俺はNTR展開絶対見逃さないマン……孤高の男…… 作:NTRスレイヤー
○NTR展開絶対見逃さないマンの作り方
①:好きな女の子を用意します(対象が女性の場合は男性でも可)
②:付き合う、ないし付き合う直前くらいまで仲を進展させます
③:下半身で物事を考えているような人物を投入します
④:あとはなんやかんやすれば全てのNTRを憎む存在が出来上がります
⑤:そんな彼ないし彼女に純愛の素晴らしさを伝え、同時にNTR作品を適度に与えましょう。シチュエーションが似ているものであればなおグッド。ここで脳が破壊されてしまうのであればマン足り得ません。心を鬼にして作業しましょう
⑥:暫く繰り返すと世界そのものを憎しみ始めますので、その憎しみをNTRという行為そのものに向かうように誘導しましょう。ここが育成者としての腕の見せ所です
⑦:上手い具合に憎しみの対象がNTRそのものに向いたらラストスパートです。ここで心を鬼にしてNTR作品を大量投入。■す相手の思考をトレースできるように、徹底的に奴らの手段を叩き込みます
⑧:できあがり。ある種の寝取り側でもある彼等は、徹底的な英才教育によって生まれるのです。そう、いわば『光の寝取りおじさん』!『寝取り』という行為そのものを
「………なにこれ!?」
謎のパンフレットを貰った女性(見た目はロリ、年齢は不詳)が顔をガバッ、と上げて抗議の視線を送る。
まぁ無理もない、彼の精神を立ち直らせたのは彼女──つまり、このパンフレットの内容を実践したのは彼女、ということになるのだから。
無論、彼女からは反論の言葉しかない。
「私からやれだなんて一言も言ってないんだけどっ!?全部自主判断だったわよね!?というかこの内容だと、私の壮大なマッチポンプになってるんだけど!?」
「……くくく」
「いやくくく、じゃなくて!」
まぁ、とはいえ。
居酒屋でのこうしたぐだぐだとした会話も、回数を数えきれなくなって久しい。
変な方向にとはいえ、こうして元気な顔を見せてくれるのであればまぁ、いいか。……なんて風に思う、ちょろい女性なのでありましたとさ。
……なお、このパンフレットは、彼が場を和ませる為に作ったものだそうな。
無論、「和むかっ!!」とツッコまれるわけなのですが。
○りざるとがめん、てきな
「そういえば、この間の子達。あれからどう?」
女性からの問い掛けを受け、彼は暫し思案してから口を開く。
「片方はなんだか逞しくなり始め、片方はなんだか頭が花畑と化しつつあるから大変だ」
思い浮かべるのは二人。
片方は状況が状況だったからか、
対してもう片方の少女は──長年の片思いが報われたが故に、ツンデレな気質が完全に反転して、今やどろどろのあまあまのデレデレである。……こちらはこちらで別の意味で心配である。頼むから大人しくしてくれ、が彼の偽らざる思いだ。
「……あー、自分から火に飛び込んだ子と、自分から着火してるような子ってわけね」
「言い方……」
そうして話題にあげれば、目の前の彼女から返ってくるのは、微かな苦笑とちょっと辛辣な評価。
……後者に関してはまさに、幸せそうであればあるだけ
元々割りと迂闊なところのある彼女なので、要経過観察なのであった。
「事実でしょうに。……まぁ、元気ならいいんじゃない?」
「どうだかな。元気になればまた誰かが目を付けないとも限らない。……大人しければ対象外かと言われれば、それもまた違うんだろうが」
「あー、地味な子がちょっとイメチェンしたら引っ掛かった、なんて定番中も定番……ちょちょちょ、コップ割れる割れるっ」
その事を話す内に、奴らの標的になりやすいタイプについての話に、内容が変わっていく。
……元が地味目なタイプは自分が注目される、という可能性について想像すらしていない為、イメチェンした時にどれほど危ない橋を渡っているのか気付いていない。
NTRだけで済めば実はまだマシ、そこから更なる転落すらも起こり得る……みたいな事を考えていたせいで、彼が気付いた時には、手にしたコップは砕け散ってしまっていた。
握っていた手の平に血が滲むが、こんなものはかすり傷なので放置。
そのまま、彼女との会話に戻る。
「ああ、すまない。ちょっと持病のぶち転がしたい病が」
「……外で取り繕えるだけマシ、かしらねぇ……まぁいいわ。店員さんすみませーん、コップ割れちゃったんで代えをお願いしまーす、弁償代はお会計に纏めてお願いしまーす」
……手際よく店員と話をする女性を見て、男はふと懐かしさに襲われる。
そういえば、アイツも手際は良かったけけけけけけけけけけけけ
「……うぉわっ!!?ちょ、なっ、血涙!?わわわわ取り繕えてない!全然取り繕えてないじゃないのアンタ!?」
「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺」
「うわぁっ!?こっわ!!?」
……騒ぎすぎて店から追い出されるのも、時間の問題だった。
