ワンフォーオール…?知らない子ですね 作:悲しいなぁ@silvie
「おい!聞いたかイズク!!」
いきなりなにさかっちん…ほんと元気だな。
一応怪我人だろ?
あと、かっちんはもう動き回れんだろうけど俺は一応まだ安静だからな?
まだ二週間しか経ってねぇからな?
「この病院にオールマイトが来るんだってよ!」
へー、そりゃすげー。No.1ヒーローともなると病院への慰問やらも仕事の内なんだなぁ…
てか、あの後色々聞いたけどオールマイト銀行強盗捕まえたその足で俺らを助けてくれたんだろ?
しかもそんだけ事件解決しときながらサインを頼まれれば断らず、ファンサービスも一級品ときた。ったく、このヒーローの鑑がよ…誇らしくないの?
「でも、今お盆で無茶苦茶事件発生率たけーけど…本当に来れんのかな?」
お盆は帰省ラッシュやらで事故が増えるし、人の動きが増えれば付随して事件も増えるもんだ。
そんな今の時期に大事なNo.1ヒーローを病院の慰問なんかに使っていいのかね?
「ばっか、知らねぇのかよイズク!オールマイトはな、今までに握手会イベントや学校、病院への訪問だって何回もやってるけど1度も中止した事なんかないんだぜ!?」
「へー、すげぇなそりゃ…でも例えばまた銀行強盗とかに出会したら?そしたらそっち優先して中止にならねぇの?」
と、俺が訊くとかっちんはホントにコイツなんも知らねぇのなって感じのため息を一つつくとまるで自分の事のように胸を張って答える。
「だぁかぁらぁ!そういう時でもヴィランをバーン!とぶっ飛ばして来んだよ!オールマイトがイベントに5分以上遅れた事なんかデビュー以来1度もねぇんだよ!」
「はえー、すっごい…」
本当にマジもんの化け物じゃん。
渋滞でライブに遅れそうだからヘリに乗って会場入りしたバンドとかの武勇伝は聞いたことあるけど…ヴィラン逮捕して遅れそうだけどなんとかなりましたの武勇伝は今後オールマイト以外で聞く事はないだろうな。
「んで、いつ来んの?」
「んあ?今日だよ。」
「今日!?マジで!…何時ぐらい?」
「今日の14時に来るんだって公式サイトに乗ってたぜ。」
公式サイトあるんだ…てかそんな細かなスケジュールまで乗ってんだ…有名税と言うかなんと言うか。
むしろ、そのスケジュール見てこっちには来れねぇだろって思ったバカなヴィランが暴れねぇのかね?
いやまぁ、ヒーローはオールマイト以外にも一杯居るんだけどさ。
「…てか、今が10時半だからあと三時間半で来るのか…色紙、とかはねぇからこのスケブにでもサイン書いて貰うかな。」
と、俺が筆談用のスケブ(腹に穴が空いてたからしばらく喋れなかった)を取ろうとするとかっちんが俺の前に色紙を突き出してくる。
「仕方ねぇからやる!これであん時の借りは無しだからな!!」
かっちんはそっぽを向きながらもぐいぐいと俺に色紙を押し付けてくる。
「クッ、ハハハ!!ホント…かっちんって変なとこでみみっちーよな!」
「ああ゛!?んだとイズクぅ!!」
「ったく、そもそも貸しなんて思ってねーっての!
あん時はかっちんだって俺を助けてくれたんだしさ…貸し借り無しで良いだろ?」
互いに一人だと助かってねぇんだし、貸し借りなんか気にする方が不毛だぜ。
…まぁ、それはそれとして色紙は貰っとくけど。
「てか、そろそろリハビリだろかっちん。」
「まだ話は終わって…なんでてめぇが俺のリハビリの時間把握してんだよ気持ち悪ぃ…」
そりゃあ光己さんからサボんねぇように釘刺しとけって言われたからだよ?
利き手の指やってんだから大人しく行ってきな。
「チッ、終わったらまた来るからな!」
「へいへい、楽しみに待ってますよっと。」
さて、やっと一人になったか…んー、本でも読むか?
「本ならオススメがあるんだ。騙されたと思って読んでみないかい?」
「っ!!?」
一瞬で全身の毛穴が開く感覚…汗腺が馬鹿になったように汗が吹き出し、心臓が痛みを伴ってけたたましく鳴り響く。
ベッドに横になっているのに途方もなく高い場所から延々と落ちるような感覚…口の中が一気に渇き、しかし目からは止めどなく涙が流れる。
肺が酸素を欲するも、奥から胃液が上がって来ている。
ムーンフィッシュが可愛く思える程の威圧感。
今…今、俺の横には一体何が居るんだ…?
