真に救いようのない人   作:楠崎 龍照

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さてさて、暇なので春山の家に遊びにいくことになった。
私はデュエマデッキを持って春山の家へと向かう。



3話 遊び

 

 

 

 

いま私は暇という自然現象に苛まれていた。

大学生故に、小中高校生のように夏休みの宿題もない、因みにバイトもしてない。

それ故に暇なのだ。

それなら卒業論文をすればいいって?

嫌だ。

 

「……」

 

私はベッドに寝転びながら、ボーッとスマホをしていたが、あまりにも暇なので春山昂輝にLINEで連絡をしてみた。

春山も私と同じ高校の同級生で、長い付き合いだ。

 

『なぁ、暇や。今日遊べる?』

 

とLINEで連絡する。

連絡し終えると、私は再びベッドに寝転びながら対魔忍RPGのイベント周回をする。

少し経つと、春山からLINEで「遊べる」と返事がきた。

私はベッドから飛び起きて、外出用の服に着替える。

上は深緑のTシャツにジーパンというコーデセンス皆無な服装だ。

更に、リュックサックをチャックを開けて、デュエル・マスターズと呼ばれたカードゲームのデッキを2つ中に入れる。

時計を確認すると、時間は12時ちょうどなので、昼飯を食べて行こうと考えた。

 

いま、家族は仕事やバイトでいないので、私は冷蔵庫から納豆とワカメを取り出して1つの茶碗にぶっ込む。

そして、大盛りのご飯と一緒にかけ込んだ。

 

腹ごしらえが終わった私は、早速自転車に乗って

向かう。

春山の家はかなり遠く電車で行けば良いのだが、バイトをしていないので、金欠気味な私は電車賃節約のために自転車で行っているのだ。

もちろん、電車よりも自転車で行く方が、色々な景色がみれて大好きだからというのもある。

無論、大抵の人は「凄いな……」と呆れ驚いていた。

多分、これは私にしか分からないことなのだろう。

音楽を聴きながら、あえて自転車で行く楽しみが。

 

よし!

デッキよし!

財布よし!

スマホよし!

家の鍵よし!

イヤホン装着よし!

音楽、「次発 ワタシ37号」よし!

 

私は自転車をこいで春山の家へと進む。

相変わらず蝉の合唱が私の出発を迎えてくれた。

今日も素晴らしい快晴だ。

青い空に白い雲、蝉の合唱に暑い空気。

これこそザ・夏というものだ。

心の中でそんなことを考えながら、事故らない程度のスピードで春山の家へと自転車で大地を駆けた。

なるべく車が通る道路を避けて、一通りの少ない道を行く。

 

次発 ワタシ37号を小声で歌いながら、頭の中で小説の妄想を働かせて住宅街へと入った。

 

「ここから何処へ行くの、行き先も分からないまま……」

 

涼しげな風が吹く中で、私は少しスピードを緩めて自転車をこぐ。

平日の正午だけあって車の通りがなく、私は道路の中央を堂々と行く。

真ん中を進むことで、左右のどちらから子供が飛び出しても、対処できるからだ。

しかし、もしものことがあるため、私はさらにスピードを落として走行する。

 

音楽は「次発 ワタシ37号」から「夏風」「ヒトリシズカ」「童遊」へと変わっていく。

春山の家へと遊びに行くときは、基本的に東方の曲を聴いている。

なぜかは分からない。

多分、春山が東方好きだからだろうか?

住宅街を抜けると田畑だらけの道を通る。

多分、山の神様がいまいらっしゃるのかな?と民俗学専攻している私の頭の中で思いながら、さらに進む。

 

曲は「蛙石」になった。

私の大好きな曲だ。

まぁ、東方の曲はだいたい私に刺さる物が多いので、そんなことを言っていたらキリがない。

そして、また住宅街に入る。

これまで1時間は経過しただろう。

 

真夏の昼なだけあって、汗の量も尋常ではない。

通り雨でも降ったのかってレベルにびしょびしょなのだ。

10分ぐらい自転車を進ませると、少しだけ大きな駅が見えてくる。

このまま、私は春山の家には行かずに、とある場所へと向かう。

駅の近くにあるドーナツ屋だ。

店内に入り、トレイにドーナツを20個ほど置いてレジに向かう。

合計は2500円ほど、妹から貰った長財布を取り出して3000円を出した。

 

ドーナツを買い終えた私は片手にドーナツが入った袋を持って片手運転を始める。

もちろん、安全運転でだ。

わたしは駅を通りすぎて、再び住宅街へと入る。

そこから五分も経たないうちに春山の家に到着した。

一軒家の少し大きな家だ。

私は自転車から降りて、インターホンを押した。

 

『はい』

「楠崎です」

『はい』

 

春山の声だ。

少しの間を置いて、春山が出てきた。

褐色肌で顔立ちも普通に整っていて、一般の好青年という印象を受ける。

性格もかなり物静かだ。

 

