魔法科高校の優等生(仮題)   作:Aruka

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 OPの『Rising Hope』を聞いていたらつい書きたくなってしまいました。若干後悔はしています。
 原作をそこまで深く読み込んではいないのでもしかしたら矛盾点等があるかもしれません、なるべく無いようにはしていますがあった場合は、可愛くツンデレっぽくそして可愛く注意してくれると嬉しいです。
 こんなモノですがよろしくお願いします。


プロローグ

 魔法。

 

 それは、彼にとっての救いであった。

 

 

 武術の名門である『沖田』家の次男として生を受け、物心がつく頃にはすでに武術という術を習い始めていた。

 彼には才能があった。

 所謂天才というモノであった。

 

 彼の才能は留まる事を知らなかった。

 

 幼い頃から武だけではなく名家としての気品や佇まいを教えられ、所謂英才教育のを受け成長していく。

 いつしか、同年代の中では良い意味でも悪い意味でも早熟した子供として幼少期を過ごしていた。

 

 武を修める行為に疑問を抱いたことはない。

 最初こそ親の為すがままに鍛錬を積んでいたが、年齢を重ねていくにつれ、自分が成長しているといった実感がわき、武を磨くといった行為が楽しくなっていたからだ。

 早熟な彼の心は、闘うという行為に喜びを見出していたのだ。

 

 

 

 彼は魔法を扱う技能を磨かなかった分けではない、魔法という産物が現代において当たり前の技術となった時代、魔法の重要性を幼いながらもきっちりと理解していたし、聞かされていた。

 

 天は二物を与えず、というわけではないが魔法師としての才能も持ち合わせていた。ただ才能に数字を付けて比較するならば、圧倒的に武術の才に秀でていた。

 ただ武と魔法では武のほうに大きく比重を置いている。

 

 きっと自分は武術家として生き、死ぬまで武を磨き、闘い続けるのだろう。

 そう漠然とではあるが自分の将来設計に疑問の余地を挟む事は一切なかった。

 それが十歳程度の子供のことであったが、周りの門下生や親や祖父などはその旨を聞いても真剣に聞き、きっとそうなるだろう、と予想することができるほどに彼の武術家としての腕前は成長していた。

 

 

 武に関しては順風満帆に、魔法は父方が優れていたので、その指導を受け時には梃子摺りもしたが、概ね順調に過ごしていた彼に初めての試練が訪れた。

 

 そこで初めて越えられない壁を彼は感じてしまった。

 

 それは彼が初等部を卒業した際に、必ずしも沖田の子供なら通らざるを得ない仕来り。

 

 それは現沖田家十九代目当主であり、魔法を含まない純粋な武術家として世界最強候補の一角である祖父との模擬試合であった。

 祖父は齢六十五歳にして未だ現役の武術家であり、筋力こそ全盛期からすれば衰えているが技の冴えは全盛期だった頃を上回っているとの事。

 そんな武の頂に近い人物と手合わせ、といった行為に巨額の金を動かす武術家もいる。その中でそれを無条件に受けられるというのは、血筋だからこそ為せる贅沢であり権利である。

 

 今まで祖父との手合わせは一切行ってはこなかった。

 いくら血縁者であるとはいえ、いつでも当主と闘える訳ではない。

 この試合で結果を出せなければ、もう二度と当主とは手合わせできない。

 そういう意味ではこれはチャンスでもあり、才能がない者にとっては転機となる試合でもあるのだ。

 才能がなく見限られてしまった者は、他の道を歩んでいく。勿論今までの子供の中にもそういった人物は存在している。

 しかし既に、一武術家として認められつつある彼にとってこの試合は一つの予定調和として、すんなりといくと思っていたし、周りの人間もそう信じて疑ってはいなかった。

 

 

 試合は血縁者のみの立会いで行われる。

 一般の門下生などが使用する館とは別の館、選ばれた人間(一部の高弟や特別な来賓等)しか入ることのできない本館と呼ばれる場所で試合は行われようとしていた。

 

 

 祖父と彼が本館の中央で対峙する。

 静寂が場を包む。

 祖父の気迫が彼を容赦なく攻撃する。試合が始まらなくてもわかる、祖父は強い。当たり前のことではあるが、それを改めて確認できたことが彼には少し誇らしかった。

 

 一部の熟練した武術家は相手を見ただけである程度相手の実力がわかるという。重心や身体の動かし方が日常生活の範囲でさえもはっきりと武術家と一般人では違ってくる。

 これがわかるようになれば一人前だな、とは母の談。

 しかし例外も存在する。あまりにも実力差があると相手の力量が見えてこない、それは自分の知っている実力の常識外に相手が存在するからだ、とこれも母の談。

 つまり、これは信じられないことではあるが、彼と祖父の実力がそこまで離れていないということ、まだ彼の常識の範囲内に祖父がいるということになる。

 まだ十二や十三歳にして、既に最強の一角である祖父の領域に彼は脚を踏み込んでいる。

 

 そのことが祖父にもわかったのだろう、祖父も一瞬だが表情を和らげた。

 武に関しては厳格である祖父であるが、家庭内ではまだまだ孫である彼には甘い、そんな一面が僅かではあるが垣間見えた。

 

 一瞬の団欒、そして二人は構えをとる。

 試合は行われる。

 立会人である母は試合の始まりを告げる言葉を発した。

 

 「......始めっ!」

 

 世界最強の一角と天才児の試合の火蓋が落とされた。

 

 

 

 昨日の試合の内容は血縁者しか知らない。

 

 

 この日から祖父が彼に武を教えることは一切無かった。

 

 

 

 彼は祖父との間に才能の壁を感じてしまった。努力では覆すことのできない、大きく理不尽なまでの才能の壁。

 彼に天性の才能があったからこそ、祖父との間に大きな才能の差が見えてしまった。

 

 

 闘うということに心を奮わせていた、早熟した精神に年齢がわからなくなるような落ち着いた態度を普段は取っている、しかし心の奥では戦闘という行為に喜びを感じていた。

 

 

 最強の一角である祖父をずっと目指していた。祖父の口から語られる武勇伝がとても大好きだった。

 その目標ともいえる祖父との間に大きな壁を見つけてしまった。

 

 

 同じ力量の人たちと切磋琢磨し己を磨くことが大好きだった。

 

 

 いつか闘うことができなくなるのだろうか、自分の成長が感じられず闘うことで心が振るわなくなってしまうのだろうか、そう考えたとき初めて恐怖が背筋を大きく震わせた。

 

 

 

 

 

 魔法。

 

 それは、彼にとっての救いであった。

 壁を感じてしまったあの日から、心を奮わせ闘い、自己を磨き続ける為に編み出した処世術。

 徹底した才能主義、残酷なまでの実力主義、そんな現代の世界で磨き、闘い続ける為の手段。

 

 

 やがて彼は成長し、魔法科高校に入学する。

 

 八枚花弁のエンブレムを胸に付けて。

 

 ━━━実りの多い高校生活になりますように

 

 そう思いながら『沖田の鬼才』沖田(さき)は国立魔法大学付属第一高等学校の門の中へ一歩足を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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