ワンフォーオール…?知らない子ですね   作:悲しいなぁ@silvie

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Qなんで続きを書くのに分けないんですか?
A面倒くさい…面倒くさくない?

Qなぜあと少しで雄英編になれるのにコレを?
Aなんで?…わかんない、なんでなんだろ…


AFOちゃんと藤見君2

眼を焼かんばかりの過剰な照明に男女の区別も無い程の騒乱。

この場所ではそれが日常であり正常であった。

そして、狂乱の視線の先には金網や特殊な防護板で幾重にも囲まれた丸盆(リング)が…否正確にはその中で血みどろで争う二人の男の姿があった。

互いにボクサーのような上裸でズボンのみを履いて闘う…一見すると格闘技の大型イベントかと見紛うかもしれない。

しかし、格闘技ではあり得ぬ点があった。

一つは互いに素手でグローブもヘッドギアのような防具も着けていない事。

一つは互いになんの躊躇もなく相手の眼球や喉といった人体の急所を狙って闘っている事。

一つは観客全員の殺せという地鳴りのような歓声や罵詈雑言が飛び交う事。

此処は地下格闘場。自らの五体のみを以って相手を打倒する比武(ひぶ)の場にして年間8万人とも言われる行方不明者の行き着く場の一つ。

 

『おぉっーと!!青コーナー!マウントだぁーっ!!』

 

打ち合いが続いていた試合は片方の男が馬乗りになり幕を引く。

この地下格闘場において幕とは、決着とは死を意味する。

実況の叫声と方々から挙がる歓声を一身に受け生き残った男は腕を突き上げ勝鬨を上げる。

地鳴りのような喧騒…さりとてそれすらも今より始まるメインイベントとは比べ物にならなかった。

 

『さぁ!それでは皆様お待ちかねぇ!!本日のメインイベントォ!

赤コーナァー!我等が無敵のチャンピォンッ!!

当闘技場が誇る最強の男ーッ!127戦127勝125KO!

現代に蘇ったマイク・タイソンーーッ!

モォハメドォーッローゥランドッ!』

 

実況の声と共に現れるは筋骨隆々でスキンヘッドの如何にもと言った風体の男。

身長3メートルは有ろうかという巨躯はその重量を感じさせぬ軽快さを以て丸盆(リング)へと飛び入る。

 

『そしてぇっ!そんな我等がチャンピオンに立ち向かうと言った今宵の命知らずの紹介だぁっ!!

青コーナァー!白髪に赤いお目々がチャーミングッ!

経歴一切不明のニューフェイスッ!

ヒィーラァー!!』

 

声と共に現れたのは一見すると女性に見紛う程に整った容姿の男。肩まで伸ばした白髪を後ろで結えた赤い目の男は細身で荒事とは無縁であろうとすら見える風体であった。

男が歩く端々から嘲笑の声が響く。

 

「おいおい、今日は1ラウンドで終わっちまいそうだな」

「まぁそう言うなって、たまにはキレーな顔した奴が吹っ飛ぶのを見るのもオツなもんだぜ?」

「勿体無いわぁ…あんなに顔が良いならワタシのコレクションに入れたかったのだけど」

「モハメドが相手じゃしょうがない…今までに対戦相手の頭が潰れなかったのなんて数える程だ」

 

皆が男の死を疑わぬ。

この男をただの優男と見切り知ったフウな口をきく。

男はそれら一切に興味を抱く事も無く丸盆(リング)の端まで歩を進めると一切の予備動作も無く()()()()

否、正確には爪先の力のみで跳躍し丸盆(リング)へと降り立ったのだ。それを正確に理解した者はこの闘技場に詰める何千という人間の中でも極々僅かしか居なかった。

男は丸盆(リング)に降り立つと共に羽織っていたウインドブレーカーを脱ぎ捨てる。

それと同時に辺りから挙がる歓声。

 

「ヒューッ!見ろよやつの筋肉を…まるでハガネみてえだ!! こいつはやるかもしれねえ…」

「まさかよ、しかしモハメドには勝てねえぜ」

「なんて美しいの…もっとよ、もっと身体が観たいわ!その子の裸を見せてちょうだい!!」

 

細身に見えた男の身体はその実、恐ろしいまでに引き絞られた彫刻のような剛体であった。

 

「ククク、可愛いお嬢さんかと思えば…

白髪のガキとヤルのは初めてだぜ。」

 

「そうかい、俺も喋るゴリラとやるのは初めてだ。」

 

「おい小僧、口の利き方には気をつけるんだな…俺は気が短いんだ。」

 

「ほぉ…気が短いと言う割にご丁寧に忠告までくれるとはな…

随分と勿体振るゴリラだ。」

 