○いわゆる師匠枠。本題になれないタイプの人
俺はNTR展開絶対見逃さないマン……孤高の男……。
孤高でなければならない理由が一つある。
これは俺が師より賜りし一つの真言。
───打倒すべき相手に隙を見せるな。
他者との関わりは、時として隙となる。
特に、好ましい者達との関わりは、相手が彼等を人質に取った時、事態を悪化させる切っ掛けになりかねない。
故に、孤高であれ。
荒野を行くに、連れ合いは要らず。
元々、闇を以て闇を征す悪の者。馴れ合いは必要ない、この身には、安息はない。
「……ない、んだ……むにゃ」
いつもの険しい表情も幾らか解れ、何事かを呟きながら泥酔して眠っている彼を愛おしげに撫でる女性は。
今は公園のベンチの上で、彼に膝枕をしてやっている最中である。
「まーったく。使命や理想に燃えるのは良いけど、それで身を滅ぼしてちゃ世話無いぞー、だ」
そういう生き方でしか、己を支えられなかったのは知ってるけど。
小さく表情を曇らせて、女性は空を仰ぐ。
都会の夜は、空の星を隠す明かりに包まれている。
──大きな明かりによって、小さな明かりは掻き消されているけれど、それは決して、小さな明かりが存在しないことにはならず。
小さな明かりを取り零さないようにするには、とにかく目を凝らさなければならない。
それをどうにかしようともがく彼は、どれほどの負担をその身に強いているのだろう。
「……はぁ。なんというか、嫌になるわねぇ」
自分には、そういう立ち直らせ方しかできなかったけれど。
仮に、もっと他の道を提示できたのなら、なんて事を時々思ってしまって。
……相手はもう、大の大人だと言うのに。ついつい、気にしてしまうのだった。
「嫌になる、と言えば」
こうして、人気のない夜の公園だと、
……展開的にNTRではないからか、膝上の彼は感知できなかったようである。
まぁ、別に私とコイツは付き合ってるわけでも無いしなぁ?なんて笑って、彼を優しくベンチに寝かし直す。
その間に彼女達を囲う男の数は増えていって──ちょっとした学校の一クラス分くらいの人数が集まっていた。
「いや暇か君ら?……いや暇か。まぁ、下半身で思考してるようなのなら、こんなもんよねー。群れ方も獣みたいだし」
目蓋を閉じて、ふむとため息。
どうしてこうもこの世界はアレなのか、と嘆息を漏らさずにはいられないが、向かってくるのならば対処しなければならない。
故に朗々と、相手に語りかけるのだ。
──さて、それではご清聴。
NTRの一番の罪深さは、それが
意味がわからない?
そもそもの話。人間に限らず、時間という縛りの中で生きるということは、一瞬前の自分に立ち返ることはできない、ということでもある。
──生き続ける限り。生命は必ず、一瞬前の自分を殺しているとも言い代えられるわね。
その不可逆性を念頭に置くのなら──
あとはまぁ、単純明快。
──それが望ましい変化でないのなら。
それは完全な殺人事件であると、受け取ってもいいと思わない?
まぁ、そういうわけで。
NTRをする奴は殺人鬼みたいなもの、というお話でした。……いやまぁ、別にNTR以外でも当てはまるけどね、この話。
……まぁ、殺しあいになるんじゃないかしら。そういう想像が如実にできる辺り、NTRって罪深いわよねー。
え?それが俺達になんの関係が?NTRじゃないんだろこれ?……ですって?
やーねぇ、途中で言ったじゃない。
性は扱い方によっては殺人みたいなもんである、ってことを頭に置いて考えてみなさいな?
──
ああ怖い怖い。殺人鬼の群れとか怖くて怖くて堪らないから───。
──先に殺しに掛かるけど、頑張って生きてね?
あ、先に言っとくけど。
彼を人質に、とかは考えないようにね。
私その場合彼ごと殺すから、って前もってちゃんと了承貰ってるし。
──まぁ、デッドウェイト抱えてなお私に勝てる、というのなら別に構わないけど。……その前に私に向かって来る方が、幾分勝機はあるわよ?毛程でも、ね。
そうしてそこから始まったのは、目を覆うような蹂躙である。
大義名分を得たが故に、生き生きと相手を壊す(見た目は)少女の姿は、見るものに恐怖と後悔を与えることだろう。
そもそもの話、
なお、口では
孤高であれとは言ったが、守れるのなら問題はない。……とでも言わんばかりであった。
まぁ、襲い来る悪意の全てから守れ、とは中々言い辛いので仕方ないのだが。
──
彼女は彼が健やかに育つことを、願い続けている──。
今回の教訓
誰かを成長させるということは、同時に成長前の誰かを殺す事にも等しい。
そこを念頭に置いておかなければ、人は容易く自覚なき殺人鬼となる。
NTRは相手側の人格ごと変えてるなら、間違いなく殺人者なので容赦はいらない、ということでもある。サツバツ!
……あと、安易で、安直で、突拍子がなかったとしても、ハッピーエンドがいいよな。
なんて事を、こういうデウスエクスマキナ系キャラを見る度に思うのです。