシェヘラザードもいる。

 

(大丈夫なのでしょうか………)

(大丈夫だよ、あの英霊ならいきなり殺されるなんてことはないはずだから)

 

 桜と手を繋いでゆるりと歩く。

 私達がこの聖杯戦争を生き残ったとして、その後の環境を求める時、必要になるのはなんだろうか。安定した収入源は当然として、何よりも必要なのは強力な後ろ盾だ。

 

(()はともかく、将来性で言えば彼はダントツだ)

 

 だから、私は彼を選んだ。まぁそれだけでは無いのだが。

 ともかく、ここまで言えばもう分かるだろう。私達が向かうのは、ウェイバー・ベルベットの潜伏先、マッケンジー夫妻宅だ。

 おそらくは第四次聖杯戦争において最もマトモな陣営だ。そしてマスターであるウェイバーはゆくゆくは時計塔のロードにまで上り詰める。

 

「着いた」

「ここ、ですか………?」

「そう、桜の先生になる人がいるところ」

 

 この子の才能を持て余すのは宜しくない。魔術の才がある人間は、キチンと己を守るためにその才を磨く必要がある。でなければ、行く末に待っているのは体のいい実験材料か、間桐邸の地下で行われたものに勝るとも劣らない調教だ。

 

ピンポーン

 

 そんな無機質な電子音が鳴り響く。やがて扉を開いて現れたのは、年老いた女性だった。

 

「ええと、どなた?」

「初めまして蓮葉識姫と申します。ウェイバー君はいますか?」

 

 かなり流暢な日本語で問われた問いに答えを返す。穏やかに笑みを浮かべる。相手の警戒心を殺し尽くす。きっと、かの征服王はキャスターの気配に気付いている。だが逃げるという択は、彼等には取れない、取らせない。

 

「あら!ウェイバーちゃんとお友達かしら!」

「えぇ、以前妹と共にお世話になりまして、近くに来たので挨拶に」

「そうなのぉ!上がってちょうだい!直ぐにあの子を呼ぶわ!」

 

 桜と共に中へ案内される。ふと、空気が軽くなるのを感じた。驚いた。彼の幸運は、ここまで分かりやすく影響を及ぼすらしい。

 バタバタという慌ただしい足音が上から聞こえてくる。そうして現れた青年に向かって、笑みを向けた。

 

久しぶり(初めまして)、ウェイバー。私が誰か、分かりますか?」

 

 青い顔をするウェイバー。どうやらファーストコンタクトは私の勝ちと言えそうだ。

 





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