ワンフォーオール…?知らない子ですね   作:悲しいなぁ@silvie

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オールマイト「乱波、君はヒロインになれる」
みたいな夢を見ました。
完璧にこの小説のせいです。


治崎廻…?知らない子ですね

二人は満身創痍ながらも対峙する。しかし、先のように連打を打ち込む事も無ければ身体を揺らす事も無い。

互いにもはや牽制をする体力も余力も無く、互いが互いを評価するが故に牽制(ソレ)が無意味であると悟ったから。

互いに、示し合わせたかのように思う。次が正真正銘、最後の打ち合いになる…と。

乱波は内心悔いていた。自身の非力さに、非才さに、無学さに。

自分がもっと強ければ、あの少年からもっと技を引き出せたのに

自分にもっと才能があれば、あの少年ともっと打ち合えたのに

自分がもっと賢ければ、あの少年ともっと読み合いを楽しめたのに

乱波は浮かんでは消える後悔の念を断ち切り、己が絶対の自信を持つ構えを見せる。

少年は内心賞賛が止まなかった。乱波の強さに、多才さに、機転に。

自身があと少しでも弱ければ、乱波に技すらかけられなかった

自身があと少しでも非才ならば、乱波と勝負にすらならなかった

自身があと少しでも愚かなら、この天才相手に立ち回れなかった

少年は浮かんでは消える賛辞を呑み込み、己の慣れ親しんだ構えをとる。

二人の天才は互いに、必殺の構えをとった。

 

 

 


 

「…素晴らしい。

全く!なんて胸が踊る闘いなんだろう!無個性の緑谷君が鉄砲玉八斎衆相手にここまで善戦するとは!

ここまで闘えるヒーローが…否、()()()()を併せてもどれだけいるか…本来ならこの作戦はビルボードチャートの上位陣を含む複数のヒーローが徒党を組んで、綿密な策を講じて、それでやっとってところだろう。

それを!たった15歳の少年がだ!!フフフ、ますます君の中身が気になるよ…緑谷出久君。

さて、そろそろ脳無に命令して緑谷君を助けようか。流石にあの怪我だ…これ以上は生死に関わるからね。」

 

男は『電波』の個性により死穢八斎會本部の上空にて待機させておいた3体の()()()()()に指示を出す。

如何に強大な力を持つ死穢八斎會と言えど、この3体のハイエンドは一体一体がビルボードチャート上位陣のヒーロー並の戦力を持ちながら更に複数の個性を同時に使う事が出来る。

たった3体では無い…3体も導入されたのだ。

男の見立てでは死穢八斎會を壊滅させるのに必要なハイエンドは2体で十二分であった。故に、少年の身の安全を護る1体を加えた計3体。仮にオールマイトが襲いかかって来ようとも少年を安全に逃がす程度の役割は果たせる程の戦力であった。

あったのだが…

 

『ザザッ…創造主サマ…ザッ……敵襲…で…ザザッ……交戦…』

 

「…は?」

 

男は意味不明な通信に首を傾げながら『千里眼』の個性により現場を視る。

その場には3体のハイエンド…と、爆豪勝己、轟焦凍、轟燈矢が交戦していた。

 

「……………は?」

 

意味がわからない…なぜ彼らが?…まさか緑谷君を探しに?でも場所がわかる筈が……

(いや、それよりもこれじゃあ間に合わないんじゃないか?…このままだと死ぬんじゃないかな。)

と、冷静に分析する自分。

 

「兎に角…緑谷君を助けないと、ウーマン!君の個性なら一時離脱が出来るだろう!はやく緑谷君を…」

 

男は再び通信を行うも、返答が無い。

返ってくるのはノイズと爆発音のみ。

(爆豪勝己の個性だね、爆破により電波が乱れてるんだ。これでは通信はおろか、脳無達に直接命令をする事も出来ないね…)

 

「なら、早く片付けてしまえ!急がなければ緑谷君が!」

 

(いや、それも厳しそうだ。轟燈矢…流石はNo.2の息子ってところかな、彼一人で3体とも相手にしてるよ。それに、爆豪勝己と轟焦凍も並じゃない…彼と関わるとここまで強化されるとは。)

 

「オ゛オ゛オ゛オ゛!!!オールマイトォォ(八つ当たり)」

 

どうする!?転移で僕が行くか?

