勇者なら成し遂げてくれるだろう   作:さなかのさかな

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まだまだ分からない機能があったりして初心者なので温かく見守って下さい。見切りスタート。


プロローグ

 人気の無い湖のほとりの芝生の上で横になりながらまた空を見上げる。

 

 湖から少し離れた場所には俺の住んでいる家があり、自然豊かで鳥の囀りが聞こえる。

 のどかで考え事をするのに最適だ。

 

 

 俺の人生は恐らくありふれたものだっただろう。中学の途中から勉強し始め、そこそこの高校に行き、平均より少し上位の大学へ行き、そして死んだ。面白味の無い人生だ。

 

 ここまでで分かったと思うが、俺は転生者だ。転生したらチート能力を貰って、ハーレムを作って、楽しい人生を送れるだろうと転生前は思っていた。

 

 だが現実とは残酷で、俺の性格や今まで辿ってきた人生が原因だろうが、あらゆることに対し意欲を失ってしまった。これがいわゆる燃え尽き症候群なのだろうか。

 

 

「あの、すみません」

 

 

 思考が途切れる。

 声がした方に顔を向ければ整った顔をしている少年がいた。

 15~16歳ぐらいだろうか。

 どこか優しげな雰囲気を醸し出している少年の髪は太陽の光を反射させる程キラキラと輝いてる金髪で、目の色も同じように金色だ。ようやくか。

 

 

「何しているんですか?」

 

 

「ただ空を見上げているだけだ。他にやることもないからな。それで、お前は何をしに来たんだ?」

 

 

 俺がそう言うと少年は困ったように頬をかきながら

 

 

「いや、ちょっと、大変な事に巻き込まれまして。僕にしかできない事があるみたいなんです」

 

 

 俺はその言葉を聞き、ため息が溢れた。まあいい。取り敢えず愚痴でも聞いてやるかと思い

 

 

「ここに座れ。まあ、なんだ。ここには、俺らしかいない。お前はストレスとかを一人で抱え込んで将来ハゲそうな性格してそうだからな。なんか愚痴でも話してみたらどうだ?」

 

 

 俺がそう言うと少年は少しの沈黙の後、まあハゲたくありませんしね、と苦笑しながら俺に話し始めた。

 

 

 少年の話を纏めると、少年は田舎の農家の育ちらしい。

 村一番の可愛い幼馴染が居て結婚を誓い合ったほど仲良かった、と嬉しそうな顔をしながら語った。

 

 だが、だんだん少年の顔が曇っていき、少し声色が暗なっていきながら話し続けた。

 少年はこのままこの村で一生を過ごすと思っていたが、ある日豪華な馬車に乗った第三王女と名乗る者に、あなたの力が必要です、と伝えられ馬車に乗り、はるばる田舎から王都まで来たそうだ。

 

 そこからはよく覚えていないがあっという間だったらしい。教会に連れてかれ、女神様に祈りを捧げると急に声が響き、その事を伝えると周りが騒ぎ始め、王様からの謁見を受け、その日は王城で寝泊まりをし、起きて朝一番に城を出てここに来たと話した。

 

 

「本当に何でこうなったんだろうなぁ」

 

 

 そう言う少年の目は少し潤んでいた。

 

 

「なあ。愚痴を聞いてやると言ったのは俺だけどよ、そこまで話すとお前の正体は馬鹿でも気付くぜ」

 

 

 少年は、まあそうでしょうね、と独り言のように言葉を漏らした後

 

 

「お察しの通り僕は、勇者です」

 

 

「まあ、だろうな。ちなみに何故俺にここまで話した? 俺がもし魔族で人に擬態していたりしたらお前に危害を加えるかもしれないぞ」

 

 

「大丈夫です」

 

 

「根拠は?」

 

 

「勇者の勘です。それと、そんな事をする人はわざわざ言わないでしょう 」

 

 

 勇者と付くだけで説得力が上がるな、などと下らないことを考えながら

 

 

「まあ、そうだな。それで、少しは楽になったか?」

 

 

「はい」

 

 

「まあ時間はまだまだあるんだゆっくりしてけ」

 

 

 それから俺は少年に前世にあるお伽噺や昔話を少し話すと、少年は綺麗な金目を輝かせながら話を聞いていた。

 まだまだ子供だな。そう思いながら話し続ける。

 

 少年が楽しいそうに話を聞いていたので時間が過ぎるのを忘れてしまい、気がついたら空が少し赤く染まっていた。

 

 

「おい、もうそろそろ暗くなるぞ。城に戻らなくていいのか?」

 

 

 俺がそう言うと少年は焦ったように身体を起こした

 

 

「本当だ。もう城に戻らなきゃいけません。……」

 

 

 そう言う少年は城に行く素振りを見せず黙っていたので、どうしたのか? と聞くと決心したように

 

 

「あの、またここに来てもいいですか?」

 

 

 と言うので、くっくっくっ、と笑いを堪えながら

 

 

「俺はほぼ何時でもここにいるからよ、来たくなったら来てもいいぜ」

 

 

 ニヤニヤしながら応える俺に少年ムッとした顔をしていた。

 だが、それも一瞬のことで少年はすぐに笑顔になり

 

 

「ではまた来ますね」

 

 

 と言い走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後ろ姿が見えなくなった頃

 

 

「勇者、ね」

 

 

君(・)な(・)ら(・)き(・)っ(・)と(・)終(・)ら(・)せ(・)る(・)こ(・)と(・)が(・)で(・)き(・)る(・)だ(・)ろ(・)う(・)

 

 

 忌々しい記憶が蘇る。

 自分の夢を語り、俺を散々振り回した女のことを思い出し、チッ、と舌打ちをする。

 しかし勇者か。彼は恐らく心が優しく、温かく、そして強いのだろう。

 

 

「期待しても良さそうだな」

 

 

 彼ならきっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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