リュウノスケェ!!に殺されたショタの姉に転生しました。 作:シーボーギウム
感想評価ありがとうございます。
ちょっとリアルの方が忙しく、投稿ペースが遅くなるかもです。
今回の場所はUBWで凛と士郎が葛木先生と戦った所です。
「あ、が……」
蟲が身体を蝕んで行く。全身に走る痛みに耐えながら、男は必死の思いで蟲を操り、一人の少女を探していた。
「が、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
蹲り、血反吐を吐き、血涙を流しながら男はそれでも魔術を行使する。冬木の街を、無数の蟲が闊歩する。大通りだけでなく路地裏、はては郊外の居住地に至るまで。そうして己の身を削りに削り、ついに彼は少女を見つけた。
「待っててね桜ちゃん、直ぐに、助けに………」
朦朧としたまま呟く男の瞳は、妄執に囚われていた。
────────────
「直死の魔眼ンンンン!!?!?」
「やかましい、桜が起きるだろ」
シェヘラザードの真名とできることを伝え、一頻り立ち回り方を決めた私達は早速柳洞寺へと向かっていた。地下の大空洞に入るのは無理だろうが、調査だけなら可能だろう。直接調べられる訳では無いため時間はかかるだろうが、まぁそこも考えてある。
と、そんなおり、ついでだからと私のもつ能力やら何やらについて説明を始めたところ、これである。まぁ驚くのは分かるがそう大声上げるのやめろ。
「じ、実在したのか………!?それ都市伝説みたいなものだろ………!?」
「知らんがな」
まぁ言っても、多分日本中探せばあと二人位は頑張れば見つかるだろう。
「命を脅かさない限りは研究とかも手伝うよ」
「い、良いのか………?」
「私にとっちゃ、こんなもん思い出したくない
つくづく私の起源は私と相性が悪い。
と、そこでウェイバーは私が記憶ではなく記録と言ったことが気になったようだった。丁度いいと私は説明することにした。
「これはね、私の起源なんだ」
起源『記録』
前世を思い出すと同時に覚醒した私の起源。私という受動器が観測したありとあらゆる情報を、私は肉体と魂に記録する。今こうして適当に話している内容すら、私は何百年後になっても完璧に再現できるのだ。
「完全記憶能力みたいなものか……?」
「いや、少し違う」
完全記憶能力はあらゆる情報を
この起源のせいで、私は直死の魔眼を使う度に家族の最期と前世の最期の両方を問答無用で思い出してしまうのだ。
「本当、忌々しい起源だよ」
「………」
思えば昔から私はものを覚えるということが得意だった。いわゆる暗記科目とか言われるもののテストでは点を落としたことも無い。ただ、起源を明確に自覚した結果その性質は強くなっている。以前まではあくまで覚えるのが得意程度だったが、今では間桐邸から奪った資料を軽く見通しただけでその内容を完全に網羅出来る程だ。
「だから資料を貸出じゃなくて譲渡なのか」
「そういうこと……………止まって」
周囲を見回す。見る限りでは異変は無いが、微かに聞こえるこの
(キャスター)
(よろしいのですか………?)
(相手はバーサーカー、流石にライダーが一人で対処するには状況が宜しくない)
そう伝えるやいなや、私達の進行方向に黒いモヤが集まり、黒甲冑の狂戦士が現れた。仮に私もウェイバーも戦車に乗っていたならともかく、この状況では戦いに巻き込まれて死にかねない。
「ライダーが全力出せる距離まで離れるから時間稼いで!場合によっては令呪で呼ぶ!」
「了解しました。しばしお願い致します、征服王」
「よかろう」
ライダーが戦車に乗り、シェヘラザードが杖を構える。戦いが始まったのを見てから、私達は真逆の方向へ走り出した。
────────────
「な、なぁ!?こんなに逃げる必要あるのか!?」
「バーサーカーだけならね!」
柳洞寺という、冬木でも特級の霊地。そこへ向かう怪しい存在。そんなものを見逃してくれる程、この第四次聖杯戦争のマスター達は甘くない。そもそも、私はすんなりと柳洞寺に行けるとは思っていなかったし、ライダーやシェヘラザードもそうだろう。
「っ!前方に魔力!」
「桜を抱えといて……」
やかましい羽音が響く。まぁ来るなら一番だろうとは思っていた。懐から取り出すのはホームセンターで購入しておいたナイフだ。
「これに強化魔術かけられる?」
「それ意味あるのか……?」
「耐久性という意味では」
仮にナイフを蟲に壊されれば、後に控えているであろう相手で詰みかねない。
ウェイバーがナイフに強化魔術をかけ終える。それとほぼ同時に、薄暗闇の中から今にも死にそうな男が現れた。彼は間桐雁夜。目の前以外何も見えていない愚者だ。
