AC好きは、異世界でナニを為す   作:ヴェルクマイスター

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エヴァンジェ視点。


第十五話

 

 

 憎い、醜魔族。憎い、仲間。憎い、わたくし。

 

 

 

 

 わたくしの育ちは極めて裕福です。

 逞しいお父様に愛らしいお母様から授かった、わたくしの大事な体。

 でも、不満もありました。ありきたりな日々の毎日。我が蟻蜘蛛族としての礼儀や作法。

 どれもこれも一の見方で、何も有りはしない。ただ単純な世界の回り方。

 わたくしの一族である蟻蜘蛛族は、はるか昔に四億を超える総数を誇っていたとお母様から聞きました。ですが、四億を超える我が一族は古代に起きた戦争で数を減らしてしまったようです。聖王軍勢と・・・えぇと、なんでしたっけ。まぁいいですわ。

 その戦争は、我が一族が参加している聖王軍勢が勝ちました。さすがに大勝利とはいえないようですが・・・。

 わたくしの一族が戦争によって数を減らしてしまった時、聖王はこうおっしゃったそうです。「来るべき時までに、自らの種を存続させよ」と。意味がよく分かりませんが、来るべき時はもうとっくの間に終わったのではなくて?

 ここまでがお母様から聞いた話です。何がおっしゃりたいのかよく分かりません。わたくし学ぶことは得意なんですが、これだけはわかりません。お母様は判る時がくるかもしれないと言うばかり。こんな不変で永劫で永遠な世界で、ありえるはずがない。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 曲がりもしないわたくしの世界。いつしか外へと向きだし始めました。

 思い出しが吉日。わたくしはお父様やお母様、住みどころを共にする者達から避けるように理想へと足を踏み入れました。

 目に映る物は全て新しく、新鮮でこんなにも世界は美しかったのかと思わせるほど、輝かしい見聞でした。

 数日間、わたくしは景色を眺めることで頭がいっぱいでした。途中で足が二本、腕が二本の奇妙な生物を発見して、世間的な挨拶を行いました。

 二足歩行の不思議な生物は訳の分からない言語で話しかけてきたので、とりあえずわからないと頭を傾げていると、いきなり襲い掛かってきました。

 反撃はしたのですが、全くと言っていいくらい平気な顔をしていたので助けを求めに皆の元へ急ぎ足で帰りました。お父様やお母様、皆が訳の分からない生物を追い返して、わたくしを説教しました。あの生物は醜魔族で非道な輩だと。

 皆から怒られてしまったわたくしは、絶対に曲がらない自身の世界だと思っていた自らの意思に、一筋の温かいなにかを感じました。これは良い、わたくしにはそれが必要なのかもしれない。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 時間的には一週間程でしょうか。わたくしの心に感じた温かいナニカを求め続けました。その度に皆から怒られてしまい、心が満たされました。

 わたくしの心が温かい感情で満たせれていると、醜魔族が来ました。それもたったの10万程度で。

 ・・・・・・そんな人数で勝てるとでも思っているのですか。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 な、なんで・・・。なんで血だらけなのですか、お父様、お母様。

 皆も! 木も! 土地も! 我が一族がっ!

 なんで負けるのですか!? どうして手加減するのですか?! どうして勝てないのですかっ!!!

 追い払ったではありませんか!? 楽勝だとお父様言っていたではありませんか!!

 何故っ! 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故――――――――

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 わたくしは愚か。情けない。愚図。

 このきっかけはわたくし自身。ほんの僅かに残った我が一族と逃げては、死んで逃げては、死んでの繰り返し。

 誰か、わたくしを褒めてください。

 

 

 我が一族が残り20程になってから、長い月日が経ち、迫り来る恐怖に、わたくしを含めて皆が怯えている毎日を送っていました。

 そんな苦痛の日々を体験していると、突然にものすごい強大な力・・・みたいなものを感じました。

 白くて巨大な姿と強大な力を感じる生物は、慌てているわたくし達を気にせずに話しかけてきます。・・・・・・合わせたい人物がいる? すべてを与えてくれるかもしれない? ・・・そんな馬鹿な。いや、もしかしたらお母様が言ってた天様かもしれない。

 わたくしたちの主である天様。あぁ天様。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 崇高なる天様。わたくしは生きていて、この世に生き残れたことに感謝します。

 わたくしのせいで何もかも失った我が一族。それなのに、なにもかも与えてくれます。食べ物も住みどころも、何より力を。

 あぁ! アミダ! わたくしと天様の御子! アミダ! アミダ!

 すべてを救ってくれた天様と、全てを殺してくれた我が子アミダ!

 愛しい・・・、今までよりも。天様、わたくしは愛らしいですか?! アミダ! アミダ!

 

 

 

 あぁ。美しいわたくし。愛おしいわたくし。可愛らしいアミダ。この身全ては天様のためだけに。

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