「うふふ・・・。さぁわたくしと天様の子供達―――アミダよ。穢らしい醜魔族を皆殺しにしておしまいなさいっ!」
人間の集落へと赴いたエヴァンジェは、その言葉を皮切りに頬を朱く染めて狂気的笑みを浮かべ、両手を左右に目一杯広げると下の穴から、上の穴から、後ろの穴から、前の穴から、文字通り全ての穴から自身と覇風の御子と認識している『AMIDA』を放出させる。
放出されたAMIDAは、母体であるエヴァンジェから離れて師団規模に匹敵する総数で門番兵だと思われる一人の男に突貫していった。その際、AMIDAは放出された順番に堆積を肥大化させて、1ミリにも及ばない全長から2メートルへと巨大になっていった。
師団規模に及ぶ数で迫られてしまった番兵は為す術もなく、悲鳴を上げながらひかれてしまう。しかも、番兵が引かれた時に一体のAMIDAが、その身を爆発させて一緒に天へと召していった。自爆を行ったAMIDAに、回りにいた数匹のAMIDAも道連れに成ってしまったのだが、それは自爆のご愛嬌といえるであろう。
数体のAMIDAを数秒にして失ったものの、師団規模に成り得るであろう数には少しも被害を受けていない。と言うようにAMIDAは己を帰り見らずに人間の集落へと侵攻を開始する。
◇◇◇◇
集落へと続く門を数十体のAMIDAが押し倒す。押し倒したAMIDAの上を、後ろにいたAMIDAが伸し上がって我先へと前に六本の足を進める。
一方人間の集落はと言うと、番兵から聞こえた魔獣襲来の知らせをほとんどの人が聞いていて、力なき女性と子供は家の中に退避、力ある男性は農具や剣をもって集落の警備兵と共に魔獣へと備えていた。
武器と武器に成り得る物を持って、魔獣を退治するために体を張って出てきた男たちは驚愕する。それは何故か。想像してみてほしい。体長2メートルほどの六目六本足の見たことも聞いたこともない生命体。その意味不明な生命体が、無数の数を率いれてこちらに向かってきているのだ。驚愕しないはずがない。
武器を持つ男たちに突進をしていたAMIDAを観て、内一人が恐れをなして悲鳴を上げながら武器を手放し、逃げる場所がないのにも関わらず逃走を図る。
その一人による悲鳴のせいで、男たちは心身を狂わされたのか、共鳴を起こして逃げる者や絶叫を上げながら立ち向かっていく物が現れた。
男たちが、確実に理性を失い様々な者が出始めてから数分の時が過ぎていた。
「イヤァアアアアアアアアアアアっ!!!」
人間の集落が混乱に次ぐ混乱で、家にいるはずである女性や子供達が外へと出てきており、右に左へあっちにこっちと逃げることに頭をいっぱいにして足を動かしていた。
今、悲鳴を上げた女性は両手を忙しなく動かして、まるで周囲を飛び回るハエを追い払うかよの様な動作をしている。何故そう言う動作をしているかと言うと、これがまた面白い。悲鳴を上げた女性の回りを、三体のAMIDAが綺麗な円を描いてぴょんぴょんと飛び回っているではないか。
そして、女性が腕を振り回して周囲をAMIDAが飛び回ること2分程。片腕が三体の内、一体のAMIDAに偶然当たってしまう。腕が当たったAMIDAは、その衝撃で爆発してしまって、悲鳴を上げた女性と残り二体のAMIDAを道連れにこの世を去ってしまった。
「来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁぁぁぁっ!!!?!?」
勇敢にも、両手に銅で出来たロングソードを持ってAMIDAへと攻撃する者がいた。
怒涛を上げて、後ろを向いていた一体のAMIDAに斬りかかる。ロングソードが一体のAMIDAに触れると同時に爆発する。なんと呆気ない。
「ぐあっ! た、助けてく――――――」
逃亡を図っていた男を、軍隊にも勝る程の数を持つ一体のAMIDAが、その姿を発見した。
