鉄壁の城門は開かれた。
妖精騎士ランスロットを退け、妖精騎士ガヴェインを仲間に引き入れキャメロットに入城した。
そこに待ち受けていたのは、妖精國の女王モルガンだった。
女王モルガンはたしかに強敵だった。だが、それを倒すことに成功した。
はずだった・・・
一人の仲間が予言の子をかばいきえた。
そして、聞こえるのは倒したはずの女王の声。
「良い仲間を持った。その一点だけは私に比肩するよ、アルトリア。
―それも、まず一匹消えたが。次は……そら、私の首を狙ったサーヴァントが消えた。
次はこちらにいる一匹を消そう。パーシヴァル。おまえがいいな」
強力な攻撃が来る。それをマシュがとっさに防ぐのを見届けると自分は空を見上げた。
そこには間違いなく倒したはずの女王モルガンがいた。
「まさか、私を一体倒しただけで終わり、などとおもったのか?
だとしたら、私の教育が甘かったと自省しよう。妖精國を穏やかに治めすぎた。
魔術師であれば自分と同等の分身などいかようにも作り出せる。空を見るがいい、お前たちの現実を思い知るときだ」
それは、嵐だった。空に現れた無数の女王は容赦なく、地上を焼き払った。撤退しようと来た道を振り返るとすでに壁になっていた。建物に逃げようとした人は、女王によって丁寧に焼き殺された。舞台の幕は唐突に下ろされた。自分たちの決死の一撃も届かない。終末の時が近づいていた。
「……ふん。あるいはと懸念したが、マーリンの助けはないようだ。
そうつぶやく女王を、ただおぼろげな視界で傍観することしかできない。そして、自分は、地に倒れ落ちた。
「ぁ……あ、あーーみんなーーみんなーー」
彼女の声が聞こえるだが自分にできることはもう何も残されていなかった。
「そうだ。皆、お前の愚かさによって死ぬ。さしたる覚悟もなく、勝算もなく。誰も信じないまま、ここまでやってきた。未熟な楽園の妖精。予言に踊らされた我が同胞。誰もお前に感謝はしない。誰もお前に手を差し伸べない。報いる者もいない。讃える者もいない。幸福を分かち合うものもいない。ひとり血に塗られた丘で息絶える。汎人類史のおまえのように」
「―――」
「ブリテンを救う。それを目的にした時点で、予言の子の運命は決まっていた。既に死んでいるものを救うことはできない。お前が戦うべきは私ではなく、お前を駆り立てる使命だったのだ」
女王が言い放つと魔力の収縮を始めた。それでもまだ、あきらめない、あきらめてなるものか。結末はまだ誰の手によっても決まってないと立ち上がろうとした時それが起こった。
「消えた」
女王が唐突に姿を消した。そして風に乗って響く声が聞こえた。
『……ますか。……この声が聞こえますか。私は風の氏族の長、オーロラです。戦えない私にできることは、このくらいしかありませんが……。どうか、この声が届きますように』
そして告げられたのは、妖精國の真実。
女王モルガンの正体。女王モルガンの目的。女王モルガンの作り上げた国の真実。
『妖精たちは彼女の私利私欲のために使役され、そして苦しめられてきたのです。』
そんな宣言は、どこか違和感があるそんな気がして。
「とにかく今は早く玉座に向かわないと、何か嫌な予感がする」
彼女がそう言った後、空気に振動が走った。
「これは風の報せ?」
「いや違う、魔力が違うし、これは魔術だ。妖精は基本的に魔術を使わない」
戦争中だとは思えないほど静寂が支配する世界の中、耳元を吐息が掠めるような音が聞こえる。周りの兵士達がまたオーロラが何を言うのかと耳を澄ませる。しかし、そんな兵士たちの予想は外れ、彼女の推測が当たった。
『あー、マイクテストマイクテスト、ワンツーワンツー』
聞こえてきたのは、さっきまで聞こえたオーロラの声ではなく、緊張感が抜けた声だった。突然聞こえてきた誰かもわからない少女の声に人々は耳を澄ませた。
『ごきげんよう、妖精國の皆さん。今日は、良い知らせと悪い知らせと大事なお知らせがある。良い知らせは、女王モルガンは死んだということだ。冬の時代は終わりを告げた。よって戦うものは今すぐ剣を収めてほしい。これ以上戦う理由も意味もない。冬の玉座をめぐる戦いは終わった』
モルガンは死んだその知らせは妖精たちを驚かせ、歓喜の声がこだました。だが続く言葉に歓喜の声は静寂に変わった。
『続いて悪い知らせだけど原初の罪が君たちに迫っている。君たちの心の中に残る原初の罪にして大厄災、それによって君たちのブリテンは滅びる。その時が刻一刻と近づいている。覚悟を決め抗うか受け入れるかそれは君たち次第だ。だが、もし償おうと思うものがいれば僕に力を貸してほしい』
その言葉を多くの人々は困惑した表情で聞いていた。ただ、胸の中にしこりがあるような違和感をもっているようにも感じていた。
『君たちの物語は悲劇で終わろうとしている。それは事実であり必然でもある。僕はそれが許せない。あの少女が願ったものはこれではないと僕は知っている。君たちはどうだろうか?君たちが築いてきた美しい妖精國が大厄災にあっという間に滅ぼされることをどう考えるのだろうか?自分には何もできないと嘆くのかどうでもいいと投げ捨てるのか自分さえ生きていれば関係ないと考えるのだろうか。もしかしたら、耳を塞いで頭を抱えている間に全部解決してくれればなんて他力本願を本気で願っているのかもしれないね』
その声は世間話のように妖精國の住人に話しかける。ただその口調とは裏腹に妖精國の住人には何も期待していないという思いが込められているようにも感じた。
「――ちがう」
それは一人の人間の兵士の口から転び出た言葉だった。弱々しく掠れた、自分自身にすらはっきりと聞こえないような声だった。だが、
『違うでしょ』
少女の声は、それを見て聞いていたかのように力強く同意した。
『少なくとも、誰かのために行動できるものがいる、自分自身を理解し変わろうとする者がいる、報われないと知っていても走り続ける者がいる。この世界は変えられる、変えようという意思がある。それだけで、悲劇で終わるような物語ではないと断言できる』
「――――」
『だから僕は戦う。戦って幸福に導こう。だからみんなも手を貸してほしい』
少女の思いは伝播していく。胸の奥が熱い。体が身震いする。感情の波が人々の心を呑み込んでいく。
『最後に大事なお知らせだ。僕の名前はマーリン。終末の果てよりやってきた真の王、君たちの世界を幸福に導く者、そして、君たちが描いた物語を受け継ぐ者。僕に力を貸してくれるなら僕に与えられた全てを使って君たちに報いよう』
少女が真の王であるという宣言は妖精たちに衝撃を与えるのに十分な言葉だった。
そして、希望と信頼が爆発的に広がっていく。それは、ブリテンを震わせるほどの熱気を生み出すほどだった。
『あと、カルデアの人達と預言の子はすぐに玉座の間に来てください』
ただ、演説の終わりは学校で人を呼びだすような締まらない終わりだった。
バルバトスの討伐数198本あと2体頑張れなかったのか
あと、バレンタインイベの6章組楽しみ。
・終末のカリスマA
終末王マーリンが有している特殊なカリスマ性。
そのカリスマをもって人々を先導した。
王や指導者に必須ともいえるスキルであり、一国の王としてはBランクで十分とされる。
Aランクともなれば人として最高位のカリスマ性を持ちマーリンはこれをなぜか天然で持っている。