アークスシップ10番艦"ナウシズ"に突如として出現した閃機種。
ナウシズの主力でもあるあるふぃ、まリスの他にも、その大切な仲間たちが各地で迎撃にあたる。
しかし、まリスと共になんとか巨大人型閃機種"ネメス・アンジュール"を撃破したアリシアの前に偽の女神ミトラが現れる。
一方的に押し込まれ、死を悟ったところにアリスが割り込みアリシアはなんとか一命を取り留めるが、助けに来たアリスも変幻自在に姿を変えながら戦うミトラに次第に翻弄されていく。
それでもなお、アリスは戦いの手を緩めない。
アークスのため、大切な仲間達のため、そして、アリシアのため。
立ち上がることすら困難な傷を負いながらも、背後で見守るアリシアの眼差しを感じる度に抗う力が湧いてくる。

命を燃やせ。

戦え、たとえこの場で命尽きようとも。
抗え、立ち上がれなくなるほどに身体がボロボロになろうとも。
守れ、残ったたった一人の家族を。

そしてアリスは、最期まで戦い、全てを守った。
そしてアリスは、まリスとアリシアに見守られながら、アリシアとのわだかまりも消えたことで、笑顔でこの世を去った。

これは、その直後のひと時。


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後悔と怒り

蝉時雨とリランの撤退を見送り、その場にいたラファガ・リンガーダを討伐。

その後私は、劣勢状態にあるアークス達の援護に回っていた。

しばらくして、閃機種やダーカーの反応も無くなり、私も含めた出撃していたアークス全員が無事帰投した。

 

 

......ただ一人を除いて。

 

 

戦闘によって激しく疲弊、もしくは負傷していた私とまリス以外の全員は、メディカルセンターで治療を受けていた。

私達2人は、アリシアの治療室で彼女の様子を見ていた。

 

「......ミトラと交戦したらしいが、大丈夫だったか?」

 

「あたしは問題ないわ。まさかユウにまで模倣できるようになってるとは予想してなかったけど。」

 

「そうか......」

 

少しの沈黙を置いて、私は言葉を続けようと口を開こうとする。

 

「アリスなら、最期まで勇敢に戦ったわ。命を賭してアリシアを守り、このアークスシップを守った。あたしが保証する。」

 

まリスが私の思考を読み取っていたかのように、こちらが言葉を発するよりも先に、素早く言葉を返した。

 

 

―――――アリスの戦死。

 

 

帰投後、その報告を聞いた私はそんな馬鹿なと信じて疑わなかった。

だが、直後帰ってきたアリシアとまリスの様子を見て、報告への疑念は取り払われてしまった。

 

「......そうだな.....戦闘ログを見た。彼女の奮闘ぶりは、アークスとして立派なものだった。」

 

「.............まリス....さん?それに.....あるふぃさんも......」

 

ベッドに横たわっていたアリシアが目を覚ます。

アリシアは目の前に映る2人を認識すると、急ぎ身体を起こそうとする。

 

「アリシア。無理して起き上がっちゃだめ。ちゃんと横になってなさい。」

 

「........はい.....」

 

アリシアはまリスに言われるまま、起き上がることをやめ、静かに体勢を戻す。

 

「アリシア........アリスはよく頑張った。私たちはアリスの為にも、より一層強くなり、フォトナーを倒さなければならない。」

 

あるふぃの言葉を聞いたアリシアは、俯いたまま、しばらく言葉を返さずにいた。

 

しばらく沈黙が続き、アリシアがようやく、重い口を開く。

 

「どうして.......」

 

アリシアの第一声。

あるふぃはその言葉を聞いてすぐ、しまったと感じた。

 

「どうしてあるふぃさんは!!!!そんなにも冷静でいられるんですか!!!!涙の一つも流さず、冷静でいられるんですか!!!!!!」

 

自身にとっては、大切な家族を失った。

あるふぃにとっては、大切な仲間を失った。

それなのに何故そんなに冷静でいられるのか、これより先のことをすぐ考えられるのか。

募る怒りを抑えきれず、アリシアはあるふぃに思いっきり怒りをぶつけた。

 

「...........すまないアリシア。まリス、私は先に部屋に帰るよ。.....あとは頼んだ。」

 

まリスは静かに頷き、それを確認したあるふぃは素早く立ち上がり、その場をあとにした。

 

「待ってくださいあるふぃさん!!!!!わたしはまだ......!!!!」

 

「アリシア、少し落ち着きなさい。」

 

「でも.......!!!!」

 

「アリスを一人、あなたのもとに向かわせた判断をしたのは誰なのか、よく考えてみなさい。」

 

「..........あっ......」

 

まリスの言葉に、アリシアはふと我に返る。

 

「あの責任感の塊が、本当に冷静になってると思う?なんでもかんでも自分で背負うとする人なのよ。誰よりも後悔し、自分自身に怒っているのは......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「........くそっ!!!!!」

 

自室へ戻ったあるふぃは、扉が閉まると同時に、握りしめた拳を思いっきり壁に叩きつける。

 

「どうしてあそこでアリスを一人で行かせた!!!!!どうしてもっと慎重に考えられなかった!!!!!!!どうして蝉とリランを助けた後、真っ先にアリシアたちのもとに行かなかった!!!!!!」

 

くそっ!!!くそっ!!!!と何度も口にしながら、あるふぃは何度も拳を壁に叩きつける。

気が付けば、何度も叩いていた部分は大きくへこみ、拳は何度も叩きつけた反動で血に滲んでいた。

 

「........はは......これはまた、上層部に怒られるな.........」

 

「もっと速く......もっと強く.......皆を守るためにも.....これ以上犠牲を出さないためにも.......」

 

あるふぃは知らず知らずのうちに溢れていた涙を拭い、対フォトナーへの思いを、一人密かに強めていた。

 

 

 

 



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