AMIDAは逃げる男を跳ね跳びながら追いかけて男の背中に、六本の足を器用に引っ掛けて、抱きつく。抱きつかれた男は、反動で地面に転んでしまう。
男が抱きつかれた際、AMIDAから小さな可愛らしい『チュー』と言う泣き声が聞こえたはずであるが、如何せん男の心情はそんな所ではなかったので聞いては居なかったようだ。
地面に転んで数瞬後、男は助けを求めるために声を上げるが、それよりも速くにAMIDAが自爆してしまったために、言い終える前に死んでしまったのはしょうが無いことだ。
「びぇぇぇぇぇん! おかーさぁぁぁああん! おとーさぁぁぁぁあんっ!!」
回りの人間が混乱に陥って、訳もわからず自身の両親を泣き叫ぶ幼女がいた。
両手を目において、鼻水や涎などをまき散らしながら幼女らしい泣き方で、喚く幼女。その正面には一体のAMIDAが存在していて、じっと沈黙しながら幼女を六目でナニもせずに眺めている。このAMIDAは紳士なAMIDAと名付けよう。
様々な方法で自爆―――もとい、人を殺している中で他のAMIDA達はと言うと、集落に点々と有る住居の屋根に数十体で飛び跳ねてその衝撃で家が倒壊し、中にいるAMIDAが押しつぶされて爆発され、押しつぶしたAMIDA諸共天へと召されていくAMIDAが多数いた。さらに、自分はやることが無いと言いたげな感じで、そこらへんをゴロゴロと転がっているAMIDAや、ただ飛び跳ねているAMIDAなどが居た。
◇◇◇◇
AMIDAが人間の集落を襲って自爆している中で、血や人肉等が散りばめられている場所を悠々と清らかに、自然体で歩く人物がいる。
「うふっ、ふふふ。これが、わたくしの―――わたくしと天様の子供達、アミダですわっ!」
不気味な笑い声と共に、AMIDAが爆発し中位の穴が出来た所を易易と足を進めている全身装甲のエヴァンジェ。
AMIDAによる殺戮を流し目に見て、高々と自慢するように声を張り上げる。この姿を人間が見れば『魔獣だ』と口々に言って敵対行動をするが、生憎AMIDAと言う絶望を味わっているために魔獣だなんだと言っている暇はなかった。
「おがーざぁぁああああん!! おどーざぁぁぁぁああん!」
血の匂いや、人の肉とAMIDAの肉が集落を満たせて歩いていたエヴァンジェは、座り込んで泣き叫ぶ幼女と、それを只黙って見守るAMIDAを発見する。
「あら? 駄目ですわよアミダ。醜魔族は、例え子供であろうと老人であろうと皆殺しにしないといけませんわ」
エヴァンジェは『お母さん。お父さん』と連呼し、色々と垂れ流している幼女に近づいて、愛おしそうに抱き上げる。
抱き上げられた幼女は、また変なのが来たと恐怖して甲高い泣き声をさらに高くして泣く。
幼女を胸の高さへと持ってきたエヴァンジェは、そっと装甲で覆われた手を幼女の首に掛ける。首に書けた手に力を込めて、少しづつ息の根を止めに掛かり、幼女は奇怪な声を上げながら頭と胴体にさよならをした。それを眺めていた紳士なAMIDAは、何の感傷もなく家を倒壊させて内にいるAMIDAを爆発させているアホなAMIDA達に飛びながら参加していった。
「・・・はむ。あむ、じゅるじゅるるるるっ。・・・ぷはぁっ! これが醜魔族ですか、くそ不味いですわね・・・・・」
あろうことか、頭だけになった幼女をそのまま口へと運び咀嚼しているエヴァンジェ。
頭部だけを喰った後、『くそ不味い』と評して投げ捨てる。そして、血で染まった口元を腕で拭い、回りを眺める。
「うふふ、さすが私達の子供―――アミダですわぁ。・・・・・・うふっふふふ」
すでに無残な有り様へと成り下がってしまった人間の集落。その様子を見て、エヴァンジェは頬を染めてゆっくりと自らの腹を撫でる。
絶望を知った人間は、すでに存在しない。これにより首輪付き同様、復讐の一歩を遂げるエヴァンジェは何を思うのか。
自爆って、男のロマンですよね。
戦闘描写を簡単に書きすぎ? ごめんなさい。自分にはこれが限界なんです・・・。