瞬間、男の顔目掛けて矢のような拳撃が向かうもヘッドスリップにて回避する。矢のような拳撃は男のすぐ後ろのコーナーポストを圧し折り停止する。

 

「さっきのリングコールで言ってたろ…俺は125人をKOしてるってな。ここでのKOはKNOCK OUT(ナックアウト)じゃねぇ、KILL OUT(キルアウト)だ…意味理解るか?俺はお前みてぇな生意気な野郎を125人殴り殺してんのさ。」

 

そう言うと男に全力の殺気を向ける…それが無意味とも知らずに。

 

「ククク、大人しく動物園でフルーツでも貰っておけば良いものを…そうやって人里に下りてくるから殺処分されるんだぞ?」

 

男は妖艶さを感じさせる程の笑みを浮かべながら嘲る。

男の顔に拳が叩き込まれたのはそれと同時であった。

モハメドは男の顔に右のストレートを撃ち込むと同時に左手で男の右手を掴むとそのまま引き込んだ。

破壊的な威力の拳撃で以て吹き飛ばんとする男の身体を破滅的なまでの握力によって強引に引き込む…モハメド・ローランドの個性『ゴリラ』によるものであった。

モハメドは男の身体を引き倒すとそのままマウントを取りパウンドを仕掛ける。

此処は地下格闘場…弱者に強者が侮辱(ナメ)られるなどあってはならないのだ。

 

「そう怒るなよ…俺は別にゴリラみてぇな顔の奴は嫌いじゃ無いんだ、仲良くしようぜ?」

 

信じられない、とモハメドは思う。自身の個性の事は誰よりも把握している。自分の拳撃は厚さ50ミリの合金すらブチ破る…そんなものを人間相手に乱打したのだ。原型すら残さず砕けるのが常であった自身のパウンドをマトモに喰らっておいてなぜそんな軽口を叩けるのだ…?

なぜ、この男に掴まれた右腕が動かないのだ…?

 

「そんな怖い顔するなよ…ああ、勘違いしてないか?

悪い悪い、誤解しないでくれ…俺は別にアンタの顔がゴリラに似てるだなんて言ったつもりはないんだ。

ただ、ゴリラの方がアンタに似てるだけさ。」

 

モハメドは即座に左手で目潰し(サミング)を仕掛ける。

それは王者としての経験からくる反射か、動物系個性故の本能か…モハメドには解らない。しかし、自身が敵対する相手が普通ではないと理解した故の行動であった。

 

「そんな細腕で俺の眼は潰せんよ。」

 

モハメドの左手親指は確かに男の眼球に突き立てられた…しかし、モハメドの予想していた眼を抉る感触は無い。手に伝わるのは…硬い岩盤に裁縫針を落とすが如きイメージ。

即座に理解する…自身の敗北を、敵対してはならぬものに敵対したのだと。

瞬間、男に掴まれていた右腕が()()()()()()

まるで握力自慢がリンゴを潰すパフォーマンスのように、モハメドの自慢の剛腕が爆ぜた。

ボトリ、と落ちる右手…肉は?骨は?無数に走る腱は?

それら一切の疑問を捻じ伏せる圧倒的なまでの現実。

 

「……殺せ。」

 

モハメドは折れてしまった。腕を潰され…自慢の拳撃も、あまつさえ目潰しすら効かぬ相手にどう足掻こうと自身の勝利を思い描けなかった。

此処は地下格闘場…敗北とは死を意味する。

 

「やなこった!負けたんだから命令すんなや。」

 

男は軽くそう言うとモハメドの頭を掴み馬乗りになったモハメドの身体ごと跳ね起きてそのままリングに叩きつけた。

 

『なっ!何という事だッーー!無敗の男モハメド・ローランドを破ったのは…経歴不明のダークホースッ!ヒーラだァァ!!』

 

男は…藤見疼は自身のウインドブレーカーをリング外から持って来るとそれを引き裂いてモハメドの腕を止血する。

(んー、結構雑に潰したし出血が酷ぇな…まぁこんな見せもんやるとこだ、救急ぐらい出来んだろ)

 

「なんてヤローだ…!あのモハメドに勝っちまいやがった!?」

「てぇしたもんだ!俺はアンタのファンになったぜぇ!!」

「それよりなんだあのパワーは!?」

 

つい数分前まで藤見の死を望み仄暗い笑みを浮かべていた観客は一転して騒然とする。チャンピオンの連打を受け切り、あまつさえ圧倒した謎の男への興味からくる興奮や艷声。

しかしそれらに目もくれず藤見は上を…貴賓席にて鷹揚に手を叩く一人の少女を見る。

 

「フフフ、これで賭けは僕の一人勝ちだね。」

 

長く美しい黒髪を翻し、少女は振り向くとそう笑った。

 