(…いや、転移はドクターに研究の為って言って貸したばかりだろ?)

なら、増強系や高速移動系を掻き集めて…

(まさか天下の往来をそれで行く気かい?断言しよう、確実にオールマイトに邪魔されるぜ?)

………なら、どうすれば…

(どうしようもないね、彼の遺体だけでもなんとか手に入れたいところだが…オーバーホール相手では遺体が残るかどうか…)

 

「君がッッ!!嫌いだァァァ!!(とばっちり)」

 

男の叫びが虚しく響きわたった。

 

 


 

お互いに必殺を構えながら、動かぬ両者。

なぜか…待っているのだ。時を…時とは機。機とは…機会(チャンス)。自身の必殺を確実に命中せしめる好機(タイミング)を。

そして、その瞬間は唐突に訪れた。

極限の集中状態の両者、その威圧感に酒木泥泥が思わず流した冷や汗。ソレは彼の額から頬を通り、ゆっくりと顎まで伝うと…ポタり、と落ちた。

その瞬間、少年はノーモーションで浮かぶように跳躍すると両足の爪先から着地する。

スプリットステップと呼ばれるソレは脚の筋肉のバネを最大効率で駆動(つか)えるようにする為の技術。ボクシングにおいてボクサーが軽く跳ねるようなステップを踏むのもコレである。つまりは、最新の運動力学すらもがその効果を認める技術。

少年は自身の出せる最大戦速で突っ込んだ。

乱波はまだ動かない。否、動けない。

乱波は自身の全霊を上回る緑谷出久という男に対して先出しを諦めた。

代わりに、乱波は構える。何が来ようとも対応し、即座に返しで切って落とせるように。

少年が見せたのは…今まで一度も見せなかった、最大戦速でのスライディングであった。上体をあらん限りに後方へ倒し、しかし身体を地に擦り減速せぬように。見る者が見ればその洗練された動きに涙を流し拝みすらする程の…完成されたスライディングであった。 

乱波はそのスライディングに対して、無数の疑問…なぜ足元狙いなのか。なぜスライディングなのか。それで自分を倒せると思っているのか。どういう策を巡らせているのか。…それら無数の疑問の全てを捩じ伏せ対応する。

この天才が無策で突っ込むような、勝負を投げる真似をする筈が無い!ならばこそ、全力で対応せねば…自分の負け!

乱波は右脚を軽くあげると右肩を廻しそのエネルギーを胴を通し脚に伝える。全く別の箇所からのエネルギーの伝達…ソレは中国拳法における絶招(その拳法における奥義の事)に匹敵する超高等技術であった。

恐るべきはその才能。乱波の極限の集中力は今までに()()()()()()()()()()()()()()()()技術をこの土壇場にて成功させた。

これにより、乱波肩動は拳撃のみならず全ての攻撃に個性を使用可能となった。

しかし、更に恐るべきは…少年の次にとった行動であった。

少年はそれまで伸ばしていた脚を瞬時に折り畳み腹筋により下半身を浮かせた。そして、接地しようとする頭部を両の手を着くことによりカバー。少年はそこから両腕と首、そして脚を伸展させる勢いにより飛び起きるとスライディングの戦速を保ったままに乱波の正面に着地する。

乱波は己の読み違いに動揺する間もなく、上げていた右脚を思い切り振り下ろし踏み込むと渾身のストレートを少年に放つ。

しかし、そのストレートは少年をすり抜けるかのように振り切られた。

乱波の視界には少年が居ない。

 

「感謝するぜ…乱波肩動。お前のお陰で、俺はまた強くなった。」

 