「おいおい、そう怖がらなくてもいいじゃないか。僕はただ君とお喋りをしに来ただけなんだぜ?」
「ぉ、お喋…りって?どーいう事だよ…」
喉が正常に動いてくれたのはいっそ奇跡だろう。
上がってくる胃液を止める為に普段では考えられない動きをする喉、酸素を取り込めず過呼吸のように浅く繰り返される呼吸。
「ああ!今日は君とお友達に成りに来たんだ…まずはお互いを知るのが友情の第一歩だろう?」
「お友達に…なろうって、奴を…威圧してんじゃねぇ…よっ!」
なんとか絞り出すように言い切ると一気にそれまでの感覚が消失した。
「ふむ、今のは大の大人でも身動きがとれなくなる出力だったんだが…素晴らしい!」
出力…?なら、今のは何かしらの個性かなにかなのか?
相手を威圧する個性…ならなんとかなる。
こいつの目的がわからん以上、さっさとナースコールなり押してお縄についてもらうか…
「ソレは止めておいた方が良いよ、緑谷出久君。」
「…最近の変態ってのは幼い少年の為なら病院にまで乗り込むのかね?
ったく、人様の性癖にとやかく言わねぇーけどな病院で騒ぐんじゃねぇ…よっ!!」
言いながら手元にあった筆箱を投げつけると同時に身体を跳ね起こしてベッドから飛び降りる。
しっかりと蓋も開けてやったから消しゴムやら鉛筆やらが散らばって変態に向かっていく。
よし、ナースコールも押して…?なんだ?ランプが点かねぇ…?
「言葉が足りなかったね。正しくは
そういった奴の前には俺の投げた筆箱と中身が空中に縫い付けられたように固定されていた。
ナースコールも二回、三回と押しても反応しない…どうなってんだ?配線は切られてねぇし、なんか物は浮いてるし…威圧の個性じゃなくて複合個性か、他の個性の副次的な作用で威圧になってるのか…?
でも、固定に威圧にナースコールの件に…なんの個性だコイツ?
「ああ、簡単だよ。君の予想通り、コレは固定でさっきのは重圧…で、ソレは電波の個性で妨害してるのさ。
ちなみに、今使ってるのが読心の個性だね。」
「…は?何言ってんだ?イカれてんのか…?いや、病院にまで来るヤローだ…イカれてんだろうな。」
男は俺の言葉に肩を竦めるとわざとらしく両手を挙げる
「おやおや、随分と酷い事を言うね…こう見えて僕は傷付き易いんだぜ?もっと優しくしてくれよ…君のご母堂に対するようにね。」
「…脅しかよ、クソヤローが。」
「まさか!言ったろう?今日は君と友達に成りに来たんだって!」
考えろ…どうすれば良い?さっきの言葉通りだと仮定するとコイツは個性を複数持ってる…のか?
だけど、んなの有り得んのかよ…チートじゃねぇか。
あと、この思考も読まれてるのか…?読心の個性…試してみるか?
好きな食べ物とかありますかー!
「良いね!そういう風に互いを知るのが友好への第一歩さ!そうだね…色々あるが、君も好きなカツ丼あたりも捨てがたいね。」
…ホントに読んでやがる。しかも、俺の好物まで筒抜けって…こりゃあひょっとするとひょっとするか?
「…なら、次はなんで俺と友達になりてぇのか聞かせてくれよ。
理由を教えてくんねぇと…さ。」
「おっと!僕とした事が、ついつい興奮して忘れてしまっていたよ!そうそう、君と友達に成りたい理由だね?
単刀直入に言うと…君の中身に興味があるのさ!
一体どうすれば違う人間の中に入れるのか…ってね。」
…は?いや、コイツ…違う、考えるな!思考が読まれて
「最初は予知の個性かと思ったんだ。僕も偶々予知の個性を持っていてね、予知を覆しうるのは同じ予知のみ…と思って君の事を調べたよ。
するとどうだ!君は因子すら持たない完全なる無個性だった!僕は俄然君にそそられたよ!
解るかい!?君は何の個性も持たずにこの僕の…絶対である筈の予知の個性を破ったのさ!!僕は心底興奮したよ!直ぐに君の事を調べたさ、調べぬいた!」
男は大袈裟に身振り手振りを交えて語る
「調べれば調べる程に、君は異質だった!君の周りは皆、口を揃えてこう言う…あの子はとっても大人びてる、とね。
ここで僕は考えた。大人びてるとはどういう事なんだろうとね…フフフ、君のは大人びてると言うには些か無理がある。何処の世界に習いもしない言語の読み書きが出来る子供が居る?
なら、考えられる可能性は少ない。そう…例えば、輪廻転生とかね。
僕のように様々な個性を持つと、色んなものが視えてきてね…君をこうして視て、一目で解ったよ!君は
どうすればそうなるんだろう!?人の精神を入れ替える個性は幾つか知っているが…どれも極短時間しかもたないものばかりさ!君のように産まれた頃からなど不可能…ならば、ソレは…君はなんなんだろう!?