「ういーす」

「おう」

 

私と春山はそう挨拶して、私は彼にいつもの所に停めていいか?というと春山は「うん、そこでいいよ」と言ったので、私はガレージに自転車を停める。

 

「ふー、つかれたー」

「お疲れ、いつも凄いな」

「まー、自転車で来るのも悪くはない」

「そか」

「それより、行きしなにドーナツ買うてきたで」

「おー、わざわざありがとう!」

 

いつも通りの会話である。

6、7年から変わっていない。

 

「ちょっと手洗いするから、洗面器貸してほしい」

「うん、いいよ」

「すまんな。お邪魔します」

 

私は靴を脱いで、春山の家にお邪魔した。

そして、洗面所で手を洗い、そのまま春山の部屋へと上がる。

春山の部屋に入ると、とりあえずリュックサックを置いて一息つく。

 

「ドーナツとお茶持ってくる」

「助かる」

 

春山はそう言ってお茶を取りにキッチンへと降りていった。

私はスマホを取り出して、適当に宛もなくサーフィンをする。

サーフィンをすること3分、春山が戻ってきて、テーブルにお茶と皿、そしてドーナツが入った入れ物を置いた。

 

「おー、うまそー!!」

 

そう言って、私は好きなドーナツをサバーラップに包んで、パクリとドーナツの半分を口に含んだ。

 

「穴まで美味しいドーナツ」

 

私はそう言いながら、2口でぺろりと食べた。

春山がまだ1つ目のドーナツを食べているのをよそに、2つ目にありつく私。

10秒ほどで2つ目のドーナツを平らげる。

そして3つ目。

春山が1つ目を食べ終えた時には、私は3つ目を食べきったところだ。

 

「ふー、食べた食べた」

「早いな」

「まーな」

「俺さっき昼飯食べたばっかりやからお腹いっぱいやとしても早い」

「なはは」

 

春山の静かに驚いた言葉に、私は笑いながらリュックサックからデッキが入ったケースを取り出す。

そして、デッキの中身を確認しながら、春山にこういった。

 

「とりあえず、一回やってみる?」

 

と。

私の性格上、デュエルする時に限らず友人たちと何かする時、私はそれをしたいことを仄めかせて、相手から言わせるということを取るのだが、春山の場合はそれが全く効かない……。

というか、私と少しだけ似ているところがある。

というわけで、春山といるときは、私のほうからグイグイと行くことにしている。

 

「いいよ」

 

春山はそう言って、ドーナツが入ってる箱や皿などをパソコンが置かれている勉強机に置いて、ベッドにある引き出しからデッキを取り出した。

 

私もデッキをシャッフルしてテーブルにおく。

春山と行うカードゲームはデュエル・マスターズで、私の使用するデッキは、卍デ・スザーク卍デッキで、春山の方は偽りのGODデッキだ。

相性的にはこちらのほうが上なのだが、私にはカードゲームにて致命的な力を持っている。

それは……。

 

 

 

 

「じゃあ、GODでアタック」

「負けた……」

 

圧倒的に引き運がないことである。

私のバトルゾーンにはクリーチャーが1体もなく、手札にはそれぞれイラスト違う卍デ・スザーク卍が3枚、同じくイラストの違う卍月ガ・リューザーク卍が2枚という恐ろしい有り様である。

これがポーカーならどれだけよかったことか……。

因みに、私の引き運の悪さの質の悪いところは、一人でデッキを回しているときは、大会で優勝を勝ち取れるほどの最高の引きを見せて、いざ対人とやって見ると、恐ろしく引きが悪くなるところだ。

 

「みろよ……この手札……」

「わー」

 

笑いながら、私のフルハウスの手札を見る。

笑えねえ……。

私は墓地やマナゾーン、手札のカードをデッキに戻してシャッフルする。

 

「もう一戦!」

「いいよ」

 

再び始まるバトル。

私はデッキから5枚手札を見る。

絶望した。

私の目の前には卍デ・スザーク卍と描かれたカードが4枚きているではないか。

ひどくねーか?