少年は着地と同時に身体中の関節を脱力させ、乱波の足元に潜り込んでいた。体抜き…かつてサー・ナイトアイとの組手にて一度だけ見たソレをこの局面で使用したのだ。

少年は乱波の脚を抱え込むとそのまま持ち上げた。

振り切った乱波には対応出来ず…乱波は仰向けに転倒した。

乱波が気付いた時には少年は乱波の胸部に拳を当てていた。

 

「俺は…負けたのか。」

 

「そうだな…()()()俺の勝ちだ。」

 

乱波は悔しさを噛み締めながら…敗北ではなく、自身が味わえた強敵への高揚を緑谷出久に味わわせてやれなかった己の不甲斐なさに涙を流しながら…目を閉じた。

乱波にとって、決着とは死。

それが、地下格闘場の王者としての流儀であった。

 

「敗者は勝者に従う…コレ、世の真理だぜ?

死ぬなよ乱波、またド突き合いといこうや。」

 

少年が乱波の胸部を打つと、乱波は眠るように気絶した。

 

「…ヒイィィィ!ホッホントに殺りやがった!!

ただのガキが乱波を!」

 

酒木は這う這うのていで配管を伝い逃げようとするも…

 

「待ちな…見物料がまだだぜ。

まさか、俺と乱波のド突き合い…タダで観ようってんじゃねぇだろうな。」

 

少年は言いながら上着のポケットから野球のボールを取り出す。

これもまた、オール・フォー・ワンが用意した武装の一つ。

一つ5kgもの超重量であり…決して壊れぬ不壊のボールであった。

少年はソレを持って振りかぶり、酒木の背部…丁度心臓部に直撃させた。

ドサリ…と酒木が墜ちるのを見もせずに、少年はひとりごちる。

格段に身体操作技術が向上(アガ)ってやがる…百聞は一見に如かず、百見は一戦に如かず…か。

少年は2度3度と拳を握ると、微笑みながら戦場をあとにした。

 

 


 

「…どうすれば、ガキ一人にこうまで舐められるんだろう。

俺達は極道だぞ…それがただのガキ一人にって…おかしいと思う、普通こんな事にはならないだろう。

病気だよお前ら…病気は治さなくちゃ、なぁ!!」

 

治崎廻…オーバーホールの怒声が響き渡る。

指定(ヴィラン)団体死穢八斎會が本部…如何に小規模と言えど、全盛期に比べ如何に弱小と言えど、百余人の構成員から成る其処は間違っても攻め込まれる場所ではない。

ないのに…たった一人に攻め込まれ、始末を命じた部下から未だになんの報告も無い。

もう少し待てば連絡が来るかも…と考える程に、オーバーホールは楽観的ではなかった。

ガキは、部下を返り討ちにしたのだろう。

ならば、もう自分が出るしかない。

(なんの為の駒だ…王将が出張る将棋なんざ見たことねぇよ。)

オーバーホールは内心、悪態をつきながら立ち上がり通路に身体を向ける…そして、その直ぐ横を高速のナニカが通り過ぎて行った。

 

「ごがっ!?」

 

後ろから骨の軋む音と肺から空気が押し出される声とも叫びともつかぬ音…そして人の倒れる音。

オーバーホールの直ぐ後ろ、玄野針が眼を剥いて倒れ伏せていた。

 

「ちぃざぁきぃくぅ〜ん!!サッカーは飽きたからやっぱり野球にしようぜ?()()のは得意なんだ、オレってば。」

 

「この病人がぁ!!」

 

カチコミから約一時間、オーバーホールと緑谷出久はようやく対峙した。

 

 

 

 

 

 

 

次回以降の予定…というか相談ですが、この感じだと多分夜嵐が雄英に来ます…ので

  • やっぱ20人でしょ!(誰かリストラ)
  • うるせぇ!21人で何が悪い!!
  • それでも奴は士傑に行くのでは?
  • AFOがヒロインで何が悪い!!
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