探偵ストレイドッグス   作:凜々

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第13話 越水七槻

翼は仕事で四国にやってきていた。今回の同行人は成実である。

 

 

突如翼が立ち止まると猛スピードでどこかに走り始めた。話していたはずの成実は翼のあまりの変わりように一瞬フリーズ仕掛けるもすぐに後を追い始めた。

 

 

「はぁはぁ、翼君。どうしたんだ!!」

 

 

「こいつっ!!早く治療を!!」

 

 

びしょ濡れになっていた翼が抱えていたのはこれまたびしょ濡れになってぐったりしている女性だった。

 

 

しかし、脈は小さくなっていながらもまだかろうじて息はあり、すぐにホイミをかけ治療にうつるのだった。

 

 

近くの病院を借りての懸命の治療のかいがあり何とか一命をとりとめ、落ち着いてきたため彼女を横浜の総合医療センターに転院させた。

 

 

そして、彼女:寺田紗季の携帯電話から一番連絡を取っていたであろう人物に状況を説明し直接面会することになった。

 

 

 

 

ガラガラガラ

 

 

「あの、連絡をいただいた方ですか?」

 

「あぁ、私共は総合探偵事務所・DMOだ。で、こちらがこの病院の院長を務めている森鴎外先生だ」

「君が越水さんだね?寺田さんの面会には既に?」

 

「・・・はい」

 

「簡単に言うと既に命に別状はない。安定した状態だ。とはいえ一歩発見、応急処置が遅れればどうなっていたかわからない。翼君と成実君に感謝しないといけないねぇ。」

 

それから、発見時の状況などを詳しく説明を終えたのちなぜこんなことが起こったのかの詳細を聞くため一度越水を連れてDMOに戻ることになった。

 

 

 

____________________________________

 

「翼。今越水さんお見えになった?」

 

「あのっ!紗季を助けていただいてありがとうございました。」

 

「DMOの社員としてやるべきことをやっただけだから。それに成実さんがいなかったら応急処置もできなかったし。」

 

「挨拶はそこまでにして今回の件なぜ起こったのか心当たりあるのかどうか聞きたいんだが。」

 

「・・・・・・実は・・・・」

 

 

越水は語った。半年ほど前に起こったラベンダー屋敷で起こった事件を。

それをもとに、寺田が疑われ厳しい尋問がされていたことを。

 

「なるほどね。翼君、何か情報わかったかい?」

「うん、該当する新聞記事は見つけたよ。だけどなぜか事件ファイルを閲覧しようとしたんだけど見つからないんだけど。」

「なんだよそりゃ・・・・これは県警も信用できないな。」

「!!そういえば事件の概要を県警で聞こうとしたら門前払いを食わされた!」

「で、件の高校生探偵は名前も一切明かさずか・・・・未成年だということを盾に取ったな。」

「そんな・・・・確か、どっかの方言を使っていたって紗季が言っていました。」

「なるほど・・・・地方の高校生か」

「なら関西の人は外していいんじゃない?100%とは言えないけれど紗季さんもさすがに関西弁くらいは聞いたことあると思うけど」

「そっか!関西弁なら関西の方言とかいう可能性が高い」

 

 

「とりあえず一度また現地に行ってみようか。この案件は翼君頼めるかい?」

「もちろん。そのつもり」

「あの!!私も同行してもいいですか!?」

「君が?」

「今は探偵を休業中ですけど、真実を知りたいんです!!」

「いいんじゃない?」

「ありがとうございます!!」

 

 

そして解散号令がかかる時後から静かに見ていた乱歩が話しかけてきた。

 

「翼。今回の事件僕は参加しないけど頼んだよ。人を死なせかけた探偵に目にもの見せてやってね。僕は僕で県警への圧力強めてくるから。」

 

「もちろん、わかっているよ。」

 

 

 

 

 