「ええ、まさか本当にウチで最強の闘士を下すとは…流石はあの御方の御息女、良い駒をお持ちだ。」

 

男は人好きする笑顔でそう言うと少女のもとへ歩を進める。

 

「それにしても、あの御方に御息女が居たとは…まぁ、隠す気持ちもわかりますよ。こんなにも美しいなら……ね?」

 

少女の前に立つと男は彼女の髪に手を通し宣う。その顔に浮かぶは先の人好きする笑みではなく獲物を狙う下卑た笑みであった。

 

「……()()は?」

 

男は少女の腰に手を回しながら更に笑みを深める。

 

「なに、ただの社会勉強ですよ…あの御方とて私の元に貴女を寄越した時点で()()も織り込み済みでしょうしね。」

 

男の手は徐々に腰から下へ下がり…

 

KRAAAAAAAAK

 

貴賓席の特殊ガラスが砕ける音と共に引き千切れた。

辺りに飛び散る血とガラス片をまるでテレビ越しの光景のように現実だと理解出来ずにいた男を引き戻したのは何よりもリアルな激痛だった。

 

「ギッ!??ギャアァァァ!!?」

 

男は腕を抑えながら蹲る。止血だとかではなく痛みから来る反射として肘より少し上で途切れた己の腕を抑える。

(…ッ腕、私の腕は…)

男は激痛に嗚咽を漏らしながらも周囲を見渡す。そして、見付けた。見慣れた自身の腕とソレを磔にする()()()()を。

 

「コレが俺の能力…自身と触れたモノに磁性を付与する『歪んだ双極性(マッドネット)』だ。ロケットパンチなんて男の子の夢だろ?」

 

背後からの声に男が直ぐ様振り向くと其処にはリングに居た筈の男が…藤見疼が立っていた。

 

「な…んで…?」

 

激痛で喉が窄まり自然と声が掠れる。男は噴き出す汗と涙で視界を遮られつつも藤見を見る。正確には藤見の腕を…肘から先が欠けた右腕を。

 

「なんで?なにが??…ああ!腕か?

そうそう、何を隠そうコレが俺の能力。自身の身体を関節毎に区切って分解する『稚児の癇癪(キュービックループ)』さ。

ああ!いや待てよ、自身と触れたモノの生命力を暴走させる能力、『凡人に翼(デッドブル)』だったか・も?」

 

男の背後で水音と身の毛のよだつ異音が響く。恐る恐る振り向くと、視線の先には人の手とも蜘蛛ともつかぬ醜悪な怪物が手のひらとも口ともつかぬ場所で爪のような歯をカチカチと鳴らしながら今まさに男へと飛びかかっていた。

 

「ヒッ!!た、たすっ…助けっ」

 

ガチン、と金属同士を叩き合わせたような音と共に眼の前にまで迫っていた怪物が()()()()

ミキミキとミシミシと…凡そ食事とは思えぬ音を立てながら藤見は怪物を咀嚼し呑み込むと男に向き直って話す。

 

「やっぱり、何でも喰える能力…『悪喰姫(あくじき)』が俺の能力だぜ。」

 

口の周りを血のようなナニカで黒く染めた藤見を見上げながら男はしめやかに失禁していた。

 

「ヒーラ、何をしている…」

 

鶴の一声…男にとってソレはそうとしか言えなかった。

 

「ククク、そんなに怒るなよお姫サマ…俺のノミのような心臓が潰れたらどうする?」

 

「彼に危害を与えるなと命令したろう…?」 

 

「命令ぃ?」

 

藤見は戯けたフウに首を傾げながら少女の前に立つと腰と膝をあらん限りに曲げて下から覗き込むように見上げる。

 

「可笑しいなぁ…命令ってのは強者が弱者にするモンさぁ。

テメェ、何時から俺より強くなったよ?

 

殺される。男は生物的な本能でそう理解した。眼の前の怪物の機嫌を損ねた自分達はもう自らの命を以て贖う他…

 

「なら…お願いだ。僕と彼に危害を加えないでくれ。

君から始めたんだ、まさか自分から破らないよな?」

 

しかし、少女は凛とそう言った。

 

「……クス、クスクスクス。

その通り、お姫サマが俺を期待させてくれる限りはお願いぐらい聞いてやるさぁ…」

 

藤見は両耳に届く程に口を開き笑みをつくる。男のとも、少女のとも違う…猛禽類の如き捕食者の笑みを。

 

「オッサン、見な…これが俺の能力。

不滅の肉塊(デッドリー・シン)』…呪われた肉の力だ。」

 

藤見がそう言うと肘より先が無かった右腕が瞬きする程の間に生える。

 

「これに懲りたらイイコトの相手ぐらい選ぶんだなぁ…」

 

それが男が気絶する前に聞いた最後の言葉だった。

 

 

 


 

 