因みに残りの1枚は堕魔ヴォーミラ。

次のドローがザンバリーならワンちゃんある。

そう思いながら、私は後攻を選ぶ。

 

「じゃあ、エンドで」

 

頼む。

ザンバリー、それかドゥリンリこい。

そう願いながらドローする。

 

「……」

 

私はデ・スザークをマナゾーンに置いてターンを終えた。

それはこのデュエルの勝敗が決したということでもある。

私が引いたカードはガ・リューザーク。

引き運の無さでは勝ってる。

 

もちろん、この試合は私の完全敗北に終わった。

 

 

 

「ダーメだ。今回は運が無さすぎる」

 

そう言って、私はテーブルに屈っ伏した。

どうも私のデッキ達(デュエマ、ポケカ、遊戯王)は勝負に弱いようで、引き運が酷い。

いや、確かに私のプレイングスキル能力の低さもあるのだが……。

 

しかし……。

どうしたもんなのかねー。

そう思いつつ、私はデ・スザークデッキを一枚一枚確認する。

春山も、私の引き運の悪さにいたたまれなくなったのか、何かと励ましてくれる。

春山は優しい青年だ。

 

「まぁ、コイツ(デ・スザークデッキ)も久しぶりの勝負に緊張してたんやろ」

「犬は飼い主に似る的な?」

「そうそう、デッキたちは、所有者の性格に似るんじゃないかな? それじゃないと、この引きはおかしい」

 

そう言いながら、再びドーナツをパクリと食べる私。

春山は一瞬、チラッと私の方を見て視線をGODのほうに戻した。

 

「またやろう!」

「うん」

 

私は再びデ・スザークデッキで勝負する。

デュエマでは私のデッキはデ・スザークしかないので仕方がないのである。

春山は緑単グランセクトというデッキでいくようだ。

私は今度こそと全力で迎え撃つことにした。

 

手札は絶妙に微妙という言葉が正しいだろう。

本当にいまいち。

まぁ、動けなくはないんだよなぁぁ……。

 

そうして、再び始まった三回戦。

こちらは何とか墓地ゾーンにカードを溜めてるが、下地となる魔導具はあるのに、肝心のデスザークやガリューザークがこない。

なんなら、堕魔系の攻撃により、春山のシールドを0にしている。

このまま、次のターンで攻撃をすれば勝てる。

私はそう思った。

しかし、突然春山が出したバードリアントと呼ばれたクリーチャーによって、なんか分からないがやたらと攻撃力の高いクリーチャーが出てきた。

 

「なんじゃそりゃ」

「じゃあ、シールドブレイク」

「やばい……」

 

次々と破壊されていくシールド、残り1枚になってしまう。

 

「じゃあ、ブレイク」

 

私の残り一枚のシールドがブレイクされてしまった。

しかし、その手札に加えたシールドを見て、私は勝鬨の金を鳴らした。

 

「シールドトリガー卍獄殺!!!!」

 

フィールドに叩きつけたカードを見て、あの物静かな春山は結構な声で驚愕する。

 

「ええ!!?」

「墓地にはカードが13枚!!」

「やばい!!」

 

卍獄殺の効果は、相手のバトルゾーンのクリーチャーを全て破壊する効果。

よって、春山のバトルゾーンにあるクリーチャーが全滅。

さらに春山のターン終了時に墓地から6枚の魔導具クリーチャーを下地に墓地から先ほど、墓地に行った卍獄殺のもう1つの名前である卍月ガ・リューザークをバトルゾーンに出す。

春山のシールドは0。

 

「俺のターン!!」

 

デッキを引いて、すぐにバトルを行う。

 

「いけえええ!! ガリューザーク!!!」

「ま、負けた」

「っしゃおらあああああ!!!」

 

勝利を掴んだ私は、ガッツポーズをして勝鬨の雄叫びをあげた。

 

「アニメと似たような負け方したわ」

 

春山は静かに笑いながらそう言った。

 

「そうなんや」

 

私は興味深く春山にきく。

そこからは、ドーナツを食べながら雑談タイムに入る。

デュエマのアニメや東方の話、小説の話等々。

そして、時間はあっという間に、六時になる。

 

「なかなか面白いよな」

「そうやな」

「そういえば、小説もうじきできるかも」

「そうなんや」

「おん、主人公の朱雀がデスザーク出して色々とする感じやな」

「楽しみや」

「トコヨ・マリーはもうじき討伐されて、メタデフォース抜ける感じになるかも?」

「あの少女も気になるしな」

「せやな。あ、もうこんな時間か」

「ん? そろそろ帰る?」

「ああ。残ってるドーナツはご家族と食べてくれ」

「ありがとう」

 

私は荷物をまとめて、春山の家から出ていく。

一階に降りたとき、春山の母が迎えてくれた。

 

「またいらっしゃいね!!」

「あ、はい。お邪魔しました!」

 

私は笑顔でそう言って、靴を履いて家を出る。

春山もガレージまでついてきてくれた。

 

「そしたら、また小説送るわ」

「おう!」

「じゃあ、バイバイ!」

 

そう言って自転車をこいだ。

外は夕焼けで青や橙色をしており、非常に幻想且つ神秘的であった。

私は事故らない程度に、神秘的な空を眺めながら、家へと帰宅する。

 

私はイヤホンを耳に当てて、ハウスリミックスの曲を聴きながら、自転車をこぐ。

30分ほどで自宅にたどり着き、私は直ぐに風呂へと入った。

次は何しようかと考えながら、シャワーを浴びる。

 

 

 

 

続く





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