「今のは?」

「江戸川乱歩さん。うちの事務所を支える絶対エース。自分もそれなりに頭が切れるって言われるし他にも優秀な人が多いけど乱歩さんにはかなわない。多分今真相を聞けば100%わかっていんだろうけど越水は自分で真相にたどり着きたいんだろ」

 

「!!うん!」

「乱歩さんもそれを見抜いたから今回は引いたんだと思う。ホントは一刻も早く解決したいとは思ってる。だって真実によっちゃ探偵を馬鹿にしたようなものだからね」

 

 

___________________________________

 

四国に着き、屋敷に移動する道中服部平次とその幼馴染である遠山一葉に遭遇した。

服部が高校生探偵だと知ると越水の顔が一瞬こわばったが話し方が関西弁だったことから少し落ち着いたようだった。

 

今回の件を話すと快く協力してくれた。

 

 

そして、ラベンダー屋敷に到着しさっそく調査を開始したのだが

 

「なぁ翼さん。確かにトリックはわかったんやけどいくら何でもこんな単純な奴初動で鑑識が見逃すやろか。」

「見逃さないだろうな。ただこれが鑑識たちが捜査終了した後できたものだとしたら?」

 

「は?まさか!!」

 

「一度この件は自殺として片づけられているにもかかわらず半年もたって殺人に変わった。そして、このネジのさび具合。明らかに半年前につけられたとしては新しすぎる。越水、一度寺田さんに頼まれて調査をしたといってたな?その時はなかったんだな?」

 

「えぇ」

「その時にはなかったのに、そのあと調査に来たであろう探偵が見つけそれを証拠として提出した。なんとなく真実も見えてきたな。窓を切り取った後や接着剤等々が使用されるであろう事件性があるものといえば・・・」

「「「空き巣!!!」」」

 

越水と服部、和葉までもが一緒に叫ぶ。

 

「あくまで状況証拠だけどね。ま、こんなラベンダーが咲いた大屋敷なんていかにもお金持ちっぽいしね」

 

「だから、ここらへんで探偵捜査の基本・聞き込みをしようかと思ってね」

「なるほど、ここら半年で空き巣が発生しとったら」

「この屋敷にも入っている可能性が高いってことだね!」

「そういうことだね」

 

方針が決まり動き出そうとしたところで翼の携帯に乱歩から連絡が入った。

 

「もしもし?」

<翼、僕のコネと特務課、それからヒロ経由でゼロも協力してくれてそちらの県警に圧力をかけてある。感謝してよね>

「ほんとですか!?」

<もうそこまできたら後は君たちならあっという間に解決さ!>

「さすが乱歩さんですね。必ず解決して見せます。」

 

電話のやり取りをみんなに話す。

 

「なら、今なら何でも話してもらえるってことね」

「ほーん、大阪でも噂に聞いた通り江戸川乱歩っちゅうのはすごいんやなあ。親父もよく話してるし」

「うちのお父さんも!」

 

聞き込みを開始すると同様の手口での空き巣事件が周辺で何件も発生していたことが分かった。

 

さらに、県警にも直接言ったら顔を青ざめたように興味深いことをペラペラしゃべってくれた。乱歩がどこまでのコネを利用したのかは知らないが相手の表情を見るに相当本気を出したのだろう。翼以外のほか三人は顔を引きつらせていた。服部が思わず「DMO怖っ」といったのを翼は聞き逃さず

 

「そこ、聞こえてるよ」

 

「そりゃそう思うて。さすがにここまで怖い事務所は初めてだわ」

 

「この事件は乱歩さんが身を引いてくれたけど、自分にできることは何でもするって言ってくれてね、かなり本気だ。ま、理由はわかるけど」

 

「そやな、ドアホウがどこのだれか知らんが碌な裏付けもせんとひと一人死なせかけたわけやしな同じ高校生として俺の気もすまへんわ。」

 

「せやなあ。翼さんと成実さんていう御医者さんがその場おらへんかったら最悪なことになってたかもしれへんのやろ?」

 

和葉は越水を心配そうに見ながら言う

 

