サブタイトルが思い付かない。
「君はそんな戦い方しか出来ないのか?」
彼女はまた呆れたような言い方で俺に問う。いい加減しつこくなってきたので俺は少し怒ったような口調で
「いいだろ。別に。誰にも迷惑をかけていない。それに、俺はなかなか死なない」
俺の言葉を聞いた彼女は少しムッとした顔で
「いや。少なくともボクに迷惑をかけてるんだよ。君の戦い方を見ていると……なんか、こう、苛つくんだよ」
ほぼ八つ当たりじゃねぇか。彼女は言葉を続ける。
「取り敢えずその戦い方はボクの前では禁止だよ。分かったね」
他の戦い方をすると弱くなるのだか。まあ、彼女もそれは分かっているだろう。俺は彼女に一生返せないような恩があるので仕方なく
「分かった。もしもの時は任せる」
「……ああ。任せたまえ」
少し驚いた後、彼女は嬉しそうにそう言った。
あれから少年は時々ここに来るようになった。お互い話すことは大体いつも同じで、俺は前世のことを、少年は今自分が何を城でしているかを語り合っていた。
そして勇者がここに来て大体一ヶ月が過ぎた頃に
「あの。ここって結界か何かを張ってありますか?」
俺は少し驚いた。
「ああ。張ってあるが。もう
「いえ、まだです。そう言うってことは張ってあるんですね。何か勇者になってからなんとなく分かるんです。魔力とは違った感覚的なもので」
「それは凄いな」
「まあ、外れることも有るんですけどね」
少年はそう言い苦笑する。
流石にまだ魔力には目覚めないか。勇者がいくら規格外と言っても所詮は人の範囲に過ぎないか。いや、そう決めるのは早計だろう。勇者とは成長していくものだからな。
それにしても
「なあ、お前最近、筋肉が付いてきたな。ナヨナヨしていた前に比べると、なんつうか、安定してきたな」
その言葉を聞くと少年は、誇らしげな笑みを浮かべ
「分かりますか。二週間前辺りから剣術を習い始めまして。でも、必要な筋力や体力が全然足りないと師匠が言いまして、今は身体を鍛えているところです」
大変そうだな、と俺は思いながら
「どうだ。最近辛くないか?」
と聞くと、少年は真剣な顔で
「確かに最初は辛かったですよ。でも、最近は皆が僕を必要としてくれて、優しくしてくれるので、今はあまり辛く無いですよ。それに、魔王の所業を女神様から聞いた時、この人達を死なせたくないと思うのと同時に、僕が出来るなら魔王を倒さなきゃいけないという気になりまして」
あまり、か。この様子じゃ今、ストレスは無いだろうがまた溜まるだろう。その時は俺が相談に乗ればいい。
「いい機会ですよ。村の外に出て、冒険が出来る。それに、僕は皆の期待に応えたい。でも、一番の理由は、魔王が許せない。これは、女神様に言われてやるわけでもない。皆に言われ強制的に成るものでもない。僕が、魔王を倒し、そして本当の《勇者》に成るんだ」
静かに、ただ淡々と自分の決意を語る少年からは、その年齢、顔からでは想像できないような
「すみません。少し熱くなってしまいました」
顔を赤くしながら勇者は言う。その姿は先程までとは違い恥ずかしそうだった。だが、俺は素直に感心した。
なるほど。これが勇者か。素直で心が強い、そして優しいな
。
そう感じた俺は、赤い顔をした
「お前なら成れるだろう。なんの根拠もないありふれた言葉だ。だが、俺の漠然とした勘ができると言っている。お前は女神様に選ばれたんだ。なら、才能は有るだろう。そしてお前は強い心を持っている。それさえあればなんだってできるさ」
その言葉を聞くと勇者は嬉しそうな顔をして
「はい!」
と応えた。でも、まあ
「取り敢えず魔力に目覚めような」
俺がそう言うと、少ししょんぼりとした表情で
「……はい(._.)」
と言った。その表情に俺は笑いながら
「まあ、あんまり焦るな。人には人のペースがある。焦り過ぎるとできることも出来なくなるぞ」
「そうですよね! 魔力に目覚める時間なんて人それぞれですよね!」
あまりにも食い気味に言ってくるので水を飲みながらその理由を聞いてみると
「城の姫様が毎日俺の部屋に入ってきて言うんですよ。ニヤニヤしながら
あら勇者様。まだ魔力に目覚めてないのですか? 頑張って下さい。(裏声)」
「ゴホッゴホッ」
なんだその裏声は? 面白すぎだろ。思わず水が気管に入ってしまった。その様子を勇者が心配そうに見ている。
「大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だ。問題ない」
それにしても、恐らく姫は王の命令か何かで勇者と接触するよういわれているのだろうか? 俺にはどうでもいいことだな。そう結論付ける。
「そろそろ時間ですね」
「そうだな」
時間が早く過ぎてしまった。
「あの、ここに誰かつれてきてもいいでしょうか?」
勇者が不安そうな顔で聞いてきたので、俺は
「大勢でこられると困るが、一人、二人ぐらいならいいぜ」
と言う。勇者は安心した顔で、よかったぁ、と呟く。
「じゃあ、また会いに来ますね」
そう言い勇者は去っていく。
駄目だ。勇者はいい奴だ。何の罪もない。
俺の中で隠していた暗い感情が渦を巻く。分かっているこれはただの八つ当たりだ。
俺が
そう自分に言い聞かせ、暗く、黒い感情に蓋をする。
魔力に目覚める
この世界では魔力を感じられ扱えるようになった時に、魔力に目覚める、と言った言葉を使う。魔力に目覚める為には様々な方法があり一番有名な方法は窮地に陥った時だと言われている。
顔文字、人生で始めて使った。( ・3・)
多分もう使わない。