「桜ちゃんを……返せ…………!!」
「断ると言ったら?」
「殺すッ!!」
蟲共が襲いかかってくる。そのキレも、数も、間桐臓硯に比べれば酷くお粗末なものだった。
ただ、間桐雁夜はまだ遠く、夜闇故に暗く、蟲共によって視界が遮られている。あの男に
(蟲を一掃するには十分か)
───────『
蟲共が次々と事切れ、ボトボトと地に伏していく。残ったのは間桐雁夜とその近くにいた極僅かな蟲だけだ。
つう、と目端を血涙が流れていく。
「お前、一体何をしたんだ………?」
「簡単に言えば、死の光景を頭に叩き付けた」
『絶死の偽眼』
それは私が持つ、サーヴァントで言えば宝具に値する切り札だ。対象を睨み付け、それによって脳に極僅かな時間だが「己は死んだ」と錯覚させる魔眼。出力によっては、これだけで人間は廃人になるだろうし、下手をすればサーヴァント相手でも数秒動きを止め、その後のキレを鈍らせることができるだろう。
そんなものを、魔術とはいえただの蟲が喰らえばどうなるか。簡単だ。その矮小な頭では「死の錯覚」という莫大な情報量を処理し切れず息絶える。
「間桐臓硯を殺したのは私だぞ?その完全劣化でどうにかできると思ったか?」
苦々しい顔をしているようだが関係ない。どう足掻いても、間桐雁夜がこの聖杯戦争で勝つことは無い。あとは精々が
「────殺してあげる」
駆け出す。それに呼応するように無数の蟲が襲いかかってきた。とはいえその総数はかなり少ない。すれ違いざまに、その胴体に走る死の線をナイフで撫でていく。切断され、汚らしい液体を撒き散らしながら墜落する蟲に目もくれず、私は前へ前へと間桐雁夜のもとへ突き進む。
そうして、あと数メートルというところで、私はその場を飛び退いた。
パァン!!
数瞬遅れでその場に響いた乾いた音。砕けるアスファルトがその威力を如実に伝えてくる。
パァン!!
「ぐ、あ゛ぁああ゛あぁぁあ!!?!」
二度目の銃声、そしてその後の叫び声。今度は私ではなく間桐雁夜を狙ったものだった。どうやら空中にいた蟲によって弾道がズレたらしく、本来ならば脳天をぶち抜いていたであろう弾丸は片耳を吹っ飛ばすだけにとどまっていた。
ほぼ間違いなく、衛宮切嗣。あるいは久宇舞弥か。
(恐らく、あと少しすればセイバーとアイリスフィールも来る………)
極論そこでアイリスフィールを殺せば私の目的は達成できる。そこに戸惑いは無いが、実際それが可能かと言われればそうでは無い。その上、下手をすればライダー陣営を除く他全ての陣営から恨みを買いかねない。衛宮切嗣の所在は知れず、次の狙撃が誰に向けられるかも分からない。後からセイバーが来てしまう可能性からこの場を離れるのもリスクが高い。
「
命令を口にする。一画目の消費。問題ない。最悪使い切っても、目的さえ達成出来れば私達にとっては勝ちだからだ。
背後に現れる気配。令呪は問題なく作用したらしい。目を向けることなく、ナイフを持たない手でウェイバーと桜を指差す。
「その二人守って!!場合によっては宝具も可!!」
返事を待たず、私は前方で悶える間桐雁夜の股間に向けて蹴りを入れた。泡を吹き倒れようとする間桐雁夜の懐に入り込み、その体を肩で担ぐ。刻印虫にやられた身体は思っていたよりも軽い。そのまま間桐雁夜の身体を盾代わりにし、銃弾の飛来した方向へ駆け出した。
恐らく、衛宮切嗣は雑木林の中にいる。夜で視界はまともに機能しないが、私には死の予感がある。銃口が向けられた瞬間その大まかな位置は把握できる。
パァン!!
銃声。おおよそ11時の方向、距離は恐らく80m程。軽く進路を変え、なお止まることなく突き進む。
パァン!!
二発目。再び11時の方向、距離60m程、恐らく移動しているのだろう。間桐雁夜の左腕にヒット。辛うじて繋がってはいるがその内ちぎれるだろう。身体にかかる血液の感触に表情が歪む。
パァン!!
三発目。12時の方向、距離40m程。間桐雁夜の右足の膝から下が無くなった。ここまで近付けばもう要らない。乱雑に間桐雁夜を捨て、銃声の方へ走る。今日は月が綺麗だ。おかげでこの暗闇に目が慣れた。
次の瞬間、私の体に突き刺さる無数の死の予感。その順番を記録し、一つ一つを確実に回避する為のルートを模索する。
ダダダダダダダダ!!!!
先程とは違い連続する銃声。木々を盾にし、転げ回り、身を捩って回避する。いくつかの弾丸が掠め、私の身体に傷を作っていく。木片が砕け散り、土が舞うのを間近に感じながら、数秒。
「見つけた」
距離、5m程。私は衛宮切嗣の姿を捕捉した。
私自身の思想が反映されているので当たり前っちゃ当たり前ですが、識姫は間桐雁夜が嫌いです。
感想評価ありがとうございます(先打ち)