「でもホントに良かったのか?あのオッサンの腕飛ばしてさ。一応はこれから世話になんだろ?」

 

カチャカチャとステーキを頬張りながら藤見は眼の前の少女…AFO(オール・フォー・ワン)に話しかける。

 

「構わないさ、極限状態の人間は救ってくれた相手を一種の神聖視する傾向にある…例え、その相手が自身を地獄に追いやった相手でも…ね?」

 

少女…AFOは自身の頼んだカツ丼のカツを箸でつっつきながら男女での胃の内容量の差に絶望していた。

 

「詐欺の手口じゃんすか。」

 

「失礼だな…彼は命を救って貰えて、僕らは当面の活動拠点と軍資金を得られた。誰も損をしない素晴らしい関係さ。」

 

「ほーん…まぁ良いけどねぇ。」モッチャモッチャ

 

藤見はハンバーグを一口で頬張りそう言った。

(…本当はもう一つ理由がある。

今回の一件で彼の中にはヒーラ、君に対する恐怖と焦燥を植え付けた。

ヒーラ…君はとても強い。その個性だって喉から手が出る程に稀有で、強力だ。…だからこそ、惜しい。その個性を奪えない今、君を排除する他ないのがね。

地下闘技場を拠点にしたのは人とモノの流れが一番盛んだからさ…それに、あそこのトップは女好きの無能だがコネだけは豊富にある。だからこそ絵図が描き易い…他人の血で描く君の末期の絵図が。)

AFOは藤見に決して気取られぬように冷たく嗤うとさり気なく藤見の前に自分の前にある丼を押しやった。

 

 

 

 

(とかぁ?思ってんだろうな。)

藤見は何食わぬ顔でカツ丼を掻き込みながらAFOを見る。

藤見の視力は人類という枠に嵌める事が出来ない。その眼は赤外線や紫外線すら視認し、その気になれば()()()()()()()()()()事すら不可能ではない。故に理解る。

(こいつは出会った時から嘘は言ってない…心臓の拍動も瞳孔の拡縮も無いからなぁ。

だからこそ…イイ女だよ、お前は。こちらに明かせる内容と明かせない内容とを巧く分けて不信感を持たせずに…中々出来る事じゃない。ククク、どっちでも良いのさ…お姫サマに願いを聞き入れて貰うでも、お姫サマを助けてくたばるでも。

だから、精々俺を失望させないでくれよ?お・ひ・め・サ・マ?)

藤見もまたAFOに決して気取られぬように狂った笑みを浮かべると半分程残ったカツ丼を再びAFOの元に押しやった。

AFOが絶望の籠もった目で見返すもそれに取り合わず新しい箸を渡す。

藤見疼、その趣味は餌付けであった。

 

 

 

 

 

これは始まりの物語。

後に183人ものヒーローの命を奪い、ヴィラン史に残る狂人として語られる彼と後にその狂人を殺し歴史に残る偉業だと讃えられる女帝の物語。

彼と彼女の今後を祝し虚飾も辞さないと言うのであれば、これは恋の物語。

互いを思い思われる…甘美で退廃的な殺し愛の物語。

 

 

 


コソコソ設定集

モハメド君

元ネタは勿論某宇宙海賊漫画の登場人物。

個性『ゴリラ』持ちでゴリラっぽい事が大体出来るぞ!

藤見君に負けた後は彼の付き人になってパシられる日々…でも自分より圧倒的に強い相手に会えてなんとなく嬉しそうだ。

 

セクハラ未遂君

地下闘技場のオーナーでAFOと面識がある凄い人。でも女の子には目がない。でもそのおかげで色んな人達とコネがあるよ!

今回はオッサンにセクハラしようとして腕を失うとか言う散々な事になった人…哀しいなぁ。

因みに腕が腕に喰われるとかいうコズミックホラーを見てしまったせいでSAN値がピンチだ!

 

AFOちゃん

今回の全てを手のひらの上で操ってた人。

可愛くなっても頭脳は同じ、やっぱコイツクズだわ(再確認)

今回の一件で藤見君の個性がマジでわからなくなって困惑中。

因みにカツ丼は無理矢理最後まで食べさせられた模様。

 

藤見君

今回の全てが手のひらの上だとわかった上で踊った人。

今回の適当に言ってた能力名は全て元ネタがあるが、全部わかった人は多分作者のドッペルゲンガーだと思われる為現れて欲しくない。

最後に言ったのだけ本当だったりする。




遅れましたね…ヴィジランテとか読んでました。
アレ滅茶苦茶オモロイっすね。

愛の戦士君ネタに需要って…

  • そんなものうちには…無いよ
  • こんなもん有れば有る程ええですからね
  • お得男(ヘドリアン)
  • そんな事よりAFOがヒロインになったぜ
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