「和葉ちゃん、ありがとね。私も紗季が死んでたら復讐とか考えてたかもしれないけど。翼や成実さんのおかげで助かったことで、もちろん許せないけど真実を明らかにすることだけを考える。」

 

「そうだな。それと病院からも連絡があって寺田さんも意識を取り戻して既に意思疎通できるそうだ。これからは治療と並行してカウンセラーを導入して精神回復にも努めていくそうだ。」

 

「そっか、よかった。翼お願いがあるんだけどさ・・・・・」

 

_____________________________________________

 

 

「さて、ここからが重要な場面だ。まず、その清掃員に装った空き巣常習犯の奴の足取りを追う。」

 

できれば現行犯で取り押さえるのが楽なんだけどなぁ。翼はそうぼやきながらも作戦参謀のような顔つきに代わるのだった。

 

 

常習犯:槌尾広生は案外早く見つけることができた。ちょうど空き巣から出てきたところを鉢合わせしたからだ。往生際の悪い槌尾は清掃業者装ったワゴン車で逃走を図ろうとしたがそれを許さないのがDMOだった。既に県警の規制が張られていたのだった。話を聞くに乱歩から場所と時間指定で規制を張れとの指示が本庁経由で送られてきたのだった。翼はさすが乱歩さんと感心する一方、他三人は顔を引きつらせ服部は「やっぱDMO怖っ」と言っていた。デジャブである。

 

捕まえた後、屋敷の使用人に事の端末を伝え真相を聞きに行った。どうやらその使用人:甲谷廉三は娘さんが自殺だとわかっていたようで、自殺を汚名だと考え、彼女の名誉のために言わなかったらしい。

 

 

そして、そのことは全国ニュースになって報道された。そして、寺田の名誉回復もされ、意見落着した。

余談だが今向こう側ではちょっとした騒ぎが起こっている。当然ながら寺田が犯人ではなかったことで無実だった人間を死なせかけるほど厳しい尋問をした県警とどこの馬の骨かもわからない高校生の言葉をうのみにしたマスコミに対する世間の眼は相当風当たりが厳しく猛烈なバッシングを浴びている。更にその高校生は既に顔が割れていたりするため週刊誌では目線入りで写真が載っているものもあり今フリーライターに追われているらしいが翼や他のDMO職員には関係がなかった。

 

服部と和葉はそのあとすぐに分かれたがある意味四国旅行を台無しにしてしまった負い目から横浜旅行をプレゼントした。後日横浜に来てくれた服部達には最後にDMOにも招待した。

 

そして、越水はというと

 

「本日付けでDMO調査員になりました。越水七槻です。よろしくお願いします。」

 

四国で言っていたお願いというのはDMOでまた探偵として学びたいというものだった。そして四国での推理や奮闘を見ていた翼が推薦をし入社したのだった。これからは大学に在学しながら調査員として働くことになる。

さらに少し後、寺田紗季も住み込み家政婦としてお屋敷のメイドを辞め働くことが決まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




寺田紗季 
ラベンダー屋敷殺人事件で犯人だと疑われて自殺してしまったメイド兼越水の親友。
本作では自殺を企画するところは変わらなかったが翼と成実がいたため素早い応急処置にて一命をとりとめる。その後は順調な回復で事件解決後、メイドを辞めてDMOの住み込み家政婦として就職する。


越水七槻
探偵甲子園殺人事件の犯人
本作では、親友の紗季を早急な応急処置にて亡くさずに済む。その後すぐに翼と四国に飛ぶ。道中服部と和葉を仲間に加え自らの手で真相を解明し空き巣犯の現行犯逮捕に貢献。復讐を考えることもなく事件解決後DMOに入社する。


時津潤哉
探偵甲子園殺人事件の被害者
本作では越水が復讐を企むことがないため殺害されることはない。
しかし、事件が明るみになりマスコミに追われることに・・・・・おそらくもう探偵としては再起できないだろう


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