是非とも教えて欲しいんだ…駄目かい?」
…なんでこうオタクやらは話の長さに比例して早口になるのかね?聞き手の気持ちも考えろよな…
「おっと!これはすまないね。なにしろこんなに気分が高ぶるのは久々でね、自分では抑えられない程の高揚となると…弟と一緒にコミックを読んだあの時以来かな?
いや、この個性を持った時以来かも知れないね。」
「知らねぇし知りたくもねぇよ、テメーの昔話も興奮度合いもな!
一つ覚えときな!テメーが誰だか知らねぇがよ、俺の家族に…俺の大切な人達に手を伸ばしてみろ、俺が地獄の果てまで追っかけて必ず後悔させてやる。」
「…ああ、良い。良いね!君はそうやって怒るのかい!さぁ!もっと見せておくれ!君という人間を!君という
KABOOOOOM!!
大音響と共に爆炎が男を包む。
ようやく来たかよ、かっちん!
…でもいきなり爆破はヤベーよ?今回は助かったけど一歩間違えたら事件だからね?
あと、ちょっと速すぎないか?ちゃんとリハビリ終わったの?
「んだコイツ?おいイズク!どうなって…」
「かっちん!窓に向かって全力で撃てぇ!!」
かっちんは俺の言葉にノータイムで振り向き廊下の窓に向かって手を翳した。
KABOOOOOM!!
「やれやれ、最近の子供は少しおいたが過ぎるね…」
廊下の窓が砕け散り、爆風が先の爆発の煙を払う。
そこにはスーツをはたく男…当然のように無傷なのな。
だが、狙いはそこじゃねぇ…
「今ので直ぐにヒーローが来るぜ?とっとと尻尾巻いて逃げろや小児性愛者!」
「…ヒーローか、君はもう少し賢い人間かと思ったんだけどね。考えてご覧、君は僕がそこいらの凡百の輩にどうこう出来るとでも…」
男の言葉を最後まで聞くことは出来なかった。
何故って?知ってる癖に。
来たんだよ…ヒーローが。
「
かっちんの割った窓から飛び込んできたオールマイトは勢いそのままに男の顔面へと右ストレートをぶちかました。
そうだよな…そもそもこのクソ忙しいヒーローが病院の慰問なんかやってんだぜ?当然他のイベントも一緒にこなすよな。この辺りにある病院は此処を入れて4件、それに握手イベントやら…1日2日では終わらねぇよな?
そもそも、ムーンフィッシュから助けてくれた時だって偶々来てた訳じゃなくて今回のイベントの下見かなんかだったんだろうぜ…
だから、自分の行く予定の病院での爆発なんていち早く駆け付けてくれるよな?
「オールマイト…成る程ね、ここまで見通していたと。
これはこれは、僕は君を高く買っていたと思っていたが…まだ過小評価だったようだね!」
「逃げろ!少年達!コイツは私が倒す!!」
オールマイトが即座に俺を抱き抱えて自分の後ろにやりながら言う。…すげぇな、ホントに画風が全然違ぇ。
ペン先の消耗がえぐそうな見た目してんな…てか、かっちんの目がキラキラしてら。こういう時はやっぱこの子も普通の子供なんだなって思いますよ。
「おいおい、オールマイト…君は人が友達を作ろうと精を出しているというのに邪魔をする気かい?ヒーローってのは人の交遊関係にまで口を挟む仕事なのか?」
「黙れ!貴様が何故この少年を狙うかは知らんが、私が来たからには必ず阻止してみせる!」
男…オールフォーワンと呼ばれたソイツはオーバーに肩を竦めると俺の方を向いた。
深い、様々な感情が入り交じった気持ち悪い瞳だった。
「今回は邪魔が入ったね…また会おう緑谷君。」
そう言ったオールフォーワンの身体は一瞬にして消えた。
「なにっ!?SHIIIIT!!!奴め、いつの間に転移の個性なんか!」
…多分、今のって俺らを庇ってさえいなけりゃ間に合ったんだろうな。
オールフォーワンが消えた瞬間にオールマイトは辺りを見渡して警戒してた。…だから、一人なら取り逃がさなかったと思う。
俺らが来たって言うにはまだまだかかりそうだな…
「ふぅ、まさかあんな手で逃れるとはね…」
男は…AFOは自らの隠れ家の一つで一人ごちる。
「オールマイト…いっそ計画を速めて始末して仕舞おうか。…いや、賢い彼の事だ。平和の象徴が消えれば表だって行動しなくなるかな?
フフフ、彼に感謝しろよオールマイト。君を始末するのはもう少し後にしよう…彼が成長するその時まで。」
その顔には新しい玩具を見つけたような、子供のような無邪気で残酷な笑みが浮かんでいた。
次回の候補
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さすがにそろそろ雄英に入学しろ!
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ヒロイン最大トーナメントッ!!
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ホークス…?知らない子ですね
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ボンドルドとAFOって似てない?